★【完結】私、東京調理魔法専門学校を退学になりました(作品240523)

菊池昭仁

文字の大きさ
1 / 10

第1話

しおりを挟む
 ノアは東京調理魔法専門学校の2年生だった。


 「ノア、一緒に帰ろうよ」
 「うん、帰ろう」

 リンダはノアの親友だった。

 「ノア、今日もバイトなの? 時給950円のミッキー・バーガーで?」
 「そうなのよー、時給1,000以下だなんて安くてやんなっちゃう。授業料も教材も教科書もバカ高いしね?」
 「今どき魔法使いになりたいなんて、希少だからねー。天然記念物だよ」
 「あの呪いの実習で使った、吸血蝙蝠の翼なんか1枚5万円だよ、5万円。信じらんない」
 「この前買った『世界オカルト事典』は132,000円だよ!」
 「ああ、どうしよう、今度の授業料、125万円なんて払えないよー、うち、親がいないでしょう? これ以上ハグリッドおじさんに迷惑はかけられないよ」
 「ノアもたいへんだね? ねえノア、時給のいいバイトがあるんだけどやってみない?」
 「どんなバイト? エッチなやつとか?」
 「ピンポーン! デリヘルなんだけどさあ、店長もいい人だし安心だよ。半分バックしてくれるし」
 「ということは60分、12,000円として6,000円かあ。
 1日3回転として18,000円! 悪くないかも」
 「でしょう? 話だけでも聞いてみたらどう?」
 「そうしようかなあ、卒業まであと少しだしね?」
 「ノアはかわいくて巨乳だから、ロリコン好きには堪んないかもよ?」
 「まあね。あはははは」

 ノアとリンダは笑った。



 翌日、ノアはリンダとデリバリー・ヘルス、『ペロペロ・キャンディ』の事務所に面接に出掛けた。

 「こんにちは、店長の大崎です。
 アプリコットちゃんのお友だちなんだって? 君、凄くいい感じだね? 稼げるよ、ウチは」
 「アプリコットちゃんて?」
 「私の源氏名なの」
 「なーんだ、そうだったんだ」
 「じゃあ早速、面接するからこちらへどうぞ」



 大崎店長はデリヘルの店長さんというよりも、マクドの店長さんのような人だった。
 大崎はノアの書いた身上書を確認した。

 「えーと初体験は中三で、今までの経験人数は5人。
 性感帯は首筋と乳首、それからクリトリスかあ。ノアちゃん、オナニーとかはするの?」
 「はい、週に3回くらいですけど」
 「そう、お客さんの前で出来そうかな?」
 「そんな変態、いるんですか?」
 「寧ろお客さんはそんな変態ばっかりだけどね?
 だってウチにくるお客さんなんて、殆どモテない奴ばっかり。
 彼女がいなかったり、奥さんに相手にされないとか、恋人や奥さんにはとてもしてもらえないプレイを楽しみたくて来る連中ばかりだからね?
 この間の常連さんなんて大学病院の医者だぜ?
 その医者、中々のヘンタイさんで、注射器を持って来て、それで自分の乳首を刺してくれっていうんだってさ。
 ほんと、キモイよね?」
 「ええ。まあ、それなりにイッちゃってますね?」
 「ええとそれからオプションはパンスト破り、下着のお持ち帰り、バイブに顔射はOKと。
 ごっくんはどう? むずかしい?」
 「精子を飲むってことですよね? 知らない男の人のザーメンはちょっと抵抗があるかも」
 「わかった、じゃあこれはやらなくてもいいからメニューから外しておくね? それからAFはどうかな?」
 「何ですかそれ?」
 「アナル・ファック。つまりお尻の穴でことだよ」
 「なんだか痛そう」
 「あはは 別にやらなくてもいいよ。じゃあ、これから写真撮るからホテルに移動しようか?」



 ホテルでは色んなポーズを撮られた。


 「そう、いいねえ、いいよ、こっちを向いて、そう、そんなカンジ。
 それからノアちゃんはオッパイが魅力的だから、そう、そうやって少し強調してみようか?
 そう、それそれ、ハイ、それ、いただき!」

 そして撮影が終了すると店長から言われた。

 「今日から出られそう?」
 「ええ、大丈夫です」
 「最初の1週間は日払いにしてあげるね?
 その後はどちらでもいいけど、週払いだと55%、オプションは全部ノアちゃんの取り分になる。
 源氏名はどうしようか? ウチは全員果物の名前なんだけど」
 「何がいいかなあ、大崎さんが決めて下さいよ」
 「今いているのはそうだなあ、デラウエアか佐藤錦かな?」
 「佐藤錦はイヤです、何だかお相撲さんみたいで。他にないですか?」
 「うーん、メロンちゃんはいるしラフランスちゃんもいるしなあ。
 そうだ、シャインマスカットはどう?」
 「じゃあ、マスカットちゃんにします、かわいいから」
 「わかった、それじゃあ今日からノアちゃんはマスカットちゃんね?
 この業界は初めてだろうから、初日は軽いノリでいいからね?
 マスカットちゃんには、ウチで長く働いてもらいたいから」


 その日からノアのデリヘル・バイトが始まった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

奥様は聖女♡

喜楽直人
ファンタジー
聖女を裏切った国は崩壊した。そうして国は魔獣が跋扈する魔境と化したのだ。 ある地方都市を襲ったスタンピードから人々を救ったのは一人の冒険者だった。彼女は夫婦者の冒険者であるが、戦うのはいつも彼女だけ。周囲は揶揄い夫を嘲るが、それを追い払うのは妻の役目だった。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

辺境ぐうたら日記 〜気づいたら村の守り神になってた〜

自ら
ファンタジー
異世界に転移したアキト。 彼に壮大な野望も、世界を救う使命感もない。 望むのはただ、 美味しいものを食べて、気持ちよく寝て、静かに過ごすこと。 ところが―― 彼が焚き火をすれば、枯れていた森が息を吹き返す。 井戸を掘れば、地下水脈が活性化して村が潤う。 昼寝をすれば、周囲の魔物たちまで眠りにつく。 村人は彼を「奇跡を呼ぶ聖人」と崇め、 教会は「神の化身」として祀り上げ、 王都では「伝説の男」として語り継がれる。 だが、本人はまったく気づいていない。 今日も木陰で、心地よい風を感じながら昼寝をしている。 これは、欲望に忠実に生きた男が、 無自覚に世界を変えてしまう、 ゆるやかで温かな異世界スローライフ。 幸せは、案外すぐ隣にある。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから

渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。 朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。 「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」 「いや、理不尽!」 初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。 「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」 ※※※ 専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり) ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...