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第2話
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デリヘルの事務所はひっ切り無しに携帯が鳴っていた。
「はい、『ペロペロ・キャンディ』です。
ああ、これはこれは山本さん、いつもご利用ありがとうございます。
今日は台湾バナナちゃんは女の子なのでお休みなんです、ごめんなさい。
はい、若くて巨乳、髪はロングで、はい、ではアプリコットちゃんなどいかがでしょうか? ええ、はい、では、アプリコットちゃんを、はい、保証しますよ、とてもいい子ですから。
はい、ホテルは『ロンド』の302号室ですね? ハイ、60分の痴女コースで。
それではあと30分ほどで到着しますので、期待してお待ちください、失礼いたします」
店長は電話を切るとリンダを呼んだ。
「アプリコットちゃん、台湾バナナちゃんの代打で頼むよ。
ショートのケチ客の山本だから適当に抜いてあげてくれればいいから。
痴女コースね、『ロンド』の302だから」
「ハーイ、じゃあノア、行ってくるね。
後でデローズでゴハンしようよ」
「うんわかったー、行ってらっしゃーい!」
リンダが事務所を出て行った。
受付のサヨリが電話をしていた。
「ハイ、おっぱいが大きくて小柄。
乃木坂みたいな子ですね? それなら今日から体験入店しているマスカットちゃんなんていかがでしょう?
初々しい新人さんです、ハイ、もちろん業界未経験ですよ。はい、それは保証いたします、ハイ。
ハイ、顔はもちろん美人です、ハイ。タトゥーもありません、もちろん日本人です、ハイ。
どうされますか? ハイ、マスカットちゃんを、ハイ、ありがとうございます。
ではホテルに着きましたら、ご連絡をお願いします、ハイ、失礼します」
「マスカットちゃん、いよいよ初仕事だね?
初めは緊張するかもしれないけど、なんかあったらすぐに電話してね? すぐに助けに行くから」
「わかりました」
ホテルに着き、ドアをノックした。
ドアが開くと、そこにはメガネを掛けた、神経質そうな撫肩の大学生風の男の子が立っていた。
「マスカットです、『ペロペロ・キャンディ』から参りました。
蘭丸さんですか?」
「あっ、は、はい・・・」
かなり緊張しているようだった。
部屋に入り、コースの確認をした。
「痴女コース、60分ですよね? 12,000円になります」
「はい・・・」
蘭丸は12,000円ちょうどをノアに渡した。
ノアは事務所に電話をした。
「マスカットです。ハイ、60分の痴女コースをいただきました。ハイ、わかりました」
電話を切ったノアは、蘭丸の緊張をほぐしてあげようと、なるべく優しく話し掛けてあげた。
「蘭丸さんはどうして蘭丸さんなの?」
「忍者の蘭丸が好きだったからです」
「そうなんだ? デリはよく利用するの?」
「初めて・・・、です」
「女の子とするのも初めて?」
蘭丸は頷いた。
「そっかあ? 童貞君かあ。
私もね、今日が初めてなのこのお仕事。
お互いに初めて同志だね?」
蘭丸は顔を真っ赤にしていた。
「それじゃあ、いっしょにお風呂に入ろうか? お湯、入れて来るね?」
蘭丸はすでに服を脱いでいたが、パンツは履いたままだった。
しかも白のブリーフ。童貞感、丸出しだった。
「一緒に入ろうか?」
頷く蘭丸。
意外にも蘭丸のそれは「金属バット」のように硬くて立派なモノだった。
だが残念なことに、蘭丸は包茎だったのである。
「包茎なの?」
「うん、自分で剥こうとしたんだけど、痛くてダメだった」
「東京上野クリニックとかに行かなかったの? タートルネック・ボーイってやってるじゃない?」
「恥ずかしくって行けないよ、それに痛そうだし・・・」
「そうかあ、でも包茎はダメだよ、チンカスも溜まり易いし、それに臭い匂いもするしね?
女の子は生じゃイヤかも、バイ菌が入りそうで」
「そうなんだよねえ・・・」
蘭丸は落ち込んでしまい、先程まで金属バットだったそれはオジギソウのように項垂れてしまった。
ノアは蘭丸が気の毒になってしまい、先日、リンダと行ったユニバーサルスタジオジャパンで買った、ハーマイオニーと同じ魔法の杖をバッグから取り出すと、
「実はね? 私、魔女なの、まだ新米だけど。
蘭丸君の包茎、私の魔法で治してあげようか?」
「そんなこと出来るの?」
「たぶん、大丈夫だと思うけど、試してみる?」
「うん、お願いします!」
ノアは魔法の杖を蘭丸の臭そうなポコチンに向けると、呪文を唱えた。
「じゃあいくわよ、カワカワムキムキ、ポコチンチン、ドテチンポコチン、さらば、タートルネック・ボーイ!」
するとあら不思議、今まで皮を被って、のど飴みたいに包装されていたポコチンが、綺麗に皮が剥けてピカピカの亀頭が現れたではないか!
「すごいよすごい! ありがとうマスカットちゃん!
君は包茎治療の天才魔女だよ! これで東京上野クリニックはヤバイよ、倒産しちゃうかもしれない!」
だがノアはあまりうれしくなかった。
それは魔女は魔女でも「包茎治療魔女」にはなりたくはなかったからだ。
(いやんなっちゃうなあ、「包茎治療魔女」だなんて)
「どうする? あと5分しかないけど」
「延長してもいいですか!」
「もちろん! じゃあこれから女の子のあそこをみせてあげるから、よく勉強するのよ」
「ハイ!」
蘭丸はすっかり自信を取り戻したようだった。
包茎も治り、ノアから女体を学んだ蘭丸は、すっかり「ヤリチン」になってしまった。
「ねえそこの彼女! 俺とtogetherしない?」
「バッカじゃないの? このヘンタイ! キモ男! しっしっ!」
殆どがこんな調子ではあった。
デリヘルの初日を終え、デローズでリンダと食事をした。
「どう? 続けられそう?」
「うん、今日は3回働いたから、延長とオプションも含めると34,000円ももらちゃった」
「そのまま行けば授業料なんて簡単じゃん」
「そうだね? ありがとうリンダ」
「まあ、ずっとやるわけじゃないしね? 卒業までの辛抱だよ」
「私もそう思う」
ノアはマカロニ・グラタンを美味しそうに食べた。
「はい、『ペロペロ・キャンディ』です。
ああ、これはこれは山本さん、いつもご利用ありがとうございます。
今日は台湾バナナちゃんは女の子なのでお休みなんです、ごめんなさい。
はい、若くて巨乳、髪はロングで、はい、ではアプリコットちゃんなどいかがでしょうか? ええ、はい、では、アプリコットちゃんを、はい、保証しますよ、とてもいい子ですから。
はい、ホテルは『ロンド』の302号室ですね? ハイ、60分の痴女コースで。
それではあと30分ほどで到着しますので、期待してお待ちください、失礼いたします」
店長は電話を切るとリンダを呼んだ。
「アプリコットちゃん、台湾バナナちゃんの代打で頼むよ。
ショートのケチ客の山本だから適当に抜いてあげてくれればいいから。
痴女コースね、『ロンド』の302だから」
「ハーイ、じゃあノア、行ってくるね。
後でデローズでゴハンしようよ」
「うんわかったー、行ってらっしゃーい!」
リンダが事務所を出て行った。
受付のサヨリが電話をしていた。
「ハイ、おっぱいが大きくて小柄。
乃木坂みたいな子ですね? それなら今日から体験入店しているマスカットちゃんなんていかがでしょう?
初々しい新人さんです、ハイ、もちろん業界未経験ですよ。はい、それは保証いたします、ハイ。
ハイ、顔はもちろん美人です、ハイ。タトゥーもありません、もちろん日本人です、ハイ。
どうされますか? ハイ、マスカットちゃんを、ハイ、ありがとうございます。
ではホテルに着きましたら、ご連絡をお願いします、ハイ、失礼します」
「マスカットちゃん、いよいよ初仕事だね?
初めは緊張するかもしれないけど、なんかあったらすぐに電話してね? すぐに助けに行くから」
「わかりました」
ホテルに着き、ドアをノックした。
ドアが開くと、そこにはメガネを掛けた、神経質そうな撫肩の大学生風の男の子が立っていた。
「マスカットです、『ペロペロ・キャンディ』から参りました。
蘭丸さんですか?」
「あっ、は、はい・・・」
かなり緊張しているようだった。
部屋に入り、コースの確認をした。
「痴女コース、60分ですよね? 12,000円になります」
「はい・・・」
蘭丸は12,000円ちょうどをノアに渡した。
ノアは事務所に電話をした。
「マスカットです。ハイ、60分の痴女コースをいただきました。ハイ、わかりました」
電話を切ったノアは、蘭丸の緊張をほぐしてあげようと、なるべく優しく話し掛けてあげた。
「蘭丸さんはどうして蘭丸さんなの?」
「忍者の蘭丸が好きだったからです」
「そうなんだ? デリはよく利用するの?」
「初めて・・・、です」
「女の子とするのも初めて?」
蘭丸は頷いた。
「そっかあ? 童貞君かあ。
私もね、今日が初めてなのこのお仕事。
お互いに初めて同志だね?」
蘭丸は顔を真っ赤にしていた。
「それじゃあ、いっしょにお風呂に入ろうか? お湯、入れて来るね?」
蘭丸はすでに服を脱いでいたが、パンツは履いたままだった。
しかも白のブリーフ。童貞感、丸出しだった。
「一緒に入ろうか?」
頷く蘭丸。
意外にも蘭丸のそれは「金属バット」のように硬くて立派なモノだった。
だが残念なことに、蘭丸は包茎だったのである。
「包茎なの?」
「うん、自分で剥こうとしたんだけど、痛くてダメだった」
「東京上野クリニックとかに行かなかったの? タートルネック・ボーイってやってるじゃない?」
「恥ずかしくって行けないよ、それに痛そうだし・・・」
「そうかあ、でも包茎はダメだよ、チンカスも溜まり易いし、それに臭い匂いもするしね?
女の子は生じゃイヤかも、バイ菌が入りそうで」
「そうなんだよねえ・・・」
蘭丸は落ち込んでしまい、先程まで金属バットだったそれはオジギソウのように項垂れてしまった。
ノアは蘭丸が気の毒になってしまい、先日、リンダと行ったユニバーサルスタジオジャパンで買った、ハーマイオニーと同じ魔法の杖をバッグから取り出すと、
「実はね? 私、魔女なの、まだ新米だけど。
蘭丸君の包茎、私の魔法で治してあげようか?」
「そんなこと出来るの?」
「たぶん、大丈夫だと思うけど、試してみる?」
「うん、お願いします!」
ノアは魔法の杖を蘭丸の臭そうなポコチンに向けると、呪文を唱えた。
「じゃあいくわよ、カワカワムキムキ、ポコチンチン、ドテチンポコチン、さらば、タートルネック・ボーイ!」
するとあら不思議、今まで皮を被って、のど飴みたいに包装されていたポコチンが、綺麗に皮が剥けてピカピカの亀頭が現れたではないか!
「すごいよすごい! ありがとうマスカットちゃん!
君は包茎治療の天才魔女だよ! これで東京上野クリニックはヤバイよ、倒産しちゃうかもしれない!」
だがノアはあまりうれしくなかった。
それは魔女は魔女でも「包茎治療魔女」にはなりたくはなかったからだ。
(いやんなっちゃうなあ、「包茎治療魔女」だなんて)
「どうする? あと5分しかないけど」
「延長してもいいですか!」
「もちろん! じゃあこれから女の子のあそこをみせてあげるから、よく勉強するのよ」
「ハイ!」
蘭丸はすっかり自信を取り戻したようだった。
包茎も治り、ノアから女体を学んだ蘭丸は、すっかり「ヤリチン」になってしまった。
「ねえそこの彼女! 俺とtogetherしない?」
「バッカじゃないの? このヘンタイ! キモ男! しっしっ!」
殆どがこんな調子ではあった。
デリヘルの初日を終え、デローズでリンダと食事をした。
「どう? 続けられそう?」
「うん、今日は3回働いたから、延長とオプションも含めると34,000円ももらちゃった」
「そのまま行けば授業料なんて簡単じゃん」
「そうだね? ありがとうリンダ」
「まあ、ずっとやるわけじゃないしね? 卒業までの辛抱だよ」
「私もそう思う」
ノアはマカロニ・グラタンを美味しそうに食べた。
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