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第6話
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「・・・2,998、2,999、3,000! やったねノア!」
すでに東の空が明るくなっていた。
コアラのタンゴは3,000回のノアのスクワットをようやく数え終えた。
ノアはヘロヘロであった。
「あー、やっと終わった~」
「ノア、よくがんばったね?」
「ありがとうマーチ、じゃなかったタンゴ。もう数え間違えないでね?」
「ごめんごめん」
そこへデカプリオ和尚がやって来た。
「腹が減ったじゃろう? メシの用意が出来ておるから手を洗って来なさい」
本堂に行き、ノアとタンゴは大日如来様に礼拝を済ませると、お膳の前に正座をした。
一汁一菜の食事。
艶々の炊き立てのご飯、豆腐となめこ、ネギの味噌汁。
白菜漬けとアジの開きが用意されていた。
「美味しそう! これみんなデカプリオ先生が作ったんですか?」
「心を込めて料理をし、感謝して食事をいただく。
食事も大事な修行なのじゃ。さあいただくとしよう」
「いただきます!」
「いただきまーす!」
ノアはその美味しさに驚いた。
「すっごく美味しいです! このお味噌汁!」
「そうか? なめこも豆腐も、もちろん味噌もみんなワシの自家製じゃ。
豪華な食事がいいというものではない、感謝して食べるということが尊いのじゃ。
人間は自分が生きるために命をいただかなければならん、罪深き存在なのじゃよ、人間は。
みんな忘れておるのじゃ、どんなに美味しい食事も、健康だからこそ美味しくいただけるということをな?
食事が美味しく食べられる、健康にも感謝するべきなのじゃ」
「私、食事はいつもファミレスばっかりでした」
「ファミレスが悪いというのではない、その食事に作り手の心が宿り、それを感謝して食べるかなのじゃ。
きちんとした食事とはジュエル・ロブションや数寄屋橋次郎で食べることではない。
カラダが喜ぶ食事を摂ることなのじゃ」
ノアとタンゴが感謝して食事を終えると、デカプリオがノアに尋ねた。
「母親のような伝説の魔女になって、お前は何がしたいのじゃ?」
ノアはきっぱりと言った。
「ママの仇を討ちます。大司教のフロイスを殺して」
「それで?」
「それでって、それで終わりですけど」
「復讐してソフィアは悦ぶのか?」
「・・・喜んでくれるはずです」
「おそらくソフィアは歓びはしないじゃろう。自分のかわいい娘が人殺しになることを歓ぶ母親はおらん。
フロイスを殺してもソフィアが生き返ることはない。
憎しみはまた新たな憎しみを生む。復讐の連鎖は止まらないのじゃ」
ノアは泣きそうだった。
「いいかノア、魔女になることが悪いというのではない。
復讐するために魔女になるのは悲しすぎはしないか?
魔女になる本当の目的を忘れてはいかん。まあ、良い。それが分かったらワシに言うが良い、その答えを」
「はい」
「よし、では次の修行じゃ。この裏山にお堂がある。そこのお堂から「キリストの聖杯」を持って来るのじゃ。
タンゴ、道案内をしてやりなさい」
「えっ! あのお堂にですか? ブルブル」
コアラのタンゴは怯え、ノアの腕にしがみ付いて震えていた。ブルブル
「そんなに怖いところなの?」
「3人のモンスターがいるんだよ。この前なんか、食べられそうになっちゃったんだから!」
「えっーウソ~! ヤダヤダそんなのヤダ!」
「ごちゃごちゃ言わずに聖杯を取って来い。それからこれを持って行くがよい」
デカプリオ和尚はノアにスマホを渡した。
「これを持ってゆけ。役に立つこともあるかもしれんからのう」
コアラのタンゴとノアは、しぶしぶ山に入って行った。
すでに東の空が明るくなっていた。
コアラのタンゴは3,000回のノアのスクワットをようやく数え終えた。
ノアはヘロヘロであった。
「あー、やっと終わった~」
「ノア、よくがんばったね?」
「ありがとうマーチ、じゃなかったタンゴ。もう数え間違えないでね?」
「ごめんごめん」
そこへデカプリオ和尚がやって来た。
「腹が減ったじゃろう? メシの用意が出来ておるから手を洗って来なさい」
本堂に行き、ノアとタンゴは大日如来様に礼拝を済ませると、お膳の前に正座をした。
一汁一菜の食事。
艶々の炊き立てのご飯、豆腐となめこ、ネギの味噌汁。
白菜漬けとアジの開きが用意されていた。
「美味しそう! これみんなデカプリオ先生が作ったんですか?」
「心を込めて料理をし、感謝して食事をいただく。
食事も大事な修行なのじゃ。さあいただくとしよう」
「いただきます!」
「いただきまーす!」
ノアはその美味しさに驚いた。
「すっごく美味しいです! このお味噌汁!」
「そうか? なめこも豆腐も、もちろん味噌もみんなワシの自家製じゃ。
豪華な食事がいいというものではない、感謝して食べるということが尊いのじゃ。
人間は自分が生きるために命をいただかなければならん、罪深き存在なのじゃよ、人間は。
みんな忘れておるのじゃ、どんなに美味しい食事も、健康だからこそ美味しくいただけるということをな?
食事が美味しく食べられる、健康にも感謝するべきなのじゃ」
「私、食事はいつもファミレスばっかりでした」
「ファミレスが悪いというのではない、その食事に作り手の心が宿り、それを感謝して食べるかなのじゃ。
きちんとした食事とはジュエル・ロブションや数寄屋橋次郎で食べることではない。
カラダが喜ぶ食事を摂ることなのじゃ」
ノアとタンゴが感謝して食事を終えると、デカプリオがノアに尋ねた。
「母親のような伝説の魔女になって、お前は何がしたいのじゃ?」
ノアはきっぱりと言った。
「ママの仇を討ちます。大司教のフロイスを殺して」
「それで?」
「それでって、それで終わりですけど」
「復讐してソフィアは悦ぶのか?」
「・・・喜んでくれるはずです」
「おそらくソフィアは歓びはしないじゃろう。自分のかわいい娘が人殺しになることを歓ぶ母親はおらん。
フロイスを殺してもソフィアが生き返ることはない。
憎しみはまた新たな憎しみを生む。復讐の連鎖は止まらないのじゃ」
ノアは泣きそうだった。
「いいかノア、魔女になることが悪いというのではない。
復讐するために魔女になるのは悲しすぎはしないか?
魔女になる本当の目的を忘れてはいかん。まあ、良い。それが分かったらワシに言うが良い、その答えを」
「はい」
「よし、では次の修行じゃ。この裏山にお堂がある。そこのお堂から「キリストの聖杯」を持って来るのじゃ。
タンゴ、道案内をしてやりなさい」
「えっ! あのお堂にですか? ブルブル」
コアラのタンゴは怯え、ノアの腕にしがみ付いて震えていた。ブルブル
「そんなに怖いところなの?」
「3人のモンスターがいるんだよ。この前なんか、食べられそうになっちゃったんだから!」
「えっーウソ~! ヤダヤダそんなのヤダ!」
「ごちゃごちゃ言わずに聖杯を取って来い。それからこれを持って行くがよい」
デカプリオ和尚はノアにスマホを渡した。
「これを持ってゆけ。役に立つこともあるかもしれんからのう」
コアラのタンゴとノアは、しぶしぶ山に入って行った。
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