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第5話
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「せ、千回終わりました~」
服部理事長は箒に跨ると、
「それじゃあノアさん、がんばって下さいね?
デカプリオ先生、よろしくお願いします」
「この娘次第じゃがな?」
服部理事長は飛んで行ってしまった。
「よし、次は滝行じゃ」
「滝ってこの寒いのに? 夜だよ死んじゃうよ!」
「お前はデリヘル嬢となって身も心も穢れてしまった。
風俗で働くしかなかったのはわからんでもない、それが悪いと言っておるのではない。
風俗に行く男は快楽を求めて金を払う。つまり性欲の処理にやって来るのじゃ。
穢れた欲望を捨てに来る。誰に?」
「私にですよね?」
「そうじゃ、男たちはお前に性欲を捨てに来る。
お前は性欲のゴミ箱、便所のようになってしまっておるのじゃ。
魔法を操る者は言葉遣い、身体、心が澄んでいなければならない。
魔法は天の力だからじゃ」
その滝は10mほどの落差があり、滝幅は2m位のものだった。
デカプリオは九字を切り、滝を清めた。
白装束に着替えたノアは、月光に照らされた滝を見詰めて言った。
「大丈夫なんですか? 丸太とかヘビとか落ちて来ませんか? イノシシとか?」
「イノシシやマムシ、熊なんかもたまに落ちてくるがな? だが心配には及ばん、その時は運が悪かったと思えばよい。修行には運も大切じゃからな? わはははは」
「全然大丈夫じゃないじゃないですか!」
「大丈夫じゃ、たぶん。
ノアは守られておるから安心するがよい。先程教えた経文を唱えよ」
「わかりました」
滝に入るとそれは氷がドカドカ降ってくるようだった。
「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏・・・」
ノアはだんだんトランス状態になり、遂に無の境地に達した。
すると母親のソフィアが目の前に現れ、ノアを見て微笑んでいた。
「ノア、がんばるのよ、ママがついているから大丈夫、デカプリオの教えを守っていい魔女になりなさい」
それだけ言うと母、ソフィアは消えてしまった。
「ママっ!」
ノアは叫んだ。
「ノア、もう上がってもよいぞ」
滝から上がるとノアは言った。
「ママに会いました」
「ワシも見ておった。美しさは変わらぬままじゃったな?」
「とってもキレイでした」
「どうじゃ? 滝行をしてみて?」
「身体がとても軽くなりました」
「綺麗な瞳をしておる、穢れは落ちたようじゃ。着替えて来なさい、修行再開じゃ」
「腕立て伏せ1,000回、それが終わったらスクワット3,000回!」
「そんなの無理ですよー、アントニオ猪木さんじゃないんだからあ」
「言われた通りにやれ、口応えは許さん!」
ノアはしぶしぶ腕立て伏せを始めた。
「女子プロレスラーになるんじゃないっつうの!」
すると体が急に重くなった。
「さーん、 よーん、 ごーお、ろーく・・・」
背中から声が聞こえた。
振り返るとノアの背中にコアラが乗っているではないか。
「ちょっとアンタ誰? 重いから早く降りなさいよ!」
「ダメだよ、デカプリオ様から叱られちゃうよ。
ノアが誤魔化さないように数を数えるように言われたんだ。
僕の名前はタンゴ、よろしくね? ノア」
「笑わせないでよ、笑いすぎて腕立て伏せが出来ないじゃないのー!
どうしてコアラのマーチじゃなくて「コアラのタンゴ」なのよー!」
「権利の都合上、仕方がないんだよー。笑ってないで早くやらないとデカプリオ様に怒られちゃうよ、ノア」
「だったら背中から降りてよね、重いじゃないのよお!」
「だってノアの背中って気持ちいいんだもん、あー、凄くいい匂いがするー。
ノアだから『レ・ノア』だったりして? キャハ」
コアラのタンゴはノアの背中に頬ずりをした。
「まったくもう!」
ノアは再び腕立てを始めた。
「いーち、にー、さーん・・・」
「どうして最初っからなのよ!」
「だっていくつまで数えたか忘れちゃったんだもん。テヘペロ」
ノアとタンゴはいいコンビになったようである。たぶん。
服部理事長は箒に跨ると、
「それじゃあノアさん、がんばって下さいね?
デカプリオ先生、よろしくお願いします」
「この娘次第じゃがな?」
服部理事長は飛んで行ってしまった。
「よし、次は滝行じゃ」
「滝ってこの寒いのに? 夜だよ死んじゃうよ!」
「お前はデリヘル嬢となって身も心も穢れてしまった。
風俗で働くしかなかったのはわからんでもない、それが悪いと言っておるのではない。
風俗に行く男は快楽を求めて金を払う。つまり性欲の処理にやって来るのじゃ。
穢れた欲望を捨てに来る。誰に?」
「私にですよね?」
「そうじゃ、男たちはお前に性欲を捨てに来る。
お前は性欲のゴミ箱、便所のようになってしまっておるのじゃ。
魔法を操る者は言葉遣い、身体、心が澄んでいなければならない。
魔法は天の力だからじゃ」
その滝は10mほどの落差があり、滝幅は2m位のものだった。
デカプリオは九字を切り、滝を清めた。
白装束に着替えたノアは、月光に照らされた滝を見詰めて言った。
「大丈夫なんですか? 丸太とかヘビとか落ちて来ませんか? イノシシとか?」
「イノシシやマムシ、熊なんかもたまに落ちてくるがな? だが心配には及ばん、その時は運が悪かったと思えばよい。修行には運も大切じゃからな? わはははは」
「全然大丈夫じゃないじゃないですか!」
「大丈夫じゃ、たぶん。
ノアは守られておるから安心するがよい。先程教えた経文を唱えよ」
「わかりました」
滝に入るとそれは氷がドカドカ降ってくるようだった。
「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏・・・」
ノアはだんだんトランス状態になり、遂に無の境地に達した。
すると母親のソフィアが目の前に現れ、ノアを見て微笑んでいた。
「ノア、がんばるのよ、ママがついているから大丈夫、デカプリオの教えを守っていい魔女になりなさい」
それだけ言うと母、ソフィアは消えてしまった。
「ママっ!」
ノアは叫んだ。
「ノア、もう上がってもよいぞ」
滝から上がるとノアは言った。
「ママに会いました」
「ワシも見ておった。美しさは変わらぬままじゃったな?」
「とってもキレイでした」
「どうじゃ? 滝行をしてみて?」
「身体がとても軽くなりました」
「綺麗な瞳をしておる、穢れは落ちたようじゃ。着替えて来なさい、修行再開じゃ」
「腕立て伏せ1,000回、それが終わったらスクワット3,000回!」
「そんなの無理ですよー、アントニオ猪木さんじゃないんだからあ」
「言われた通りにやれ、口応えは許さん!」
ノアはしぶしぶ腕立て伏せを始めた。
「女子プロレスラーになるんじゃないっつうの!」
すると体が急に重くなった。
「さーん、 よーん、 ごーお、ろーく・・・」
背中から声が聞こえた。
振り返るとノアの背中にコアラが乗っているではないか。
「ちょっとアンタ誰? 重いから早く降りなさいよ!」
「ダメだよ、デカプリオ様から叱られちゃうよ。
ノアが誤魔化さないように数を数えるように言われたんだ。
僕の名前はタンゴ、よろしくね? ノア」
「笑わせないでよ、笑いすぎて腕立て伏せが出来ないじゃないのー!
どうしてコアラのマーチじゃなくて「コアラのタンゴ」なのよー!」
「権利の都合上、仕方がないんだよー。笑ってないで早くやらないとデカプリオ様に怒られちゃうよ、ノア」
「だったら背中から降りてよね、重いじゃないのよお!」
「だってノアの背中って気持ちいいんだもん、あー、凄くいい匂いがするー。
ノアだから『レ・ノア』だったりして? キャハ」
コアラのタンゴはノアの背中に頬ずりをした。
「まったくもう!」
ノアは再び腕立てを始めた。
「いーち、にー、さーん・・・」
「どうして最初っからなのよ!」
「だっていくつまで数えたか忘れちゃったんだもん。テヘペロ」
ノアとタンゴはいいコンビになったようである。たぶん。
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