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第8話
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「ちょっとタンゴ、いつまで私の背中におんぶしてんのよー。
いいかげんに降りて歩きなさいよー」
「だってボク、コアラだよ。
なんかにしがみついてないと不安なんだよー。
それにノアの背中って、とっても柔らかくっていい匂いがするんだもん」
「重いから降りてよねー」
「ヤダヤダ、ノアの背中がいい」
「こら、降りなさい」
「イヤだよー」
「降りなさいってば」
「イヤイヤ、絶対に降りないもんねー」
そんなことをして、ノアがクルクル回っていると、近くにあった池にスマホを落としてしまった。
「あっ、大切なスマホが!」
「あーあ、どうすんのさノア。 デカプリオ様に叱られちゃうよ」
「タンゴのせいでしょう、私の背中から降りないからー」
ノアとタンゴが池の前で茫然としていると、池の中から神様が現れた。
「お前たちが落としたのは、この金の5Gのスマホかね? それとも、この汚い傷だらけのボロボロのガラ系携帯かね?」
するとタンゴはノアに小声で囁いた。
「これって、あの銀の斧、金の斧のお話と同じだよノア。
正直に言うといいんじゃないかな?」
「わかったわ」
ノアは池の神様に言った。
「私の落としたスマホは普通のスマホです、そのどちらでもありません」
「そうか? じゃあ、さようならー」
「ちょ、ちょっと待って下さいよー、私のスマホを返して下さいよ!」
「いやじゃ」
「どうしてですか?」
「探すのが面倒だからじゃ」
「ダメでしょ、神様がそんなこと言っちゃ。それは私とかコアラが言うセリフですよー」
「仕方がない、ではこうしよう。何か面白いギャグを言って私を笑わせたらスマホを返してやろう。
だが、もしダメだったら・・・」
「ダメだったら?」
「この池に引き摺り込んで食べてしまうぞ、それでもいいな?」
すると神様は河童に変身した。
「か、河童!」
「アンタ、神様じゃなくて河童だったのね!」
「そうさ、俺はこの池に棲む、河童の三平だ。 さあどうする? やるのかそれとも食べられるか?」
「ハイハイハイハイ! ボクがやるよ! 覚悟してね?」
「コアラのお前がか?」
「ボク、凶本か動力舎でお笑いをやろうとしたこともあるんだから、バカにしないでよね?」
「よし、じゃあやってみろ」
「じゃあいくよー。不眠症で悩んでいたご主人がやっと眠っていると、奥さんがその旦那さんを起こしてこう言ったんだ。
「あなた、睡眠薬を飲む時間よ」
きゃはははは、きゃはははは、お腹痛い、お腹痛い、笑いすぎて死にそう!」
ノアと河童はまるでシベリアにいるようだった。「さぶっ」
タンゴのお笑いは見事にすべった。
「お前たちを池に引き摺り込んで、食べるしかないようだな?」
「な、なんでだよ! どうしてこのイケてるアメリカンジョークがわかんないのさー」
その時ノアはあることに気付いた。
(そういえば河童はお皿の水がなくなると神通力が無くなるはずよね?)
ノアは隙をついて河童を突き飛ばした。
河童はよろめき、頭の皿の水を零してしまった。
「か、身体のチカラが抜けてゆく・・・」
ノアは池に戻ろうとする河童の前に立ちはだかると、河童に馬乗りになって言った。
「スマホを返して! そうしないとお皿を割るわよ!」
「ひえー、わかったわかった、返すからそれだけは勘弁してくれー」
息も絶え絶えに河童は言った。
ノアは池から水を両手で掬うと、河童の皿に水を入れてやった。
河童は池に戻ると、デカプリオのスマホを持って来てノアに返してくれた。
「ありがとう。河童さん」
「じゃあな? おいコアラ、今度あんな寒いオヤジギャクを言ったら『コアラのマーチ』にするからな!」
「河童はお笑いのセンスがないなあ」
「お前だけ、池に引き摺り込んでやる!」
「ヤダヤダ、助けてー、ノア!」
「このコアラは食べても美味しくないわよ、コアラのマーチは美味しいけど、この子は『コアラのタンゴ』だから」
「なんだか、不味そうだもんな?」
河童は池に消えて行った。
いいかげんに降りて歩きなさいよー」
「だってボク、コアラだよ。
なんかにしがみついてないと不安なんだよー。
それにノアの背中って、とっても柔らかくっていい匂いがするんだもん」
「重いから降りてよねー」
「ヤダヤダ、ノアの背中がいい」
「こら、降りなさい」
「イヤだよー」
「降りなさいってば」
「イヤイヤ、絶対に降りないもんねー」
そんなことをして、ノアがクルクル回っていると、近くにあった池にスマホを落としてしまった。
「あっ、大切なスマホが!」
「あーあ、どうすんのさノア。 デカプリオ様に叱られちゃうよ」
「タンゴのせいでしょう、私の背中から降りないからー」
ノアとタンゴが池の前で茫然としていると、池の中から神様が現れた。
「お前たちが落としたのは、この金の5Gのスマホかね? それとも、この汚い傷だらけのボロボロのガラ系携帯かね?」
するとタンゴはノアに小声で囁いた。
「これって、あの銀の斧、金の斧のお話と同じだよノア。
正直に言うといいんじゃないかな?」
「わかったわ」
ノアは池の神様に言った。
「私の落としたスマホは普通のスマホです、そのどちらでもありません」
「そうか? じゃあ、さようならー」
「ちょ、ちょっと待って下さいよー、私のスマホを返して下さいよ!」
「いやじゃ」
「どうしてですか?」
「探すのが面倒だからじゃ」
「ダメでしょ、神様がそんなこと言っちゃ。それは私とかコアラが言うセリフですよー」
「仕方がない、ではこうしよう。何か面白いギャグを言って私を笑わせたらスマホを返してやろう。
だが、もしダメだったら・・・」
「ダメだったら?」
「この池に引き摺り込んで食べてしまうぞ、それでもいいな?」
すると神様は河童に変身した。
「か、河童!」
「アンタ、神様じゃなくて河童だったのね!」
「そうさ、俺はこの池に棲む、河童の三平だ。 さあどうする? やるのかそれとも食べられるか?」
「ハイハイハイハイ! ボクがやるよ! 覚悟してね?」
「コアラのお前がか?」
「ボク、凶本か動力舎でお笑いをやろうとしたこともあるんだから、バカにしないでよね?」
「よし、じゃあやってみろ」
「じゃあいくよー。不眠症で悩んでいたご主人がやっと眠っていると、奥さんがその旦那さんを起こしてこう言ったんだ。
「あなた、睡眠薬を飲む時間よ」
きゃはははは、きゃはははは、お腹痛い、お腹痛い、笑いすぎて死にそう!」
ノアと河童はまるでシベリアにいるようだった。「さぶっ」
タンゴのお笑いは見事にすべった。
「お前たちを池に引き摺り込んで、食べるしかないようだな?」
「な、なんでだよ! どうしてこのイケてるアメリカンジョークがわかんないのさー」
その時ノアはあることに気付いた。
(そういえば河童はお皿の水がなくなると神通力が無くなるはずよね?)
ノアは隙をついて河童を突き飛ばした。
河童はよろめき、頭の皿の水を零してしまった。
「か、身体のチカラが抜けてゆく・・・」
ノアは池に戻ろうとする河童の前に立ちはだかると、河童に馬乗りになって言った。
「スマホを返して! そうしないとお皿を割るわよ!」
「ひえー、わかったわかった、返すからそれだけは勘弁してくれー」
息も絶え絶えに河童は言った。
ノアは池から水を両手で掬うと、河童の皿に水を入れてやった。
河童は池に戻ると、デカプリオのスマホを持って来てノアに返してくれた。
「ありがとう。河童さん」
「じゃあな? おいコアラ、今度あんな寒いオヤジギャクを言ったら『コアラのマーチ』にするからな!」
「河童はお笑いのセンスがないなあ」
「お前だけ、池に引き摺り込んでやる!」
「ヤダヤダ、助けてー、ノア!」
「このコアラは食べても美味しくないわよ、コアラのマーチは美味しいけど、この子は『コアラのタンゴ』だから」
「なんだか、不味そうだもんな?」
河童は池に消えて行った。
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