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第9話
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ようやくお堂が見えて来た。
「あー、やっとお堂まで来たわねー」
「ああ疲れたー、山道は疲れるよー」
「何を言ってるの? 私の背中におんぶしてただけじゃないのー」
「しがみ付いているのも結構疲れるんだよー」
「ところでモンスターは三人って言ってたわよね? もうお堂だから今日はお休みしていたのかしら?」
「どうかなー? でも、なんだか嫌な予感が・・・」
すると空が急に真っ暗になり、首が3つある金色のドラゴンが火を噴いてやって来た。
「キャー! キングギドラ!」
「出たー! 助けてー! 丸焼きになっちゃうよー!」
タンゴは咄嗟にノアの腕にしがみ付いた。
ふたりは一目散に逃げたが無駄だった。
なにしろ相手はキングギドラである、ゴジラやモスラよりもデカいし強い。
その時、ノアの携帯が鳴った。
デカプリオ和尚からだった。
デカプリオは悠長に言った。
「どうだ~? 聖杯まで辿り着いたかー?」
「つ、着いたらキングギドラが! きゃー! 丸焼けにされて食べられちゃうー!」
「それは大変じゃ」
「そんなこと言ってないで助けて下さいよー! デカプリオ先生!」
「まあ、がんばってみなさい。
これも魔女になるための立派な修行じゃからのう。
聖杯をゲットしたらLINEをしてくれ、じゃあワシは寝るからな、おやすみノア」
「先生! デカプリオ先生!」
携帯はデカプリオに一方的に切られてしまった。
すると、山の奥から唄が聞こえて来るではないか。
たんたんタヌキの金時計♪ 風もないのにぶーらぶらー♪
きんきんキツネの栗とリス♪・・・」
下品な歌が近づいてくるではないか!
なんとそれはミニラだった。
「なーんだ、ミニラじゃ全然ダメだよ、ゴジラならよかったのに・・・」
タンゴは落胆し、危うくノアの腕から落ちそうになった。
「君たちどうしたの?」
「どうしたのって、見ればわかるでしょ! 危ないから隠れて!」
するとミニラは口から輪っかの貧弱な光線をキングギドラに当てた。
ホワンホワンホワンホワン
「アチッ! 何すんだコノヤロー! 危ないじゃねえか! 火傷したらどうすんだよ!」
キングギドラがびっくりしている。
「ダメじゃない、こんなオバサンとお猿さんをイジメちゃ、パパに言いつけちゃうぞ」
「ゴジラに? それだけはご勘弁を! ひえーっ!」
キングギドラが天に昇ると空はすっかり晴れ渡り、青空になった。
「ありがとう、ミニラ」
「ありがとうじゃないわよ、私はオバサンじゃないからね? バカミニラ!」
「そうだった、ボクもお猿じゃなくてコアラだかんね?」
「ごめんごめん、ボク、今日はコンタクトしてくるの忘れちゃったんだ」
「おまえ、コンタクトなの!」
「そうだよ、メガネはダサいでしょ?」
「でも、助けてくれてありがとう」
「いいのいいの、「袖振り合うも多生の縁」だしね。
ゴジラパパも言ってたよ、「困っている人を見たら助けるんだよ」ってね?」
そう言うとミニラは何事もなかったように、あの下品な唄を歌って去って行った。
「あー、助かったー」
「さあ早く聖杯を持ってお寺に帰りましょう」
ふたりがお堂を開くと、ちゃっちいプラスチックのコップが置いてあった。
「これがキリストの聖杯? ゴブレットなの?」
「それしかないみたいだけど・・・」
ノアとタンゴは辺りを見渡したがそれしかない。
ノアが恐る恐るそれを手に取ると、ダイソーの値札が付いていた。
「ダイソー? 100均?」
そこへデカプリオから電話が入った。
「やっと辿り着いようじゃな?」
「これが本当に「キリストのゴブレット」なんですか?」
「そんなすごいものが、そんな汚いお堂にあるわけがないじゃろ? バチカンでもあるまいに」
「私たちを騙したのね!」
「魔女になりたいんじゃろう? これも修行じゃよ修行」
タンゴを見ると、「コアラのマーチ」を食べていた。
ボリボリ ボリボリ
「アンタ、知ってたのね!」
「ゴメンよノア、和尚様からもらっちゃった、食べる?」
「いらない!」
ノアは修行をクリアした。
「あー、やっとお堂まで来たわねー」
「ああ疲れたー、山道は疲れるよー」
「何を言ってるの? 私の背中におんぶしてただけじゃないのー」
「しがみ付いているのも結構疲れるんだよー」
「ところでモンスターは三人って言ってたわよね? もうお堂だから今日はお休みしていたのかしら?」
「どうかなー? でも、なんだか嫌な予感が・・・」
すると空が急に真っ暗になり、首が3つある金色のドラゴンが火を噴いてやって来た。
「キャー! キングギドラ!」
「出たー! 助けてー! 丸焼きになっちゃうよー!」
タンゴは咄嗟にノアの腕にしがみ付いた。
ふたりは一目散に逃げたが無駄だった。
なにしろ相手はキングギドラである、ゴジラやモスラよりもデカいし強い。
その時、ノアの携帯が鳴った。
デカプリオ和尚からだった。
デカプリオは悠長に言った。
「どうだ~? 聖杯まで辿り着いたかー?」
「つ、着いたらキングギドラが! きゃー! 丸焼けにされて食べられちゃうー!」
「それは大変じゃ」
「そんなこと言ってないで助けて下さいよー! デカプリオ先生!」
「まあ、がんばってみなさい。
これも魔女になるための立派な修行じゃからのう。
聖杯をゲットしたらLINEをしてくれ、じゃあワシは寝るからな、おやすみノア」
「先生! デカプリオ先生!」
携帯はデカプリオに一方的に切られてしまった。
すると、山の奥から唄が聞こえて来るではないか。
たんたんタヌキの金時計♪ 風もないのにぶーらぶらー♪
きんきんキツネの栗とリス♪・・・」
下品な歌が近づいてくるではないか!
なんとそれはミニラだった。
「なーんだ、ミニラじゃ全然ダメだよ、ゴジラならよかったのに・・・」
タンゴは落胆し、危うくノアの腕から落ちそうになった。
「君たちどうしたの?」
「どうしたのって、見ればわかるでしょ! 危ないから隠れて!」
するとミニラは口から輪っかの貧弱な光線をキングギドラに当てた。
ホワンホワンホワンホワン
「アチッ! 何すんだコノヤロー! 危ないじゃねえか! 火傷したらどうすんだよ!」
キングギドラがびっくりしている。
「ダメじゃない、こんなオバサンとお猿さんをイジメちゃ、パパに言いつけちゃうぞ」
「ゴジラに? それだけはご勘弁を! ひえーっ!」
キングギドラが天に昇ると空はすっかり晴れ渡り、青空になった。
「ありがとう、ミニラ」
「ありがとうじゃないわよ、私はオバサンじゃないからね? バカミニラ!」
「そうだった、ボクもお猿じゃなくてコアラだかんね?」
「ごめんごめん、ボク、今日はコンタクトしてくるの忘れちゃったんだ」
「おまえ、コンタクトなの!」
「そうだよ、メガネはダサいでしょ?」
「でも、助けてくれてありがとう」
「いいのいいの、「袖振り合うも多生の縁」だしね。
ゴジラパパも言ってたよ、「困っている人を見たら助けるんだよ」ってね?」
そう言うとミニラは何事もなかったように、あの下品な唄を歌って去って行った。
「あー、助かったー」
「さあ早く聖杯を持ってお寺に帰りましょう」
ふたりがお堂を開くと、ちゃっちいプラスチックのコップが置いてあった。
「これがキリストの聖杯? ゴブレットなの?」
「それしかないみたいだけど・・・」
ノアとタンゴは辺りを見渡したがそれしかない。
ノアが恐る恐るそれを手に取ると、ダイソーの値札が付いていた。
「ダイソー? 100均?」
そこへデカプリオから電話が入った。
「やっと辿り着いようじゃな?」
「これが本当に「キリストのゴブレット」なんですか?」
「そんなすごいものが、そんな汚いお堂にあるわけがないじゃろ? バチカンでもあるまいに」
「私たちを騙したのね!」
「魔女になりたいんじゃろう? これも修行じゃよ修行」
タンゴを見ると、「コアラのマーチ」を食べていた。
ボリボリ ボリボリ
「アンタ、知ってたのね!」
「ゴメンよノア、和尚様からもらっちゃった、食べる?」
「いらない!」
ノアは修行をクリアした。
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