狂ったドリアン

芋煮会 したことある？

　会津では秋になると大川で芋煮会をする。

　会津の芋煮は里芋と人参、ネギとなめこ、こんにゃくと豚肉で味噌ベースで作る。

　中学の時、芋煮会があって、グループごとに大川まで鍋と材料を持って遠足をする。
　中学1年の時は会津若松市の浄水場を借りてやった。
　おそらく年寄りの先生が大川まで10kmもあったからだろう。
　近くですませようとしたのだ。


　俺たちのグループは男子と女子の６人だった。

　当日、事件が起きた。
　鍋を持ってくるミッションを託された女子が鍋を持って来なかったのだ。

　当然、彼女はみんなから責められた。

　「何やってんだよ～、芋煮が出来ねえじゃねえか」
　「お兄ちゃんが先に持って行っちゃったんだもん、お兄ちゃんも今日、芋煮会だから」

　お兄ちゃんは俺も尊敬する、豊川悦司に似たイケメンだった。
　それじゃあ仕方がない。

　担任のブルドックみたいなオバタリアン先生は、

　「アンタたちは食べないで見ていなさい」

　教育委員会へ言いつけてやるぞ！

　
　幸いなことに、俺のばあちゃんの家まで約３kmだったので、俺とダチは鍋を取りに走った。
　何しろ俺はその女の子が好きだったから（笑）

　自転車を借りて、鍋を持って二人乗りしてダッシュで芋煮会へGO！

　無事に間に合った。
　芋煮は俺が味付けを担当した。
　すっごく美味かった。やはり芋煮は味噌で豚だ。

　よく山形人とは喧嘩になる。
　広島と大阪のお好み焼き戦争のように。

　「芋煮に豚？　信じらんない！　そんなチープな芋煮なんて。
　山形はね？　牛肉に舞茸とネギ、そして里芋でお醤油で味付けるのよ」
　「豚肉には味噌がいいんじゃ！　ブス！
　水をかけて「うめえ！」なんて飯を食ってるおまえらにいわれたかねえよ！」

　その女とはすぐに別れた。


　でもね？　子供の頃、思ったことがあるんだよ。

　「これって川を汚しているんじゃないの？」

　
　当然芋煮は余る。するとそれを川にドボドボと捨てるからだ。
　そして川で鍋なとを洗う。

　キャンプやバーベキューもそうだが、エチケットは守りたい。


　ちなみに鍋を持ってこなかった彼女は、後に私の奥さんになった人である。
　熟年離婚しちゃったけど。

　芋煮をするたび自責の念が湧いてくる。
　
　ろくでなしの甲斐性なしでごめんなさい。