13 / 47
入院13日目
しおりを挟む
この病室は動物園だった。
夕食前、窓際のウンコジジイは自分で歩いてトイレにも行けるのにわざわざナースコールをして、
「どうしました?」
「便が出ましたから片付けて下さい」
これから食事だというのにだよ、
しかも「便」、まだウンコの方が含水量が少ない気がするが「便」というとヌチャというのを想像してしまう。しかもジジイのウンチである。
これではウンチを見ながらカレーを食べているようなものだ。
いつもなら「食事前だぞクソジジイ!」と怒鳴りつけるところだが、明日爺さんは部屋を変わる予定なので勘弁してやることにした。
21時、消灯になると今度は隣りのジジイ。酒を飲んで足を骨折して運ばれて来た。
「ま○こ」
するとまた、
「ま○こ」
あの普段は絶対に言ってはならない女性器の俗称である。
それが隣りのベッドから聞こえて来た。
よく耳を澄ませてみても、確かにそう言っている。
寝言ではなく呟いている。
そして3分くらいすると今度は、
「屋台 ウンコ」
と言い始めた。
そしてまた、
「ま○こ」
私は今日一番真面目なお局ナースの緑川さんにそれを聞かせて反応を見たくなり、ナースコールを押した。
「どうしました? 狸小路さん」」
「なんかペンな声がするんですけど」
「わかりました、すぐに伺います」」
ダッシュで緑川さんがやって来た。
「ま○こ 屋台 ウンコ」
緑川さんは隣りの爺さんのカーテンを開けて言った。
「もう消灯しているんですよ、静かにして下さい」
「ま○こ」
私は暗闇の中で掛け布団の端を噛んで笑いを必死に堪えていた。
そしてひとりごとが止んだ。
私のところに来てお局が言った。
「ちゃんと言い聞かせましたから」
「何て言っていたんですかねえ?」
私はお局に誘導尋問を掛けた。
すると緑川さんは眉ひとつ動かすことなく言ってのけた。
「おまんこ」
流石はナースのお局様である、ちゃんと「お」を付けた。
おそらくビールは「おビール」、タバコも「おタバコ」と言うに違いない。
育ちの良さが窺える。
おそらく帰国子女だろう。
翌日、お○こ爺さんの奥さんがやって来て話しをしていた。
まるで夫婦漫才の会話だった。
「アンタ、もうお酒は辞めてね。晩酌に1合程度ならいいけど毎日1升も飲んじゃうんだもん」
「アル中になったら大変だからな?」
「ボケたらすぐに施設に放り込むからね? ボケないでよ」
私は国会の予算委員会の答弁をするように挙手をしようかどうか迷った。
「旦那さん、アル中を超えてもうボケていますから! 残念!」
と残念サムライのマネをしようとしたが止めた。
笑い事ではないからである。
いずれ長生きすればそうなる可能性は高い。他人事ではないのである。
夕食前、窓際のウンコジジイは自分で歩いてトイレにも行けるのにわざわざナースコールをして、
「どうしました?」
「便が出ましたから片付けて下さい」
これから食事だというのにだよ、
しかも「便」、まだウンコの方が含水量が少ない気がするが「便」というとヌチャというのを想像してしまう。しかもジジイのウンチである。
これではウンチを見ながらカレーを食べているようなものだ。
いつもなら「食事前だぞクソジジイ!」と怒鳴りつけるところだが、明日爺さんは部屋を変わる予定なので勘弁してやることにした。
21時、消灯になると今度は隣りのジジイ。酒を飲んで足を骨折して運ばれて来た。
「ま○こ」
するとまた、
「ま○こ」
あの普段は絶対に言ってはならない女性器の俗称である。
それが隣りのベッドから聞こえて来た。
よく耳を澄ませてみても、確かにそう言っている。
寝言ではなく呟いている。
そして3分くらいすると今度は、
「屋台 ウンコ」
と言い始めた。
そしてまた、
「ま○こ」
私は今日一番真面目なお局ナースの緑川さんにそれを聞かせて反応を見たくなり、ナースコールを押した。
「どうしました? 狸小路さん」」
「なんかペンな声がするんですけど」
「わかりました、すぐに伺います」」
ダッシュで緑川さんがやって来た。
「ま○こ 屋台 ウンコ」
緑川さんは隣りの爺さんのカーテンを開けて言った。
「もう消灯しているんですよ、静かにして下さい」
「ま○こ」
私は暗闇の中で掛け布団の端を噛んで笑いを必死に堪えていた。
そしてひとりごとが止んだ。
私のところに来てお局が言った。
「ちゃんと言い聞かせましたから」
「何て言っていたんですかねえ?」
私はお局に誘導尋問を掛けた。
すると緑川さんは眉ひとつ動かすことなく言ってのけた。
「おまんこ」
流石はナースのお局様である、ちゃんと「お」を付けた。
おそらくビールは「おビール」、タバコも「おタバコ」と言うに違いない。
育ちの良さが窺える。
おそらく帰国子女だろう。
翌日、お○こ爺さんの奥さんがやって来て話しをしていた。
まるで夫婦漫才の会話だった。
「アンタ、もうお酒は辞めてね。晩酌に1合程度ならいいけど毎日1升も飲んじゃうんだもん」
「アル中になったら大変だからな?」
「ボケたらすぐに施設に放り込むからね? ボケないでよ」
私は国会の予算委員会の答弁をするように挙手をしようかどうか迷った。
「旦那さん、アル中を超えてもうボケていますから! 残念!」
と残念サムライのマネをしようとしたが止めた。
笑い事ではないからである。
いずれ長生きすればそうなる可能性は高い。他人事ではないのである。
2
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる