『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁

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入院21日目

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 退院して行く人、入院して来る人、まさに病院は『行く年来る年』であった。

 私の病室でも「ま○こ」ジジイは手術してリカバリールームへ行き、モラハラジジイは東病棟へ移動した。アマチュア画家さんも東病棟に移動して、新たに救命救急でやって来たのは普通の爺さんだった。

 だが安心したのも束の間、普通の爺さんではなく、痴呆老人だったのである。
 私は初めてさっきご飯を食べたばかりの人が「ご飯まだですか?」に遭遇した。
 それはご飯ではなくリハビリだった。
 
 午前中に作業療法士とリハビリをしていたにもかかわらず、午後ナースコールをして、

 「リハビリがまだ来てくれません」

 と訴えている。
 一瞬私は自分がアルツハイマーではないかと不安になったほど自然な会話だった。

 するとすぐに作業療法士さんがやって来て、

 「今日はリハビリの日ではないんですがやりましょうか? はいゆっくりー、いちに、いちに」


 そして数分で帰ってしまったのである。
 私は感心した。もしも「さっきやりましたよね⁈」なんて言えば患者はパニックになるかも知れない。
 だが食事ではそうはいかない。出来る限り患者に寄り添う姿勢は凄いと思った。
 そしてそんな夫のために、毎日見舞いに来る年老いた奥さん。

    老々介護

 では残された方の面倒は一体誰が看てくれるのだろう?

 子供たちは家を出て老夫婦だけ、あるいは独居老人が暮らしている現実がある。

 先日も談話室でナースと話している50代位の息子がボヤいていた。


 「後は紙オムツと下着ですね? ブラジャーはいらないか? 婆さんだから。あはは」

 私は笑えなかった。80才を越えてボケた母。私もそんな母を姉と妹に押し付けて逃げた親不孝息子だったからだ
 そして母は最後に私の名前を呼んで亡くなった。

 医療の進歩で人は死ななくなった。
 だが現代の医学でも脳の衰えは防ぐことが出来ない。
 昔はボケる前に死んでいた。
 人のしあわせとは何だろう?
 考えさせられた。
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