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入院49日目
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「ねえねえ、パンツちょうだい」
平穏な日々が続いていた。
ヤンキー兄ちゃんと白内障の爺さんも退院してやっと一人部屋かと思ったら、その5分後に初詣に行きアキレス腱を切ったというイケメンが入院して来た。
退院したヤンキー兄ちゃんとは違い、育ちの良い、原子力潜水艦『やまと』の館長、海江田さんみたいな紳士だったので安心した。
私に気を遣い、小声で話すご夫婦。
「この病室は私たちだけですから夜中に電話してもいいですからね」
「ありがとうございます」
礼儀正しいご夫婦だった。
高市早苗を支持するウンコ野郎たちとは大違いである。
色めき立つナースたち。
「素敵ーっ! 海江田さ~ん!」
「何もなくてもいつでもナースコールして下さいね」
「パンツあげちゃう」
(何だよアパルトヘイト、人種隔離政策かよ)
私は不貞腐れていた。
そして海江田艦長も無事手術を終え、退院して行った。
私はまたひとり部屋になった。
ムフフである。
「さてと、『いけない午後の人妻』から出前しちゃおうかなー」
と、スマホに手が伸びた時、新たな入院患者がやって来た。
なんとそのジジイはヤンキー兄ちゃんよりも酷い喘息持ちの耳が遠い爺さんで、駄目本興業の売れないお笑い芸人のように大声で話す痴呆老人、ウンチもオシッコも垂れ流し、そして5分に一度、臭いオナラと痰を吐く。
プスーッ カッぺ!
隣りの部屋にいたのだが、住民の反対運動により私の部屋に放り込んだようだった。
怒りが湧いて来た。
復讐するは我にあり
だがそんな私を更に苦しめる事態が起きた。
もうひとり、ジジイが入院して来たのである。
オムツをしたボケ老人。この爺さんもJBLのスピーカーを飲み込んだような大音量の声。
静かだった私の病室は、絶えず電車が通る鉄橋の下、羽田空港かマハラジャにいるような騒音状態になってしまった。
早朝午前4時、突然のテレビの音。イヤホンもしないでテレビを点けるジジイ。
「殺すぞジジイ!」
「ナウマンゾウ? かつて日本にも生息していましたが、今は絶滅したはず・・・」
「こ、ろ、すって言ったんだボケジジイ!」
「松岡修造?」
私は遂にナースステーションで叫んだ。
「俺を舐めてんのか!」
「エロガッパなんてばっちくて舐めらんないわよ」
「とうしたの? 狸小路さん」
「どうしたのこうしたの松下奈緒は美人だよ! なんで俺の部屋に変態ボケ老人バカリズム(ばかり)集めたんだよ!」
そこえ天海祐希看護師長がやって来た。
「それは誤解されていますよ狸小路さん。
ここはリゾートホテルでもお料理の美味しい桂旅館でもないんです。病院なんです。
病院には病気や怪我を治すために患者さんがやって来ます。
寛ぐ場所ではなく、怪我や病と戦う戦場なんです。
そしてそんな患者さんのお世話をするのが私たちナースの仕事なんです。決して狸小路さんへの嫌がらせではありません。
みなさんお互い様なんです。
私も狸小路さんもいつ、そうなるのかもわからないのですから。
狸小路さんみたいな健康な病人は稀なんです。
パラダイス病院はそんな弱い人たちのためにあります。
どうかご理解下さい」
「わかったよ、アンタにそう言われちゃ反論出来ねえじゃねえか」
「恐れ入ります」
確かにここは病院だ。
たとえ動物病院でも病院だ。
私もその動物のひとりなのだから。
平穏な日々が続いていた。
ヤンキー兄ちゃんと白内障の爺さんも退院してやっと一人部屋かと思ったら、その5分後に初詣に行きアキレス腱を切ったというイケメンが入院して来た。
退院したヤンキー兄ちゃんとは違い、育ちの良い、原子力潜水艦『やまと』の館長、海江田さんみたいな紳士だったので安心した。
私に気を遣い、小声で話すご夫婦。
「この病室は私たちだけですから夜中に電話してもいいですからね」
「ありがとうございます」
礼儀正しいご夫婦だった。
高市早苗を支持するウンコ野郎たちとは大違いである。
色めき立つナースたち。
「素敵ーっ! 海江田さ~ん!」
「何もなくてもいつでもナースコールして下さいね」
「パンツあげちゃう」
(何だよアパルトヘイト、人種隔離政策かよ)
私は不貞腐れていた。
そして海江田艦長も無事手術を終え、退院して行った。
私はまたひとり部屋になった。
ムフフである。
「さてと、『いけない午後の人妻』から出前しちゃおうかなー」
と、スマホに手が伸びた時、新たな入院患者がやって来た。
なんとそのジジイはヤンキー兄ちゃんよりも酷い喘息持ちの耳が遠い爺さんで、駄目本興業の売れないお笑い芸人のように大声で話す痴呆老人、ウンチもオシッコも垂れ流し、そして5分に一度、臭いオナラと痰を吐く。
プスーッ カッぺ!
隣りの部屋にいたのだが、住民の反対運動により私の部屋に放り込んだようだった。
怒りが湧いて来た。
復讐するは我にあり
だがそんな私を更に苦しめる事態が起きた。
もうひとり、ジジイが入院して来たのである。
オムツをしたボケ老人。この爺さんもJBLのスピーカーを飲み込んだような大音量の声。
静かだった私の病室は、絶えず電車が通る鉄橋の下、羽田空港かマハラジャにいるような騒音状態になってしまった。
早朝午前4時、突然のテレビの音。イヤホンもしないでテレビを点けるジジイ。
「殺すぞジジイ!」
「ナウマンゾウ? かつて日本にも生息していましたが、今は絶滅したはず・・・」
「こ、ろ、すって言ったんだボケジジイ!」
「松岡修造?」
私は遂にナースステーションで叫んだ。
「俺を舐めてんのか!」
「エロガッパなんてばっちくて舐めらんないわよ」
「とうしたの? 狸小路さん」
「どうしたのこうしたの松下奈緒は美人だよ! なんで俺の部屋に変態ボケ老人バカリズム(ばかり)集めたんだよ!」
そこえ天海祐希看護師長がやって来た。
「それは誤解されていますよ狸小路さん。
ここはリゾートホテルでもお料理の美味しい桂旅館でもないんです。病院なんです。
病院には病気や怪我を治すために患者さんがやって来ます。
寛ぐ場所ではなく、怪我や病と戦う戦場なんです。
そしてそんな患者さんのお世話をするのが私たちナースの仕事なんです。決して狸小路さんへの嫌がらせではありません。
みなさんお互い様なんです。
私も狸小路さんもいつ、そうなるのかもわからないのですから。
狸小路さんみたいな健康な病人は稀なんです。
パラダイス病院はそんな弱い人たちのためにあります。
どうかご理解下さい」
「わかったよ、アンタにそう言われちゃ反論出来ねえじゃねえか」
「恐れ入ります」
確かにここは病院だ。
たとえ動物病院でも病院だ。
私もその動物のひとりなのだから。
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