【完結】『続・聖パラダイス病院』(作品260123)

菊池昭仁

文字の大きさ
58 / 61

入院58日目

しおりを挟む
 看護師長に文句を言った。

 「同じ入院費を払っているのになんでボケ老人は室内犬のマルチーズみたいにナースと長話しをしてチンコまで拭いてもらって手厚い看護なのに俺はお尻もオッパイも触らせてもらえず外で放し飼いなんだよ!
 老人虐待、憲法で保障されている基本的人権の尊重に違反しているんじゃねえのか?」
 「狸小路さんのおかげで私たちナースは大助かりよ。いつもありがとうございます。
 これ、お礼のパンツです。
 どうぞ」
 「これが憧れの看護師長のパンティ⁈」

 早速広げて匂いを嗅ごうとすると、

 「看護師長さんのパンツってズロースなの?」
 「それは先日退院したトメさんの忘れ物。こちらで処分して下さいって仰るから狸小路さんにプレゼントします。
 よくウンチを漏らすおばあちゃんだったけどちゃんと洗濯してあるから大丈夫よ」
 「こんなのイラン!、テヘラン空爆反対!」

 私は看護師長にズロースを突き返した。

 「あらもったいない。もったいないお化けが出るわよ」


 でもキャバクラだって1時間4,000円。誰が担当になるかは店側の判断になる。
 でも指名料を出せば⁈


 「なら看護師長、瑠璃子さんを俺の専属にしてよ」
 「ごめんなさいねー、ウチは病院だから指名は出来ないの」
 「チッ」

 私は舌打ちをした。



 家に帰りたくない爺さんは意外にも多い。
 家に帰ってもやることがないからだ。
 ここでは上げ膳据え膳、おまけに美人ナースが色々と世話を焼いてくれる。
 シワくちゃの口うるさい同居人(女房)がいて、家を出て行った子供たちや孫も寄りつかない。ただ毎日テレビを見て女房が嫌な顔をして下の世話をするだけの生活。

 「よくもこんなに出るわねえ、汚いウンチが」

 早くお迎えが来るようにと、塩マシマシ塩バター山盛りラーメンやジャンボシュークリーム、豚の角煮やニャンタッキーフライドチキンのチキンバーレルなどの塩分糖分脂分の多い食事を食わされる。

 私の向かえの爺さんも明日で退院である。
 いつも独り言で愚痴を呟いている。

 「チクショー」
 「ふざけんな」

 でも美人ナースにはいい爺さんでいたいから、

 「いつもありがとうございます」

 と、ポメラニアンのようにしおらしい。
 

 「飯を食って寝て血を取られてインスリンを注射されるだけの入院生活」
 「明日退院で良かったですね?」
 「それでもここがいいよ、家には帰りたくねえ」


 私は思う、

 「爺さん、そうなったのも全部アンタのせいなんだよ。タバコを一日に二箱も吸い、毎日泥酔するほど酒を飲み暴飲暴食。奥さんを労うこともなく家政婦のようにこき使って来た結果なんだよ」

 と。
 そして私もこの爺さんと同じだった。
 だから家族も離れて行き、体もボロボロに壊れた。
 自業自得である。


 蒔いた種の実しかならない。


 渋柿の種を蒔いても甘いシャインマスカットは実らないのである。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

アレンジ可シチュボ等のフリー台本集77選

上津英
大衆娯楽
シチュエーションボイス等のフリー台本集です。女性向けで書いていますが、男性向けでの使用も可です。 一人用の短い恋愛系中心。 【利用規約】 ・一人称・語尾・方言・男女逆転などのアレンジはご自由に。 ・シチュボ以外にもASMR・ボイスドラマ・朗読・配信・声劇にどうぞお使いください。 ・個人の使用報告は不要ですが、クレジットの表記はお願い致します。

処理中です...