★【完結】メタルシティ(作品230619)

菊池昭仁

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第4話 ふたりの悪魔

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 官邸では官房長官たちが小山田総理を待っていた。
 小山田はすぐに命じた。


 「官房長官と私だけにしてくれ」
 「かしこまりました」

 官房長官の井沢とは当選同期で親父も爺さんも国会議員だった。東大法学部卒のエリート三世議員ではなく、私と井沢はよく気が合った。
 私たちは共にチカラのある政治家のために泥を被り、ここまで昇りつめた。
 井沢はテーブルのシガレットケースからタバコを取り出し火を点けた。
 ふたりで話しをする時のいつもの儀式だった。


 「それで京都の御前たちは今度はどんな難題を吹っ掛けて来たんだ?」

 井沢はゆっくりと煙草の煙を吐いた。

 「生と死を国が管理しろと言われたよ。男は75才、女は80才になったら安楽死をさせ、ガキは16才になったら子孫を残すに相応しい人間かどうかをAIによって判断させ選別する。子供を持つに値しないガキには避妊手術を受けさせ、そして16才になった男子には2年間の兵役義務を課すというものだ」
 「とうとうあの御前たちも頭がおかしくなったか? そんなこと出来るわけがない。総理のお前にヒットラーになれと言うのか? あーはっは あーはっは」
 「井沢、だからお前にはヒムラーになってもらいたい」
 「俺が親衛隊隊長にか?」
 「そうだ。やらなければ俺もお前もこの世から消される」
 「俺は別に消されてもかまわねえ。悪魔になるよりマシだからな?」
 「俺とお前は既に悪魔に魂を売っているではないか? 今更キレイ事を言っている場合ではない。どちらにしても地獄行きは確定だ。議員リストを作成してくれ。カネと権力が欲しい奴と平和ボケした口先だけの理想主義者をな」
 「つまり残す奴と消す奴を選べと言う訳だな?」
 
 私はそれには答えなかった。

 「時間がないんだ。早急に頼む」

 井沢は吸い掛けのタバコを灰皿に押し付け、無言で総理執務室を出て行った。

 井沢の顔は既に悪魔の顔になっていた。

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