15 / 15
最終話 大和魂
しおりを挟む
中洲川は民自党総裁になり、小山田派の議員全員を粛清した。
その殆どの連中が命乞いをした。
「何でもする! だから殺さないでくれ!」
「俺は小山田にはめられたんだ!」
「頼む、助けてくれ!」
自分に都合の悪い人間や逆らう人間を平気で殺してきた奴らだった。
彼らの家族諸共、メタルシティに送り、処刑した。
国家管理保護法は廃止され、老人たちの安楽死も、徴兵制度も優生保護も撤廃され、メタルシティは上級国民や政治家たちの強制収容所となっていた。
そしてそこでは愚か者たちの再教育プログラムも実行されていた。
軍隊は自衛隊に戻されることはなく、海上保安庁と統合されたままとなり、他国からの我が領土、領海、領空への侵略行為に対しては海軍と空軍が連携して実力排除を行なっていた。
原子力潜水艦、ステルス戦闘機、空母、イージス艦は全て国産になった。
もちろん最新鋭の核兵器も保有していた。
特に中洲川は教育改革に力を入れた。
子供は国家の宝であるとし、保育園と幼稚園を統合し、5年間の義務的幼児園とした。
これは乳幼児教育の重要性を鑑みたものである。
小学校と中学校も併合し、初等学校として9年間教育とした。
高等学校は5年生とし、より専門性を充実させた高専方式を採用した。
大学は私立大学を全廃し、6年間教育として大学院レベルに引き上げることで卓越した頭脳集団を形成した。
大学はペーパー試験による選抜ではなく、教授陣による口頭試問によるものとし、単なる暗記主体の受験勉強ではなく、才能を重視するものとした。
教育費のすべてを無償にした。
更に成人した大人には月1回の道徳教育を強制した。
いくら子供たちを教育しても、その親や大人がだらしのない人間では何の効果もないからだ。
大統領と中洲川の電話会談が行われた。
「Mr.ナカスガワ。君が日本の総理になったことをアメリカは歓迎するよ。
私は日本を再び焦土にしなくて済んだのだからね?
これでまた、我が国と親愛なる日本との蜜月が訪れたというわけだ。
実にめでたいことだよ」
だが中洲川はキッパリと言った。
「大統領。あなたは何か大きな勘違いをされています。
日本はもう、アメリカの忠犬ではありません。
それは私が総理になっても、アメリカとの関係は対等でお願いしたいということです。
日本をあの戦争へと仕向けたのはあなた方だということをまさかお忘れになったわけではないはずです。
完成させた原爆を、我が国のナガサキ、ヒロシマを使って二度も「人体実験」を行い、核兵器の脅威を世界中にデモンストレーションをすることでアメリカは絶対的軍事力を誇示した。
戦後、日本の財産を没収し、500兆円にも及ぶ米国国債を押し付け、日本に駐留しているアメリカ軍の軍事費の殆どを我が国に負担させている。
我々は「Monkey」ではない。
アメリカのかつての栄華はもう終わったのです」
「では日米安全保障条約も再締結はしないと?」
「もちろんです。そして我が国が米国債を売ることに同意していただく。
もうアメリカに投資する価値はないのですから。
デフォルトでもされたら堪りませんからな?」
「気でも狂ったのかね? Mr.ナカスガワ?」
「極めて私は正常ですよ。狂っているのはあなた方アメリカの方だ。
身分をわきまえたまえ、Mr.President。
もしそれを承服出来ないのであれば、わが神国日本は貴国と差し違える覚悟であります。
日本人は己の思想信念のためには命など捨てる民族なのですから。
あなたが核のボタンを押したら私も全ての核兵器を貴国へ撃ち尽くします。
それでもよろしいか?」
「そもそも無礼ではないのかね? このような重要な会談を電話でするなどと。
君が我が国を訪れて交渉すべきことではないのかね? それがスジというものだよ。Mr.Monkey」
「それは逆ですよ。あなたが日本に来るべきだ。
そしてアメリカ国民を代表してわが国民すべてに謝罪していただきたい。
今まで貴国が我が国に対して行って来た残虐行為に対して」
少しの沈黙の後、大統領は言った。
「よろしい、Mr.ナカスガワ。
君の要求はわかった。だがそれを私が飲んだわけではない。
これからどうすればお互いの利益になるのか? よく考えてみようじゃないか?」
「わかりました。それでは今後の交渉については政府関係者レベルの話し合いということにいたしましょう。
それではご機嫌よう。Mr.President」
中洲川は電話を切ると、国防大臣に命じた。
「米国からのICBMの迎撃体制を各部隊に命じよ。
そしてワシントン沖に配備している原潜、『大和』『武蔵』『長門』に核ミサイルの発射準備を直ちに完了させたまえ。目標、ホワイトハウス、及びペンタゴン」
「準備にかかります!」
「アメリカ人は狡猾だ。そんな悠長なことは考えてはいないはずだからな?」
その頃、ホワイトハウスではためらうことなく大統領が核のボタンを押した。
「さらばだ、猿の王国、サムライJAPAN」
「中洲川総理! アメリカから大陸間弾道ミサイルの発射を確認!」
中洲川は国防大臣と共に核のボタンを押した。
「全力をあげて米国、核ミサイルを撃破せよ!」
遂にアメリカと日本の戦争が再開された。
『メタルシティ』完
その殆どの連中が命乞いをした。
「何でもする! だから殺さないでくれ!」
「俺は小山田にはめられたんだ!」
「頼む、助けてくれ!」
自分に都合の悪い人間や逆らう人間を平気で殺してきた奴らだった。
彼らの家族諸共、メタルシティに送り、処刑した。
国家管理保護法は廃止され、老人たちの安楽死も、徴兵制度も優生保護も撤廃され、メタルシティは上級国民や政治家たちの強制収容所となっていた。
そしてそこでは愚か者たちの再教育プログラムも実行されていた。
軍隊は自衛隊に戻されることはなく、海上保安庁と統合されたままとなり、他国からの我が領土、領海、領空への侵略行為に対しては海軍と空軍が連携して実力排除を行なっていた。
原子力潜水艦、ステルス戦闘機、空母、イージス艦は全て国産になった。
もちろん最新鋭の核兵器も保有していた。
特に中洲川は教育改革に力を入れた。
子供は国家の宝であるとし、保育園と幼稚園を統合し、5年間の義務的幼児園とした。
これは乳幼児教育の重要性を鑑みたものである。
小学校と中学校も併合し、初等学校として9年間教育とした。
高等学校は5年生とし、より専門性を充実させた高専方式を採用した。
大学は私立大学を全廃し、6年間教育として大学院レベルに引き上げることで卓越した頭脳集団を形成した。
大学はペーパー試験による選抜ではなく、教授陣による口頭試問によるものとし、単なる暗記主体の受験勉強ではなく、才能を重視するものとした。
教育費のすべてを無償にした。
更に成人した大人には月1回の道徳教育を強制した。
いくら子供たちを教育しても、その親や大人がだらしのない人間では何の効果もないからだ。
大統領と中洲川の電話会談が行われた。
「Mr.ナカスガワ。君が日本の総理になったことをアメリカは歓迎するよ。
私は日本を再び焦土にしなくて済んだのだからね?
これでまた、我が国と親愛なる日本との蜜月が訪れたというわけだ。
実にめでたいことだよ」
だが中洲川はキッパリと言った。
「大統領。あなたは何か大きな勘違いをされています。
日本はもう、アメリカの忠犬ではありません。
それは私が総理になっても、アメリカとの関係は対等でお願いしたいということです。
日本をあの戦争へと仕向けたのはあなた方だということをまさかお忘れになったわけではないはずです。
完成させた原爆を、我が国のナガサキ、ヒロシマを使って二度も「人体実験」を行い、核兵器の脅威を世界中にデモンストレーションをすることでアメリカは絶対的軍事力を誇示した。
戦後、日本の財産を没収し、500兆円にも及ぶ米国国債を押し付け、日本に駐留しているアメリカ軍の軍事費の殆どを我が国に負担させている。
我々は「Monkey」ではない。
アメリカのかつての栄華はもう終わったのです」
「では日米安全保障条約も再締結はしないと?」
「もちろんです。そして我が国が米国債を売ることに同意していただく。
もうアメリカに投資する価値はないのですから。
デフォルトでもされたら堪りませんからな?」
「気でも狂ったのかね? Mr.ナカスガワ?」
「極めて私は正常ですよ。狂っているのはあなた方アメリカの方だ。
身分をわきまえたまえ、Mr.President。
もしそれを承服出来ないのであれば、わが神国日本は貴国と差し違える覚悟であります。
日本人は己の思想信念のためには命など捨てる民族なのですから。
あなたが核のボタンを押したら私も全ての核兵器を貴国へ撃ち尽くします。
それでもよろしいか?」
「そもそも無礼ではないのかね? このような重要な会談を電話でするなどと。
君が我が国を訪れて交渉すべきことではないのかね? それがスジというものだよ。Mr.Monkey」
「それは逆ですよ。あなたが日本に来るべきだ。
そしてアメリカ国民を代表してわが国民すべてに謝罪していただきたい。
今まで貴国が我が国に対して行って来た残虐行為に対して」
少しの沈黙の後、大統領は言った。
「よろしい、Mr.ナカスガワ。
君の要求はわかった。だがそれを私が飲んだわけではない。
これからどうすればお互いの利益になるのか? よく考えてみようじゃないか?」
「わかりました。それでは今後の交渉については政府関係者レベルの話し合いということにいたしましょう。
それではご機嫌よう。Mr.President」
中洲川は電話を切ると、国防大臣に命じた。
「米国からのICBMの迎撃体制を各部隊に命じよ。
そしてワシントン沖に配備している原潜、『大和』『武蔵』『長門』に核ミサイルの発射準備を直ちに完了させたまえ。目標、ホワイトハウス、及びペンタゴン」
「準備にかかります!」
「アメリカ人は狡猾だ。そんな悠長なことは考えてはいないはずだからな?」
その頃、ホワイトハウスではためらうことなく大統領が核のボタンを押した。
「さらばだ、猿の王国、サムライJAPAN」
「中洲川総理! アメリカから大陸間弾道ミサイルの発射を確認!」
中洲川は国防大臣と共に核のボタンを押した。
「全力をあげて米国、核ミサイルを撃破せよ!」
遂にアメリカと日本の戦争が再開された。
『メタルシティ』完
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
★【完結】アネモネ(作品230605)
菊池昭仁
現代文学
ある裁判官の苦悩とその家族の生き様に迫る。同じ人間が同じ人間を裁く矛盾。
人は神ではない。人を裁けるのは神だけだ。
人間の本当のしあわせとは? 罪とは? 贖罪とは?
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
★【完結】ダブルファミリー(作品230717)
菊池昭仁
現代文学
結婚とは生涯1人の女を愛し、ひとつの家族を大切にすることが人としてのあるべき姿なのだろうか?
手を差し伸べてはいけないのか? 好きになっては、愛してはいけないのか?
結婚と恋愛。恋愛と形骸化した結婚生活。
結婚している者が配偶者以外の人間を愛することを倫理に非ず、不倫という。
男女の恋愛の意義、本質に迫る。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる