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第10話
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アンドレはキャビネットにある、男爵のお気に入りのバカラグラスを磨いていた。
「ちょっとアンドレ。私、見ちゃったんですけどー。
あなたと男爵様が、あんなことやこんなことやそんなことをしているところを」
だが、アンドレは顔色ひとつ変えることなく、サファイアを見ようともせずにグラスを磨き続けた。
「ちょっと聞いてんの!
人が話をしている時はちゃんとその人の目を見て、頷きながら話を聞きなさいって、幼稚園で教わらなかった!
こっちを向いて! 私の話をお聞きなさいよ!」
「俺は幼稚園には行っていないからね。それに小学校中退だし。
俺は寒い冬の夜に、マッチ売りのオバサンのマッチと交換されたんだ。マッチ箱たったひとつとね?」
「マッチって何? 近藤真彦のこと?」
「どうでもいいよ、そんなこと。
君のようなお姫様にはわからないことさ。
そしてマッチ売りのオバサンから俺を助けてくれたのが旦那様だったんだ。
だから俺は旦那様のために生きると決めた。
あの時、旦那様がマッチ売りに100ユーロ渡してくれなかったら、俺は今頃、歌舞伎町でローランドの店で働くか、寺田心君のようにトイレ掃除をしていたかもしれない」
「そうだったの、かわいそうなアンドレ。
あなたも苦労したのね?」
「いいんだよ、俺のことは。
それで? だからなんだって言うんだよ。ゲイは人間じゃない、妖怪人間だとでも言いに来たのかい?」
「そうじゃないわ! それに妖怪人間はゲイじゃなくてベム、ベラ、ベロよ、ゲイじゃないわ。
私はあなたに宣戦布告をしに来たのよ!」
「あんた、吉本の女芸人さんか? それとも人力舎? なべプロ? ホリプロか?」
「だからー、あんたには負けないってことよ!
あんたみたいな見てくれだけのナンバーワン・ホストみたいな男の子にはぜーったい、絶対、接待、負けないんだから! 覚悟なさい!」
「まあどうでもいいけど、お互いに貧乳だしね?」
「貧乳言うな! おのれアンドレ! この黒執事! 悪魔! イケメン! 私のオッパイを男のお前と一緒にすんな、ボケ!」
「話はそれだけかい?」
「それだけって、あんた! ここ重要なとこですけど! 試験に出るところですけど! 何よその態度!」
「これからジョンのお散歩があるから失礼。貧乳のプリンセス・サファイア様」
「くっそー、貧乳言うな! バカ!」
そしてアンドレはうっとりするような、シャネルの「エゴイスト」の香りを残して去って行った。
「ああ、なんていい香りなの・・・」
悦に入っている場合かサファイア!
そこら辺の女よりも美しいアンドレにどうやって勝つというのだ? その貧乳で!
するとそこへ、
「ボク、クロちゃ~ん♪ ころっころ~のパンダ君~ん♪ 見かけは~♪ ちいさあなあ~♪ クマだけっどおー♪
クルマはA級ライセンス♪ クロちゃん、どんとこい、何でも来い♪」
サファイアの執事、レッサーパンダのクロちゃんが遊園地のパンダ号に乗って、歌いながらやって来た。
「姫様、最近LINEも来ないからと、お父上の侯爵様が心配していましたよー。
連絡もしないで、またスケベしてたんでしょう?」
「あんた、今度それを言ったらその皮を剥いで帽子にしてあげるからね! それともリビングの剥製がお好みかしら?」
「あれはアライグマ・ラスカルだよ、ボクはかわいいレッサーパンダだよ、テヘペロ」
「何が「テヘペロ」よ! お腹は真っ黒なくせに!」
「あっ、それセクハラだかんね!
ボクがいちばん気にしてることをズバッと言うなんて!
この貧乳プリンセス!」
「言ったわねー、この包茎短小チンコパンダ!」
「いくら姫様でも言っていいことと悪いことがあるよ! このビッチ!」
「もう、お前はクビ! クビよ! クビ!」
「いいのかなー? そんなこと言ってもー?」
「何よ、そのすでに勝ち誇った顔は?
早く教えなさいよ!」
「どうしよっかなー? タダじゃ教えらんないなー」
「仕方がないわねー、わたくしのブロマイドとクリアファイルを上げるわ。それとも私が1週間履き続けたパンティがいいかしら?」
「そんなの死んでもいらないよ!
カネだよカネ、10ユーロでいいよサファイア」
「さすがにお腹が黒いだけはあるわね? しょうがない、ハイ10ユーロ!」
クロちゃん執事はすばやくサファイアからお金を奪うと言った。
「明日の晩餐会で、新しい女の子が来るんだってさ。しかもFカップのすっげー美人!
ボク、見ちゃったもんねー」
「それで? 名前は? 出身はどこなの?」
「名前はエメラルド。出身は確か「さいたま国」か「ぎょうざと動物の国、地味が魅力のとちぎ国」だったはずだよ」
「ふん、何がFカップよ。良かった「ノース・カントウ州」で。これからも何かあったら教えるのよ、わかった?」
「アイアイサー! たまには侯爵様にも電話してあげてね
? 心配してたから」
そう言って執事のクロちゃんはアメリカのクウォーターコインをパンダ号に入れると、また来た道を帰って行った。ノロノロと。
「ううー、また巨乳がやってくるのかあああ! ローレライに報告しなくちゃあ! ううぉりやああああ!」
サファイアはローレライのいる、サロンへと走って行った。
「ちょっとアンドレ。私、見ちゃったんですけどー。
あなたと男爵様が、あんなことやこんなことやそんなことをしているところを」
だが、アンドレは顔色ひとつ変えることなく、サファイアを見ようともせずにグラスを磨き続けた。
「ちょっと聞いてんの!
人が話をしている時はちゃんとその人の目を見て、頷きながら話を聞きなさいって、幼稚園で教わらなかった!
こっちを向いて! 私の話をお聞きなさいよ!」
「俺は幼稚園には行っていないからね。それに小学校中退だし。
俺は寒い冬の夜に、マッチ売りのオバサンのマッチと交換されたんだ。マッチ箱たったひとつとね?」
「マッチって何? 近藤真彦のこと?」
「どうでもいいよ、そんなこと。
君のようなお姫様にはわからないことさ。
そしてマッチ売りのオバサンから俺を助けてくれたのが旦那様だったんだ。
だから俺は旦那様のために生きると決めた。
あの時、旦那様がマッチ売りに100ユーロ渡してくれなかったら、俺は今頃、歌舞伎町でローランドの店で働くか、寺田心君のようにトイレ掃除をしていたかもしれない」
「そうだったの、かわいそうなアンドレ。
あなたも苦労したのね?」
「いいんだよ、俺のことは。
それで? だからなんだって言うんだよ。ゲイは人間じゃない、妖怪人間だとでも言いに来たのかい?」
「そうじゃないわ! それに妖怪人間はゲイじゃなくてベム、ベラ、ベロよ、ゲイじゃないわ。
私はあなたに宣戦布告をしに来たのよ!」
「あんた、吉本の女芸人さんか? それとも人力舎? なべプロ? ホリプロか?」
「だからー、あんたには負けないってことよ!
あんたみたいな見てくれだけのナンバーワン・ホストみたいな男の子にはぜーったい、絶対、接待、負けないんだから! 覚悟なさい!」
「まあどうでもいいけど、お互いに貧乳だしね?」
「貧乳言うな! おのれアンドレ! この黒執事! 悪魔! イケメン! 私のオッパイを男のお前と一緒にすんな、ボケ!」
「話はそれだけかい?」
「それだけって、あんた! ここ重要なとこですけど! 試験に出るところですけど! 何よその態度!」
「これからジョンのお散歩があるから失礼。貧乳のプリンセス・サファイア様」
「くっそー、貧乳言うな! バカ!」
そしてアンドレはうっとりするような、シャネルの「エゴイスト」の香りを残して去って行った。
「ああ、なんていい香りなの・・・」
悦に入っている場合かサファイア!
そこら辺の女よりも美しいアンドレにどうやって勝つというのだ? その貧乳で!
するとそこへ、
「ボク、クロちゃ~ん♪ ころっころ~のパンダ君~ん♪ 見かけは~♪ ちいさあなあ~♪ クマだけっどおー♪
クルマはA級ライセンス♪ クロちゃん、どんとこい、何でも来い♪」
サファイアの執事、レッサーパンダのクロちゃんが遊園地のパンダ号に乗って、歌いながらやって来た。
「姫様、最近LINEも来ないからと、お父上の侯爵様が心配していましたよー。
連絡もしないで、またスケベしてたんでしょう?」
「あんた、今度それを言ったらその皮を剥いで帽子にしてあげるからね! それともリビングの剥製がお好みかしら?」
「あれはアライグマ・ラスカルだよ、ボクはかわいいレッサーパンダだよ、テヘペロ」
「何が「テヘペロ」よ! お腹は真っ黒なくせに!」
「あっ、それセクハラだかんね!
ボクがいちばん気にしてることをズバッと言うなんて!
この貧乳プリンセス!」
「言ったわねー、この包茎短小チンコパンダ!」
「いくら姫様でも言っていいことと悪いことがあるよ! このビッチ!」
「もう、お前はクビ! クビよ! クビ!」
「いいのかなー? そんなこと言ってもー?」
「何よ、そのすでに勝ち誇った顔は?
早く教えなさいよ!」
「どうしよっかなー? タダじゃ教えらんないなー」
「仕方がないわねー、わたくしのブロマイドとクリアファイルを上げるわ。それとも私が1週間履き続けたパンティがいいかしら?」
「そんなの死んでもいらないよ!
カネだよカネ、10ユーロでいいよサファイア」
「さすがにお腹が黒いだけはあるわね? しょうがない、ハイ10ユーロ!」
クロちゃん執事はすばやくサファイアからお金を奪うと言った。
「明日の晩餐会で、新しい女の子が来るんだってさ。しかもFカップのすっげー美人!
ボク、見ちゃったもんねー」
「それで? 名前は? 出身はどこなの?」
「名前はエメラルド。出身は確か「さいたま国」か「ぎょうざと動物の国、地味が魅力のとちぎ国」だったはずだよ」
「ふん、何がFカップよ。良かった「ノース・カントウ州」で。これからも何かあったら教えるのよ、わかった?」
「アイアイサー! たまには侯爵様にも電話してあげてね
? 心配してたから」
そう言って執事のクロちゃんはアメリカのクウォーターコインをパンダ号に入れると、また来た道を帰って行った。ノロノロと。
「ううー、また巨乳がやってくるのかあああ! ローレライに報告しなくちゃあ! ううぉりやああああ!」
サファイアはローレライのいる、サロンへと走って行った。
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