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第14話 追憶
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「これからどうなるの? 私たち・・・」
女房の晴美は怯えていた。
お嬢様育ちの晴美には酷な話だった。
私は当時、不動産開発会社の経営に行き詰まり、どん底の状態になっていた。
連日のように自宅に押しかけてくる債権者たち。私は小銭の入った小さい貯金箱まで差し出した。
「これが今の私の全財産です」
するとその業者はその貯金箱を受け取ると、私を突き飛ばした。
「お前にやられた金はこんなもんじゃねえだろう! なめてんのかコラッ!」
その男は解体会社の営業マンだった。
会社が順調な時には、
「社長、どうです、たまには一杯?」
「いいよ、ご馳走するよ」
「いえいえ、とんでもありません。たまには私にご馳走させて下さいよ。
いつも一ノ瀬社長にはお世話になっていますから」
その時、まだ小学3年生だった娘の優香はそんな私を庇った。
「やめて下さい! パパをいじめないで!」
地獄だった。
経営が良好な頃には8帖の和室はお歳暮やお中元が天井までピラミッドのように積み上げられていたが、経営不安の噂が広まると、瞬く間に業者は離れてゆき、遂には薄っぺらな缶ビールの箱が1箱のみとなっていた。
明日、優香に持たせる弁当に入れる米もなかったほど、生活は困窮していた。
明日には電気が止められ、5日後にはガスが止められるはずだった。
水道は命にかかわる物だから止められることは無いと聞いていたが、それはデマだった。
小銭をかき集め、私は水道局へ支払いに行ったこともある。
すべてがギリギリの状態で、私は完全に正常な思考を失っていた。
私たち家族は完全に追い詰められていた。
「毎日毎日、どうするの? どうするの? どうするのってうるさいんだよ!
俺が毎日どんな思いでいるか、お前にはわかるのか!」
私は女房の晴美を詰った。
私は完全に狂ってしまっていたのだ。
すでにうつ病を通り越し、私は狂人になっていた。
債権者が鳴らすチャイムの音に、晴美も優香も怯え続けた。
私はクルマも売り払い、携帯も使えないまま、自転車で日雇いの土方仕事に通い、食い繋いでいた。
夕方、仕事が終わると、夜の公園のベンチで債権者が来なくなる深夜まで時間を潰して過ごした。
ある日、いつものように深夜に帰宅した私は、晴美と優香の寝顔を見ていた。
ふたりとも涙の流れた跡が残っていた。
私はそんな晴美の首に手を掛けそうになっていた自分に気付き、泣いた。
この世には死ぬよりも辛いことなど山ほどあるのだ。
「死んだ気になって一生懸命やれば必ず報われる」
そんな美辞麗句を述べる輩は、本当の地獄を見た事がないからそんな呑気なセリフが言えるのだ。
新幹線のホームで足が勝手に線路へと向かう恐怖を、彼らは知らない。
私は常軌を失いつつあった。いや、失っていた。
債権者の中には私が財産を隠しているのではないかと疑う者もいた。
今思えば、そんな芸当も容易く出来たのかも知れないが、私はそれをしなかった。
あり金残らず債権者に差し出してしまった。
そうなる前に廃業すれば良かったのかも知れないが、私は諦めず、まるでゾンビのように悪足掻きをしてしまったのだ。
親戚、兄弟、友人、挙句の果ては親からも私たちは見捨てられてしまった。
「もうアンタたちに出すお金はないからね!」
おふくろは私と晴美にそう言い放った。
私はついに、その筋から金を借りた。
「一ノ瀬社長、金がないのは切ないよね?
それでいくら欲しいの?」
「逆にいくらなら貸していただけますか?」
闇金の社長は夕日を背にしていたので、その表情を読み取ることは出来なかったが、おそらく薄ら笑いを浮かべていたはずだった。
社長は引き出しを開けると、1万円札を5枚、私の前に並べた。
私がそれを拾おうとすると社長はそれを制した。
「慌てるもんじゃないよ、一ノ瀬社長。
まずウチは10日で2割の利息を取る。利息は先払いだ」
すると社長はそこから1万円札を1枚、取り上げた。
「10日後、元金の5万円を返しに来い。
そうしたら次は10万円を貸そうじゃないか?
ただし、もし期日に1日でも遅れたら、その時は奥さん、ウチの系列店で働いてもらうことになる。
綺麗な奥さんだもんな? 社長の奥さんは?
いっそのこと奥さんに働いて貰えば? どうだい? 200で?」
私はその4万円をポケットにねじ込むと、その場を後にした。
返す宛など初めからなかった。
とりあえず私は1週間の生活費を確保した。
そしてまた誰かに泣き付くか、社長に土下座するしかなかった。
そして万が一の時には社長を殺して自分も死ぬ覚悟を決めていた。
私は自暴自棄になっていた。
換金できるものはすべてカネに換えた。
晴美のブランド品や着物、帯、宝石、婚約指輪、そして結婚指輪までも売り払った。
だが娘の優香のバイオリンだけは売る気にはなれなかった。
美術品は足元を見られ、二束三文で買い叩たかれた。
多くの貴重な蔵書は、段ボール1箱が5,000円程度だった。
屋敷はすでに銀行に抑えられ、任意売買の話も始まっていた。
晴美は泣く気力すら無くしていた。
その時から私は、夫であることも父親であることも辞めた。
生きるため、この妻と娘を守るために私は鬼となることを決めた。
返済の日がやって来た。
私は闇金の事務所に呼ばれた。
「社長、ご苦労さん、カネは?
大丈夫かい? そんな暗い顔をして」
「社長、すみませんがもう1日だけ待って下さい! お願いします!」
土下座をして懇願する私のすぐ傍に、社長は大きなガラスの灰皿を投げつけた。
飛び散ったガラスの破片が私の顔を掠め、頬が切れた。
「ごめんごめん、その腐った脳味噌の入ったその頭に当てようと思ったら、手がすべっちゃった。
大丈夫、今度はちゃんと当てるから。
久しぶりだなあ、脳がザクロみたいに開くのを見るのは?
お前、生命保険は入っているか?
もう解約しちまったか?
そうでなければここまで来ねえよな?
保険掛けてたらとっくに自殺してるもんなあ」
私は顔を上げることが出来なかった。
「いいだろう、明日まで待ってやる。
そのかわり分かっているな? もしも返済できなかった時のことは?」
私は絶望の中、家路への帰り道、夜の歓楽街を通った。
すると電柱の張り紙に「日払い」の文字を偶然見つけた。
その下には「運転手募集」と書いてある。
私は一縷の望みをかけ、そこに電話を掛けた。
「電柱の張り紙を見たんですが」
「そうですか? あなた運転免許はあるの?」
「はい」
「今どこです?」
「はい、ピンサロ「レインボーセブン」の前にいます」
「そう? そこから南に下って2本目の路地の右手にある赤いビルの1階まで来て下さい。面接をしますから」
「わかりました。これから伺います」
それが暗黒街のボス、伊吹竜二郎との出会いだった。
伊吹は私を見て言った。
「アンタ、どっかから摘まんでない?」
「金田興業さんから5万円借りました」
「それで返せないと?」
伊吹は電話をかけた。
「ああ金田社長? 伊吹です、いつもお世話になってます。
金田さんのところから摘まんでいる、一ノ瀬ね? 今度ウチで預かることにしましたから。
ハイ、そうですハイ。
後はウチでなんとかしますから、よろしくお願いします、ハイ、ごめん下さい」
電話を切ると伊吹会長は言った。
「金田の件は安心しろ、カタは付けた。
仕事はウチの女の子の送迎だ。
日当は1日5,000円、日払いにしてやるから経理に毎日取りに来い。
あんたの気持ちはよく分かるよ、俺も同じだったからな?
だがな、億を稼いでいた奴はまた億を稼げるようになるもんだ。
俺の下でやってみろ、命懸けでな? そうすればお前は必ず復活することが出来る」
そして伊吹は財布を取出し1万円を私に渡してくれた。
「金がねえんだろう? これは入社祝いだ、取っておけ」
仕事は面白かった。
デリヘル、ピンサロ、ファッションヘルスにレンタルルームの管理。
居酒屋、ラーメン屋にイタリアンレストラン、スナックにクラブ、キャバクラと、私は夢中で働き、グループのナンバースリーにまで上り詰めた。
そんなある日のこと、私はアーケードで小林洋子に呼び止められた。
「一ノ瀬社長ですよね?」
「ああ、サンライズの小林さん。君のところには負債はなかったよね?」
「ウチにはちゃんとお支払いいただきました。
あれから大変だったそうで・・・」
彼女は広告代理店の営業マンだった。
「夜のお仕事をされているとの噂でしたが、本当だったんですね? 社長は今でも小説を書いているんですか?」
「いや、もう辞めたんだ、生きるのに精一杯でね?」
「実は私の大学時代の先輩が出版社にいるんですけど、今度、新人文芸賞を募集するそうなんです。
応募してみませんか? 社長」
そして私の小説は候補に挙がり、書籍化が決まった。
私の書いた小説や脚本が、次々に映画やドラマになり、私は夜の仕事を辞めた。
「一ノ瀬、よかったなあ、お前もこれで作家先生だな?
寂しくなるが仕方のないことだ。がんばれ」
「会長のお陰です。ありがとうございました」
「なっ、俺の言った通りだろう?
今まで苦労した分、もっと幸せになれ」
「はい」
そして会長は餞別だと言って、10万円の入った「赤のし」をくれた。
私は晴美と優香に、一緒にパリで暮らさないかと言った。
だが返事は意外なものだった。
「私たちはパリには行かない。離婚して下さい。
そして約束して、もう2度と私たちの前に現れないと」
そして今、私はずっと憧れだったこのパリで暮している。
大切な家族と引き換えに。
女房の晴美は怯えていた。
お嬢様育ちの晴美には酷な話だった。
私は当時、不動産開発会社の経営に行き詰まり、どん底の状態になっていた。
連日のように自宅に押しかけてくる債権者たち。私は小銭の入った小さい貯金箱まで差し出した。
「これが今の私の全財産です」
するとその業者はその貯金箱を受け取ると、私を突き飛ばした。
「お前にやられた金はこんなもんじゃねえだろう! なめてんのかコラッ!」
その男は解体会社の営業マンだった。
会社が順調な時には、
「社長、どうです、たまには一杯?」
「いいよ、ご馳走するよ」
「いえいえ、とんでもありません。たまには私にご馳走させて下さいよ。
いつも一ノ瀬社長にはお世話になっていますから」
その時、まだ小学3年生だった娘の優香はそんな私を庇った。
「やめて下さい! パパをいじめないで!」
地獄だった。
経営が良好な頃には8帖の和室はお歳暮やお中元が天井までピラミッドのように積み上げられていたが、経営不安の噂が広まると、瞬く間に業者は離れてゆき、遂には薄っぺらな缶ビールの箱が1箱のみとなっていた。
明日、優香に持たせる弁当に入れる米もなかったほど、生活は困窮していた。
明日には電気が止められ、5日後にはガスが止められるはずだった。
水道は命にかかわる物だから止められることは無いと聞いていたが、それはデマだった。
小銭をかき集め、私は水道局へ支払いに行ったこともある。
すべてがギリギリの状態で、私は完全に正常な思考を失っていた。
私たち家族は完全に追い詰められていた。
「毎日毎日、どうするの? どうするの? どうするのってうるさいんだよ!
俺が毎日どんな思いでいるか、お前にはわかるのか!」
私は女房の晴美を詰った。
私は完全に狂ってしまっていたのだ。
すでにうつ病を通り越し、私は狂人になっていた。
債権者が鳴らすチャイムの音に、晴美も優香も怯え続けた。
私はクルマも売り払い、携帯も使えないまま、自転車で日雇いの土方仕事に通い、食い繋いでいた。
夕方、仕事が終わると、夜の公園のベンチで債権者が来なくなる深夜まで時間を潰して過ごした。
ある日、いつものように深夜に帰宅した私は、晴美と優香の寝顔を見ていた。
ふたりとも涙の流れた跡が残っていた。
私はそんな晴美の首に手を掛けそうになっていた自分に気付き、泣いた。
この世には死ぬよりも辛いことなど山ほどあるのだ。
「死んだ気になって一生懸命やれば必ず報われる」
そんな美辞麗句を述べる輩は、本当の地獄を見た事がないからそんな呑気なセリフが言えるのだ。
新幹線のホームで足が勝手に線路へと向かう恐怖を、彼らは知らない。
私は常軌を失いつつあった。いや、失っていた。
債権者の中には私が財産を隠しているのではないかと疑う者もいた。
今思えば、そんな芸当も容易く出来たのかも知れないが、私はそれをしなかった。
あり金残らず債権者に差し出してしまった。
そうなる前に廃業すれば良かったのかも知れないが、私は諦めず、まるでゾンビのように悪足掻きをしてしまったのだ。
親戚、兄弟、友人、挙句の果ては親からも私たちは見捨てられてしまった。
「もうアンタたちに出すお金はないからね!」
おふくろは私と晴美にそう言い放った。
私はついに、その筋から金を借りた。
「一ノ瀬社長、金がないのは切ないよね?
それでいくら欲しいの?」
「逆にいくらなら貸していただけますか?」
闇金の社長は夕日を背にしていたので、その表情を読み取ることは出来なかったが、おそらく薄ら笑いを浮かべていたはずだった。
社長は引き出しを開けると、1万円札を5枚、私の前に並べた。
私がそれを拾おうとすると社長はそれを制した。
「慌てるもんじゃないよ、一ノ瀬社長。
まずウチは10日で2割の利息を取る。利息は先払いだ」
すると社長はそこから1万円札を1枚、取り上げた。
「10日後、元金の5万円を返しに来い。
そうしたら次は10万円を貸そうじゃないか?
ただし、もし期日に1日でも遅れたら、その時は奥さん、ウチの系列店で働いてもらうことになる。
綺麗な奥さんだもんな? 社長の奥さんは?
いっそのこと奥さんに働いて貰えば? どうだい? 200で?」
私はその4万円をポケットにねじ込むと、その場を後にした。
返す宛など初めからなかった。
とりあえず私は1週間の生活費を確保した。
そしてまた誰かに泣き付くか、社長に土下座するしかなかった。
そして万が一の時には社長を殺して自分も死ぬ覚悟を決めていた。
私は自暴自棄になっていた。
換金できるものはすべてカネに換えた。
晴美のブランド品や着物、帯、宝石、婚約指輪、そして結婚指輪までも売り払った。
だが娘の優香のバイオリンだけは売る気にはなれなかった。
美術品は足元を見られ、二束三文で買い叩たかれた。
多くの貴重な蔵書は、段ボール1箱が5,000円程度だった。
屋敷はすでに銀行に抑えられ、任意売買の話も始まっていた。
晴美は泣く気力すら無くしていた。
その時から私は、夫であることも父親であることも辞めた。
生きるため、この妻と娘を守るために私は鬼となることを決めた。
返済の日がやって来た。
私は闇金の事務所に呼ばれた。
「社長、ご苦労さん、カネは?
大丈夫かい? そんな暗い顔をして」
「社長、すみませんがもう1日だけ待って下さい! お願いします!」
土下座をして懇願する私のすぐ傍に、社長は大きなガラスの灰皿を投げつけた。
飛び散ったガラスの破片が私の顔を掠め、頬が切れた。
「ごめんごめん、その腐った脳味噌の入ったその頭に当てようと思ったら、手がすべっちゃった。
大丈夫、今度はちゃんと当てるから。
久しぶりだなあ、脳がザクロみたいに開くのを見るのは?
お前、生命保険は入っているか?
もう解約しちまったか?
そうでなければここまで来ねえよな?
保険掛けてたらとっくに自殺してるもんなあ」
私は顔を上げることが出来なかった。
「いいだろう、明日まで待ってやる。
そのかわり分かっているな? もしも返済できなかった時のことは?」
私は絶望の中、家路への帰り道、夜の歓楽街を通った。
すると電柱の張り紙に「日払い」の文字を偶然見つけた。
その下には「運転手募集」と書いてある。
私は一縷の望みをかけ、そこに電話を掛けた。
「電柱の張り紙を見たんですが」
「そうですか? あなた運転免許はあるの?」
「はい」
「今どこです?」
「はい、ピンサロ「レインボーセブン」の前にいます」
「そう? そこから南に下って2本目の路地の右手にある赤いビルの1階まで来て下さい。面接をしますから」
「わかりました。これから伺います」
それが暗黒街のボス、伊吹竜二郎との出会いだった。
伊吹は私を見て言った。
「アンタ、どっかから摘まんでない?」
「金田興業さんから5万円借りました」
「それで返せないと?」
伊吹は電話をかけた。
「ああ金田社長? 伊吹です、いつもお世話になってます。
金田さんのところから摘まんでいる、一ノ瀬ね? 今度ウチで預かることにしましたから。
ハイ、そうですハイ。
後はウチでなんとかしますから、よろしくお願いします、ハイ、ごめん下さい」
電話を切ると伊吹会長は言った。
「金田の件は安心しろ、カタは付けた。
仕事はウチの女の子の送迎だ。
日当は1日5,000円、日払いにしてやるから経理に毎日取りに来い。
あんたの気持ちはよく分かるよ、俺も同じだったからな?
だがな、億を稼いでいた奴はまた億を稼げるようになるもんだ。
俺の下でやってみろ、命懸けでな? そうすればお前は必ず復活することが出来る」
そして伊吹は財布を取出し1万円を私に渡してくれた。
「金がねえんだろう? これは入社祝いだ、取っておけ」
仕事は面白かった。
デリヘル、ピンサロ、ファッションヘルスにレンタルルームの管理。
居酒屋、ラーメン屋にイタリアンレストラン、スナックにクラブ、キャバクラと、私は夢中で働き、グループのナンバースリーにまで上り詰めた。
そんなある日のこと、私はアーケードで小林洋子に呼び止められた。
「一ノ瀬社長ですよね?」
「ああ、サンライズの小林さん。君のところには負債はなかったよね?」
「ウチにはちゃんとお支払いいただきました。
あれから大変だったそうで・・・」
彼女は広告代理店の営業マンだった。
「夜のお仕事をされているとの噂でしたが、本当だったんですね? 社長は今でも小説を書いているんですか?」
「いや、もう辞めたんだ、生きるのに精一杯でね?」
「実は私の大学時代の先輩が出版社にいるんですけど、今度、新人文芸賞を募集するそうなんです。
応募してみませんか? 社長」
そして私の小説は候補に挙がり、書籍化が決まった。
私の書いた小説や脚本が、次々に映画やドラマになり、私は夜の仕事を辞めた。
「一ノ瀬、よかったなあ、お前もこれで作家先生だな?
寂しくなるが仕方のないことだ。がんばれ」
「会長のお陰です。ありがとうございました」
「なっ、俺の言った通りだろう?
今まで苦労した分、もっと幸せになれ」
「はい」
そして会長は餞別だと言って、10万円の入った「赤のし」をくれた。
私は晴美と優香に、一緒にパリで暮らさないかと言った。
だが返事は意外なものだった。
「私たちはパリには行かない。離婚して下さい。
そして約束して、もう2度と私たちの前に現れないと」
そして今、私はずっと憧れだったこのパリで暮している。
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