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最終話
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クルマの中で若頭が銀次に言った。
「いいか銀、失敗は許されねえ。わかっているな?」
「へい」
「一発ではなく、三発で確実に仕留めろ。必ずトドメを扨せ」
銀次はずっしりと重い、黒光りしたトカレフを握り締めた。
「来たぞ。銀、俺も後から必ず行くからな?」
「頭、今まで面倒を見ていただき、ありがとうございました。玉、獲って来やす」
「銀、落ち着いてな?」
「へい」
銀次はクルマを飛び出して行った。
鮨屋を出て来たターゲットの組長の側近は3人だった。
銀次を見た側近たちは組長を庇い、盾になった。
「なんじゃわりゃあああ!」
「どこの組のもんじゃ!」
そのうちのひとりがチャカを構えて銀次を撃ったが外れた。
銀次はまず、冷静にその男の右肩を撃ち抜いた。拳銃が道に落ち、男はのたうち回っている。
「どけ。死にてえのか?」
「殺りたければ殺れ!」
銀次はその手下の腹を蹴り上げ、もうひとりには左頬と腹にパンチを入れた。
そして間髪を入れず、怯えた組長の眉間に一発、そして心臓に二発の銃弾を撃ち込んだ。
「組長ーーーーっつ!」
「親父っ!」
「うわああああああ!」
現場はすぐに騒然となった。
夥しいパトカーのサイレンの音が押し寄せて来る。
銀次はすぐにその場から走り去り、客待ちをしていたタクシーに平然と乗り込んだ。
「待て! この野郎!」
「生かして返すな!」
手下たちが銀次を追った。
銀次は一度、富山駅へタクシーで向かい、追手を巻こうとした。
そしてタクシー乗り場から別のタクシーに乗り、行き先を告げた。
服装はスーツにネクタイをして、サラリーマンを装っていた。
「富山新港の第三埠頭、四号岸壁まで」
「富山新港ですね?」
「ああ、頼む」
年配のタクシーの運転手は、ロングの客に喜んでいる様子だった。
銀次が船にやって来た。
「大丈夫だったか?」
「ああ、「仕事」は終わった」
「そうか? キャプテンのタリファだ」
俺はお互いを紹介し、銀次はキャプテンと握手を交わした。
そして封筒に入れた百万円をキャプテンに渡した。
タリファはそれを船長のユニフォームの内ポケットに素早く仕舞った。
「インドまでの船旅を楽しんでくれ。それじゃあ本船で待っている。すぐに本船に上がって来い、長居は禁物だからな?」
「ありがとう、キャプテン・タリファ」
「お前には借りがあるからな?」
「よろしく頼む、コイツは俺の兄弟なんだ」
「Brother?」
「そうだ」
「兄弟、世話になったな? これは謝礼だ。黙って受け取ってくれ」
銀次は俺にも同じように封筒を渡そうとした。
もちろん俺はそれを辞退した。
「このカネは今度日本に帰国した時に貰うよ。必ず帰って来い」
「兄弟・・・」
その時だった、猛スピードでベンツとレクサスが俺たちに突進して来たのは。
二発の銃声が聞こえた。
パン パン
俺は胸と足に焼けるような痛みを感じた。
俺はアスファルトにうつ伏せに倒れ、眼の前に広がる自分の血の海を眺めていた。
「兄弟!」
そしてクルマから飛び出して来た連中から、俺たちは幾つもの銃弾を浴びたが、既に俺たちには意識がなくなっていた。
「この外道が!」
ふたりの亡骸に男が唾を吐き、遺体を蹴り飛ばした。
数馬と銀次は死んだ。
それから3日後、順子の姿は福井の東尋坊にあった。
順子は空を飛んだ。日本海をめがけてためらうことなく順子は飛んだ。
三人はあの世でしあわせに暮らせたのだろうか?
おそらく順子は銀次と、数馬は裕子と再会を果たし、結ばれたはずだ。
悲しみに満ちた人生を、必死に生き抜いた四人だからこそ。
スナック『海猫』完
「いいか銀、失敗は許されねえ。わかっているな?」
「へい」
「一発ではなく、三発で確実に仕留めろ。必ずトドメを扨せ」
銀次はずっしりと重い、黒光りしたトカレフを握り締めた。
「来たぞ。銀、俺も後から必ず行くからな?」
「頭、今まで面倒を見ていただき、ありがとうございました。玉、獲って来やす」
「銀、落ち着いてな?」
「へい」
銀次はクルマを飛び出して行った。
鮨屋を出て来たターゲットの組長の側近は3人だった。
銀次を見た側近たちは組長を庇い、盾になった。
「なんじゃわりゃあああ!」
「どこの組のもんじゃ!」
そのうちのひとりがチャカを構えて銀次を撃ったが外れた。
銀次はまず、冷静にその男の右肩を撃ち抜いた。拳銃が道に落ち、男はのたうち回っている。
「どけ。死にてえのか?」
「殺りたければ殺れ!」
銀次はその手下の腹を蹴り上げ、もうひとりには左頬と腹にパンチを入れた。
そして間髪を入れず、怯えた組長の眉間に一発、そして心臓に二発の銃弾を撃ち込んだ。
「組長ーーーーっつ!」
「親父っ!」
「うわああああああ!」
現場はすぐに騒然となった。
夥しいパトカーのサイレンの音が押し寄せて来る。
銀次はすぐにその場から走り去り、客待ちをしていたタクシーに平然と乗り込んだ。
「待て! この野郎!」
「生かして返すな!」
手下たちが銀次を追った。
銀次は一度、富山駅へタクシーで向かい、追手を巻こうとした。
そしてタクシー乗り場から別のタクシーに乗り、行き先を告げた。
服装はスーツにネクタイをして、サラリーマンを装っていた。
「富山新港の第三埠頭、四号岸壁まで」
「富山新港ですね?」
「ああ、頼む」
年配のタクシーの運転手は、ロングの客に喜んでいる様子だった。
銀次が船にやって来た。
「大丈夫だったか?」
「ああ、「仕事」は終わった」
「そうか? キャプテンのタリファだ」
俺はお互いを紹介し、銀次はキャプテンと握手を交わした。
そして封筒に入れた百万円をキャプテンに渡した。
タリファはそれを船長のユニフォームの内ポケットに素早く仕舞った。
「インドまでの船旅を楽しんでくれ。それじゃあ本船で待っている。すぐに本船に上がって来い、長居は禁物だからな?」
「ありがとう、キャプテン・タリファ」
「お前には借りがあるからな?」
「よろしく頼む、コイツは俺の兄弟なんだ」
「Brother?」
「そうだ」
「兄弟、世話になったな? これは謝礼だ。黙って受け取ってくれ」
銀次は俺にも同じように封筒を渡そうとした。
もちろん俺はそれを辞退した。
「このカネは今度日本に帰国した時に貰うよ。必ず帰って来い」
「兄弟・・・」
その時だった、猛スピードでベンツとレクサスが俺たちに突進して来たのは。
二発の銃声が聞こえた。
パン パン
俺は胸と足に焼けるような痛みを感じた。
俺はアスファルトにうつ伏せに倒れ、眼の前に広がる自分の血の海を眺めていた。
「兄弟!」
そしてクルマから飛び出して来た連中から、俺たちは幾つもの銃弾を浴びたが、既に俺たちには意識がなくなっていた。
「この外道が!」
ふたりの亡骸に男が唾を吐き、遺体を蹴り飛ばした。
数馬と銀次は死んだ。
それから3日後、順子の姿は福井の東尋坊にあった。
順子は空を飛んだ。日本海をめがけてためらうことなく順子は飛んだ。
三人はあの世でしあわせに暮らせたのだろうか?
おそらく順子は銀次と、数馬は裕子と再会を果たし、結ばれたはずだ。
悲しみに満ちた人生を、必死に生き抜いた四人だからこそ。
スナック『海猫』完
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