37 / 59
手と手を取り合うキツネとタヌキ
第三十四話 戦うための武器
しおりを挟む
第一書庫。宮殿内にある、誰でも閲覧ができる資料を保管してある場所だ。つまり、見られても問題の無い資料という事だ。今、そこにはローイックとキャスリーンの姿があった。ローイックは相変わらずの文官の紺色の詰襟でキャスリーンは白い騎士姿で帯剣している。このところ宮殿でよく見かけるカップルだった。
「ここに何があるってのよ」
キャスリーンが腰に手を当てて不服そうな顔をしている。こんなところにいる必要はないと言わんばかりだ。
「ちょっと、面白いものがあるんですよ」
ローイックは本棚のとある場所を探していた。以前帝国の歴史書があった場所だ。床に座り込み、本棚の最下段辺りでごそごそと歴史書を取り出しては脇に山積みにしている。
「面白いもの?」
「えぇ。うまく使えれば、ですけど。って使わなきゃダメなんだよな」
ローイックは一冊の書を歴史書の奥から取り出した。まだ新しそうな紙質の書だ。それほど厚くはなく、表紙には何も書かれていない。
「へぇ、まだあるんだ」
本棚の奥を見ているローイックは意外そうな顔をした。手を伸ばし、別な書を取り出していく。
「なーに、それ?」
ローイックの右隣にキャスリーンが腰を下ろして、ぴったりとくっ付いてきた。肩と肩が触れあう距離だ
「あの、姫様? 近く、ないですか?」
キャスリーンの髪から漂ってくる香料の匂いにローイックは体をびくつかせた。キャスリーンは自分の物だ、と言った事でかえって意識してしまっているのだ。なんだかキャスリーンがわざと近づいている気もしているが。ともかくローイックはどぎまぎしていた。
「だ、だってミーティアが、仲睦まじくしてた方が、おびき出すのに良いって言ってたから」
キャスリーンは頬を赤く染め、ぷいっと横を向いた。キャスリーンもローイックを意識しているのか、ちょっとぎこちない。キャスリーンが器用な性格はしていないことは、ローイックもよく分かっている。良くも悪くも正直であり、そこがキャスリーンのいい所でもあり、こんな所もローイックは好きなのだ。
だがその陰でミーティアの名前が出たことにローイックは引っかかったが、すぐに頭を切り替えた。
「ま、まぁ、そうかもしれませんが、ここにはほとんど人はいませんよ」
第一書庫はどうでもよい資料もあることもあり、常に人がいる事は無い場所だった。いたとしてもそれなりに広い空間なために、偶然でもなければ近くに人がいる事もないのだ。
「え……そ、そうね。いない、わね」
キャスリーンはそう言って、ほんのちょっぴりだけローイックから離れた。指一本くらいの隙間ではあるが。一般的にそれは離れたとは言わない。遠目には何も変わっていないのだ。ちょっと離れた所から見ているハーヴィーが肩を落として「俺に見せつけてどうするんだ」とぼそっとこぼした。
「次は第二書庫に行きます」
ローイックとキャスリーンが宮殿の廊下を並んで歩いている。その後ろにハーヴィーがついて行く。それが移動時の護衛型になっていた。
「あれ、そっちも調べるの?」
「えぇ、確認したい事がありまして」
「コレについて?」
キャスリーンが、肩にかけて持っている袋をちらっと見た。その袋の中には先程第一書庫から持ち出した書が入っている。
本来皇女に持たせるべきものではないが、ローイックが片腕なのと怪しまれたくないからというのが理由だった。宮殿を警護する第一騎士団の騎士でも、キャスリーンに対し、所持しているものを見せろ、とはなかなか言えないのだ
ローイックは返事代わりにニコッと微笑んだ。キャスリーンはまたも頬を赤くし、そっぽを向いた。意識したり無意識だったりとこの二人は忙しい。見せ付けられているハーヴィーにはいい迷惑だったが。
「殿下、質問してもよろしいでしょうか?」
後ろからそのハーヴィーが声をかけてきた。
「ん?」
何事かと二人は足を止め後ろに首を回す。二人とも並んでいる内側から首を回した。しかも同時にだ。その息のぴったり合い具合にハーヴィーもあきれ顔だった。
「どうした、ハーヴィー殿?」
「いえ、殿下がマーべリク家にお輿入れとなった場合に、侍女などの付き人はどうなるのかなと思いまして」
ハーヴィーは妙に神妙な顔でキャスリーンに聞いている。ローイックは何でそんな事を聞くのだ、と首を捻った。
「ハーヴィー、それがどうかしたのか?」
「あのなぁ、俺は騎士団の副団長なんだぞ、王都の警備の指揮も執ってるんだ。殿下が住まわれた場合の警備体制とかも考えておかなきゃいけないんだ。人員の都合とかな、結構根回しが大変なんだよ」
ハーヴィーが口を歪めた。キャスリーンには皇族に応対する騎士らしく話すが、ローイックとはため口で、地が出る。ミーティアが混ざると、会話が更に不思議なものになる。更に、キャスリーンのいつもの凛々しさが、ローイックの傍にいる関係で完全に崩れてしまっていた。偶に凛々しかったりして、かなり混乱している。
「あー、姉の時は、侍女長がついて行ったくらいだったかな。ただ姉の嫁ぎ先が国内だったから……国外の場合何とも言えない……前例から考えると、相手との話し合いで決まる、かな?」
「という事は、ミーティア嬢が帝国に残るということですか?」
「可能性としてはね。あたしとしては一緒に来て欲しいけど。」
キャスリーンの言葉を聞くハーヴィーの表情は曇っていた。
「ハーヴィー、なんか具合悪いのか?」
「いや、そんなことは無いさ」
かぶりを振るハーヴィーの表情はすぐれないままだ。ローイックは気になったがそれ以上の追及は止めておいた。
宮殿内の第一騎士団の部屋では、相変わらずホークが荒れていた。ローイックに馬鹿にされたと言うのもあるが、今しがた受けた報告のせいもあった。真新しい椅子を蹴り、八つ当たりをしている。
「第二書庫に行ったぁ? 何しに行ったんだっつうか、なんでアイツが中に入れるんだよ! あそこにゃ機密もあるだろうが!」
吼えるホークに対して部下は怯えながら口を開いた。
「そ、それがキャスリーン殿下と一緒に来て、宰相殿の名前を出してきたとかで……」
「何だと!」
「ひぃぃっ!」
眦を上げて怒りを表すホークに部下の騎士は後ずさったが追い掛けるようにホークが一歩を踏み出す。
「書庫を警備してる奴はなんで止めないんだ!」
「で、ですから殿下が……」
「クソッタレが!」
「ひぃぃっ!」
貴族出身の騎士とはいえ皇族を止められるものではない。しかもヴァルデマルの名前も出されれば、どうしようもない。責める方が間違っているというものだ。
「ちっ、なんで第二書庫に行ったんだ」
「あ、後を付けている者に確認したところ、第一書庫にも行っているという話です」
「第一書庫だと?」
ホークは部下の騎士ににじり寄った。明らかに目が血走っていて、狼狽しているのが分る。
「し、暫くいた後に第二書庫に向かったと」
「くそっ、忌々しい……」
ホークが舌打ちをした時に、部屋の扉がノックされた。
「誰だ!」
「はっ、ノイマンです。あの、イレーヌ様がお越しなのですが……」
ホークが八つ当たり気味に応えると、扉の向こうの男はおずおずとした声で伝えてきた。
「おい、片づけろ」
ホークは鏡にいき、櫛で髪を整えながら、報告をしていた騎士に片付けを命じた。言われた騎士は渋々と言った感じでのろのろと片付けを始める。騎士の態度から、これが当たり前の日常のようだ。
さっと身支度を整えたホークが優男のさわやかな笑みの仮面貼りつけ、ドアを開けた。ドアの向こうに亜麻色の髪を綺麗に編み込み、右の肩から胸へと流した、可愛らしい女性が待っている。年のころは二十歳前後、名前をイレーヌ・パラディールと言い、パラディール侯爵の娘でホークの恋人だ。
「イレーヌ、君はいつも美しいね。こんな所にまで、どうしたんだい? 今夜の観劇まで待てなかったのかい?」
先程までとは打って変わり優しい口調で彼女に話しかけ、手をとり、指先に唇を落とした。ホークが手を放すと、イレーヌはホークにぎゅっと抱き付いた。
「先日、ホーク様があの男と喧嘩になりそうだったと聞いて、お怪我などしていないか心配で、宮殿まで来てしまいました!」
「はは、大丈夫ですよ。これでも私は騎士団長です。あのような不躾な男には引けを取りません」
ホークは彼女を宥める様に頭に手を乗せ、撫でている。
「で、でも、あの国の野蛮な騎士も傍にいたと聞きました。私は心配で、いてもたってもいられなくなってしまったの……」
イレーヌは芝居がかった動きでホークに枝垂れかかる。
「あぁ、愛しいイレーヌ。私は大丈夫さ。我が第一騎士団が宮殿の安全を守っているからね。宮殿内での狼藉など、許すはずがないよ」
対するホークも大袈裟な動作で応える。部屋で報告をしていた騎士は居ずらいのか、そそくさと部屋を出て行った。
「あぁ、そうですわね、私のホーク様は栄えある騎士団長様ですものね。でも皇女殿下も囚われの身の様に連れまわされていると聞きました。一体宮殿はどうなってしまったのですか?」
「ははっ、皇女殿下の縁談の話が急に出て、一時的に混乱しているだけさ。誤報だと知れば、すぐにいつもの平穏を取り戻すさ。すぐに、ね」
イレーヌを腕の中に抱くホークの顔は、言葉とは裏腹な表情になっていた。
「ここに何があるってのよ」
キャスリーンが腰に手を当てて不服そうな顔をしている。こんなところにいる必要はないと言わんばかりだ。
「ちょっと、面白いものがあるんですよ」
ローイックは本棚のとある場所を探していた。以前帝国の歴史書があった場所だ。床に座り込み、本棚の最下段辺りでごそごそと歴史書を取り出しては脇に山積みにしている。
「面白いもの?」
「えぇ。うまく使えれば、ですけど。って使わなきゃダメなんだよな」
ローイックは一冊の書を歴史書の奥から取り出した。まだ新しそうな紙質の書だ。それほど厚くはなく、表紙には何も書かれていない。
「へぇ、まだあるんだ」
本棚の奥を見ているローイックは意外そうな顔をした。手を伸ばし、別な書を取り出していく。
「なーに、それ?」
ローイックの右隣にキャスリーンが腰を下ろして、ぴったりとくっ付いてきた。肩と肩が触れあう距離だ
「あの、姫様? 近く、ないですか?」
キャスリーンの髪から漂ってくる香料の匂いにローイックは体をびくつかせた。キャスリーンは自分の物だ、と言った事でかえって意識してしまっているのだ。なんだかキャスリーンがわざと近づいている気もしているが。ともかくローイックはどぎまぎしていた。
「だ、だってミーティアが、仲睦まじくしてた方が、おびき出すのに良いって言ってたから」
キャスリーンは頬を赤く染め、ぷいっと横を向いた。キャスリーンもローイックを意識しているのか、ちょっとぎこちない。キャスリーンが器用な性格はしていないことは、ローイックもよく分かっている。良くも悪くも正直であり、そこがキャスリーンのいい所でもあり、こんな所もローイックは好きなのだ。
だがその陰でミーティアの名前が出たことにローイックは引っかかったが、すぐに頭を切り替えた。
「ま、まぁ、そうかもしれませんが、ここにはほとんど人はいませんよ」
第一書庫はどうでもよい資料もあることもあり、常に人がいる事は無い場所だった。いたとしてもそれなりに広い空間なために、偶然でもなければ近くに人がいる事もないのだ。
「え……そ、そうね。いない、わね」
キャスリーンはそう言って、ほんのちょっぴりだけローイックから離れた。指一本くらいの隙間ではあるが。一般的にそれは離れたとは言わない。遠目には何も変わっていないのだ。ちょっと離れた所から見ているハーヴィーが肩を落として「俺に見せつけてどうするんだ」とぼそっとこぼした。
「次は第二書庫に行きます」
ローイックとキャスリーンが宮殿の廊下を並んで歩いている。その後ろにハーヴィーがついて行く。それが移動時の護衛型になっていた。
「あれ、そっちも調べるの?」
「えぇ、確認したい事がありまして」
「コレについて?」
キャスリーンが、肩にかけて持っている袋をちらっと見た。その袋の中には先程第一書庫から持ち出した書が入っている。
本来皇女に持たせるべきものではないが、ローイックが片腕なのと怪しまれたくないからというのが理由だった。宮殿を警護する第一騎士団の騎士でも、キャスリーンに対し、所持しているものを見せろ、とはなかなか言えないのだ
ローイックは返事代わりにニコッと微笑んだ。キャスリーンはまたも頬を赤くし、そっぽを向いた。意識したり無意識だったりとこの二人は忙しい。見せ付けられているハーヴィーにはいい迷惑だったが。
「殿下、質問してもよろしいでしょうか?」
後ろからそのハーヴィーが声をかけてきた。
「ん?」
何事かと二人は足を止め後ろに首を回す。二人とも並んでいる内側から首を回した。しかも同時にだ。その息のぴったり合い具合にハーヴィーもあきれ顔だった。
「どうした、ハーヴィー殿?」
「いえ、殿下がマーべリク家にお輿入れとなった場合に、侍女などの付き人はどうなるのかなと思いまして」
ハーヴィーは妙に神妙な顔でキャスリーンに聞いている。ローイックは何でそんな事を聞くのだ、と首を捻った。
「ハーヴィー、それがどうかしたのか?」
「あのなぁ、俺は騎士団の副団長なんだぞ、王都の警備の指揮も執ってるんだ。殿下が住まわれた場合の警備体制とかも考えておかなきゃいけないんだ。人員の都合とかな、結構根回しが大変なんだよ」
ハーヴィーが口を歪めた。キャスリーンには皇族に応対する騎士らしく話すが、ローイックとはため口で、地が出る。ミーティアが混ざると、会話が更に不思議なものになる。更に、キャスリーンのいつもの凛々しさが、ローイックの傍にいる関係で完全に崩れてしまっていた。偶に凛々しかったりして、かなり混乱している。
「あー、姉の時は、侍女長がついて行ったくらいだったかな。ただ姉の嫁ぎ先が国内だったから……国外の場合何とも言えない……前例から考えると、相手との話し合いで決まる、かな?」
「という事は、ミーティア嬢が帝国に残るということですか?」
「可能性としてはね。あたしとしては一緒に来て欲しいけど。」
キャスリーンの言葉を聞くハーヴィーの表情は曇っていた。
「ハーヴィー、なんか具合悪いのか?」
「いや、そんなことは無いさ」
かぶりを振るハーヴィーの表情はすぐれないままだ。ローイックは気になったがそれ以上の追及は止めておいた。
宮殿内の第一騎士団の部屋では、相変わらずホークが荒れていた。ローイックに馬鹿にされたと言うのもあるが、今しがた受けた報告のせいもあった。真新しい椅子を蹴り、八つ当たりをしている。
「第二書庫に行ったぁ? 何しに行ったんだっつうか、なんでアイツが中に入れるんだよ! あそこにゃ機密もあるだろうが!」
吼えるホークに対して部下は怯えながら口を開いた。
「そ、それがキャスリーン殿下と一緒に来て、宰相殿の名前を出してきたとかで……」
「何だと!」
「ひぃぃっ!」
眦を上げて怒りを表すホークに部下の騎士は後ずさったが追い掛けるようにホークが一歩を踏み出す。
「書庫を警備してる奴はなんで止めないんだ!」
「で、ですから殿下が……」
「クソッタレが!」
「ひぃぃっ!」
貴族出身の騎士とはいえ皇族を止められるものではない。しかもヴァルデマルの名前も出されれば、どうしようもない。責める方が間違っているというものだ。
「ちっ、なんで第二書庫に行ったんだ」
「あ、後を付けている者に確認したところ、第一書庫にも行っているという話です」
「第一書庫だと?」
ホークは部下の騎士ににじり寄った。明らかに目が血走っていて、狼狽しているのが分る。
「し、暫くいた後に第二書庫に向かったと」
「くそっ、忌々しい……」
ホークが舌打ちをした時に、部屋の扉がノックされた。
「誰だ!」
「はっ、ノイマンです。あの、イレーヌ様がお越しなのですが……」
ホークが八つ当たり気味に応えると、扉の向こうの男はおずおずとした声で伝えてきた。
「おい、片づけろ」
ホークは鏡にいき、櫛で髪を整えながら、報告をしていた騎士に片付けを命じた。言われた騎士は渋々と言った感じでのろのろと片付けを始める。騎士の態度から、これが当たり前の日常のようだ。
さっと身支度を整えたホークが優男のさわやかな笑みの仮面貼りつけ、ドアを開けた。ドアの向こうに亜麻色の髪を綺麗に編み込み、右の肩から胸へと流した、可愛らしい女性が待っている。年のころは二十歳前後、名前をイレーヌ・パラディールと言い、パラディール侯爵の娘でホークの恋人だ。
「イレーヌ、君はいつも美しいね。こんな所にまで、どうしたんだい? 今夜の観劇まで待てなかったのかい?」
先程までとは打って変わり優しい口調で彼女に話しかけ、手をとり、指先に唇を落とした。ホークが手を放すと、イレーヌはホークにぎゅっと抱き付いた。
「先日、ホーク様があの男と喧嘩になりそうだったと聞いて、お怪我などしていないか心配で、宮殿まで来てしまいました!」
「はは、大丈夫ですよ。これでも私は騎士団長です。あのような不躾な男には引けを取りません」
ホークは彼女を宥める様に頭に手を乗せ、撫でている。
「で、でも、あの国の野蛮な騎士も傍にいたと聞きました。私は心配で、いてもたってもいられなくなってしまったの……」
イレーヌは芝居がかった動きでホークに枝垂れかかる。
「あぁ、愛しいイレーヌ。私は大丈夫さ。我が第一騎士団が宮殿の安全を守っているからね。宮殿内での狼藉など、許すはずがないよ」
対するホークも大袈裟な動作で応える。部屋で報告をしていた騎士は居ずらいのか、そそくさと部屋を出て行った。
「あぁ、そうですわね、私のホーク様は栄えある騎士団長様ですものね。でも皇女殿下も囚われの身の様に連れまわされていると聞きました。一体宮殿はどうなってしまったのですか?」
「ははっ、皇女殿下の縁談の話が急に出て、一時的に混乱しているだけさ。誤報だと知れば、すぐにいつもの平穏を取り戻すさ。すぐに、ね」
イレーヌを腕の中に抱くホークの顔は、言葉とは裏腹な表情になっていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる