79 / 179
魔王誕生(?)秘話3
しおりを挟む
シリウスはため息をつきたいのを堪えた。
あえて人間と交流を断った弊害か、人間たちは自分たちではどうしようもない災害の責任を押し付けてきたのだ。
これだけは言っておかなければと、シリウスは男の目を真っ直ぐ見る。
「……それは私たちのせいではない」
「嘘をつくな!」
男は憎悪のこもった目でシリウスを睨み、激しい斬撃を放った。
それをシリウスはなんとか受け止める。
「お前たちが世界を滅亡させるためにいろいろ画策していることは知っている! こんな国モドキなど作って、異種族を集めてなぁ!」
とんだ被害妄想に、シリウスの顔が険しくなる。
この国は、人間に関わらず、異種族が自由に平和に暮らすために築いてきたものだ。それをそんな歪んだ解釈をされるとは思ってもみなかった。
身体強化魔法を駆使し、シリウスは男の剣を弾く。
男とシリウスの間に距離ができた。
「なぁ、魔王? お前、そんなに人間が憎いのか? なんの罪もない奴らを殺すくらい?」
「……だから私たちはやっていないと言ったが?」
「嘘をつくな!」
「ついていない!」
吼える男に負けじとシリウスも叫ぶ。
「ああ、そうだ! 私は人間が嫌いだ!
特に何も罪のない者を異種族だからと殺す精神が嫌いだ!
だから私はそんな奴らと同じになりたくないから、罪もない者に手を掛けないことを魂に誓っているんだ!」
「ふざけたことを!」
男が斬りかかったのをシリウスは受け止める。
「じゃあ、聞くが!なぜ、お前は罪のない者を手にかけた!? 明らかに何も関係していない子供に手をかけた!?」
「人間で生まれなかった時点で罪なんだよ!」
男の言い草に、シリウスの中の何かが切れた。
「……わかった」
ひときわ落ち着いた低い声で言うと、男の剣を身体強化魔法を全開にして、弾く。
そして、剣先を男に向けた。
「言葉が通じると思ったのが、間違いだった。
お前は、私が責任を持って斬る」
「やれるもんならやってみろ!」
男はいっそう強く剣を振り下ろす。
それをシリウスは受け止める。
息もつかせぬ攻防だが、シリウスの方が押されていた。
男はおそらく、人間のなかでも高い剣術の腕を持っているのだろう。
対してシリウスは、剣はたまに趣味で行うくらいで、けして強いというわけではなかった。
それでもシリウスがなんとか男の剣を受け止めることができるのは、シリウスの身体強化魔法が群を抜いて強力だからだ。
だからこそ、男の猛攻を受け止めることができるのである。
だが、それも防ぐのが精一杯で、攻撃に転ずることはできない。
服に、髪に、皮膚に、浅いとはいえ、防ぎきれなかった傷が増えていく。
それでも、シリウスの目は光を失っていなかった。
致命的な一撃をすべて受け止めるか躱すかを繰り返す。
だが、それも限界がきた。
シリウスの背中が壁にぶつかったのだ。
男が残虐にニィと嗤う。
「これで終わりだ!」
男がとどめの一撃をくわえるために大きく振りかぶった。
その時、男の立っていた地面が消えた。
「は?」
何が起こったかわからない男は、一瞬呆ける。
その一瞬を、シリウスは見逃さなかった。
シリウスは一歩踏み出し、男の脇から反対の胸へと斜めに一直線に斬る。
男もすぐにシリウスを斬ったが、体勢を崩していたためうまく力が入らず、浅い傷をつけただけだ。
そして、そのまま引力に従い、穴へと落ちていった。
あえて人間と交流を断った弊害か、人間たちは自分たちではどうしようもない災害の責任を押し付けてきたのだ。
これだけは言っておかなければと、シリウスは男の目を真っ直ぐ見る。
「……それは私たちのせいではない」
「嘘をつくな!」
男は憎悪のこもった目でシリウスを睨み、激しい斬撃を放った。
それをシリウスはなんとか受け止める。
「お前たちが世界を滅亡させるためにいろいろ画策していることは知っている! こんな国モドキなど作って、異種族を集めてなぁ!」
とんだ被害妄想に、シリウスの顔が険しくなる。
この国は、人間に関わらず、異種族が自由に平和に暮らすために築いてきたものだ。それをそんな歪んだ解釈をされるとは思ってもみなかった。
身体強化魔法を駆使し、シリウスは男の剣を弾く。
男とシリウスの間に距離ができた。
「なぁ、魔王? お前、そんなに人間が憎いのか? なんの罪もない奴らを殺すくらい?」
「……だから私たちはやっていないと言ったが?」
「嘘をつくな!」
「ついていない!」
吼える男に負けじとシリウスも叫ぶ。
「ああ、そうだ! 私は人間が嫌いだ!
特に何も罪のない者を異種族だからと殺す精神が嫌いだ!
だから私はそんな奴らと同じになりたくないから、罪もない者に手を掛けないことを魂に誓っているんだ!」
「ふざけたことを!」
男が斬りかかったのをシリウスは受け止める。
「じゃあ、聞くが!なぜ、お前は罪のない者を手にかけた!? 明らかに何も関係していない子供に手をかけた!?」
「人間で生まれなかった時点で罪なんだよ!」
男の言い草に、シリウスの中の何かが切れた。
「……わかった」
ひときわ落ち着いた低い声で言うと、男の剣を身体強化魔法を全開にして、弾く。
そして、剣先を男に向けた。
「言葉が通じると思ったのが、間違いだった。
お前は、私が責任を持って斬る」
「やれるもんならやってみろ!」
男はいっそう強く剣を振り下ろす。
それをシリウスは受け止める。
息もつかせぬ攻防だが、シリウスの方が押されていた。
男はおそらく、人間のなかでも高い剣術の腕を持っているのだろう。
対してシリウスは、剣はたまに趣味で行うくらいで、けして強いというわけではなかった。
それでもシリウスがなんとか男の剣を受け止めることができるのは、シリウスの身体強化魔法が群を抜いて強力だからだ。
だからこそ、男の猛攻を受け止めることができるのである。
だが、それも防ぐのが精一杯で、攻撃に転ずることはできない。
服に、髪に、皮膚に、浅いとはいえ、防ぎきれなかった傷が増えていく。
それでも、シリウスの目は光を失っていなかった。
致命的な一撃をすべて受け止めるか躱すかを繰り返す。
だが、それも限界がきた。
シリウスの背中が壁にぶつかったのだ。
男が残虐にニィと嗤う。
「これで終わりだ!」
男がとどめの一撃をくわえるために大きく振りかぶった。
その時、男の立っていた地面が消えた。
「は?」
何が起こったかわからない男は、一瞬呆ける。
その一瞬を、シリウスは見逃さなかった。
シリウスは一歩踏み出し、男の脇から反対の胸へと斜めに一直線に斬る。
男もすぐにシリウスを斬ったが、体勢を崩していたためうまく力が入らず、浅い傷をつけただけだ。
そして、そのまま引力に従い、穴へと落ちていった。
0
あなたにおすすめの小説
なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!
日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」
見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。
神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。
特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。
突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。
なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。
・魔物に襲われている女の子との出会い
・勇者との出会い
・魔王との出会い
・他の転生者との出会い
・波長の合う仲間との出会い etc.......
チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。
その時クロムは何を想い、何をするのか……
このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ゴミ捨て場領主のクラフト無双 ~最弱魔法【分解と合成】で領地を黄金郷に変えたら、俺を見下していた大貴族令嬢たちが掌を返してすり寄ってきた件~
namisan
ファンタジー
東西南北の大貴族から「毒の川」「凶暴な魔獣」「莫大な借金」を押し付けられ、王国の『ゴミ捨て場』と化したローゼンベルク領。
父と兄を謀殺され、その絶望の領地を押し付けられた無能貴族のアークは、領地の分割を企む高慢な令嬢たち(王女、公爵令嬢、姫将軍など)に嘲笑われていた。
だが、彼には現代の知識と、隠された最強チート能力があった!
触れたものを瞬時に素材に戻し、全く別のモノに作り変える神の御業――【分解と合成】。
「毒の川」を分解して『超高価な宝石と純水』へ!
「魔獣の死骸」と「瓦礫」を合成して『絶対に壊れない防壁』へ!
借金取りには新素材を高値で売りつけ、逆に敵の経済を支配していく。
圧倒的なクラフト能力で、瞬く間にゴミ捨て場を「無敵の黄金郷」へと作り変えていくアーク。
己の敗北を悟り、震え上がる悪徳貴族と高慢な令嬢たち。
さらに、アークの圧倒的な知略と底知れぬ実力は、気高い令嬢たちの本能に深く刻み込まれていく。
「どうか、私をあなたの手駒としてお使いください……っ!」
プライドを完全にへし折られた最高位の美少女たちは、いつしかアークの与える『恩恵』なしでは生きられないほど、彼に絶対の忠誠と依存を誓うようになっていく――。
最弱のゴミ捨て場から始まる、爽快クラフト内政&ざまぁファンタジー、堂々開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる