131 / 179
魔王、巻き込まれる
しおりを挟む
ツバイが魔王のもとにたどり着いた頃、クリスたちも面倒事に遭遇していた。
森の中を歩いていて、騎士団に遭遇したのだ。
「お前たちか! 姫を拐った邪悪な魔族どもは!」
中央に居た金髪の髪と濃い藍色の瞳を持つ十代半ばくらいの少年がクリスたちに向かって叫ぶ。
「姫?」
クリスは一瞬「誰のことだっけ?」と首を傾げた。だが「げっ!?」とメイが今まで聞いたことのない声を洩らしたので、彼女がとある国の姫だったことを思い出す。
「ロベルア王国のメイ姫のことだ! 忘れたとは言わせぬぞ!」
「うん。今、思い出した」
「ふざけるな!」
少年は怒るが、別にクリスはふざけた訳ではない。ただ、メイが姫であることを忘れていただけだ。
「ともかく、勇者を騙る魔族よ! 大人しくメイをこちらに渡して貰おうか! さもないと、ただでは済まさないぞ!」
「……知り合いかい?」
少年が憤っている中、クリスは小声でメイに話しかける。
「はい。隣の国の王子で、何回か求婚されたことがあります」
全く動じていないクリスたちに少年は更に怒りを募らせた。
「そこ、何をこそこそと……ってメイ!?」
クリスが話しているのがメイだと気付き、少年は目を丸くする。
「おお! メイよ! このカルヴァニア王国のユートが助けに参りましたぞ!」
「必要ありません!」
少年、ユートの申し出をメイはキッパリと拒絶した。
「私は自分の意思でクリス様についていっているのです! 助けてもらう必要なんてありません!」
「な、なんと……」
衝撃を受けたユートはクリスを睨む。
「おのれ、邪悪な魔族め! メイに何か洗脳でもしたのか!?」
「いや、何もしてないけど」
クリスは即座に否定したが、ユートは聞いていなかった。
「おい、魔族! メイをかけて私と勝負しろ! そして私が勝ったらメイを渡して貰おうか!」
そう言ってクリスの前に立ちはだかる。
「ええ……」
クリスが困惑していると、誰かがクリスの服の裾を引く。
目を向けると、メイがこちらを真っ直ぐ見て裾をギュッと掴んでいた。その目が「帰りたくない」と言っているように見える。
クリスは軽く息を吐く。
「わかった。その勝負を受けるよ」
魔王にクリスの情報が伝わった以上、この先は今まで以上に危険かもしれない。それに彼女を巻き込むのはどうなのかとクリスは迷っていた。
だが、尊重すべきなのはメイの意識だ。
彼女がついていくというのなら、クリスは今まで以上に仲間を守ればいいだけだ。
クリスがユートの前でゆっくりとシャルルを抜き構えると、ユートは即座に素早く剣を抜く。
そして間髪入れずに斬りかかってきた。
「うおぉ!」
そうやって叩き込んだ必殺の一撃は、クリスの剣によって軽々遮られる。
続けて何度もユートは斬擊を繰り出すが、そのすべてをクリスは捌いた。
「くっ!」
それでもユートは諦めず、勢いよく剣を振り下ろした。
次の瞬間、その剣は手から離れて宙を舞う。
呆然としているユートの喉元にクリスの持つシャルルの切っ先が真っ直ぐ狙いを澄ましていた。
「僕の勝ちだね」
青い顔で冷や汗をかくユートにクリスは勝利を告げた。
森の中を歩いていて、騎士団に遭遇したのだ。
「お前たちか! 姫を拐った邪悪な魔族どもは!」
中央に居た金髪の髪と濃い藍色の瞳を持つ十代半ばくらいの少年がクリスたちに向かって叫ぶ。
「姫?」
クリスは一瞬「誰のことだっけ?」と首を傾げた。だが「げっ!?」とメイが今まで聞いたことのない声を洩らしたので、彼女がとある国の姫だったことを思い出す。
「ロベルア王国のメイ姫のことだ! 忘れたとは言わせぬぞ!」
「うん。今、思い出した」
「ふざけるな!」
少年は怒るが、別にクリスはふざけた訳ではない。ただ、メイが姫であることを忘れていただけだ。
「ともかく、勇者を騙る魔族よ! 大人しくメイをこちらに渡して貰おうか! さもないと、ただでは済まさないぞ!」
「……知り合いかい?」
少年が憤っている中、クリスは小声でメイに話しかける。
「はい。隣の国の王子で、何回か求婚されたことがあります」
全く動じていないクリスたちに少年は更に怒りを募らせた。
「そこ、何をこそこそと……ってメイ!?」
クリスが話しているのがメイだと気付き、少年は目を丸くする。
「おお! メイよ! このカルヴァニア王国のユートが助けに参りましたぞ!」
「必要ありません!」
少年、ユートの申し出をメイはキッパリと拒絶した。
「私は自分の意思でクリス様についていっているのです! 助けてもらう必要なんてありません!」
「な、なんと……」
衝撃を受けたユートはクリスを睨む。
「おのれ、邪悪な魔族め! メイに何か洗脳でもしたのか!?」
「いや、何もしてないけど」
クリスは即座に否定したが、ユートは聞いていなかった。
「おい、魔族! メイをかけて私と勝負しろ! そして私が勝ったらメイを渡して貰おうか!」
そう言ってクリスの前に立ちはだかる。
「ええ……」
クリスが困惑していると、誰かがクリスの服の裾を引く。
目を向けると、メイがこちらを真っ直ぐ見て裾をギュッと掴んでいた。その目が「帰りたくない」と言っているように見える。
クリスは軽く息を吐く。
「わかった。その勝負を受けるよ」
魔王にクリスの情報が伝わった以上、この先は今まで以上に危険かもしれない。それに彼女を巻き込むのはどうなのかとクリスは迷っていた。
だが、尊重すべきなのはメイの意識だ。
彼女がついていくというのなら、クリスは今まで以上に仲間を守ればいいだけだ。
クリスがユートの前でゆっくりとシャルルを抜き構えると、ユートは即座に素早く剣を抜く。
そして間髪入れずに斬りかかってきた。
「うおぉ!」
そうやって叩き込んだ必殺の一撃は、クリスの剣によって軽々遮られる。
続けて何度もユートは斬擊を繰り出すが、そのすべてをクリスは捌いた。
「くっ!」
それでもユートは諦めず、勢いよく剣を振り下ろした。
次の瞬間、その剣は手から離れて宙を舞う。
呆然としているユートの喉元にクリスの持つシャルルの切っ先が真っ直ぐ狙いを澄ましていた。
「僕の勝ちだね」
青い顔で冷や汗をかくユートにクリスは勝利を告げた。
0
あなたにおすすめの小説
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
ハズレスキル『自動販売機』を授かって婚約破棄されましたが、 実は回復薬も魔力食も出せる最強スキルでした
暖夢 由
ファンタジー
十八歳の成人儀式で授かったのは、誰も聞いたことのない《自動販売機スキル》。
役立たずと嘲られ、婚約者レオンには即座に婚約を破棄され、人生が崩れ落ちたように思えた。
だがそのスキルには、食べ物を作り、摂取すれば魔力を増やし、さらに“治癒効果”を付与できるという隠された力があった。
倒れた母を救い、王都の名門・ヴァルセイン伯爵夫人を救ったことで、カミーラは“呪詛”という闇の存在を知る。伯爵邸で出会った炎の力を持つ公爵家次男レグナスとの出会いが、彼女の運命を大きく変えていく。
やがて王都全体に“謎の病”が蔓延。カミーラは治癒スープの炊き出しを行い、人々を次々と回復へ導く。
一方、病の裏で糸を引いていたのは………。
“無価値”と嘲られたスキルが、いま世界を癒し、未来を照らす光となる――。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる