その勇者、実は魔王(改訂版)

そこら辺の人🏳️

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魔王、喧嘩する

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 マイクは空を飛びながら、地上を見渡していた。青みのかかった白い髪に藤色の瞳、ねじ曲がった角のある、端正な顔立ちをした魔族である。先日、魔王から勇者となった魔族を探し、倒すように命じられたから、上空から探しているのだ。
 勇者は黒い髪、金色の瞳に赤い帽子を被っている魔族だそうだ。

(……特徴だけ聞くと、あいつみたいな)

 同い年の友人を思い出し、マイクは苦笑する。



「25さい? おなじだねぇ」

 初めて会った時、自分よりも小さい子供はそう言って、ふにゃっと笑った。
 マイクは「こいつ、何言ってんだ?」と顔をしかめた。
 自分と同い年の魔族は、城に住む王子だけだと聞いたことがあったからだ。
 しかもどう見ても自分より小さい上に、大量にじゃらじゃらと制御具を着けるような、魔法もろくに制御できていないそいつは同い年には到底見えなかった。
 後にその子供が城から脱走した王子だと聞いた時は「え、あんな奴が王子で今後この国大丈夫なのか?」と幼いながら心配になったものだ。

 その後、魔力が制御できるようになったその子供はたびたび城下に遊びに行き、マイクもそれに付き合わされた。
 自分よりも小さい子供は一緒にいると兄弟に間違われることがあり、その度に頬を膨らませて怒っていた。最後に会ったのは200年ほど前だが、すでに大人になったその時でも未成年によく間違われて同じように怒っていたものだ。
 子供は好奇心旺盛で、気になることがあると深く考えずに突っ込むところがあった。時には危ない目に合い散々怒られたが、全く懲りず、また突っ込もうとするところには、実はちょっと辟易していた。

 それでも、その友人と過ごすのは冒険みたいで楽しかった。そんな日々が続けばいいとも思っていた。

 そんな友人と別れて、国を出たのは、そいつが王になる頃だった。



「マイク、本当にこの国を出るのかい?」

 友人は少し俯きながら聞いた。
 マイクは迷いなく頷く。

「ああ。外がどうなっているか知りたいからな」

 ヒオン国は基本閉ざされた国で、国交は海の国であるアリスリア国以外はない。国外にある国は人間の国だけだという。
 それが本当なのか、人間以外の異種族はいないのか、マイクは知りたかった。

「そっか……」

 友人は寂しそうに笑う。王となる友人には、今までのような自由な時間は限られてくるだろう。マイクについて行くこともできない。

「まぁ、100年くらい経ったら戻ってくるつもりだから、その時に外について話してやるよ」

 マイクは苦笑しながら言うと、友人は頷く。

「楽しみにしているよ。いつまでも、待っているから」

 友人は無理やり明るく笑った。

「おう、楽しみにしてな!」

 マイクは胸を張って屈託なく笑った。

 これが友人との最後の会話になるとはこの時、マイクは思っていなかった。



 この次の日、マイクはヒオン国を出て、外に旅立った。
 そして100年ほど前に異世界に召喚されたのだ。

 それから100年。

 マイクは、まだ、帰る方法すら見付けていなかった。
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