その勇者、実は魔王(改訂版)

そこら辺の人🏳️

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魔王、喧嘩する6

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(なんとかしないと……でも、どうすれば……?)

 焦るマイクの脳裏に、意外と頼りになる友人の顔が浮かぶ。

(あいつなら、この状況をなんとかできるのにな……)

 マイクはその考えを首を振って消した。今いない友人に頼っても仕方ない。
 それにマイクは鍛えている友人と違い、ただの一般的な魔族だ。同じ方法が取れると限らない。
 そして思い付いた方法をすることにマイクは躊躇した。
 ざわめく心を落ち着けるために深呼吸をする。その時吸い込んだ炎の熱や血の匂いがマイクの決意を強固なものにした。
 決心を固めたマイクは、風魔法を襲撃者に放つ。

 ほんの数瞬の間を置いて、鮮血が飛び散った。

「ぐわぁ!?」
「ぎゃあ!?」

 襲撃者たちの悲鳴、取れた腕や裂けた胴体を見て、マイクは吐きそうになり口元を押さえる。意図的に誰かを傷付けるのは初めてだったのだ。

「こいつめ!」

 仲間の仇と言わんばかりに、無事だった襲撃者がマイクに襲いかかる。
 障壁が剣を受け止めるが、マイクは眉をひそめた。
 魔法というのは意思の力、つまり精神がものをいう力だ。マイクの今の精神状態で強力な障壁を保ち続けることができるか不安だった。
 マイクは襲撃者に風の刃を放つ。

「ぐはっ!」

 コントロールが甘かったのか、綺麗な断面にならずにぐちゃぐちゃになってしまう。

「うぐっ……」

 マイクはたまらず嘔吐した。
 ショックで障壁が揺らいでしまう。

 その隙を襲撃者たちは見逃さなかった。

 無事だった襲撃者の数名が、マイクの障壁の1箇所を狙って集中的に火の魔法で攻撃する。
 マイクはその箇所に魔力を収束させ、攻撃を防ごうとした。

 だが、攻撃が障壁を破る方がわずかに早かった。

「クソっ!」 

 マイクは咄嗟に魔族の子供を攻撃から守るように抱える。
 背中に灼熱と激痛が走った。

「ぐっ!」
「マイク兄ちゃん!?」

 大丈夫だと、マイクは無理して微笑む。
 魔族は魔力が高いため、魔法による攻撃に対して耐性が高い。それに自己回復魔法にも優れている。この程度の火傷など大したことないのだ。
 それでも焼けた皮膚は削らなければ治らないため、それらは強がりでしかない。だが、マイクは理屈を思い浮かべることで平静を保つしかなかった。
 負傷したマイクを見て、好機だと思った襲撃者が、凶刃を向けてきたからだ。
 マイクは体を捻ってなんとか剣を躱し、身体中を巡る魔力を身体能力を強化させるために使った。
 子供に絶対に刃が当たらないように、後ろにステップを踏みながら、攻撃を避けていく。

(ちょっとだけ、鍛錬出てよかった……)

 友人が「いざという時のために覚えていた方がいい」と鍛錬に付き合わされたことを、今になって感謝するとは思わなかった。
 とはいえほんの数回で懲りたため大したことはできず、ほとんど身体強化魔法に頼っているが。

「ええい、ちょこまかと!」

 苛立った声を上げる襲撃者たちの剣筋は荒くなる。
 それをギリギリで躱していたマイクだが、ついに限界がきた。
 背中に燃え盛る家の外壁がぶつかった。

(やばい……!)

 マイクは焦る。襲撃者たちはこの隙を逃すほど甘くない。

 凶刃がマイクに迫る。

 その直前、マイクの脳裏にある話が浮かんだ。 

(いちかばちかだ!)

 マイクは襲撃者たちの足元に魔力を込めて渾身の力で魔法を発動する。

 その時、紙一重でマイクに当たりそうになっていた襲撃者たちの刃が大きく軌道を乱した。

「え……?」

 襲撃者たちは何が起こったかわからず足元を見る。

 そこにはさっきまであったはずの地面がなくなっていた。

「う、うわぁぁぁ!!」

 襲撃者たちは絶叫し、マイクが魔法で作った穴に落ちていく。

「た、助かった……」

 マイクは身体中の力が抜けて、地面に座りこんだ。
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