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1巻
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第二章
ティシナを部屋へ運ぶから、とリバードが客間から出て行ってしまった。
室内にはミリアベルとノルトの二人きりだ。
「あの……スティシアーノ卿。申し訳ございません、わざわざ足を運んでいただいたのに……」
「いやいや、気にしないでくれ。短時間で色々な事を聞かされ、夫人も混乱なさったのだろう」
「ありがとうございます」
ミリアベルは「そう言えば」と今更ながら気付く。
思い返してみれば、自分はノルトに挨拶をしていないのでは、と。
ミリアベルは大慌てでソファから立ち上がる。突然のミリアベルの動きにノルトはキョトン、と目を丸くした。
「ご挨拶が遅くなってしまい大変申し訳ございません……スティシアーノ卿! ミリアベル・フィオネスタと申します。すぐにご挨拶をお返しできなかった無礼をお許しください……っ」
深く頭を下げようとするミリアベルをノルトは手で制す。
「頭を下げる必要はない。突然、光・聖魔法の途中覚醒者だと言われて混乱しているだろうに、さらに討伐に同行しろ、とまで言われたんだ。伯爵夫人の動揺はもっともだし、フィオネスタ嬢も混乱しているだろう」
「──いえ……。治癒魔法の使用者は討伐に同行し、戦闘で傷付いた騎士の方たちを治癒する、というのはこの国の国民でしたら誰でも知っている事ですもの。私も、貴族の家に生まれたからには、討伐に同行する事は領民を守る貴族の責務だと重々承知しておりますわ」
きゅっ、と唇を噛み締め、覚悟を決めたかのようなミリアベルを見て、ノルトは眩しそうに目を細めた。
「ありがとう。貴女は強いな、フィオネスタ嬢。そう言ってもらえると心強いよ」
昨日から人の悪意に晒され続けていたミリアベルは、気遣いのこもった暖かい気持ちに、じわりと涙が滲んだ。
「こちらこそ……しばらくご迷惑をお掛けしますが、どうぞよろしくお願いいたします、スティシアーノ卿」
「ああ、一緒に制御訓練を頑張ろうか」
その後、ミリアベルとノルトは世間話をしながらリバードを待つ。
「そう言えば、フィオネスタ嬢の簡単な経歴を確認したのだが、フィオネスタ嬢は五元素魔法の内、火と水も発動出来るんだな?」
「は、はい! 火と水ですと水魔法の方が相性がいいようで、発動までの時間も短いです」
「──そうか、それは使い勝手が良さそうだな……。ああ、フィオネスタ嬢には確か婚約者がいるだろう? その方にもしばらくスティシアーノ公爵家に滞在する事を伝えておいたほうがいい」
「っ、そう……ですね……」
「……?」
ノルトが「婚約者」と言った瞬間、ミリアベルの表情が曇った。
その違和感にノルトは首を傾げる。
先ほどまではにこやかに話していたのに。
――何だ? この違和感は……経歴書には婚約者との仲は良好、と記載されていたが……
ノルトが首を捻っていると、客間の扉の向こうから、急いでいる足音が聞こえて来た。
「──お、お待たせいたしました……!」
リバードが慌てた様子で入室してきて、ノルトに頭を下げる。
ノルトはミリアベルの事を一旦頭の隅に追いやると、リバードに向き直った。
「ご夫人は大丈夫でしたか?」
「ええ、ありがとうございます。……ミリアベルが討伐に同行をするという事を妻は初めて聞きましたので取り乱してしまったようで……今は落ち着いて眠っておりますので、お気になさらず」
落ち着いていると聞き、ミリアベルもほっと息を吐く。
「陛下には異常事態発生時には協力してもらうという事は聞いていたのですが……。本日から、スティシアーノ公爵邸に娘がお邪魔するというのは突然のお話でしたけれど、スティシアーノ卿は大丈夫でしょうか?」
「ええ。私の方は問題ございません。家の者にも知らせを送っていますので、ミリアベル嬢を迎える準備はできておりますよ」
ノルトは何の問題もない、と微笑む。
リバードはぐっと唇を噛むと頭を下げた。
「──娘が……危険な目に遭わぬよう……、厳しく指導してやってください」
「ええ、お任せください。……それに、ご令嬢は私がお守りいたしますのでご安心を」
リバードがノルトを見つめながらそう言うと、ノルトはしっかりと彼と目を合わせて頷く。
ミリアベルをここまで厚待遇で迎えてくれるのはありがたい事である。
手筈を整えるのも大変だったであろう。
ノルトの真っ直ぐな言葉に、ミリアベルはびくりと肩を震わせた。
仕事だから守ると言ってくれただけで、他意はないとわかっているが少し恥ずかしい。
リバードは目礼すると、ミリアベルに視線を移す。
ミリアベルは父の真剣な眼差しにはっとした。
「──ミリアベル……、スティシアーノ卿がお話した通りだ……。近々陛下から正式に異常事態が宣言されるだろうが、お前に怪我をしてほしくない。しっかりと、スティシアーノ卿に魔力制御を教えてもらいなさい」
「──かしこまりましたわ、お父様」
家族と離れて暮らすのはいささか寂しいが、これも貴族の家に生まれた者の務めだ。
国民からの税収で貴族の生活は成り立っている。
その国民が命の危険に曝されるような事が起きたら、力のある者は相応の働きで国民を守る。
リバードも、これから忙しくなるだろう。
この領地を任されている以上、領民や国民を守らねばならない。
ある程度話がまとまった所で、ノルトが自分の懐から魔石の付いた手のひらサイズの置物のような物を取り出し、テーブルの上にコトリと置く。
「ミリアベル嬢の生活に必要な物はこの魔道具で転移してください。公爵家とこの転移用の魔道具は繋がっていまして、生き物以外でしたら送ることができます」
ノルトはここまで説明すると、ああそれと、と言葉を付け足した。
「この魔道具には人に害をもたらすものを弾く魔術式が組み込まれているので、取り扱いを気にする必要はございません。万が一紛失して、悪意を持つ者の手に渡ったとしてもフィオネスタ伯爵家の者以外には発動させる事はできませんので、神経質になっていただかなくても大丈夫です」
「──何から何まで……ご配慮いただきありがとうございます」
「いえ、大事なご令嬢をお預かりするのです。当然の事ですのでお気になさらず」
そこまで話すと、ノルトはミリアベルに視線を移す。
「──では、ミリアベル嬢。そろそろ行きましょう。あちらに着いたら早速魔力制御について学んでいただきますよ」
「はいっ! よろしくお願いいたします!」
ノルトはがばり、と頭を下げるミリアベルにびっくりしたように目を見開く。そして「こちらこそ」と言って優しく微笑んだ。
ノルトが腰を上げると、リバードもゆっくり腰を上げる。
ミリアベルも慌てて立ち上がり、ノルトに続いた。
客間から出ると、弟のラッセルに後ろから呼び掛けられた。
「? なあに、ラッセル」
「──姉様、無理しないでね」
ラッセルはぎゅう、とミリアベルの手を握りながら気遣ってくれる。
ミリアベルは嬉しさを滲ませて微笑むと、「もちろんよ」と答えた。
「少しの間、私がいない間。お父様とお母様をお願いね。お母様の目が覚めたらよろしく伝えておいて」
「──はい」
「ティシナには私からもしっかりと話しておくから、ミリアベルは安心して制御に集中しなさい」
「ありがとうございます、お父様。では、行って参ります……!」
ミリアベルは一度ラッセルを安心させるようにぎゅう、と抱き締めた。リバードには笑顔を返す。
玄関まで見送りに出てくれたリバードとラッセルにミリアベルは手を振り、ノルトは深々と頭を下げる。
そして二人は公爵家が寄越した馬車に向かって歩き出した。
ミリアベルはノルトをそっと盗み見る。
昨日から様々な事が起きて、頭が混乱している。
このままノルトについて行って、学院に行かなくて済むのならばそれはとてもありがたい。
魔力制御を学んで、討伐に同行して、と忙しく過ごしていたら、辛い事や嫌な事を考える時間はないだろう。
ノルトが、ふとミリアベルの方に顔を向ける。
気付かれていたのか、とビクリと震えるミリアベルにノルトは微笑んだ。
「フィオネスタ嬢。色々な事が起こってきっと混乱していると思うが……。魔力制御ができるようになったら、討伐の前に一度家に戻れるように手配しよう」
「ありがとうございます!」
ミリアベルはぱあっと表情を明るくする。
表情を綻ばせたミリアベルを先に馬車に乗せ、ノルトは表情を引き締めると馬車の脇に控えていた王立魔道士団の副団長の下へ向かう。
「──カーティス」
「ノルト。俺も忙しいんだから、ほいほい呼び出すなよなぁ」
カーティスと呼ばれた男は王立魔道士団の副団長を務めており、ノルトとは幼なじみだ。
侯爵家の次男で二歳年上のカーティスは、ノルトの友人であり、兄のような存在でもある。
気心の知れた仲のため、ノルトにはよく今回のように無理難題を押し付けられるが、いつも何だかんだ言いつつもこなしてしまう。
「今回はどんな無茶を俺にさせるつもりだ?」
カーティスは呆れたような目でノルトを見て、後頭部をガリガリとかいている。そのままちらり、と馬車の方に視線を移した。
「ああ──、学院を少々調べて欲しい。何だか妙な事が起きているような気がしてな……。奇跡の乙女が絡んでいる以上、ある程度予測できるが、信仰……いや、もはやそのレベルを越えている可能性がある。崇拝まで行っていたら厄介だ。ここ一年の学院の様子と、……ついでにベスタ・アランドワ。そして奇跡の乙女の実家、フローラモ子爵家を調べてくれ」
「アランドワ? あの侯爵家のか?」
「ああ。のめり込んでいる内の一人だろう……気のせいであればいいが、厄介な事に首を突っ込んでいないか確認してくれ」
ノルトは、ミリアベルの婚約者であるベスタ・アランドワの名前を思い浮かべる。
ミリアベルとの間に何かあった事はミリアベルの態度を見ていれば明白だ。それを確認して、接し方を考えなければ、とノルトは考えた。
「──りょーかい、団長」
「頼んだ。俺はしばらく公爵邸にいるからよろしく」
「……は? おいっ! 魔道士団は!? どうすんだ!」
ノルトはカーティスとの会話を打ち切ると、素早く馬車に乗り込み御者へ出発するように伝える。
窓からカーティスを流し見ると、頭を抱えているようだが、彼に頼んでおけば万事上手く行くだろう。
調べ物はカーティスに頼み、自分は目の前の少女の魔力制御に集中しなければいけない。
フィオネスタ伯爵から聞いた話を、ノルトは今一度思い出す。
治癒魔法は問題なく発動できたのに、体力や精神力の回復はどうやってもできなかった、と言っていた。
国王や伯爵は不思議そうにしていたが、恐らくミリアベルは魔力の発動方法を間違えているのだろう。
治癒魔法が使えているのにそちらが発動できない事はない。
自分には適性がないため光・聖属性の魔法を発動する事はできないが、魔法の発動方法や法則はどれも同じだ。
──ただ一つを除いて。
ノルトはその可能性に行き着いて、これはしばらく秘匿しておかなければいけないな、と頭を悩ませた。
まあ、多分教会にはバレるだろうが……
正面に座るミリアベルを見ると、体に力が入っているようだ。
ノルトは安心させるように再度微笑みかけた。
「そんなに緊張しなくて大丈夫だ。これから行くのは公爵家の本邸ではなく、私個人の別邸だから本邸の人間は居ないし、使用人も最低限の人数しかいない。気兼ねなく過ごしてほしい」
「別邸、ですかっ?」
ミリアベルがぎょっとしたような声を出す。
「ああ、私は仕事柄帰宅時間がまちまちになるから、公爵邸の敷地内に別邸を建てたんだ。そこなら深夜に帰宅しようが本邸の大勢の使用人に迷惑は掛からないだろう? それに、今回は仕事の都合で来ただけだから、君が本邸に挨拶に行く必要はない」
「え、ご挨拶しなくてもよろしいのでしょうか?」
戸惑いながら聞くミリアベルに、ノルトは大丈夫だ、と頷く。
むしろ、下手に本邸に挨拶に行ったら、自分との関係を誤解されそうだ。
両親が変に騒ぎ立て、喜び暴れる事になるのは避けたい。
「ああ。今回は短期間だから気にしなくてもいいよ」
ノルトはにっこりと綺麗に微笑むと、もうこの話は終わりだとでも言うように別邸の使用人の数と、役割を説明し始めた。
話をしているうちに、公爵家の別邸に到着した。
馬車から降りたミリアベルが目にしたのは、別邸とは言えかなりの大きさを誇る立派な邸だ。
「こ、ここが別邸なのですか? スティシアーノ卿」
ミリアベルは怖々とノルトを見上げる。
ミリアベルの震えた声に何を誤解したのか、ノルトは少しだけ眉を下げ、申し訳なさそうな表情で謝った。
「ああ、手狭で不便だろうが……申し訳ないが我慢してくれ」
「手狭なんてとんでもないですっ! 男爵家や子爵家の本邸程の広さですっ」
「……そうか? フィオネスタ嬢が不便を感じないのであればいいのだが。そうしたら、一旦中に入って早速魔力制御について説明しようか」
そうして別宅の玄関へ案内される。
扉を開けると、大きな玄関ホールが現れた。そこにはメイドや使用人が両側にずらりと並んでいる。
ミリアベルは伯爵邸とは比べ物にならない程の使用人の数に驚き、固まってしまった。
「お帰りなさいませ、ノルト様。そちらのご令嬢がご連絡を受けたフィオネスタ伯爵令嬢ですか?」
「ああ、彼女を部屋に案内してくれ。……フィオネスタ嬢、部屋についたら手荷物を置いて、応接室に来て欲しい」
「わかりました……っ!」
この別宅の使用人代表だろうか、四十代程の男性がノルトに挨拶をした後、優しい笑みを浮かべてミリアベルに向き直る。
ノルトは服装を緩めているので、自室に向かうのだろう。玄関ホールから繋がる大階段へ歩いて行く。
その後ろ姿をぼーっと見ていると、ミリアベルの近くにいたメイドが数人、ミリアベルに微笑む。
「それでは、フィオネスタ伯爵令嬢。ご案内いたしますのでこちらへどうぞ」
「よ、よろしくお願いします」
ミリアベルはドギマギしながら頭を下げ、メイドについて行った。
◇◆◇
場所は変わって、学院。
ノルトから指示を受けたカーティスは、早速学院を訪れていた。
国が管理する施設には、必ず映像記録用の魔道具が設置されている。
争い事や、生徒の不祥事に外部が介入する場合はこの映像記録を確認する事ができるのだが、おいそれと誰でも見られる訳ではない。
不正に複製や改竄、証拠隠滅などをされないように管理されている。
この魔道具を確認および映像の複製などができる権限を持つ者は王族、王立魔道士団の団長、魔法騎士団団長、宰相に、筆頭政務官等だ。
カーティスはノルトから預かった許可証を服の上から押さえると、学院長室の扉をノックした。
「どうぞ」
扉の奥から老齢の男性の声が聞こえる。
カーティスは、背筋をピンと伸ばすと「失礼いたします」と声を上げてから扉を開けた。
これから映像を入手し、直ぐにノルトに送らなければならない。
カーティスは緊張した面持ちで学院長室に足を踏み入れたのであった。
◇◆◇
ノルトが自室で着替えをしていると、空間転移の魔道具が作動する。
「──ああ、もう来たか」
口端を持ち上げると、魔道具へ近づき、良く知った男の魔力で送られてくる物体を腕を組んで眺める。
魔道具がぱあっと光を放ち、次いでコロコロと複数の物体が転送されて来た。
ノルトはその内の一つをひょいと拾うと、自分の魔力を注ぎ込む。
映像記録の魔道具が起動し、目の前に映像が映し出された。
「ちゃんと複製してもらえたんだな」
ノルトは映像を確認すると、同時に送られて来た映像記録の魔道具を拾い、政務机に置いて着替えを再開した。
最優先はミリアベルの魔力制御である。
ノルトはこれからの事を考えながら着替えを終えると、自分の部屋を後にした。
ノルトが応接室へ移動してしばし。
ぱたぱた、と軽い足音が急ぐように近付いてくるのがわかり、ノルトは口元を笑みに変えた。読んでいた書類をぱさりとテーブルの上に伏せて置く。
「スティシアーノ卿、遅れてしまい申し訳ございません!」
「──フィオネスタ嬢」
書類を置いた次の瞬間、ミリアベルが慌てたように応接室に入ってきた。
ノルトは顔を上げてソファから立ち上がると、ミリアベルにソファに座るように促した。自分もミリアベルの向かいのソファに腰を下ろす。
──まさか、フィオネスタ嬢に二属性同時展開が可能だったとはな。
ノルトが読んでいたのは、事前に渡されていたミリアベルの調査票だ。
戦闘に特化した火属性と水属性の魔法を使える事は知っていたが、まさか二属性の同時展開まで可能だとは思わなかった。
また、保有魔力量も豊富で、なぜこんなにも優れた人物が知られていなかったのか、と不思議に思う。
魔道士としてはとても優秀な部類だろう。あのまま学院を卒業していたら、魔法騎士団への入団も容易なくらいに。
このまま侯爵家の嫡男と婚姻をしていたらその道はなかっただろうが、臨時でもいいから喉から手が出る程欲しい人材だ。
ノルトがそう考えるまでに、目の前のミリアベル・フィオネスタという少女はとてつもない魔力と、センスを有している。
「後は、やはり魔力制御と構築だな」
「──? スティシアーノ卿?」
ノルトは自然と溢れ出た言葉にはっとすると、ごまかすように本題に入る。
「いや、何でもない。さて、魔力制御について説明しようか」
「はいっ、よろしくお願いします」
ミリアベルはぴんっと背筋を伸ばすと、ノルトとしっかり視線を合わせる。
「──ふ、フィオネスタ嬢はとても礼儀正しいな……さて、では今回君が途中覚醒した光・聖属性魔法を説明する」
ノルトは、何枚かの書類をテーブルに置くと、その内の一枚を指差す。
「フィオネスタ嬢も知っての通り、光・聖属性魔法は通常の五元素魔法と発動の仕方が違う。……それが、ここに記載されている。通常の五元素は体内の魔力を自分の適性属性に変換して放つが、光と聖は体内の魔力を変換した後、さらに詳細に術式を構築しているな?」
「は、はい。治癒魔法に必要な術式、体力回復や精神力回復の術式を構築してから発動しています……」
「──うん、光・聖の両方は術式構築に繊細なコントロールが必要だから、一つでも構築式が違ったら発動しない、で合っているな?」
「はい、そうです。ですので治癒魔法は問題なく使用できたのですが、体力と精神力回復の術式構築が間違っているのか……それだけが何度試してもできなくて……」
ミリアベルがじっと見つめる「光魔法」の資料の上に、ノルトがもう一枚の資料を被せる。
「上手く発動できないのは、光魔法を構築していたからでは? 適性がなければ、光魔法の術式をいくら構築しようとも発動しない。──ならば、聖属性ではないか?」
「──え……?」
ティシナを部屋へ運ぶから、とリバードが客間から出て行ってしまった。
室内にはミリアベルとノルトの二人きりだ。
「あの……スティシアーノ卿。申し訳ございません、わざわざ足を運んでいただいたのに……」
「いやいや、気にしないでくれ。短時間で色々な事を聞かされ、夫人も混乱なさったのだろう」
「ありがとうございます」
ミリアベルは「そう言えば」と今更ながら気付く。
思い返してみれば、自分はノルトに挨拶をしていないのでは、と。
ミリアベルは大慌てでソファから立ち上がる。突然のミリアベルの動きにノルトはキョトン、と目を丸くした。
「ご挨拶が遅くなってしまい大変申し訳ございません……スティシアーノ卿! ミリアベル・フィオネスタと申します。すぐにご挨拶をお返しできなかった無礼をお許しください……っ」
深く頭を下げようとするミリアベルをノルトは手で制す。
「頭を下げる必要はない。突然、光・聖魔法の途中覚醒者だと言われて混乱しているだろうに、さらに討伐に同行しろ、とまで言われたんだ。伯爵夫人の動揺はもっともだし、フィオネスタ嬢も混乱しているだろう」
「──いえ……。治癒魔法の使用者は討伐に同行し、戦闘で傷付いた騎士の方たちを治癒する、というのはこの国の国民でしたら誰でも知っている事ですもの。私も、貴族の家に生まれたからには、討伐に同行する事は領民を守る貴族の責務だと重々承知しておりますわ」
きゅっ、と唇を噛み締め、覚悟を決めたかのようなミリアベルを見て、ノルトは眩しそうに目を細めた。
「ありがとう。貴女は強いな、フィオネスタ嬢。そう言ってもらえると心強いよ」
昨日から人の悪意に晒され続けていたミリアベルは、気遣いのこもった暖かい気持ちに、じわりと涙が滲んだ。
「こちらこそ……しばらくご迷惑をお掛けしますが、どうぞよろしくお願いいたします、スティシアーノ卿」
「ああ、一緒に制御訓練を頑張ろうか」
その後、ミリアベルとノルトは世間話をしながらリバードを待つ。
「そう言えば、フィオネスタ嬢の簡単な経歴を確認したのだが、フィオネスタ嬢は五元素魔法の内、火と水も発動出来るんだな?」
「は、はい! 火と水ですと水魔法の方が相性がいいようで、発動までの時間も短いです」
「──そうか、それは使い勝手が良さそうだな……。ああ、フィオネスタ嬢には確か婚約者がいるだろう? その方にもしばらくスティシアーノ公爵家に滞在する事を伝えておいたほうがいい」
「っ、そう……ですね……」
「……?」
ノルトが「婚約者」と言った瞬間、ミリアベルの表情が曇った。
その違和感にノルトは首を傾げる。
先ほどまではにこやかに話していたのに。
――何だ? この違和感は……経歴書には婚約者との仲は良好、と記載されていたが……
ノルトが首を捻っていると、客間の扉の向こうから、急いでいる足音が聞こえて来た。
「──お、お待たせいたしました……!」
リバードが慌てた様子で入室してきて、ノルトに頭を下げる。
ノルトはミリアベルの事を一旦頭の隅に追いやると、リバードに向き直った。
「ご夫人は大丈夫でしたか?」
「ええ、ありがとうございます。……ミリアベルが討伐に同行をするという事を妻は初めて聞きましたので取り乱してしまったようで……今は落ち着いて眠っておりますので、お気になさらず」
落ち着いていると聞き、ミリアベルもほっと息を吐く。
「陛下には異常事態発生時には協力してもらうという事は聞いていたのですが……。本日から、スティシアーノ公爵邸に娘がお邪魔するというのは突然のお話でしたけれど、スティシアーノ卿は大丈夫でしょうか?」
「ええ。私の方は問題ございません。家の者にも知らせを送っていますので、ミリアベル嬢を迎える準備はできておりますよ」
ノルトは何の問題もない、と微笑む。
リバードはぐっと唇を噛むと頭を下げた。
「──娘が……危険な目に遭わぬよう……、厳しく指導してやってください」
「ええ、お任せください。……それに、ご令嬢は私がお守りいたしますのでご安心を」
リバードがノルトを見つめながらそう言うと、ノルトはしっかりと彼と目を合わせて頷く。
ミリアベルをここまで厚待遇で迎えてくれるのはありがたい事である。
手筈を整えるのも大変だったであろう。
ノルトの真っ直ぐな言葉に、ミリアベルはびくりと肩を震わせた。
仕事だから守ると言ってくれただけで、他意はないとわかっているが少し恥ずかしい。
リバードは目礼すると、ミリアベルに視線を移す。
ミリアベルは父の真剣な眼差しにはっとした。
「──ミリアベル……、スティシアーノ卿がお話した通りだ……。近々陛下から正式に異常事態が宣言されるだろうが、お前に怪我をしてほしくない。しっかりと、スティシアーノ卿に魔力制御を教えてもらいなさい」
「──かしこまりましたわ、お父様」
家族と離れて暮らすのはいささか寂しいが、これも貴族の家に生まれた者の務めだ。
国民からの税収で貴族の生活は成り立っている。
その国民が命の危険に曝されるような事が起きたら、力のある者は相応の働きで国民を守る。
リバードも、これから忙しくなるだろう。
この領地を任されている以上、領民や国民を守らねばならない。
ある程度話がまとまった所で、ノルトが自分の懐から魔石の付いた手のひらサイズの置物のような物を取り出し、テーブルの上にコトリと置く。
「ミリアベル嬢の生活に必要な物はこの魔道具で転移してください。公爵家とこの転移用の魔道具は繋がっていまして、生き物以外でしたら送ることができます」
ノルトはここまで説明すると、ああそれと、と言葉を付け足した。
「この魔道具には人に害をもたらすものを弾く魔術式が組み込まれているので、取り扱いを気にする必要はございません。万が一紛失して、悪意を持つ者の手に渡ったとしてもフィオネスタ伯爵家の者以外には発動させる事はできませんので、神経質になっていただかなくても大丈夫です」
「──何から何まで……ご配慮いただきありがとうございます」
「いえ、大事なご令嬢をお預かりするのです。当然の事ですのでお気になさらず」
そこまで話すと、ノルトはミリアベルに視線を移す。
「──では、ミリアベル嬢。そろそろ行きましょう。あちらに着いたら早速魔力制御について学んでいただきますよ」
「はいっ! よろしくお願いいたします!」
ノルトはがばり、と頭を下げるミリアベルにびっくりしたように目を見開く。そして「こちらこそ」と言って優しく微笑んだ。
ノルトが腰を上げると、リバードもゆっくり腰を上げる。
ミリアベルも慌てて立ち上がり、ノルトに続いた。
客間から出ると、弟のラッセルに後ろから呼び掛けられた。
「? なあに、ラッセル」
「──姉様、無理しないでね」
ラッセルはぎゅう、とミリアベルの手を握りながら気遣ってくれる。
ミリアベルは嬉しさを滲ませて微笑むと、「もちろんよ」と答えた。
「少しの間、私がいない間。お父様とお母様をお願いね。お母様の目が覚めたらよろしく伝えておいて」
「──はい」
「ティシナには私からもしっかりと話しておくから、ミリアベルは安心して制御に集中しなさい」
「ありがとうございます、お父様。では、行って参ります……!」
ミリアベルは一度ラッセルを安心させるようにぎゅう、と抱き締めた。リバードには笑顔を返す。
玄関まで見送りに出てくれたリバードとラッセルにミリアベルは手を振り、ノルトは深々と頭を下げる。
そして二人は公爵家が寄越した馬車に向かって歩き出した。
ミリアベルはノルトをそっと盗み見る。
昨日から様々な事が起きて、頭が混乱している。
このままノルトについて行って、学院に行かなくて済むのならばそれはとてもありがたい。
魔力制御を学んで、討伐に同行して、と忙しく過ごしていたら、辛い事や嫌な事を考える時間はないだろう。
ノルトが、ふとミリアベルの方に顔を向ける。
気付かれていたのか、とビクリと震えるミリアベルにノルトは微笑んだ。
「フィオネスタ嬢。色々な事が起こってきっと混乱していると思うが……。魔力制御ができるようになったら、討伐の前に一度家に戻れるように手配しよう」
「ありがとうございます!」
ミリアベルはぱあっと表情を明るくする。
表情を綻ばせたミリアベルを先に馬車に乗せ、ノルトは表情を引き締めると馬車の脇に控えていた王立魔道士団の副団長の下へ向かう。
「──カーティス」
「ノルト。俺も忙しいんだから、ほいほい呼び出すなよなぁ」
カーティスと呼ばれた男は王立魔道士団の副団長を務めており、ノルトとは幼なじみだ。
侯爵家の次男で二歳年上のカーティスは、ノルトの友人であり、兄のような存在でもある。
気心の知れた仲のため、ノルトにはよく今回のように無理難題を押し付けられるが、いつも何だかんだ言いつつもこなしてしまう。
「今回はどんな無茶を俺にさせるつもりだ?」
カーティスは呆れたような目でノルトを見て、後頭部をガリガリとかいている。そのままちらり、と馬車の方に視線を移した。
「ああ──、学院を少々調べて欲しい。何だか妙な事が起きているような気がしてな……。奇跡の乙女が絡んでいる以上、ある程度予測できるが、信仰……いや、もはやそのレベルを越えている可能性がある。崇拝まで行っていたら厄介だ。ここ一年の学院の様子と、……ついでにベスタ・アランドワ。そして奇跡の乙女の実家、フローラモ子爵家を調べてくれ」
「アランドワ? あの侯爵家のか?」
「ああ。のめり込んでいる内の一人だろう……気のせいであればいいが、厄介な事に首を突っ込んでいないか確認してくれ」
ノルトは、ミリアベルの婚約者であるベスタ・アランドワの名前を思い浮かべる。
ミリアベルとの間に何かあった事はミリアベルの態度を見ていれば明白だ。それを確認して、接し方を考えなければ、とノルトは考えた。
「──りょーかい、団長」
「頼んだ。俺はしばらく公爵邸にいるからよろしく」
「……は? おいっ! 魔道士団は!? どうすんだ!」
ノルトはカーティスとの会話を打ち切ると、素早く馬車に乗り込み御者へ出発するように伝える。
窓からカーティスを流し見ると、頭を抱えているようだが、彼に頼んでおけば万事上手く行くだろう。
調べ物はカーティスに頼み、自分は目の前の少女の魔力制御に集中しなければいけない。
フィオネスタ伯爵から聞いた話を、ノルトは今一度思い出す。
治癒魔法は問題なく発動できたのに、体力や精神力の回復はどうやってもできなかった、と言っていた。
国王や伯爵は不思議そうにしていたが、恐らくミリアベルは魔力の発動方法を間違えているのだろう。
治癒魔法が使えているのにそちらが発動できない事はない。
自分には適性がないため光・聖属性の魔法を発動する事はできないが、魔法の発動方法や法則はどれも同じだ。
──ただ一つを除いて。
ノルトはその可能性に行き着いて、これはしばらく秘匿しておかなければいけないな、と頭を悩ませた。
まあ、多分教会にはバレるだろうが……
正面に座るミリアベルを見ると、体に力が入っているようだ。
ノルトは安心させるように再度微笑みかけた。
「そんなに緊張しなくて大丈夫だ。これから行くのは公爵家の本邸ではなく、私個人の別邸だから本邸の人間は居ないし、使用人も最低限の人数しかいない。気兼ねなく過ごしてほしい」
「別邸、ですかっ?」
ミリアベルがぎょっとしたような声を出す。
「ああ、私は仕事柄帰宅時間がまちまちになるから、公爵邸の敷地内に別邸を建てたんだ。そこなら深夜に帰宅しようが本邸の大勢の使用人に迷惑は掛からないだろう? それに、今回は仕事の都合で来ただけだから、君が本邸に挨拶に行く必要はない」
「え、ご挨拶しなくてもよろしいのでしょうか?」
戸惑いながら聞くミリアベルに、ノルトは大丈夫だ、と頷く。
むしろ、下手に本邸に挨拶に行ったら、自分との関係を誤解されそうだ。
両親が変に騒ぎ立て、喜び暴れる事になるのは避けたい。
「ああ。今回は短期間だから気にしなくてもいいよ」
ノルトはにっこりと綺麗に微笑むと、もうこの話は終わりだとでも言うように別邸の使用人の数と、役割を説明し始めた。
話をしているうちに、公爵家の別邸に到着した。
馬車から降りたミリアベルが目にしたのは、別邸とは言えかなりの大きさを誇る立派な邸だ。
「こ、ここが別邸なのですか? スティシアーノ卿」
ミリアベルは怖々とノルトを見上げる。
ミリアベルの震えた声に何を誤解したのか、ノルトは少しだけ眉を下げ、申し訳なさそうな表情で謝った。
「ああ、手狭で不便だろうが……申し訳ないが我慢してくれ」
「手狭なんてとんでもないですっ! 男爵家や子爵家の本邸程の広さですっ」
「……そうか? フィオネスタ嬢が不便を感じないのであればいいのだが。そうしたら、一旦中に入って早速魔力制御について説明しようか」
そうして別宅の玄関へ案内される。
扉を開けると、大きな玄関ホールが現れた。そこにはメイドや使用人が両側にずらりと並んでいる。
ミリアベルは伯爵邸とは比べ物にならない程の使用人の数に驚き、固まってしまった。
「お帰りなさいませ、ノルト様。そちらのご令嬢がご連絡を受けたフィオネスタ伯爵令嬢ですか?」
「ああ、彼女を部屋に案内してくれ。……フィオネスタ嬢、部屋についたら手荷物を置いて、応接室に来て欲しい」
「わかりました……っ!」
この別宅の使用人代表だろうか、四十代程の男性がノルトに挨拶をした後、優しい笑みを浮かべてミリアベルに向き直る。
ノルトは服装を緩めているので、自室に向かうのだろう。玄関ホールから繋がる大階段へ歩いて行く。
その後ろ姿をぼーっと見ていると、ミリアベルの近くにいたメイドが数人、ミリアベルに微笑む。
「それでは、フィオネスタ伯爵令嬢。ご案内いたしますのでこちらへどうぞ」
「よ、よろしくお願いします」
ミリアベルはドギマギしながら頭を下げ、メイドについて行った。
◇◆◇
場所は変わって、学院。
ノルトから指示を受けたカーティスは、早速学院を訪れていた。
国が管理する施設には、必ず映像記録用の魔道具が設置されている。
争い事や、生徒の不祥事に外部が介入する場合はこの映像記録を確認する事ができるのだが、おいそれと誰でも見られる訳ではない。
不正に複製や改竄、証拠隠滅などをされないように管理されている。
この魔道具を確認および映像の複製などができる権限を持つ者は王族、王立魔道士団の団長、魔法騎士団団長、宰相に、筆頭政務官等だ。
カーティスはノルトから預かった許可証を服の上から押さえると、学院長室の扉をノックした。
「どうぞ」
扉の奥から老齢の男性の声が聞こえる。
カーティスは、背筋をピンと伸ばすと「失礼いたします」と声を上げてから扉を開けた。
これから映像を入手し、直ぐにノルトに送らなければならない。
カーティスは緊張した面持ちで学院長室に足を踏み入れたのであった。
◇◆◇
ノルトが自室で着替えをしていると、空間転移の魔道具が作動する。
「──ああ、もう来たか」
口端を持ち上げると、魔道具へ近づき、良く知った男の魔力で送られてくる物体を腕を組んで眺める。
魔道具がぱあっと光を放ち、次いでコロコロと複数の物体が転送されて来た。
ノルトはその内の一つをひょいと拾うと、自分の魔力を注ぎ込む。
映像記録の魔道具が起動し、目の前に映像が映し出された。
「ちゃんと複製してもらえたんだな」
ノルトは映像を確認すると、同時に送られて来た映像記録の魔道具を拾い、政務机に置いて着替えを再開した。
最優先はミリアベルの魔力制御である。
ノルトはこれからの事を考えながら着替えを終えると、自分の部屋を後にした。
ノルトが応接室へ移動してしばし。
ぱたぱた、と軽い足音が急ぐように近付いてくるのがわかり、ノルトは口元を笑みに変えた。読んでいた書類をぱさりとテーブルの上に伏せて置く。
「スティシアーノ卿、遅れてしまい申し訳ございません!」
「──フィオネスタ嬢」
書類を置いた次の瞬間、ミリアベルが慌てたように応接室に入ってきた。
ノルトは顔を上げてソファから立ち上がると、ミリアベルにソファに座るように促した。自分もミリアベルの向かいのソファに腰を下ろす。
──まさか、フィオネスタ嬢に二属性同時展開が可能だったとはな。
ノルトが読んでいたのは、事前に渡されていたミリアベルの調査票だ。
戦闘に特化した火属性と水属性の魔法を使える事は知っていたが、まさか二属性の同時展開まで可能だとは思わなかった。
また、保有魔力量も豊富で、なぜこんなにも優れた人物が知られていなかったのか、と不思議に思う。
魔道士としてはとても優秀な部類だろう。あのまま学院を卒業していたら、魔法騎士団への入団も容易なくらいに。
このまま侯爵家の嫡男と婚姻をしていたらその道はなかっただろうが、臨時でもいいから喉から手が出る程欲しい人材だ。
ノルトがそう考えるまでに、目の前のミリアベル・フィオネスタという少女はとてつもない魔力と、センスを有している。
「後は、やはり魔力制御と構築だな」
「──? スティシアーノ卿?」
ノルトは自然と溢れ出た言葉にはっとすると、ごまかすように本題に入る。
「いや、何でもない。さて、魔力制御について説明しようか」
「はいっ、よろしくお願いします」
ミリアベルはぴんっと背筋を伸ばすと、ノルトとしっかり視線を合わせる。
「──ふ、フィオネスタ嬢はとても礼儀正しいな……さて、では今回君が途中覚醒した光・聖属性魔法を説明する」
ノルトは、何枚かの書類をテーブルに置くと、その内の一枚を指差す。
「フィオネスタ嬢も知っての通り、光・聖属性魔法は通常の五元素魔法と発動の仕方が違う。……それが、ここに記載されている。通常の五元素は体内の魔力を自分の適性属性に変換して放つが、光と聖は体内の魔力を変換した後、さらに詳細に術式を構築しているな?」
「は、はい。治癒魔法に必要な術式、体力回復や精神力回復の術式を構築してから発動しています……」
「──うん、光・聖の両方は術式構築に繊細なコントロールが必要だから、一つでも構築式が違ったら発動しない、で合っているな?」
「はい、そうです。ですので治癒魔法は問題なく使用できたのですが、体力と精神力回復の術式構築が間違っているのか……それだけが何度試してもできなくて……」
ミリアベルがじっと見つめる「光魔法」の資料の上に、ノルトがもう一枚の資料を被せる。
「上手く発動できないのは、光魔法を構築していたからでは? 適性がなければ、光魔法の術式をいくら構築しようとも発動しない。──ならば、聖属性ではないか?」
「──え……?」
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