Magical Twilight

摩由璃

文字の大きさ
3 / 6
第一章

不思議な気持ち

しおりを挟む
眩しさに目を閉じていた絵梨だったが、鼻腔を擽る華やかな花の香りに目を開けてみた。
目の前に広がるのは青みがかった銀の糸…
「えっ!?」
風に揺れて銀糸が流れて…

現れたのはそれはそれは綺麗なモノだった。
白磁の肌の妖精人形…
絵梨の第一印象は、その一言に過ぎる。
両手の平に乗せたペンダントの上にちんまりと浮いている。
白磁の肌、青みがかった銀糸の長い髪。
整った顔立ちは万人が美しいと表現するだろう。
だが一番印象的なのはその瞳だった。
アクアマリンのような透き通った色から瞬時に色を変える。
何色であっても何色でもない。
目まぐるしく変わる色に目を奪われる。
その色が、絵梨やその父親と同じ琥珀に光を集めたようなものに変わるとそれは鮮やかに、そして花が降るような笑みを浮かべた。
「あなたは…」
絵梨が声をかけようとしたちょうどその時、コンコンとノックの音がした。
その音に絵梨が気をとられた瞬間にそれはフッと姿を消した。
「はい」
慌てて絵梨は返事をする。
「私だが、今大丈夫かい?」
ドアの向こう側から聞こえる声は学園長であった。
絵梨はそれでものぞき穴から確認をしてドアを開けた。

事故現場の報告の為にきたらしい学園長だが、絵梨に言いにくそうにしている。
「やはり、何も分からないのですね」
絵梨の言葉に学園長が頷く。
「見つからない…ということは、諦めなくていいということなので余り悲観はしません」
絵梨が言うと、学園長は驚いたような顔をした。
「これ以上の捜索は無理なのでしょう?」
絵梨から捜索の打ち切り話をした。
「絵梨ちゃんはそれでいいのかい?」
学園長の問いに頷くと
「日本で待とうと思います」
きっぱりと言い切る。
「そのうち、ひょっこり帰ってくるかもしれません」
何も見つからないのはそういうこと…
辛くないかと聞かれると否と応えるだろうが、泣いて暮らす程ではない…そう思えるのはあの幻のような妖精人形を見てからだ。
絵梨はそっと握った手を広げてみた。
その琥珀の中にはもうルーンのような翳りはもうない。
だが絵梨の心の中には花のように笑うモノが暖かい気持ちを残していた。

これはなんなのだろう?
絵梨はその気持ちに戸惑いつつ帰国の途についた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...