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第一章
不思議な気持ち
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眩しさに目を閉じていた絵梨だったが、鼻腔を擽る華やかな花の香りに目を開けてみた。
目の前に広がるのは青みがかった銀の糸…
「えっ!?」
風に揺れて銀糸が流れて…
現れたのはそれはそれは綺麗なモノだった。
白磁の肌の妖精人形…
絵梨の第一印象は、その一言に過ぎる。
両手の平に乗せたペンダントの上にちんまりと浮いている。
白磁の肌、青みがかった銀糸の長い髪。
整った顔立ちは万人が美しいと表現するだろう。
だが一番印象的なのはその瞳だった。
アクアマリンのような透き通った色から瞬時に色を変える。
何色であっても何色でもない。
目まぐるしく変わる色に目を奪われる。
その色が、絵梨やその父親と同じ琥珀に光を集めたようなものに変わるとそれは鮮やかに、そして花が降るような笑みを浮かべた。
「あなたは…」
絵梨が声をかけようとしたちょうどその時、コンコンとノックの音がした。
その音に絵梨が気をとられた瞬間にそれはフッと姿を消した。
「はい」
慌てて絵梨は返事をする。
「私だが、今大丈夫かい?」
ドアの向こう側から聞こえる声は学園長であった。
絵梨はそれでものぞき穴から確認をしてドアを開けた。
事故現場の報告の為にきたらしい学園長だが、絵梨に言いにくそうにしている。
「やはり、何も分からないのですね」
絵梨の言葉に学園長が頷く。
「見つからない…ということは、諦めなくていいということなので余り悲観はしません」
絵梨が言うと、学園長は驚いたような顔をした。
「これ以上の捜索は無理なのでしょう?」
絵梨から捜索の打ち切り話をした。
「絵梨ちゃんはそれでいいのかい?」
学園長の問いに頷くと
「日本で待とうと思います」
きっぱりと言い切る。
「そのうち、ひょっこり帰ってくるかもしれません」
何も見つからないのはそういうこと…
辛くないかと聞かれると否と応えるだろうが、泣いて暮らす程ではない…そう思えるのはあの幻のような妖精人形を見てからだ。
絵梨はそっと握った手を広げてみた。
その琥珀の中にはもうルーンのような翳りはもうない。
だが絵梨の心の中には花のように笑うモノが暖かい気持ちを残していた。
これはなんなのだろう?
絵梨はその気持ちに戸惑いつつ帰国の途についた。
目の前に広がるのは青みがかった銀の糸…
「えっ!?」
風に揺れて銀糸が流れて…
現れたのはそれはそれは綺麗なモノだった。
白磁の肌の妖精人形…
絵梨の第一印象は、その一言に過ぎる。
両手の平に乗せたペンダントの上にちんまりと浮いている。
白磁の肌、青みがかった銀糸の長い髪。
整った顔立ちは万人が美しいと表現するだろう。
だが一番印象的なのはその瞳だった。
アクアマリンのような透き通った色から瞬時に色を変える。
何色であっても何色でもない。
目まぐるしく変わる色に目を奪われる。
その色が、絵梨やその父親と同じ琥珀に光を集めたようなものに変わるとそれは鮮やかに、そして花が降るような笑みを浮かべた。
「あなたは…」
絵梨が声をかけようとしたちょうどその時、コンコンとノックの音がした。
その音に絵梨が気をとられた瞬間にそれはフッと姿を消した。
「はい」
慌てて絵梨は返事をする。
「私だが、今大丈夫かい?」
ドアの向こう側から聞こえる声は学園長であった。
絵梨はそれでものぞき穴から確認をしてドアを開けた。
事故現場の報告の為にきたらしい学園長だが、絵梨に言いにくそうにしている。
「やはり、何も分からないのですね」
絵梨の言葉に学園長が頷く。
「見つからない…ということは、諦めなくていいということなので余り悲観はしません」
絵梨が言うと、学園長は驚いたような顔をした。
「これ以上の捜索は無理なのでしょう?」
絵梨から捜索の打ち切り話をした。
「絵梨ちゃんはそれでいいのかい?」
学園長の問いに頷くと
「日本で待とうと思います」
きっぱりと言い切る。
「そのうち、ひょっこり帰ってくるかもしれません」
何も見つからないのはそういうこと…
辛くないかと聞かれると否と応えるだろうが、泣いて暮らす程ではない…そう思えるのはあの幻のような妖精人形を見てからだ。
絵梨はそっと握った手を広げてみた。
その琥珀の中にはもうルーンのような翳りはもうない。
だが絵梨の心の中には花のように笑うモノが暖かい気持ちを残していた。
これはなんなのだろう?
絵梨はその気持ちに戸惑いつつ帰国の途についた。
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