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モラトリアム

捕虜!?

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視力を奪われ連れていかれた先は、分からない。もちろん、視力を奪われているから見えないのである。恐らく、一時的に奪われていだけだろうけど…。

しばらく大人しくしながら、周りの音を聞いていると、向こうからコツコツという音が聞こえてきた。すると、いきなり目が見える様になった。
僕はそれに違和感を覚えた。
人は暗闇からいきなり明るい所に出ると最初何秒かは眩しくて見えないはずなのに、その数秒が無かったのである。

「コレが魔法ってことなのか?」

ぼそっとつぶやく。
声は出るようだ。

「お主、体は大丈夫なのか!?」

うわっ!!っと声を上げて仰け反った。
いきなり声をかけられて驚いたのもあるが、声をかけてきた男は、絶世の美男子という肩書きがピッタリの容姿をしているのである。


話をよく聞くと、男の名はユーリン、僕より5歳年上らしい。捕虜というからどの様な扱いを受けるのかと思ったら、隕石の如く降ってきた僕を不審者と思ってユーリンの家に連れてきたらしい。普通、こういう時って、城じゃないの?牢屋とかに入れられるんじゃないの?まぁ、僕はコッチの待遇の方が良いけどね。

あと、この国は、モラトリアムと言うらしい。


ユーリン曰く、身分証明書が王城で発行されると言うので、行くことになったが、またわけの分からない魔法で今度はユーリンに飛ばされてしまった!!


何でコッチの人たちは、人の意思を確認しないまま行動を起こすのだろう…。


そーいえば、最初僕に剣を突き立ててたのは、ユーリンでは無かった。彼は誰なのだろうか?

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