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蛇男 出会編
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「天定ちゃーん?どーしたんだよそんな顔して…。」
夜。宿泊先の一室にて。
窓から静かに部屋に入ってきた男は、刀の鞘を左手で握りしめたまま窓の方を向いて正座をしている天定を見た。
天定は今、ものすごく表情が険しい。
「…またお前が戻って来なかったらすぐ様この手で蛇を真っ二つにしてやろうと思ってな。」
普段なら豪快に笑って受け流している言葉だが、永海の犯したミスは彼自身の奥深くに刻まれており、その当時の光景が脳裏に蘇る。
「や、やだなー天定ちゃんってば!もう二度とヘマなんかしねぇって!」
ヘマをしたくて自らそこに飛び込む永海ではないことくらい、知っている。
誰しもできるならヘマをしたくないと思うことだろう。
「俺は…もう二度とあんな不安で怖い思いは御免だからな。」
天定もまた、呪樹により囚われた時の永海の姿が奥深くに刻まれており、決して忘れることができない事実として今も覚えている。
主の眼差しが真剣さを訴えており、永海はそれを受けて改めて気を引き締める思いであった。
「で?何か分かったのか?」
「ん?ああ、大収穫だぜ。」
その後、永海から色々と話を聞いた。
この街に住む若い女性が襲われていること。
年齢はバラけているが、可愛いとか美しいと評判となっている女性たちが次々と犠牲になっていること。
日中の女性が18人目で、最初の1人目は2年半くらい前に起きたということ。
「この1人目の女の子が、この町のヌシの親類にあたる男の一人娘だったんだ。」
当時は町中の大人が娘を探したが見つからず、町の外も探したが見つからなかったという。
神隠しや神の祟りなどの噂が立つ中でも探していたが、時の流れと共に探す人は減り、最後の1人になった娘の父親も病により倒れ、帰らぬ人となった。
「その後誰も娘を探す人はいなくなったんだが、そこから数日後に2人目の娘が突然消えたんだ。3人目、4人目、5人目と続き、16人目の娘は、約8ヶ月前に友人と帰り道を歩いている時に襲われたらしい。」
この16人目の娘は複数人で歩いていた内の1人で、一緒にいた友達が消え去った瞬間を目撃したという。
そこからこれまで神隠しや祟りと言われていた事件が蛇による仕業と分かり、改めて大掛かりに捜索をし始めた。
努力の結果、人々は娘たちを連れ去った蛇の巣を見つけ出す。
かつて行方不明になった娘の履き物が洞窟の入り口付近で見つかったことが、大きな決め手となった。
なのにその数日後に17人目の被害者を出してしまい、今日も18人目の犠牲者が出てしまった。
「すごいじゃないか。でもその巣は見つけたのに、何故娘たちは今日も連れ去られたんだ?」
「そう思うだろ?実は、これまでに何度も……えぇっと、警備隊?が蛇をやっつける為にあの手この手使って何とかしたらしいんだけど、これまで失敗に終わっているらしいぜ?」
何故、と天定が首を傾げる。
「まぁ単純な話で、警備隊が蛇に敵わなかったってさ。」
「…は?1匹の蛇相手に、知恵や武器を持った組織が敵わなかったというのか?」
「確かに1匹の普通の蛇なら簡単に勝ててたかもな。でもその蛇が数多いて、怪物だったら…どうする?」
「…なるほどな。」
怪物相手に警備隊士達は今も討伐できず、新たに犠牲者を出してしまったことで取り戻しつつあった街が再度恐怖に包まれた現在に結びつく。
天定は町を発つ前に、その蛇の怪物を仕留めたいという思いが芽生えた。
「永海、次の町へ行くのはもう少し先になりそうだ。」
「そう言うと思った。蛇をぶちのめそうぜ。」
故郷を襲撃した組織のことは一旦置いておいて、今は目の前の怪物の討伐に専念することにした。
夜。宿泊先の一室にて。
窓から静かに部屋に入ってきた男は、刀の鞘を左手で握りしめたまま窓の方を向いて正座をしている天定を見た。
天定は今、ものすごく表情が険しい。
「…またお前が戻って来なかったらすぐ様この手で蛇を真っ二つにしてやろうと思ってな。」
普段なら豪快に笑って受け流している言葉だが、永海の犯したミスは彼自身の奥深くに刻まれており、その当時の光景が脳裏に蘇る。
「や、やだなー天定ちゃんってば!もう二度とヘマなんかしねぇって!」
ヘマをしたくて自らそこに飛び込む永海ではないことくらい、知っている。
誰しもできるならヘマをしたくないと思うことだろう。
「俺は…もう二度とあんな不安で怖い思いは御免だからな。」
天定もまた、呪樹により囚われた時の永海の姿が奥深くに刻まれており、決して忘れることができない事実として今も覚えている。
主の眼差しが真剣さを訴えており、永海はそれを受けて改めて気を引き締める思いであった。
「で?何か分かったのか?」
「ん?ああ、大収穫だぜ。」
その後、永海から色々と話を聞いた。
この街に住む若い女性が襲われていること。
年齢はバラけているが、可愛いとか美しいと評判となっている女性たちが次々と犠牲になっていること。
日中の女性が18人目で、最初の1人目は2年半くらい前に起きたということ。
「この1人目の女の子が、この町のヌシの親類にあたる男の一人娘だったんだ。」
当時は町中の大人が娘を探したが見つからず、町の外も探したが見つからなかったという。
神隠しや神の祟りなどの噂が立つ中でも探していたが、時の流れと共に探す人は減り、最後の1人になった娘の父親も病により倒れ、帰らぬ人となった。
「その後誰も娘を探す人はいなくなったんだが、そこから数日後に2人目の娘が突然消えたんだ。3人目、4人目、5人目と続き、16人目の娘は、約8ヶ月前に友人と帰り道を歩いている時に襲われたらしい。」
この16人目の娘は複数人で歩いていた内の1人で、一緒にいた友達が消え去った瞬間を目撃したという。
そこからこれまで神隠しや祟りと言われていた事件が蛇による仕業と分かり、改めて大掛かりに捜索をし始めた。
努力の結果、人々は娘たちを連れ去った蛇の巣を見つけ出す。
かつて行方不明になった娘の履き物が洞窟の入り口付近で見つかったことが、大きな決め手となった。
なのにその数日後に17人目の被害者を出してしまい、今日も18人目の犠牲者が出てしまった。
「すごいじゃないか。でもその巣は見つけたのに、何故娘たちは今日も連れ去られたんだ?」
「そう思うだろ?実は、これまでに何度も……えぇっと、警備隊?が蛇をやっつける為にあの手この手使って何とかしたらしいんだけど、これまで失敗に終わっているらしいぜ?」
何故、と天定が首を傾げる。
「まぁ単純な話で、警備隊が蛇に敵わなかったってさ。」
「…は?1匹の蛇相手に、知恵や武器を持った組織が敵わなかったというのか?」
「確かに1匹の普通の蛇なら簡単に勝ててたかもな。でもその蛇が数多いて、怪物だったら…どうする?」
「…なるほどな。」
怪物相手に警備隊士達は今も討伐できず、新たに犠牲者を出してしまったことで取り戻しつつあった街が再度恐怖に包まれた現在に結びつく。
天定は町を発つ前に、その蛇の怪物を仕留めたいという思いが芽生えた。
「永海、次の町へ行くのはもう少し先になりそうだ。」
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