俺この 番外編 / 天定&永海

RiO

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天定から永海へ

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「あーーーまっさだ!」

次に到着したのは、洋の国の建設文化を多く取り入れていた発展のある街である。

今日も今日とて、どうしてそんなに元気なんだと思わせるほど明るい永海。
でもその明るさに、これまで何度救われた事だろうか計り知れない天定である。

「また眉間にシワ寄ってるぞーおじいちゃん!」
「……余計なお世話だ。」
「もっと気楽で良いんじゃね?そんな顔してると一気に老けるぞ!」

このシワの原因の7割ほどは先ほどから何かとちょっかいばかりしてくる永海が理由なのだが、本人は気づいているのだろうか。
しかし、そんな彼から目が離せない自分がいるのは事実であり、そんな彼が自分の傍にいるのは当然と思っている事も事実である。



天定と永海の出会いは、2人が5歳の頃。
同じ村の出生で、身分が異なる2人はそれぞれの生活を送っていた。
出会って間もなく友達になり、数年後に主徒の誓いを交わす。
現在は互いに協力し合いながら、和の国内を旅している。



旅の目的とは、故郷を襲った謎の組織を見つけ出すこと。
実はこの2人には、帰る故郷が無い。
呆れてしまうけど良い奴、苛々するけど頼れる奴、背中を預けられるのは彼だけ…など他にも様々な気持ちを抱えているが、新たな気持ちに気づいてしまった今、天定の方が永海へ依存しているのかもしれない。

「永海。」
「ん?」
「………いつも感謝している。ありがとう。」

豆鉄砲を食らったように目を丸くする従者が、数秒間ほど、完全に動きが止まって天定を見やる。

「天定…お前、大丈夫か?なんか変なモンでも食ったのか?」

慌てた様子で左手を天定の額に当てて、熱を確かめる彼は必死な様子で。
熱が無いことを確認した後、“本当に天定だよな?”と頭から足まで上から順にベタベタと全身を触っていく。
足もちゃんと触れられたことで幽霊でもなんでもない、目の前にいるのは天定本人であることが証明されたのか、永海はホッと安心していた。

「良かったー。驚かすなよ、ビックリしたじゃん。」

自分よりも体格のいい大きな従者が、不安がっていた様子から安堵の表情に変わる。
普段はほとんど見ないそういう一面を見ると、不思議と彼が愛おしく感じてしまう。

「永海。」
「こ、今度はなんだよ?」

身構える従者に対し、主は微笑んだ。

「今夜の見張りはいらない。たまには一緒に過ごしたい。」

天定からの珍しい誘いの言葉。
"一緒に"の部分を特に意識してしまい、思わず耳まで真っ赤にしながら目を泳がせていたが、黙って頷くところは素直な彼である。

「じゃあ今夜な。ちょうど伝えなければならないこともあるし、部屋で待ってる。今日はそれまで別行動を取ろう。たまにはお前も自由に過ごしてこい。」
「お、おう……。」

滅多に別行動を取らないのにと不思議に思いつつも、天定はスタスタと永海を置いてどこかへ移動し始める。
たまには天定も1人の時間を過ごしたいのだろうか。
不思議に思うものの、天定からの指示である。
天定の後を追いかけることも考えたが、本人の影を常に意識していれば何か起きた際にすぐに駆けつけられるだろう。
そこだけ留意し、永海は別の方向へ歩き出した。







時間は流れ、夜。
民の姿をした男が、宿屋の階段を上がっていた。
この男、実は2階の最奥の部屋に宿泊している侍の従者で、名を永海という。
天定と別れた後は近くの商店街を見て回っていたが時間が刻々と近づいてくるたびに謎の緊張をしてきて落ち着くことができずにいた。

……どくん……どくん………どくん…

ずっと心臓の鼓動がうるさい気がする。
いや、気のせいではない。
確実にうるさい。

ーーー今夜の見張りはいらない。たまには一緒に過ごしたい。

それはつまり、一晩天定と過ごすということ。

「……なぜか、緊張するんだよなぁ……。」

もし今夜に肌を重ねるのなら、これで2回目となる。
天定がいる部屋へ向かっている途中、永海は緊張のあまりに足を止めて生いため息をついてしまった。

「お、落ち着け俺……。」

これまでほとんど緊張などしてこなかった自分が、こんなに緊張するなんて。
従者でありながら、主と関係を持ってしまった。
あの時は粘液で苦しかったとはいえ、よくもまぁ天定に「抱いてほしい」と言えたものである。

でも、今は当時と状況が違う。

衣類の擦れによる過剰な刺激も、少し体を動かしただけで全身に響く痺れも、今は何もない健康体である。
正直、あの時の粘液のような症状が出る何かに頼りたい気分である。

「いやいやいやいや、やっぱ無い!撤回だ撤回!」

自分で考えておきながら、即拒否をする。
触手に辱めを受けたことや、あの時に天定に迷惑をかけたことを忘れたのか俺。
あの時に感じた天定の手は大きくて。
温かくて。
当たり前だけどゴツゴツしていて。
指も長くて……って、何をリアルに思い出してるんだ俺。

全身が熱くなってきた。
まだ天定のところにもついていないのに、今からこんな感じで大丈夫なのか俺。
いや、今回は俺が天定を抱く側に回る可能性もある。
それはそれで緊張するが、恥ずかしさから解放される。

やればできる。
Y・O・D!(やれ・俺なら・できる)
頑張れ、俺。

「……よし。俺はできるオレは出来るオレはデキル……!」

永海は深呼吸を挟み、気持ちを奮い立たせて再び歩き出した。
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