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1.推しが死んだ

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 もうやだ。むり。死にたい。

 推しが死んだ。
 突然の事故でだった。
 推しは、人気上昇中のアイドルグループ「アブソリュート」のメンバーだった。
 高原れいと言って、名前の通り麗しく、とても、とても素敵な人で。
 本当に好きだったのだ。

 これからどう生きていけばいいのか分からなかった。
 もう無理と思いながらも、うつらうつら日々を過ごしていたはずだった。


 気がつけば、私は転生していた。
 鈴木かなと言う名前の平凡な高校生だったはずが、カナ・ウィルネスと言う平凡な貴族令嬢になっていた。

 はじめは混乱していたものの、今まで通り普通に学校に通い、普通に勉強すればいいのだと気付き、しだいに今の生活に馴染んでいった。
 平凡ではあるが貴族令嬢なため、もちろん貴族の子女が集まる学校に、私も通っている。

 その学校には王子まで通っていた。
 一国の王子様なんて、はじめて生で見た。
 でも推しのほうがかっこいい。もうこの世にいないどころか、私の生きる世界まで変わっちゃって、誰もその存在を知らないだろうけど。

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