3 / 12
第三話 あ、やっぱり死ねたんだ。よかった、
しおりを挟む
「ごちそうさまでした。ところでここはどこですか。なんでフォークの私を匿っているんですか。どうして私は生きてるんですか。」
自分の思ったことを矢継ぎ早に質問していく。するとゆっくり彼が口を開いた。
「はいはい、一個ずつね。ここは君が生きてた世界とは違うシュテルという世界だ。君はあっちで死んでこっちの世界に来たんだ。というか僕が呼んだ。さて、詳しいことを話す前に軽く自己紹介をしようか。僕はスピカ。趣味は魔法とフォークの味覚を取り戻す研究をすること。歳は……わからないや。でも百を超えたあたりから数えるのはやめた。君は?」
「名前……番号でしか呼ばれたことがなくて。番号だと十万四千八十九と呼ばれてました。歳は十六です。趣味は、わからないです。」
あ、やっぱり死ねたのか。よかった。普通にスルーして話しちゃったけどシュテル?聞いたことない。ん?聞き間違いかな。百を超えたあたりから数えるのをやめたって言った?この人何歳なの?!
「あっはは、顔に出てるよ。この世界は不老の世界だからね。中には何千歳の人だっているよ。でもね、ずっと過ごしてるとつまんなくてさ。他の世界覗いてみたら可愛い君がいたから連れてきちゃった。まぁ、その話はおいといて、なんでフォークを匿ってるかって?この世界、フォークとケーキ、subとdom、出汁とスパイスとかってあるけど差別もないし、フォーク用の食料もあるからケーキは食べられないし。subとdomも平和に暮らしてるね。スパイスはちょっと問題起こすけどその度に出汁が抑えてるから問題ないし。差別する理由がないんだよ。だからここには収容所とかもないから安心して。みんな何かしら一つ持ってる訳だしもう個性だって割り切ってるから。」
「収容所、がない?ほんとうに?」
一度引っ込んだはずの枯れた涙がまた出てくる。もう拷問も休みなしの労働もしなくて済む?……夢みたいだ、
「いいよ、泣いて。時間はたっぷりあるからね。ゆっくり行こう。」
今までの分も泣くかのように私はずっと泣き続けた。その様子をスピカさんはずっと優しい顔で見守ってくれていた。
「そろそろ落ち着いた?」
「はい、大丈夫です。」
きっと目は赤くなってることだろうけど気にしないが勝ちだ。
「それにしても名前がないのは不便だなぁ。僕がつけても大丈夫?過去と別れるのにもちょっどいいと思うんだ、ってこんな軽いノリで言っちゃったけど」
「……大丈夫、です。むしろつけて欲しいです。」
過去で残したいものなんてないから。
「わかった。じゃあその綺麗な青い目からとってルリだ。ちょっと安直かな?」
私の胸にルリという言葉がすっと落ちてきてかけていた場所に馴染んだような気がした。
「あ、りがとうございます。名前……。」
クスッとスピカさんは笑った。
「よろしくね。ルリ」
ちゃんと名前で呼ばれるってこんなにあたたかいことだったんだ。
「よろしくおねがいします。スピカさん」
自分の思ったことを矢継ぎ早に質問していく。するとゆっくり彼が口を開いた。
「はいはい、一個ずつね。ここは君が生きてた世界とは違うシュテルという世界だ。君はあっちで死んでこっちの世界に来たんだ。というか僕が呼んだ。さて、詳しいことを話す前に軽く自己紹介をしようか。僕はスピカ。趣味は魔法とフォークの味覚を取り戻す研究をすること。歳は……わからないや。でも百を超えたあたりから数えるのはやめた。君は?」
「名前……番号でしか呼ばれたことがなくて。番号だと十万四千八十九と呼ばれてました。歳は十六です。趣味は、わからないです。」
あ、やっぱり死ねたのか。よかった。普通にスルーして話しちゃったけどシュテル?聞いたことない。ん?聞き間違いかな。百を超えたあたりから数えるのをやめたって言った?この人何歳なの?!
「あっはは、顔に出てるよ。この世界は不老の世界だからね。中には何千歳の人だっているよ。でもね、ずっと過ごしてるとつまんなくてさ。他の世界覗いてみたら可愛い君がいたから連れてきちゃった。まぁ、その話はおいといて、なんでフォークを匿ってるかって?この世界、フォークとケーキ、subとdom、出汁とスパイスとかってあるけど差別もないし、フォーク用の食料もあるからケーキは食べられないし。subとdomも平和に暮らしてるね。スパイスはちょっと問題起こすけどその度に出汁が抑えてるから問題ないし。差別する理由がないんだよ。だからここには収容所とかもないから安心して。みんな何かしら一つ持ってる訳だしもう個性だって割り切ってるから。」
「収容所、がない?ほんとうに?」
一度引っ込んだはずの枯れた涙がまた出てくる。もう拷問も休みなしの労働もしなくて済む?……夢みたいだ、
「いいよ、泣いて。時間はたっぷりあるからね。ゆっくり行こう。」
今までの分も泣くかのように私はずっと泣き続けた。その様子をスピカさんはずっと優しい顔で見守ってくれていた。
「そろそろ落ち着いた?」
「はい、大丈夫です。」
きっと目は赤くなってることだろうけど気にしないが勝ちだ。
「それにしても名前がないのは不便だなぁ。僕がつけても大丈夫?過去と別れるのにもちょっどいいと思うんだ、ってこんな軽いノリで言っちゃったけど」
「……大丈夫、です。むしろつけて欲しいです。」
過去で残したいものなんてないから。
「わかった。じゃあその綺麗な青い目からとってルリだ。ちょっと安直かな?」
私の胸にルリという言葉がすっと落ちてきてかけていた場所に馴染んだような気がした。
「あ、りがとうございます。名前……。」
クスッとスピカさんは笑った。
「よろしくね。ルリ」
ちゃんと名前で呼ばれるってこんなにあたたかいことだったんだ。
「よろしくおねがいします。スピカさん」
20
あなたにおすすめの小説
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる