冷泉堂大学剣道部改め剣道サークル

Karasumaru

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絶望

ネイサン・ミラーの実力

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ルーカスとネイサン・ミラーは互いに礼を交わした。
「はじめ!」
松尾女史の凛とした号令で試合が始まった。ともに正眼の構えだ。ルーカスもまた私と全く同じ感覚に襲われていた。
『こいつ、強いぞ。実力を知るチャンスなんて、生ぬるいことを考えていたら負けてしまう』
まだ竹刀を合わせていないにもかかわらず、ルーカスに焦りが生じる。一方のネイサン・ミラーはまったく表情を変えずに、ルーカスの動きに注視している。
「やぁーーー!」
裂帛の気合とともにルーカスが踏み込む。百九十センチを超える体躯を持つ剣士とは思えない素早い攻撃だ。竹刀が交錯する音が道場に鳴り響く。

ルーカスの馬鹿力を身をもって体験しているメンバーは、ルーカスの勝利を確信した。ルーカスの攻撃は、たとえ身体に触れなくても、竹刀で受けるだけで大きなダメージを与えるからだ。
「多分、あいつの手はビリビリきてるよ」
ダンディー霧島が隣の木田氏に話しかける。
「ああ、ネイサンがいくら強いからと言っても勝ち目はないね」

しかし、ネイサン・ミラーは直前で竹刀を握る手の力を抜き、ルーカスの攻撃の威力を半減させていた。

「確かに噂どおりの馬鹿力だな。まともに受けたらひとたまりもないぜ」
ネイサンはルーカスの目を見ながら言った。

『クソ、効いてないか。それならコンビネーションで攻めるぞ』
ルーカスは続いて面、胴、面、小手と、次々に攻めていった。しかし、ネイサン・ミラーは矢次に放たれるルーカスの攻めに冷静に対応していく。ルーカスは手を緩めずに攻撃を繰り出していく。しかし、有効打は一向に得られない。それどころか、攻めているルーカスの方が後退していく。

『ちょっと、何やってるのルーカス君!』
松尾女史が心の中で叫ぶ。メンバーたちも予想外の展開に戸惑っていた。
「ウソだろ。どうなってるんだよ」
浦賀氏が呟く。
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