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【六ノ章】取り戻した日常
第一三四話 虹の軌跡、結びの縁《前編》
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「んで? 虹の力がどうのこうのって話だったが、何する気だ?」
親方たちが帰り、学生だけになったアカツキ荘のリビングで。
未だに体力を使い切って倒れ伏すセリスを三人で見下ろしながら、エリックは腕を組み、首を傾げる。
「エリックは知ってると思うけど魔科の国でおかしな現象が俺達、というか俺に起きたでしょ? 最近だとケットシー達の猟奇的な治療でも近しい物を見て……そして、ようやく実感を得た。それを踏まえて実際に使ってみようと思う」
「セリス相手にか? 本当に大丈夫か?」
「問題ないよ。身体を直す血液魔法に近い……というより、もっと根源的な部分に触れてる力だ。何日か前に包丁で指を切った時、自分で試したし今のセリスにはぴったりだよ。それに、このまま眠らせる訳にはいかないでしょ」
「連日の勉強会と筆記試験に加えて親方さんとの仕合いまでありましたから、寝かせていても良いと思いますが」
「学園長からいつ護衛依頼の詳細が来るか分からない現状、起きておいた方が支障ないし。癒し水の御旗を使ってみた感想を聞きたいから……強制的に起こしてみよう」
心配の念が強い二人の視線を一身に受けて、セリスの前で片膝をつく。
さて、あの時の感覚を思い出そう。彼らは魔力を燃料に現象として起こした訳ではないが、俺は感覚的に近い方でやらせてもらう。
体の表面から肉を、骨を、血管を、神経を通して流れ込んでくる柔らかくも温かな感触。
虹の力の象徴たる特殊な性質を持つ万能細胞。
生きとし生けるものが絶えず放ち続ける命の奔流。
万物の生命へ作用する細胞の働きを理解し、知覚し、意のままに手繰る。
あえて名を付けるとするならば──生命魔法とでも呼ぼうか。
魔法行使による魔力回路の発露。翳した右手の甲に現れ、それは次第に収束し、やがて仄かな虹色の燐光と熱が生まれる。
背後に立つ二人の驚愕に満ちた声を背に、ふわり、と手を離れた虹の光はセリスの身体へ染み込んでいく。
一瞬だけ、彼女の身体が眩い輝きに包まれたかと思えば……
「うおおおっ! アタシは正気に戻ったッ!」
うつ伏せの状態から勢いよく跳び上がり、水色の髪を振り乱して。
セリスはソファーの上に立ち、ガッツポーズを取り、元気満タンな様を見せつけるのだった。
……事前に知っていたとはいえ、即効性が高すぎない?
◆◇◆◇◆
「虹の力、生命魔法……か。原理はまだ理解しちゃいないが、めちゃくちゃ疲れ切ってて爆睡してたはずなのに、何ともないから効力は確かなんだろうねぇ」
様々な出来事を経てようやく落ち着き、針が午後四時を過ぎた時計から目を離す。
テーブルの向かい側で両手を握っては開き、調子を確かめたセリスは首を傾げて思案する。
「感覚としちゃあ、魔臓化の諸々が無くなった時と似てるか……? なんだか魔力も回復してるみたいだし、かなり有用な魔法じゃあないか」
「は? 体力どころか魔力まで回復する魔法ってことか?」
「体感、二割ってところかね。ポーション程とはいかんが徐々に満たされていってるように思うよ」
「自分の傷を治した時はそんな感覚なかったから、相手を治す時だけ作用するのかな。完全同調状態の血液魔法でも似通ったことになってたけど、あれは特殊な事例だしなぁ」
「ケットシーやユニコーン、その他の召喚獣が持つ能力を由来としている訳ですから。魔法という括りにあって魔法にあらず……既存の回復・治癒系統の魔法とは隔絶した性能になるのも頷けますね」
身体が治癒する際に発生する万能細胞そのものに干渉する生命魔法。
カグヤの言う通り、命の本質に触れる埒外の力でありながら消費する魔力はさほどでもない。
むしろ血液魔法よりもコストが低い上に自覚できる分、どんな負傷であれ欠損であれ、直後ならば再生することが可能だという確信すらあった。
……オルレスさんが超越駆動に苦言を呈す気持ちが、分かった気がする。
「便利っちゃ便利だが、魔剣と同じであまり人前に見せる物じゃないな、これは」
「血液魔法とは毛色が違うからかい? でも、特殊属性って元々そういう感じの特性があるんだろう? なんだっけ、位階がどうのこうのってやつ?」
「魔法位階だな。魔法に対する理解の深度であり、進化とも呼ばれる物だが……言われてみりゃあ、確かに生命魔法はそれに該当するっぽいな」
「特殊属性は位階の上昇に応じて全く違う魔法へと進化していくそうですからね。恐らくは第二位階と称される段階に進んだのではないでしょうか?」
「多分ね。中途半端に虹の力として発現してたのは、俺がしっかりとイメージを保てていないのに生命の根幹に触れようとしたから……? そんな大げさなこと、考えてなかったけどなぁ」
生命魔法がもたらす疑問と憶測に唸り、四人で顔を見合わせる。
しかし総じて頭の中にあるのは、他人にバレたら死ぬほど面倒くさそうという共通認識であった。
人智を踏み越えた力というものは畏怖され、忌避され、敬遠される。
魔剣自体、そして異能が最もたる一例だろう。それらと同等に思える性能の魔法など第三者から見れば脅威でしかない。
しかも平然と使用しているから忘れがちになるが、特殊属性とは本来不遇な代物の代名詞でもある。
属性として曖昧で、他の属性と併合する事は無く、仮に魔法が発現したところで活用法を見出せなければ燃費も使い勝手も最高に悪い。
この世界に来て早々、血液魔法を会得したのは運が良かったと言える。……いやでもガルドに痛めつけられた反動の可能性も……?
とにかく、生命魔法へと進化を果たしても、その情報を安易に広めてはいけないと俺は考えている。
世間一般的に軽視、冷遇されやすい特殊属性に適性を持つ人達に、無闇な希望と絶望を振りまく恐れがあるからだ。
何故そうなったのか、どうすればそうなるのか。
理由も根拠も定かでないにも関わらず、事実として存在している俺がどういう矢面に立たされるか、分かったものではない。マジで解剖される可能性が脳裏にチラつく程度には出てきてしまったのだ。
故に、生命魔法の取り扱いは慎重にならなくてはいけない。
というか、そもそもの話として。
「血液魔法の方が咄嗟の機転が利くし、回復に関しても間に合ってるんだよな……」
「頼りにはなるが、生命魔法を使う場面なんざ無い方がいいからねぇ。そこまで追い込まれてたらクロトだって無事で済んでないだろうよ」
「進化したと言っても普通に血液魔法も使えてるみてぇだしな。魔剣と一緒で、いざって時に使うぐらいの認識でいいんじゃねぇか?」
「同感です。今は問題なく使用できていても、本当に必要としている状況で発動しない……そんなことになっては一大事ですからね」
「傷を治すなら癒し水の御旗越しの魔法とか《ヒーラー》のスキルで十分だし。負傷しがちなクロトに釘を刺す意味でも、そういう扱いにしておくべきかもしれないねぇ」
「肝に銘じておきます、本当に」
色々と前科があるので言い返せず、肩を竦ませる。
とりあえず生命魔法は身内がいる時以外は使わない方針で、というアカツキ荘の全会一致な意見に皆で頷く。
話題を変えて、護衛依頼で持っていく荷物のすり合わせをセリスと行うことに。
「一通り中身は見させてもらったが……中間試験の時とあんまり変わってねぇんだな?」
「迷宮と郊外で活動する時の違いなんて、実のところあんまり無いからな。強いて挙げるとするなら、襲ってくるのが魔物だけじゃなくなるぐらいか?」
「外壁と魔力障壁があるニルヴァーナと違って、郊外に万全で安全な場所なんて数えるぐらいしかないんだっけ? だから野盗に身をやつして強奪しに来る連中がいるとか」
「魔導列車の停車駅がある宿場町の近辺であれば、ある程度の安全と治安は保障されています。ですが、そういった備えや設備が無い農村では、突如として発生する迷宮や日夜徘徊する魔物の脅威に晒されているのです」
聞けば聞くほどポストアポカリプス物みたいな現象が起きる世界なんだよね、ここ。
新聞配達の依頼をしていて、各地の最新情報とか見させてもらったことがあるけど……だいぶ悲惨だった。
もちろん迷宮・魔物への対策を公的な情報筋から得て、講じる者はいるが所詮は焼け石に水。
普段の生活圏が肥大化した迷宮に呑まれる、どこかの迷宮で大量進出が発生し魔物に喰い荒らされた、など。
そうして路頭に迷う人達が列を成し、奪い奪われるやり取りが繰り広げられている、とも。
自分がどれだけ恵まれた土地にいるのかを実感すると同時に、そういった者に対する妬みや恨みの強さを推しはかることが出来ない。
「偶にギルド側から常駐してくれる冒険者を募集したり、そこらの領地をまとめてる貴族が私的に雇い入れたり……多少強引だが、迷宮を崩落させて潰したりしてんだっけな? 色々と安全圏を確保するのに苦労してるって訳だ」
「自力で身を守る方もいるそうですが、多勢に無勢で押し切られ、あえなく血溜まりに沈む……という話も耳にしました」
「皆が皆、冒険者みたいにデバイスを所持してる訳じゃないからね。普通に高いし、これ」
ポケットから取り出したデバイスをテーブルに置き、セリスがポンッと手を叩く。
「そっか、自分に何が出来るかも分からず、スキルも無しに肉体と直感的な魔法頼りに戦う羽目になんのか。そりゃあ厳しいわなぁ」
「魔法っつーか、魔力操作すら基礎を学ばねぇと満足にできねぇしな。……そういやクロト、自分のスキルの成長って確認したか?」
「いや、しばらく忙しかったからしてないけど」
「良い機会ですし、見ておきませんか? いつも使えてたスキルが、気づかぬ内に変わっていたりしたら大変ですから」
「うーむ、一理ある。メモ用紙に書き出してみよう」
納涼祭からルーザーの事件に中間試験。
立て込んでいた諸々を経て、今の俺がどうなっているか気にはなっていたのだ。
興味津々な皆の視線を受けて──自分から開示するならまだしも、本来なら他人のスキル情報を見るのは厳禁です──デバイスと睨めっこしながら、カグヤに借りた鉛筆を紙に走らせる。
◆◇◆◇◆
『スキル』
《クラス:クレバー》
=《飛躍上達》《異想顕現》
《万■ノ結者》
=《■血ノ■》《七魔ノ■》《護焔ノ■》《聖癒ノ■》《舞姫ノ■》
《銀狼ノ■》《暗艶ノ■》
《魔力支配》
《アイテムシューター》
《高速事務作業》
《ジャイアントキリング》
《ウィッチクラフト》
《鍛冶師:中級》
=《魔導武具理解》《一心入魂》《完全修理》
《ヘヴィエンチャント》《ライトエンチャント》《最適鍛錬》
《装飾細工師:中級》
=《凝り性》《裁縫上手》《高速修繕》
《鉱石特性付与》《魔物特性付与》《性能強化》
《錬金術師:中級》
=《爆薬精製》《薬品精製》《フルーティテイスト》
《霊薬精製》《神秘精製》《素材合成》
《ルーン操術師:中級》
=《高速刻印》《能力付与》《属性付与》
《正確無比》《長文付与》《詳細付与》
《指導者:上級》
=《戦術指導》《技巧継承》《素質開花》
《盗賊:中級》
=《トラップ解除》《罠利用》《罠摘出》
《スティール》《安全第一》《早解き》
《魔法使い:初級》
=《魔法看破》《アクセラレート》《コンセントレート》
《召喚士:中級》
=《契約召喚》《世話上手》《オーダー》
《主従恩寵》《育成上手》《四海同胞》
《連舞剣士:初級》
=《フレームアヴォイド》《フレームパリィ》
《鑑定:中級》
=《素材看破》《解読術》《熟考理解》
《各耐性系》
=《全異常耐性》《全魔法耐性》
《身体補助系》
=《俊足》《強靭》《器用》《不屈》《感応》
《無窮練武》《臥薪嘗胆》
「「「なっげぇ……」」」
横から覗き込んできた姉弟も同じ感想に至ったのか。
メモ用紙三枚分に匹敵するスキルの羅列に本音が漏れた。
「いつ見ても凄まじい量のスキルですね。成長した物もあれば新たに習得した物までありますよ」
「クラスの特性があってよかったというべきか悩むね……実際に意識して使うスキルなんて微々たる量しかないんだし」
「見慣れないスキルはあるが、戦闘の要になるアクティブスキルは増えてないしな」
「なんだか難しい言葉がつらつらと並んでるねぇ……ってか、前は文字化けしてたスキルがだいぶ読めるようになったじゃないか!」
「一番の進展と言えばコレかもね。肝心な部分が黒ボケてて何も分かんないけど」
単語に既視感というか心当たりはあるが、それが一体どういったものなのか。万の何を結ぶ者なのかは未だに定かではない。
虹の力に関する問題が解決したかと思えば、今度はスキルの謎が生まれてくるとは……頭が痛い話だ。
「発動してるかも分からんスキルは置いておくとして、一番気になるのは《ウィッチクラフト》だな」
「聞き覚えがありませんね。パッシブスキルのようですが……」
「怪しげな風体のスキルだが、物作りで作用するってことか? クロトは実感あったかい?」
「初めて見たスキルなのに感覚なんて掴めてる訳ないでしょ」
素朴な疑問を投げかけてくるセリスに溜め息を吐いて、改めてメモ用紙を眺めていると。
午後五時を伝える時計の鐘の音と共に、リビングへ入る扉が開かれる。シルフィ先生だ。
いつもより帰って来るのが早い……そういえば、答案用紙の採点が終わり次第仕事を上がると言っていたかも?
「ただいま戻りました。皆さんお揃いで何を?」
「おかえりなさい、先生。今、クロトさんのスキルがどう成長したか確認している最中で……」
「《ウィッチクラフト》っていうのをいつの間にか取得してたみたいでね。なんだこれ? って皆で考えてたところなんだよ」
「……懐かしい響きのスキルですね。まさかクロトさんに発現しているとは思いませんでしたが、多様な支援クラスのスキルを所持しているから、でしょうか」
「え、知ってるんすか?」
仕事用のカバンを椅子の背もたれに掛けて、対面のカグヤの隣に座って。
先生はスキルが書かれたメモ用紙を手に取り、一瞥してから。
「他の補助スキルはともかく、いくつか私が知り得る物もありますので……少しだけ指南しましょうか」
親方たちが帰り、学生だけになったアカツキ荘のリビングで。
未だに体力を使い切って倒れ伏すセリスを三人で見下ろしながら、エリックは腕を組み、首を傾げる。
「エリックは知ってると思うけど魔科の国でおかしな現象が俺達、というか俺に起きたでしょ? 最近だとケットシー達の猟奇的な治療でも近しい物を見て……そして、ようやく実感を得た。それを踏まえて実際に使ってみようと思う」
「セリス相手にか? 本当に大丈夫か?」
「問題ないよ。身体を直す血液魔法に近い……というより、もっと根源的な部分に触れてる力だ。何日か前に包丁で指を切った時、自分で試したし今のセリスにはぴったりだよ。それに、このまま眠らせる訳にはいかないでしょ」
「連日の勉強会と筆記試験に加えて親方さんとの仕合いまでありましたから、寝かせていても良いと思いますが」
「学園長からいつ護衛依頼の詳細が来るか分からない現状、起きておいた方が支障ないし。癒し水の御旗を使ってみた感想を聞きたいから……強制的に起こしてみよう」
心配の念が強い二人の視線を一身に受けて、セリスの前で片膝をつく。
さて、あの時の感覚を思い出そう。彼らは魔力を燃料に現象として起こした訳ではないが、俺は感覚的に近い方でやらせてもらう。
体の表面から肉を、骨を、血管を、神経を通して流れ込んでくる柔らかくも温かな感触。
虹の力の象徴たる特殊な性質を持つ万能細胞。
生きとし生けるものが絶えず放ち続ける命の奔流。
万物の生命へ作用する細胞の働きを理解し、知覚し、意のままに手繰る。
あえて名を付けるとするならば──生命魔法とでも呼ぼうか。
魔法行使による魔力回路の発露。翳した右手の甲に現れ、それは次第に収束し、やがて仄かな虹色の燐光と熱が生まれる。
背後に立つ二人の驚愕に満ちた声を背に、ふわり、と手を離れた虹の光はセリスの身体へ染み込んでいく。
一瞬だけ、彼女の身体が眩い輝きに包まれたかと思えば……
「うおおおっ! アタシは正気に戻ったッ!」
うつ伏せの状態から勢いよく跳び上がり、水色の髪を振り乱して。
セリスはソファーの上に立ち、ガッツポーズを取り、元気満タンな様を見せつけるのだった。
……事前に知っていたとはいえ、即効性が高すぎない?
◆◇◆◇◆
「虹の力、生命魔法……か。原理はまだ理解しちゃいないが、めちゃくちゃ疲れ切ってて爆睡してたはずなのに、何ともないから効力は確かなんだろうねぇ」
様々な出来事を経てようやく落ち着き、針が午後四時を過ぎた時計から目を離す。
テーブルの向かい側で両手を握っては開き、調子を確かめたセリスは首を傾げて思案する。
「感覚としちゃあ、魔臓化の諸々が無くなった時と似てるか……? なんだか魔力も回復してるみたいだし、かなり有用な魔法じゃあないか」
「は? 体力どころか魔力まで回復する魔法ってことか?」
「体感、二割ってところかね。ポーション程とはいかんが徐々に満たされていってるように思うよ」
「自分の傷を治した時はそんな感覚なかったから、相手を治す時だけ作用するのかな。完全同調状態の血液魔法でも似通ったことになってたけど、あれは特殊な事例だしなぁ」
「ケットシーやユニコーン、その他の召喚獣が持つ能力を由来としている訳ですから。魔法という括りにあって魔法にあらず……既存の回復・治癒系統の魔法とは隔絶した性能になるのも頷けますね」
身体が治癒する際に発生する万能細胞そのものに干渉する生命魔法。
カグヤの言う通り、命の本質に触れる埒外の力でありながら消費する魔力はさほどでもない。
むしろ血液魔法よりもコストが低い上に自覚できる分、どんな負傷であれ欠損であれ、直後ならば再生することが可能だという確信すらあった。
……オルレスさんが超越駆動に苦言を呈す気持ちが、分かった気がする。
「便利っちゃ便利だが、魔剣と同じであまり人前に見せる物じゃないな、これは」
「血液魔法とは毛色が違うからかい? でも、特殊属性って元々そういう感じの特性があるんだろう? なんだっけ、位階がどうのこうのってやつ?」
「魔法位階だな。魔法に対する理解の深度であり、進化とも呼ばれる物だが……言われてみりゃあ、確かに生命魔法はそれに該当するっぽいな」
「特殊属性は位階の上昇に応じて全く違う魔法へと進化していくそうですからね。恐らくは第二位階と称される段階に進んだのではないでしょうか?」
「多分ね。中途半端に虹の力として発現してたのは、俺がしっかりとイメージを保てていないのに生命の根幹に触れようとしたから……? そんな大げさなこと、考えてなかったけどなぁ」
生命魔法がもたらす疑問と憶測に唸り、四人で顔を見合わせる。
しかし総じて頭の中にあるのは、他人にバレたら死ぬほど面倒くさそうという共通認識であった。
人智を踏み越えた力というものは畏怖され、忌避され、敬遠される。
魔剣自体、そして異能が最もたる一例だろう。それらと同等に思える性能の魔法など第三者から見れば脅威でしかない。
しかも平然と使用しているから忘れがちになるが、特殊属性とは本来不遇な代物の代名詞でもある。
属性として曖昧で、他の属性と併合する事は無く、仮に魔法が発現したところで活用法を見出せなければ燃費も使い勝手も最高に悪い。
この世界に来て早々、血液魔法を会得したのは運が良かったと言える。……いやでもガルドに痛めつけられた反動の可能性も……?
とにかく、生命魔法へと進化を果たしても、その情報を安易に広めてはいけないと俺は考えている。
世間一般的に軽視、冷遇されやすい特殊属性に適性を持つ人達に、無闇な希望と絶望を振りまく恐れがあるからだ。
何故そうなったのか、どうすればそうなるのか。
理由も根拠も定かでないにも関わらず、事実として存在している俺がどういう矢面に立たされるか、分かったものではない。マジで解剖される可能性が脳裏にチラつく程度には出てきてしまったのだ。
故に、生命魔法の取り扱いは慎重にならなくてはいけない。
というか、そもそもの話として。
「血液魔法の方が咄嗟の機転が利くし、回復に関しても間に合ってるんだよな……」
「頼りにはなるが、生命魔法を使う場面なんざ無い方がいいからねぇ。そこまで追い込まれてたらクロトだって無事で済んでないだろうよ」
「進化したと言っても普通に血液魔法も使えてるみてぇだしな。魔剣と一緒で、いざって時に使うぐらいの認識でいいんじゃねぇか?」
「同感です。今は問題なく使用できていても、本当に必要としている状況で発動しない……そんなことになっては一大事ですからね」
「傷を治すなら癒し水の御旗越しの魔法とか《ヒーラー》のスキルで十分だし。負傷しがちなクロトに釘を刺す意味でも、そういう扱いにしておくべきかもしれないねぇ」
「肝に銘じておきます、本当に」
色々と前科があるので言い返せず、肩を竦ませる。
とりあえず生命魔法は身内がいる時以外は使わない方針で、というアカツキ荘の全会一致な意見に皆で頷く。
話題を変えて、護衛依頼で持っていく荷物のすり合わせをセリスと行うことに。
「一通り中身は見させてもらったが……中間試験の時とあんまり変わってねぇんだな?」
「迷宮と郊外で活動する時の違いなんて、実のところあんまり無いからな。強いて挙げるとするなら、襲ってくるのが魔物だけじゃなくなるぐらいか?」
「外壁と魔力障壁があるニルヴァーナと違って、郊外に万全で安全な場所なんて数えるぐらいしかないんだっけ? だから野盗に身をやつして強奪しに来る連中がいるとか」
「魔導列車の停車駅がある宿場町の近辺であれば、ある程度の安全と治安は保障されています。ですが、そういった備えや設備が無い農村では、突如として発生する迷宮や日夜徘徊する魔物の脅威に晒されているのです」
聞けば聞くほどポストアポカリプス物みたいな現象が起きる世界なんだよね、ここ。
新聞配達の依頼をしていて、各地の最新情報とか見させてもらったことがあるけど……だいぶ悲惨だった。
もちろん迷宮・魔物への対策を公的な情報筋から得て、講じる者はいるが所詮は焼け石に水。
普段の生活圏が肥大化した迷宮に呑まれる、どこかの迷宮で大量進出が発生し魔物に喰い荒らされた、など。
そうして路頭に迷う人達が列を成し、奪い奪われるやり取りが繰り広げられている、とも。
自分がどれだけ恵まれた土地にいるのかを実感すると同時に、そういった者に対する妬みや恨みの強さを推しはかることが出来ない。
「偶にギルド側から常駐してくれる冒険者を募集したり、そこらの領地をまとめてる貴族が私的に雇い入れたり……多少強引だが、迷宮を崩落させて潰したりしてんだっけな? 色々と安全圏を確保するのに苦労してるって訳だ」
「自力で身を守る方もいるそうですが、多勢に無勢で押し切られ、あえなく血溜まりに沈む……という話も耳にしました」
「皆が皆、冒険者みたいにデバイスを所持してる訳じゃないからね。普通に高いし、これ」
ポケットから取り出したデバイスをテーブルに置き、セリスがポンッと手を叩く。
「そっか、自分に何が出来るかも分からず、スキルも無しに肉体と直感的な魔法頼りに戦う羽目になんのか。そりゃあ厳しいわなぁ」
「魔法っつーか、魔力操作すら基礎を学ばねぇと満足にできねぇしな。……そういやクロト、自分のスキルの成長って確認したか?」
「いや、しばらく忙しかったからしてないけど」
「良い機会ですし、見ておきませんか? いつも使えてたスキルが、気づかぬ内に変わっていたりしたら大変ですから」
「うーむ、一理ある。メモ用紙に書き出してみよう」
納涼祭からルーザーの事件に中間試験。
立て込んでいた諸々を経て、今の俺がどうなっているか気にはなっていたのだ。
興味津々な皆の視線を受けて──自分から開示するならまだしも、本来なら他人のスキル情報を見るのは厳禁です──デバイスと睨めっこしながら、カグヤに借りた鉛筆を紙に走らせる。
◆◇◆◇◆
『スキル』
《クラス:クレバー》
=《飛躍上達》《異想顕現》
《万■ノ結者》
=《■血ノ■》《七魔ノ■》《護焔ノ■》《聖癒ノ■》《舞姫ノ■》
《銀狼ノ■》《暗艶ノ■》
《魔力支配》
《アイテムシューター》
《高速事務作業》
《ジャイアントキリング》
《ウィッチクラフト》
《鍛冶師:中級》
=《魔導武具理解》《一心入魂》《完全修理》
《ヘヴィエンチャント》《ライトエンチャント》《最適鍛錬》
《装飾細工師:中級》
=《凝り性》《裁縫上手》《高速修繕》
《鉱石特性付与》《魔物特性付与》《性能強化》
《錬金術師:中級》
=《爆薬精製》《薬品精製》《フルーティテイスト》
《霊薬精製》《神秘精製》《素材合成》
《ルーン操術師:中級》
=《高速刻印》《能力付与》《属性付与》
《正確無比》《長文付与》《詳細付与》
《指導者:上級》
=《戦術指導》《技巧継承》《素質開花》
《盗賊:中級》
=《トラップ解除》《罠利用》《罠摘出》
《スティール》《安全第一》《早解き》
《魔法使い:初級》
=《魔法看破》《アクセラレート》《コンセントレート》
《召喚士:中級》
=《契約召喚》《世話上手》《オーダー》
《主従恩寵》《育成上手》《四海同胞》
《連舞剣士:初級》
=《フレームアヴォイド》《フレームパリィ》
《鑑定:中級》
=《素材看破》《解読術》《熟考理解》
《各耐性系》
=《全異常耐性》《全魔法耐性》
《身体補助系》
=《俊足》《強靭》《器用》《不屈》《感応》
《無窮練武》《臥薪嘗胆》
「「「なっげぇ……」」」
横から覗き込んできた姉弟も同じ感想に至ったのか。
メモ用紙三枚分に匹敵するスキルの羅列に本音が漏れた。
「いつ見ても凄まじい量のスキルですね。成長した物もあれば新たに習得した物までありますよ」
「クラスの特性があってよかったというべきか悩むね……実際に意識して使うスキルなんて微々たる量しかないんだし」
「見慣れないスキルはあるが、戦闘の要になるアクティブスキルは増えてないしな」
「なんだか難しい言葉がつらつらと並んでるねぇ……ってか、前は文字化けしてたスキルがだいぶ読めるようになったじゃないか!」
「一番の進展と言えばコレかもね。肝心な部分が黒ボケてて何も分かんないけど」
単語に既視感というか心当たりはあるが、それが一体どういったものなのか。万の何を結ぶ者なのかは未だに定かではない。
虹の力に関する問題が解決したかと思えば、今度はスキルの謎が生まれてくるとは……頭が痛い話だ。
「発動してるかも分からんスキルは置いておくとして、一番気になるのは《ウィッチクラフト》だな」
「聞き覚えがありませんね。パッシブスキルのようですが……」
「怪しげな風体のスキルだが、物作りで作用するってことか? クロトは実感あったかい?」
「初めて見たスキルなのに感覚なんて掴めてる訳ないでしょ」
素朴な疑問を投げかけてくるセリスに溜め息を吐いて、改めてメモ用紙を眺めていると。
午後五時を伝える時計の鐘の音と共に、リビングへ入る扉が開かれる。シルフィ先生だ。
いつもより帰って来るのが早い……そういえば、答案用紙の採点が終わり次第仕事を上がると言っていたかも?
「ただいま戻りました。皆さんお揃いで何を?」
「おかえりなさい、先生。今、クロトさんのスキルがどう成長したか確認している最中で……」
「《ウィッチクラフト》っていうのをいつの間にか取得してたみたいでね。なんだこれ? って皆で考えてたところなんだよ」
「……懐かしい響きのスキルですね。まさかクロトさんに発現しているとは思いませんでしたが、多様な支援クラスのスキルを所持しているから、でしょうか」
「え、知ってるんすか?」
仕事用のカバンを椅子の背もたれに掛けて、対面のカグヤの隣に座って。
先生はスキルが書かれたメモ用紙を手に取り、一瞥してから。
「他の補助スキルはともかく、いくつか私が知り得る物もありますので……少しだけ指南しましょうか」
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これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
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