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第5章
14.終話
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手を握られている。その相手は、セドリック殿下ではない。
エミリオが、私の身体を視てくれているのだ。片膝をついて、両手で私の手を優しく包んでくれている。
所謂…CTスキャンの様に体内の魔力とかが視えるらしい。
まあ、視るだけじゃなくて、診てもくれてて。
うん。めちゃくちゃ恥ずかしい理由だ。
「──レイリア様」
エミリオの声が部屋に響く。
どうだろう?
あれから2年近く、呪いを解くために…触ってもらったりしているのだけど。
昨日、この身体になって最後まで殿下としてしまった。
まさか、歩けなくなるくらいに攻められとは思わなかったんだけど。
「あ、の。」
緊張して、声が上手く出ない。少し震えているのかも知れない。
途端に肩を寄せられた。
「大丈夫。まだ時間は、あるはずだよ。」
セディが耳元で優しく囁いた。
──まだ、大丈夫。うん。今は信じられるけど、この状態は知られたくないのだけれど。
「何を言っているんですか?」
エミリオが、にっこり笑った。
「呪い解けてますよ?」
「は?」
「え?」
「随分と濃密な夜を過ごされたようで…何よりです。」
な、な、な。
エミリオーーーーー。
「や、あの、ええ…」
「たくさん、イかせてもらったのでしょう?
うん、隅々まで殿下の魔力が巡ってる。」
だから、そんな風に言わないでよ。恥ずかしいから。
羞恥に真っ赤になっていると途端に膝の上に横抱きにされる。
「ちょっと、エミリオがいるのに!」
「腰が抜けて歩けなくなるまでシタかいがあった。
──呪いが消えたんだぞ?」
「セ、セディってば。」
顔をセディの胸元に埋める。
「ふふ。レイリア様…耳まで真っ赤だね。治癒させても良いけど…そうすると今日も激しくなりそうだからなぁ。今日はそのままにしといた方がいいかもね。」
「そうだな。その方が手加減出来そうだ。」
セディ…ちょっと待ってってば。
「うん。僕の存在した意味があって良かった。婚姻式の前に赤ちゃん作らないでくださいね。まずは、キース様が妊娠した方が良いので。いくらなんでも兄王子より先に出来たら不味いよね?」
「ああ。しばらくは…2人だけの蜜月を過ごしたいからね。」
「なら、今夜もほどほどに頑張って下さいね!もっと安定させて、2人の魂が離れないようにした方がいいのは確かなので。」
そう言うとエミリオは立ち上がった。
「今日の公務は、お終いなんでしょ?じゃあね。お大事に。」
会釈をセディにしてから、スタスタとドアに向かう。
一度振り返り、手を振って出て行った。
部屋に2人残されてしまった。
「あの…セディ?」
「これで、条件は揃ったね。
歳下でもない。魔力も安定した。呪いで先に消えたりしない。浮気なんて絶対にない。」
「セディは、本当に私で良いの?」
「ああ。もちろんだよ。ずっとあの頃から、貴方だけなんだから。呪いが解けないのなら、一緒に終わってよかったんだ。何度でも、貴方を見つけて口説くだけだ。」
ポロポロと落ちる涙を優しく拭き取ってくれる。
中々止まらなくて…
「ご、めん。とまんない。」
「良いよ。もう、幸せになれば良いんだ。俺のものだ。絶対に離れないから。」
アゴの所を触られて、上を向かせられる。唇をふにって親指で触れてきた。
ゆっくりと目を瞑ると、唇に優しく触れるだけのキスが降りて来た。
「レイリア、愛している。」
優しく頭を撫でられる。
「セドリック殿下。セディ。1人にしないで。ずっと一緒にいてね。」
「もちろん。」
そう言ってまた唇が重なる。
「あ、でも。」
「ん?」
「ちょっとだけ、自由を経験したいんだけど。」
「何処に行きたいの?」
「みんなの所と、母様が魔法師として冒険したとこ。見てみたいから。」
「ああ。いいよ。これから幾らでも時間を作るよ。でも、無茶は駄目だ。1人で行くな。」
「うん。未来視は出来ないから。自分で未来を描くよ。」
「その未来は、2人でだ。レイリア──俺の運命は、全部…貴方に繋がっている。この先もずっと一緒だ。」
「セディ──全部…全部繋がって、貴方に逢う為だったんだね。愛してる。」
どうか、母様がまた父様と巡り逢うように。
前世の家族も幸せになりますように。
Fin
本編完結しました。
おまけが次話にあります。
本当にここまで読んで下さってありがとうございました。
エミリオが、私の身体を視てくれているのだ。片膝をついて、両手で私の手を優しく包んでくれている。
所謂…CTスキャンの様に体内の魔力とかが視えるらしい。
まあ、視るだけじゃなくて、診てもくれてて。
うん。めちゃくちゃ恥ずかしい理由だ。
「──レイリア様」
エミリオの声が部屋に響く。
どうだろう?
あれから2年近く、呪いを解くために…触ってもらったりしているのだけど。
昨日、この身体になって最後まで殿下としてしまった。
まさか、歩けなくなるくらいに攻められとは思わなかったんだけど。
「あ、の。」
緊張して、声が上手く出ない。少し震えているのかも知れない。
途端に肩を寄せられた。
「大丈夫。まだ時間は、あるはずだよ。」
セディが耳元で優しく囁いた。
──まだ、大丈夫。うん。今は信じられるけど、この状態は知られたくないのだけれど。
「何を言っているんですか?」
エミリオが、にっこり笑った。
「呪い解けてますよ?」
「は?」
「え?」
「随分と濃密な夜を過ごされたようで…何よりです。」
な、な、な。
エミリオーーーーー。
「や、あの、ええ…」
「たくさん、イかせてもらったのでしょう?
うん、隅々まで殿下の魔力が巡ってる。」
だから、そんな風に言わないでよ。恥ずかしいから。
羞恥に真っ赤になっていると途端に膝の上に横抱きにされる。
「ちょっと、エミリオがいるのに!」
「腰が抜けて歩けなくなるまでシタかいがあった。
──呪いが消えたんだぞ?」
「セ、セディってば。」
顔をセディの胸元に埋める。
「ふふ。レイリア様…耳まで真っ赤だね。治癒させても良いけど…そうすると今日も激しくなりそうだからなぁ。今日はそのままにしといた方がいいかもね。」
「そうだな。その方が手加減出来そうだ。」
セディ…ちょっと待ってってば。
「うん。僕の存在した意味があって良かった。婚姻式の前に赤ちゃん作らないでくださいね。まずは、キース様が妊娠した方が良いので。いくらなんでも兄王子より先に出来たら不味いよね?」
「ああ。しばらくは…2人だけの蜜月を過ごしたいからね。」
「なら、今夜もほどほどに頑張って下さいね!もっと安定させて、2人の魂が離れないようにした方がいいのは確かなので。」
そう言うとエミリオは立ち上がった。
「今日の公務は、お終いなんでしょ?じゃあね。お大事に。」
会釈をセディにしてから、スタスタとドアに向かう。
一度振り返り、手を振って出て行った。
部屋に2人残されてしまった。
「あの…セディ?」
「これで、条件は揃ったね。
歳下でもない。魔力も安定した。呪いで先に消えたりしない。浮気なんて絶対にない。」
「セディは、本当に私で良いの?」
「ああ。もちろんだよ。ずっとあの頃から、貴方だけなんだから。呪いが解けないのなら、一緒に終わってよかったんだ。何度でも、貴方を見つけて口説くだけだ。」
ポロポロと落ちる涙を優しく拭き取ってくれる。
中々止まらなくて…
「ご、めん。とまんない。」
「良いよ。もう、幸せになれば良いんだ。俺のものだ。絶対に離れないから。」
アゴの所を触られて、上を向かせられる。唇をふにって親指で触れてきた。
ゆっくりと目を瞑ると、唇に優しく触れるだけのキスが降りて来た。
「レイリア、愛している。」
優しく頭を撫でられる。
「セドリック殿下。セディ。1人にしないで。ずっと一緒にいてね。」
「もちろん。」
そう言ってまた唇が重なる。
「あ、でも。」
「ん?」
「ちょっとだけ、自由を経験したいんだけど。」
「何処に行きたいの?」
「みんなの所と、母様が魔法師として冒険したとこ。見てみたいから。」
「ああ。いいよ。これから幾らでも時間を作るよ。でも、無茶は駄目だ。1人で行くな。」
「うん。未来視は出来ないから。自分で未来を描くよ。」
「その未来は、2人でだ。レイリア──俺の運命は、全部…貴方に繋がっている。この先もずっと一緒だ。」
「セディ──全部…全部繋がって、貴方に逢う為だったんだね。愛してる。」
どうか、母様がまた父様と巡り逢うように。
前世の家族も幸せになりますように。
Fin
本編完結しました。
おまけが次話にあります。
本当にここまで読んで下さってありがとうございました。
応援ありがとうございます!
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