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第9章☆アルとルナ
1婚約
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2年生でいられるのも後僅かに迫っていた。定期的に王都に来るロイド兄様とアルが試合をする。
剣技のみの試合でアルは、今回ようやくロイド兄様に勝利した。
お父様からの婚約の最低条件は、長兄に剣技で勝利する事。
魔術を使えば、断然有利なのはアルだ。
それを封じた状態で、5歳上のロイド兄様に勝ったのだ。
本当に格好良い。
本来なら、お父様に勝つ事を条件にすると思うけど、お父様が相手になったら多分……感情的になるだろうと、それを止めたのは、お兄様達だ。
うん、ズルして……魔術使いそう。
でもそれだけ、お父様が僕を思ってくれている事を今は素直に受け入れられるようになった。
婚約期間は準備期間を置いて卒業した後、僕の18歳の誕生日に婚姻式を行う事が決まった。
ようやく、婚約の許可が出てホッとするような、怖いような……
アルは、隣国の第2王子だけど継承権は無い。なんの未練も無いからって、気にするなって笑っている。
ゴタゴタに巻き込まれたくも無いし、王になるのは兄上で問題ないんだよ。
そう言って頭を撫でられる。
グランデ王国では、第1王子オーウェン様が王位継承者と正式に認められて、政務も兼ねて今は精力的に外交を担っている。
噂では、国の為になる妃探しも兼ねての外交らしい。
アルより5歳上だけど……まだ婚約者は居ない。うちのロイド兄様と同い年だから、婚姻してなくても問題ない様な……でも弟が先に婚姻してもいいのかな?
王子妃になる人が良い人なら安心なんだけど、アルにちょっかいかけて来ませんように。
聖属性をしっかり使えるようにしたい。いざって時に助けられる様に──
本当に何も無ければそれに越した事ないんだけど……また魔女みたいなのが出て来たら怖いしね。
スピカは、カストル様と国内外の歴史や貴族年鑑を覚えたり次期宰相候補の補佐が出来るように家庭教師も付けられて頑張っている。
光属性の持ち主で保護対象でもあったから、シリウス様の実家、フォーマルハウト家がスピカの形式上、養子として支援についた。
魔術大好き魔術師団長のギル様曰く───
「光属性の研究もしたいからだよ」
らしい。実は子供大好きな人で孤児院出身のスピカを気に入っている。スピカの実家のグレンジャー子爵家も経営指南にローランド公爵家より助っ人を派遣されていて、この先経営が安定して行くと思う。
スピカがカストル様ルートに行ってしまったので(Ifのストーリーとは違うと思うけど)、時々思うんだ。
もし、アルとスピカが恋に落ちていたらとか。
スピカと恋に落ちなかったとしても──アルだって、国の為に政略結婚をさせられたのかもしれない。
どちらだったとしても、胸が痛むけど──
僕を選んでくれたアルを幸せにしてあげたい。
第1王子が僕達の3年進級前の休暇中にフォレストに非公式来訪する事も決まった。
本来なら、婚約前に面会した方が良い気がして、アルに何度も言ったのに大丈夫としか言わなかった。僕の知らない所で話は進んでいて、グランデ王国からの許可は早い段階で降りていて、渋っていたのはフォレスト家の方だったみたい。
「ルナの安全の為だし、グランデからの条件をきちんと飲んだから文句は言わせない」
なんて言うし、大丈夫だと思うけど……
ついスピカに、アルの家族に会ったらやっぱり反対されそうで怖いって言ったら、笑われてしまった。
「ルナ様に会ったら誰も反対しませんよ。それより、第1王子に惚れられ無いように、アルファルド殿下にベタベタしててくださいね」
そんな、心配は要らないのに……
「グランデ王国からマナーの指導に従者を連れてくるって言われたんだ」
アルは、第1王子が今現在している外交を引き継いでいく。
新王の片腕となるべく外交を担う為に。
重要なポストは、アル自身は考えていなかったらしい。
ただ第1王子が優秀なアルを手離したくなかった様で、僕達の婚約を認める条件がこの仕事をする事だったんだ。
アルがこれを了承して書類にサインをもらってきていた。後はロイド兄様に勝利したら、本当に婚約して問題なかったみたい。
お父様のサインも実は、早い段階で書かれていたようで、お兄様達は、素直じゃないよねなんて言っていて……泣いたのは兄弟の秘密にしている。
僕自身、語学は得意だから外交補佐は少しは役に立てるかも。でも、もっと勉強していかないと駄目だよね。その為の準備期間。
グランデの王族に必要な言葉は何故か教わっていて、コレについてはアルに感謝している。
子供の時の方が覚え易いもの。カストル様が教えてくれって言ってるくらい難しい言語。
グランデのマナーは、この1年できちんと身につけてアルに恥ずかしい思いをさせ無いようにする。様々な勉強とマナーの習得、認めてもらう為に頑張ろう。これだけは、教わるしかないので、アルも納得している。
それにしても最近、しつこく注意を受けるのは、スピカが襲われた時のあのチョコ菓子(兄様からのお土産)は最低18歳になってから少しづつ慣らすと言われた。特に外交時に類似品も含めチョコ菓子は、薦められても絶対に食べちゃ駄目だと再三に渡って念押しされている。
眠くなって寝ただけで、なんかしたのかな?暑くて途中で服を脱いだみたいだけど、全部脱いだ訳でもないし。
アルだけでは無く、カストル様もスピカにも駄目って言われるし。
ぐっすり寝てスッキリ出来たのに。残念。
外交途中で、寝たり服を脱いだらまずいか美味しかったのに……
一口食べたらしいアルが、次の日顔色が悪かったから、僕の体調を心配してくれたのだろうって思う。
本当に過保護なんだから。
でもどんどん、会う日が近づいている。
どうか、上手く行きますように。
剣技のみの試合でアルは、今回ようやくロイド兄様に勝利した。
お父様からの婚約の最低条件は、長兄に剣技で勝利する事。
魔術を使えば、断然有利なのはアルだ。
それを封じた状態で、5歳上のロイド兄様に勝ったのだ。
本当に格好良い。
本来なら、お父様に勝つ事を条件にすると思うけど、お父様が相手になったら多分……感情的になるだろうと、それを止めたのは、お兄様達だ。
うん、ズルして……魔術使いそう。
でもそれだけ、お父様が僕を思ってくれている事を今は素直に受け入れられるようになった。
婚約期間は準備期間を置いて卒業した後、僕の18歳の誕生日に婚姻式を行う事が決まった。
ようやく、婚約の許可が出てホッとするような、怖いような……
アルは、隣国の第2王子だけど継承権は無い。なんの未練も無いからって、気にするなって笑っている。
ゴタゴタに巻き込まれたくも無いし、王になるのは兄上で問題ないんだよ。
そう言って頭を撫でられる。
グランデ王国では、第1王子オーウェン様が王位継承者と正式に認められて、政務も兼ねて今は精力的に外交を担っている。
噂では、国の為になる妃探しも兼ねての外交らしい。
アルより5歳上だけど……まだ婚約者は居ない。うちのロイド兄様と同い年だから、婚姻してなくても問題ない様な……でも弟が先に婚姻してもいいのかな?
王子妃になる人が良い人なら安心なんだけど、アルにちょっかいかけて来ませんように。
聖属性をしっかり使えるようにしたい。いざって時に助けられる様に──
本当に何も無ければそれに越した事ないんだけど……また魔女みたいなのが出て来たら怖いしね。
スピカは、カストル様と国内外の歴史や貴族年鑑を覚えたり次期宰相候補の補佐が出来るように家庭教師も付けられて頑張っている。
光属性の持ち主で保護対象でもあったから、シリウス様の実家、フォーマルハウト家がスピカの形式上、養子として支援についた。
魔術大好き魔術師団長のギル様曰く───
「光属性の研究もしたいからだよ」
らしい。実は子供大好きな人で孤児院出身のスピカを気に入っている。スピカの実家のグレンジャー子爵家も経営指南にローランド公爵家より助っ人を派遣されていて、この先経営が安定して行くと思う。
スピカがカストル様ルートに行ってしまったので(Ifのストーリーとは違うと思うけど)、時々思うんだ。
もし、アルとスピカが恋に落ちていたらとか。
スピカと恋に落ちなかったとしても──アルだって、国の為に政略結婚をさせられたのかもしれない。
どちらだったとしても、胸が痛むけど──
僕を選んでくれたアルを幸せにしてあげたい。
第1王子が僕達の3年進級前の休暇中にフォレストに非公式来訪する事も決まった。
本来なら、婚約前に面会した方が良い気がして、アルに何度も言ったのに大丈夫としか言わなかった。僕の知らない所で話は進んでいて、グランデ王国からの許可は早い段階で降りていて、渋っていたのはフォレスト家の方だったみたい。
「ルナの安全の為だし、グランデからの条件をきちんと飲んだから文句は言わせない」
なんて言うし、大丈夫だと思うけど……
ついスピカに、アルの家族に会ったらやっぱり反対されそうで怖いって言ったら、笑われてしまった。
「ルナ様に会ったら誰も反対しませんよ。それより、第1王子に惚れられ無いように、アルファルド殿下にベタベタしててくださいね」
そんな、心配は要らないのに……
「グランデ王国からマナーの指導に従者を連れてくるって言われたんだ」
アルは、第1王子が今現在している外交を引き継いでいく。
新王の片腕となるべく外交を担う為に。
重要なポストは、アル自身は考えていなかったらしい。
ただ第1王子が優秀なアルを手離したくなかった様で、僕達の婚約を認める条件がこの仕事をする事だったんだ。
アルがこれを了承して書類にサインをもらってきていた。後はロイド兄様に勝利したら、本当に婚約して問題なかったみたい。
お父様のサインも実は、早い段階で書かれていたようで、お兄様達は、素直じゃないよねなんて言っていて……泣いたのは兄弟の秘密にしている。
僕自身、語学は得意だから外交補佐は少しは役に立てるかも。でも、もっと勉強していかないと駄目だよね。その為の準備期間。
グランデの王族に必要な言葉は何故か教わっていて、コレについてはアルに感謝している。
子供の時の方が覚え易いもの。カストル様が教えてくれって言ってるくらい難しい言語。
グランデのマナーは、この1年できちんと身につけてアルに恥ずかしい思いをさせ無いようにする。様々な勉強とマナーの習得、認めてもらう為に頑張ろう。これだけは、教わるしかないので、アルも納得している。
それにしても最近、しつこく注意を受けるのは、スピカが襲われた時のあのチョコ菓子(兄様からのお土産)は最低18歳になってから少しづつ慣らすと言われた。特に外交時に類似品も含めチョコ菓子は、薦められても絶対に食べちゃ駄目だと再三に渡って念押しされている。
眠くなって寝ただけで、なんかしたのかな?暑くて途中で服を脱いだみたいだけど、全部脱いだ訳でもないし。
アルだけでは無く、カストル様もスピカにも駄目って言われるし。
ぐっすり寝てスッキリ出来たのに。残念。
外交途中で、寝たり服を脱いだらまずいか美味しかったのに……
一口食べたらしいアルが、次の日顔色が悪かったから、僕の体調を心配してくれたのだろうって思う。
本当に過保護なんだから。
でもどんどん、会う日が近づいている。
どうか、上手く行きますように。
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