【本編完結】イケメンの皆様、主人公はあちらですよ。

Shizukuru

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第9章☆アルとルナ

2来訪

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目の前に、オーウェン殿下がいる。

母親が違うって聞いてたけど、同じ黒髪で、顔の作りは似ている。
瞳の色が、ルビー色のアルと違って茶色に近い。

外交が得意らしくて雰囲気は柔らかく穏やかな話し方をしてくる。

僕は、緊張し過ぎて、相槌だけで精一杯だ。

アルも久々に会うはずなのに、あまり会話が弾まない。
淡々と質問に答えるだけだ。

このままでは、印象が悪いと思った時、後ろに控えていた従者を紹介された。

「ルナ、君にグランデのマナー等を学んでもらう為、従者兼講師として彼を付ける。申し訳ないが、彼に関して拒否権は無いから。婚姻までに基礎を叩き込む。その覚悟はあるかい?」

アルと一緒に生きて行くための覚悟。

隣り座るアルが僕の手に手を重ねた。

大丈夫。

「は、はい」

オーウェン殿下が振り向いて、軽く頷くと細身の騎士服の人が近づいて来た。

え?こっちの人?
もう1人の20代後半くらいの人かと思っていたので少し驚いた。


「知識も実力もあるし、歳が近い方が側についても負担じゃないと思ってね」

そう言って、笑う感じはアルに似ている。やっぱり、兄弟なんだなぁなんて思っていたら…

わざとらしい咳払いが聞こえた。

「兄上…ディオールじゃ無くても良いのでは?」

ディオールと呼ばれた彼は、まだ18歳だと言う青年。
それでも僕よりは歳上だけど。
マナーを教えるには若いのでは?一瞬思ってしまった。

だけど…腰近くまで伸ばした真っ直ぐな黒髪をリボンで一つに結び、少し切れ長の青い瞳、マナーの指導をすると言う彼の歩き方は美しく、僕を見て一礼した。

ため息。

「綺麗……」

思わず、声を漏らしてしまう。

「アル、ルナも見惚れているだろう?
ディオールは、ナイト伯爵の息子だからね。彼ほど相応しい者はいないよ」

「ナイト伯爵様ですか?」
隣国の貴族の名前まで、まだ覚えきれていない。有名な人なんだろうか?

「知らなくても、大丈夫だよ。彼は、マナーの鬼みたいな人でね。その道では有名な堅物なんだよ。伯爵家に学びに行く者は多いんだよ。から徹底的に。どんな、問題児でも大人しくなるくらいにね。ナイト伯爵家に教わったならね……誰も文句を付ける事が出来ない。万が一文句を言ったなら、伯爵が出て来るだろうね。
それは、それは、恐ろしいね。
若い子息、令嬢ともに2度とお世話になりたくないって評判なんだよ。
昔、俺もアルも指導を受けたよ。流石に伯爵を呼びつける訳には行かないし、息子のディオールの所作も社交界で有名だ。次期指導者と名高いし、優秀だから婚姻式までには身につくと思うよ。ダンスも習うと良い。彼に習えば、上達するよ。
大丈夫。大丈夫」

鬼……なんだ。
その人の息子さんだけど、怖そうには見えないけど…大丈夫かな?

「ディオール、発言を許す。自己紹介を」

「ルナ・フォレスト辺境伯子息様。この度のご婚約おめでとうございます。
オーウェン殿下の命によりルナ様付きの従者兼講師としてお側に仕えさせていただきます。ディオール・ナイトと申します。ディオとお呼び下さい。厳しく指導します事、ご容赦下さいますように」

再び一礼をされる。

思わず、背筋が伸びる。
出来るかな、やるしかないけど……

「厳しくて、構いません。アル、アルファルド様が恥をかかなくて良いようにお願いします」

僕と視線があった瞬間、笑った?様に見えたけど、すぐに真顔になった。
「はい」
と彼は答え後ろに退がる。

「緊張しなくて、大丈夫。少し、アルとセス殿と話したい。ルナは、せっかくだからディオールと話したら良いよ」

そう言って、退出を促された。

アルの顔とお父様の顔を見た後、2人とも大丈夫だって顔をしてくれたので、隣室へディオと2人向かう。もちろん、フェルは足元についているし、護衛もいるから2人きりじゃない。けど、駄目だしとか色々言われるんだろうか?


アル達は、オーウェン殿下と何を話すんだろう。











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