【本編完結】イケメンの皆様、主人公はあちらですよ。

Shizukuru

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その後のetc…

If クロスと猫とくじ引きと⑩

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担任という立場がこれ程役に立つとは、思わなかった。
攻略対象の面々は、ルナの幼馴染みや親友でもある。他にも領地や親同士の交流関係である為に、接点が多い。
 本来は、学園生活を通してスピカが攻略していくはずだった。くじを略奪された結果なのか……ルナが精霊に愛されるくらいの存在だからか……ルナを思う者が多い。必然的に構われていくのを黙って見ているほど間抜けでもない。
まさかこんなに、妬いてしまうとか……

『大人気ない。独占欲の塊だったんですね……』メルがそんな事を言って爆笑した。
だが、1度その存在を知ってしまえば手を離したくないのだ。

だから、俺の傍に堂々と置くことにしたんだ。愛されている自覚が無い、なにより自信が無いのなら……思いっきり甘えさせる時間を作るだけだ。

「クラスの代表ですか?」

「そう。俺の補佐をして欲しい。なんせ、将来この国の上に立つ王子とその側近達と隣国の王子までルナのだ。君は身分も高いからね。彼らをまとめる……いやには君が俺のフォローに付いてくれると助かるんだ。分かるだろ」

ルナが納得したのか少し笑った。
「分かりました。お手伝いしますね」
2人しかいない準備室で、ルナの手を取り抱き寄せる。

「あ」
小さくこぼれる声。耳が赤い。思わず甘噛みをしてみる。びくりと震えているが嫌がったりは、していない。
​───しまった。フェルに睨まれている。だが、俺に飛びかかってこないのは……ルナが嫌がっていないからだろう。

「赤いな」

「学園でこんなことしないで下さい……」
はは。最後は小声だ。

「好きな人に触れたいだけだよ?学園じゃないならいい?あ~でも、卒業するまでは?」

「最後までって!」

「イアソ様や君の家族が、君を大切に思っているよね?身体の華奢な君が傷つかないように護りたいんだよ。ちゃんと育ってからしか手は出さないと誓うよ」

言っている意味を理解して真っ赤になっている。本当に可愛すぎだろう。

日々起こる騒動に、ルナは巻き込まれてしまう。傷をえぐるような発言に対して俺が魔力暴走をしてしまいそうになる。

皆に庇われても、悪意を帯びて放たれた言葉が深く突き刺さってしまう。これ以上傷つけないでくれ。


そして、冥王が言った厄介な奴が現れたのだ。





  襲われそうになったルナを助けた父親が怪我をした。聖属性の力を解放し、助けることが出来たことは良かったが……逃げたあいつを許せない。

そしてレグルスがワザと魔女に同行したんだ。
全て……ルナの為だ。

あの魔女を逃した結果が、さらにルナを傷つけていく。

俺がここにいる理由。

「──先生。お願い出来ますか?」

シリウスの父親の能力の高さには、驚かされた。のはずなのにな。

「な、何よ。あんた……あら、良い男じゃないの?ねぇ、私に協力しなさいよ!ここから連れ出してよ!」

「──随分と魂を食ったんだな」
あの時の、穢らわしさを遥かに超えて嫌悪しか湧かない。

「あんた何者なの?私を封印しにきたの?──つまんない。結局、ちょっと閉じ込められるだけじゃない」

ちょっと閉じ込める?何を言っているのだろう。魔術師団長が俺を見つけた時の歓喜の叫びを聞かせたいな。

「魔術師の俺は鑑定が得意なんだよ。精霊も人外も分かるんだ。で、彼を見た時に心が踊ったよ。
彼は──冥界めいかいの住人だよ。魂の管理者だ」

「冥界って、死後の世界……?」何をされるか分かってないのか?

「醜い魂の色だな。
俺の役割は魂を導く者だよ。お前が今まで奪ってきた、魂の欠片がお前の中に沢山あるみたいだ。彼らを転生の輪に返してやる」

魔女が場にそぐわないほど浮かれ、はしゃいでいる。

「なら、私も転生したいわ。美しいお姫様とか、きっと私に」

バカバカしいな。
「お前のように穢れたものをやり直しに導くわけがないだろう?
そうだな。彼らの受けた痛みを数倍にして体験し続けさせてあげよう。きっと、お前は懇願するだろう。助けてではなく、殺してくれと。自分がした事が自分に戻るだけだよ。お前の魂を封印する。2度と、人の世界には戻さない」

ようやく理解出来たか?自分が1番能力があると思ったか?イアソ達は、お互いの領域を護っているだけだ。
ルールを破る者がいれば、それを修正する者はいるんだ。

「いや、嫌よ。嘘、助けて助けてよ」
今更だ……罪は償え。

「あ、忘れ物だよ。君の呪い」
そう言って、魔術師団長が小瓶を魔女の額に押し当てるとスーッと溶けていった。

「や、何?何なの?」

「リゲルに飛んで来る筈だった呪いだよ。ちゃんと持ってってね。冥界につく頃、発動するはず」

後退りして逃げようとしたが、今度は逃がす気はない。簡単に拘束した。

「ルナ達には、この世界から魔女はいなくなったから安心するようにと貴方から伝えてくれないか?」


そう言って、泣き叫ぶ魔女を連れて1度冥界へと戻る。これさえ片付けば、君の元へ行くから覚悟しておきなさい。
今だけは、命を張った殿下に譲るよ。





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