【本編完結】イケメンの皆様、主人公はあちらですよ。

Shizukuru

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最愛の君へ

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シス兄様と合流して、パルムの木へ向かうことになった。

「ルナ……俺がシャウラ様を抱きかかえようか?」
シス兄様まで過保護なんだから。

「大丈夫だよ? シャウラは軽いから僕でも抱っこ出来るから」

シャウラが、キュッと抱きついてきた。可愛いい。そうだ……
「アリオトは、シス兄様に抱っこしてもらわない?僕より背が高いから気持ちいいかも。見渡しもきっといいはず。どう?」
きっと病弱な弟の手前、色々と我慢してきたはずだから……甘えたいはずだよね?

「──いい」
あれ?駄目なのかな?
「自分で歩けるから」
兄のプライドなのかな?甘えて欲しいのに。

その時、風が吹いた──
「──ルナ」

あ。シルフィ様
「どうしたのですか?」

「腕のなかの……その子は?ルビー色の瞳だ…ルナの子なのか?」

「やだなぁ。アルのお兄さんの子ですよ。だから、ちょっとアルににも似てるでしょう?シャウラって言うんですよ」

「その、足元のは?」

足元って……
「アリオトです。双子でシャウラの兄です」

少し体を屈めて、アリオトをのぞき込むと、シルフィ様が抱きかかえた。

「シャウラと瞳の色が違うのだな……お前……」

何かアリオトの耳元でささやいている。すぐにアリオトの顔が真っ赤になっている。何も言えないみたいで口をパクパクさせてる。

「アリオト……シルフィ様は風の精霊なんだよ。挨拶できる?」

絶世の美女の様な姿で、男体で。何よりも、低音の美声の持ち主。
見慣れている僕でも、抱きつかれるとドキドキしてしまうけど……アリオトの初恋になったらどうしょう?相手は精霊だ。

「​───ア、アリオトです。弟のシャウラをどうか……お願いします。私は、も、もう……降ろして下さい」

「​───ふふ。お前、シャウラが羨ましいのか?」

なぜ?そうなるんだろう。シャウラがアリオトに嫉妬するなら、分かるけど?シルフィ様に抱っこされるなんて、まずないもの。不思議に思いながら、その会話を聞いている。
でももうすぐ、パルムの木にたどり着きそう。

「そんな事ありません!」
アリオトが否定した。

「ルナに抱っこして欲しいなら、そう言えばいい。成長したら、抱っこなんてさせてもらえないぞ?特にアルファルドは、嫉妬深いからな」

え?

「​───ちがっ」

ええ?

シス兄様が、困ったように笑う。
首元にいるシャウラが、一度キュッと抱きついた。

「ルナは、本当に皆に愛されていくのだな」

あいされて??
愛され……て。

「アリオト?シャウラ?」

「​───アルも大変だな。敵が増えるばかりだ」
シス兄様何を言ってるの?

顔を上げて、シャウラが微笑んだ。
「アリオト、代わろうか?ルナ様とってもいい匂いがするの」

へ?

「うわ、アリオトが真っ赤になったな……ルナが初恋の相手とは、可哀想に」

「シ、シス兄様?シルフィ様なら分かるけど、な、なんで僕?」

「本当に、無自覚だな」
シルフィ様が、アリオトを降ろして僕の側にきた。そして、シャウラを受け取り抱き上げた。

「軽いな。確かに弱々しい…… ルナの願いなら、シャウラお前に、加護をつけよう」
シャウラの額に軽くシルフィ様が口付けた。

「あ、なんか……ぽかぽかします」
シャウラが、天使に見える。それにほら、やっぱりシルフィ様は美しいよ!

見つめていたら、シルフィ様が笑った。
「何をしている。アリオトも抱きしめて貰え。ルナは小さいからな、今しか抱っこして貰えないぞ」

その一声で、また真っ赤だ。照れてるの?僕でいいの?
本当に可愛い。甘えるの、下手なんだね。僕と一緒かな?
思わず、抱き上げた。シャウラよりは重いけど。これから、王子教育とか受けるのだから、ここに遊びに来る時は、子供でいて欲しい。レグルス様が、身分関係なく肩の力が抜けたのはここだけだって言ってた。そんな、優しい場所になってあげたい。


「アリオト~、ルナ様いい匂いでしょ?」
シャウラがニヤニヤしている。

「う……うん」

「そうかな?」
匂い、アルと同じなんだけどな。

「良い、匂いです」

「石鹸とかの匂いだと思うけど……それ使ってみる?今日一緒にお風呂に入る?」

「ルナ、やめとけ。アルが可哀想だ」

少し離れている、他の護衛の皆もなぜか頷いている。

​───アルがどうして可哀想なの?

「これだから、ルナは……厄介だ」

シルフィ様が少し苦笑いのような顔を見せた。



















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