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12.ギルドへ
ギルドに行く時の服を着てこい。そう言われて、慌ててカイル様の部屋に向かう。
ワンショルダーの背中鞄に変えてからは、動きやすくなった。空間魔法付きなので、いざと言う時の野宿セットや野外料理にも対応出来る。薬剤やドライフード、水も入れてる。武器はタガーナイフの替えなどだ。
指揮棒は、革製のベルトフォルダーに挿している。持ち手の所が見える形で、サファイアの魔石は隠れている。反対のフォルダーに黒のタガーナイフ。これ位は分かりやすく見せておかないと、ダンジョンに遊びに行く気か? と追い出されかねない。
長袖、タイトながら伸びのいいズボンをブーツインして、フード付きの薄めのローブを身につけた。
カイル様は、ラフなシャツにベストだ。細身の双剣を腰ベルト両サイドに帯剣している。
「いくぞ」
「あの、僕と二人だけですか?他に護衛とかは……」
前を歩くカイル様は、伯爵家の裏口の方へ進んで行く。少し古めの馬車が用意されていた。
「ギルドに行くのに、護衛を連れていく奴はいないだろう? 伯爵家とバレるのも面倒だから。途中までコレで移動する」
「マーティス様は、呼ばなくて良いですか?」
「父上の従者だ。必要ない」
移動中も視線を合わせる事もなく、ただ二人黙っていた。やたら時間がゆっくりと進み、この沈黙がつらい。喉が張り付いて、言葉を発せないそんな感じだった。
途中で降ろされて、ギルドへ向かった。カイル様の後ろに付いて行く。なぜかギルドの看板のあるドアからではなく、二階へ上がる外階段を上がっていく。調べが付いているのか詳し過ぎる。
ドアの前に立ち、カイル様が何事か呟くとゆっくりと扉が開いた。
赤い髪の美女が、ソファで足を組んでこちらを見つめている。
「シェリル。クエスト受ける気になった?」
ギルドマスターは、カイル様を無視して僕に話しかけてきた。答えていいのか迷ったが返事をしてみる。
「今日は、付き添いなので」
「そっか。シェリルと行くのは楽しいんだよね」
カイル様は、表情を崩さない。アルト様に少しだけ近寄った。
「ギルドマスターのアルト、さんですよね?」
足を組み直したギルマスが、長い髪に指をからませてカイル様の話を軽く流している。
「そうだよ~。お貴族さまが、ここに来る必要あるの? 単なる物好き?」
「学園のレベルでは、実力として足らないので鍛えてもらおうかと」
指の動きが止まった。
「なら、守りたいものはある?」
「どうでしょうか……」
「ない? 私の所に来るのはね。家族を養うため、大切な人を守るため、皆必死な奴が来る。生きるために必死なのが。貴族で不自由してない奴が遊びで来るな。守るものがないなら、ただの死に急ぐバカだ。来なくていい」
カイル様の表情が変わり、二人の空気が悪くなってきた。ギルマスに嫌われでもしたら、他の冒険者も敵にしてしまう。
「シェリルは、恩を返したい人のため役立とうとしてる。強くなりたいって分かるけど……お前は、なんなの?」
「シェリル、受付のところで待ってろ。目立つなよ」
「──はい」
何も言えない。ただ黙ってこの部屋から出ていった。
◇◇◇
確かに、カイル様は無理してダンジョンなんて行く必要がない。長兄様の補佐も充分出来る人だ。
「僕が、強さをひけらかしてる様に見えた? やっぱり一緒にいると、怒らせてしまう」
(伯爵家から出るべきかな)
隅にあるテーブルに、邪魔にならないよう座っているつもりだった。ガラの悪い男が二人同じテーブルにつく。
クエストの相談でもするのかな?なら、席を外れようと思った時肩を抱かれてしまった。
「──何ですか?」
「あ、お前男か? まあいいや。こんな所に子どもが、来たら危ないだろう?」
太った男の汗臭さに気持ちが悪くなる。もう一人の髭のある人に、ジロジロと顔を見られて不快としか言いようがない。
「家まで送ってやるぜ。護衛代安くしとく」
「人を待ってるので、ここが邪魔なら席を譲ります」
「お前、俺達を知らないのか?ガキが!」
本当に目立ちたくない。外で……対応したらいいかな。
二階の階段の所。アルト様とカイル様だ。何かを話してる。
カイル様に睨まれてる。外に……そう思っていた。
目の前に移動してきたカイル様が、髭の男を吹き飛ばした。そして、僕の肩を抱いていた男の腕を取ると躊躇いなく折ったのだ。
その音が部屋に響いた。
ワンショルダーの背中鞄に変えてからは、動きやすくなった。空間魔法付きなので、いざと言う時の野宿セットや野外料理にも対応出来る。薬剤やドライフード、水も入れてる。武器はタガーナイフの替えなどだ。
指揮棒は、革製のベルトフォルダーに挿している。持ち手の所が見える形で、サファイアの魔石は隠れている。反対のフォルダーに黒のタガーナイフ。これ位は分かりやすく見せておかないと、ダンジョンに遊びに行く気か? と追い出されかねない。
長袖、タイトながら伸びのいいズボンをブーツインして、フード付きの薄めのローブを身につけた。
カイル様は、ラフなシャツにベストだ。細身の双剣を腰ベルト両サイドに帯剣している。
「いくぞ」
「あの、僕と二人だけですか?他に護衛とかは……」
前を歩くカイル様は、伯爵家の裏口の方へ進んで行く。少し古めの馬車が用意されていた。
「ギルドに行くのに、護衛を連れていく奴はいないだろう? 伯爵家とバレるのも面倒だから。途中までコレで移動する」
「マーティス様は、呼ばなくて良いですか?」
「父上の従者だ。必要ない」
移動中も視線を合わせる事もなく、ただ二人黙っていた。やたら時間がゆっくりと進み、この沈黙がつらい。喉が張り付いて、言葉を発せないそんな感じだった。
途中で降ろされて、ギルドへ向かった。カイル様の後ろに付いて行く。なぜかギルドの看板のあるドアからではなく、二階へ上がる外階段を上がっていく。調べが付いているのか詳し過ぎる。
ドアの前に立ち、カイル様が何事か呟くとゆっくりと扉が開いた。
赤い髪の美女が、ソファで足を組んでこちらを見つめている。
「シェリル。クエスト受ける気になった?」
ギルドマスターは、カイル様を無視して僕に話しかけてきた。答えていいのか迷ったが返事をしてみる。
「今日は、付き添いなので」
「そっか。シェリルと行くのは楽しいんだよね」
カイル様は、表情を崩さない。アルト様に少しだけ近寄った。
「ギルドマスターのアルト、さんですよね?」
足を組み直したギルマスが、長い髪に指をからませてカイル様の話を軽く流している。
「そうだよ~。お貴族さまが、ここに来る必要あるの? 単なる物好き?」
「学園のレベルでは、実力として足らないので鍛えてもらおうかと」
指の動きが止まった。
「なら、守りたいものはある?」
「どうでしょうか……」
「ない? 私の所に来るのはね。家族を養うため、大切な人を守るため、皆必死な奴が来る。生きるために必死なのが。貴族で不自由してない奴が遊びで来るな。守るものがないなら、ただの死に急ぐバカだ。来なくていい」
カイル様の表情が変わり、二人の空気が悪くなってきた。ギルマスに嫌われでもしたら、他の冒険者も敵にしてしまう。
「シェリルは、恩を返したい人のため役立とうとしてる。強くなりたいって分かるけど……お前は、なんなの?」
「シェリル、受付のところで待ってろ。目立つなよ」
「──はい」
何も言えない。ただ黙ってこの部屋から出ていった。
◇◇◇
確かに、カイル様は無理してダンジョンなんて行く必要がない。長兄様の補佐も充分出来る人だ。
「僕が、強さをひけらかしてる様に見えた? やっぱり一緒にいると、怒らせてしまう」
(伯爵家から出るべきかな)
隅にあるテーブルに、邪魔にならないよう座っているつもりだった。ガラの悪い男が二人同じテーブルにつく。
クエストの相談でもするのかな?なら、席を外れようと思った時肩を抱かれてしまった。
「──何ですか?」
「あ、お前男か? まあいいや。こんな所に子どもが、来たら危ないだろう?」
太った男の汗臭さに気持ちが悪くなる。もう一人の髭のある人に、ジロジロと顔を見られて不快としか言いようがない。
「家まで送ってやるぜ。護衛代安くしとく」
「人を待ってるので、ここが邪魔なら席を譲ります」
「お前、俺達を知らないのか?ガキが!」
本当に目立ちたくない。外で……対応したらいいかな。
二階の階段の所。アルト様とカイル様だ。何かを話してる。
カイル様に睨まれてる。外に……そう思っていた。
目の前に移動してきたカイル様が、髭の男を吹き飛ばした。そして、僕の肩を抱いていた男の腕を取ると躊躇いなく折ったのだ。
その音が部屋に響いた。
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