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1.嫌われ悪役令息でした
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クリス様なんて、名前で簡単に呼ばせている。腕に抱きつき微笑み合っている二人の方が、恋人同士に見える。
どう見ても友人ではない。そういう相手が、他にもいるのを知っている。
ジェラルドの実家であるヴィオレット侯爵家も、陛下や第一王子にそれとなく苦言を呈してるが、保留のままだ。
「なんで? お飾りの高位貴族の妃が必要だから? イアンだって伯爵家だ。他に本命がいるなら、子供だって産む必要もない。僕をただ閉じ込めて苦しめたいだけだ」
妃に選ばれると、婚姻後子供が産めるように神殿で光の加護をもらう必要がある。
それも、必要などないはずだ。
後ろ盾と私財欲しさで、こんなことをし続ける殿下が許せなくて。
ただ、悔しかった。
ぼんやりと、窓の外を眺めていた。出窓のスペースに腰掛けて、春の日射しに身を寄せる。ジェラルドの同級生になるだろう令息たちの、姿を目で追う。希望に胸を膨らませているように見えた。
そんな姿がとても眩しい。
「いいな。皆楽しそう」
涙を拭っても、また頬を伝って落ちていく。
メイナードは、隣室で待機をしてくれた。彼は従者だから、仕事としてここにいる。友人になって欲しいと言ってもそれは、命令にしかならない。
涙を袖口で、ごしごしと拭った後にジェラルドは、座り直して背をピンと伸ばした。
お腹に手を当てて思いっきり、ふぅーーー、と息を吐き出した。
さらにもう一度、長くゆっくりと息を吐く。
パシンっと、ジェラルドは頬を両手で打つ。
「どうにかして、解放してもらわないと……ずっと、一人になってしまうよね」
元気を出さないと、また泣いてしまう。脳内で再生される不思議な旋律が、無意識に歌になっていく。
心が蝕まれてしまいそうだった。だから、そんな時に歌うのはきっとこの歌。ただ気持ちを代弁するかのように。ジェラルドは歌った。
何度も繰り返して、心を落ち着かせていく。誰かを励ますために、歌ってあげたんだ。いつだったっけ? 大切な……人? 何度も歌って落ち着いてきたけれど、何か靄がかかっているみたいだった。
ノックの音が隣から聞こえる。ずっと、待たせていたメイナードのはずだ。ジェラルドは、メイナードに入室の許可をした。
窓の外は夕焼けに染まり、室内は少し薄暗くなってきている。
「──ジェラルド様。夕食を用意しています」
「そうだね。メイ、心配かけてごめん」
メイナードが軽く首を振る。
「いいえ。素敵な歌声でした」
「───ちょっと、自分を励ましてた」
「明日の入学式で、良い出会いがあるといいですね」
その言葉に、なんて返していいのかジェラルドには、もうわからなくなっていた。
どう見ても友人ではない。そういう相手が、他にもいるのを知っている。
ジェラルドの実家であるヴィオレット侯爵家も、陛下や第一王子にそれとなく苦言を呈してるが、保留のままだ。
「なんで? お飾りの高位貴族の妃が必要だから? イアンだって伯爵家だ。他に本命がいるなら、子供だって産む必要もない。僕をただ閉じ込めて苦しめたいだけだ」
妃に選ばれると、婚姻後子供が産めるように神殿で光の加護をもらう必要がある。
それも、必要などないはずだ。
後ろ盾と私財欲しさで、こんなことをし続ける殿下が許せなくて。
ただ、悔しかった。
ぼんやりと、窓の外を眺めていた。出窓のスペースに腰掛けて、春の日射しに身を寄せる。ジェラルドの同級生になるだろう令息たちの、姿を目で追う。希望に胸を膨らませているように見えた。
そんな姿がとても眩しい。
「いいな。皆楽しそう」
涙を拭っても、また頬を伝って落ちていく。
メイナードは、隣室で待機をしてくれた。彼は従者だから、仕事としてここにいる。友人になって欲しいと言ってもそれは、命令にしかならない。
涙を袖口で、ごしごしと拭った後にジェラルドは、座り直して背をピンと伸ばした。
お腹に手を当てて思いっきり、ふぅーーー、と息を吐き出した。
さらにもう一度、長くゆっくりと息を吐く。
パシンっと、ジェラルドは頬を両手で打つ。
「どうにかして、解放してもらわないと……ずっと、一人になってしまうよね」
元気を出さないと、また泣いてしまう。脳内で再生される不思議な旋律が、無意識に歌になっていく。
心が蝕まれてしまいそうだった。だから、そんな時に歌うのはきっとこの歌。ただ気持ちを代弁するかのように。ジェラルドは歌った。
何度も繰り返して、心を落ち着かせていく。誰かを励ますために、歌ってあげたんだ。いつだったっけ? 大切な……人? 何度も歌って落ち着いてきたけれど、何か靄がかかっているみたいだった。
ノックの音が隣から聞こえる。ずっと、待たせていたメイナードのはずだ。ジェラルドは、メイナードに入室の許可をした。
窓の外は夕焼けに染まり、室内は少し薄暗くなってきている。
「──ジェラルド様。夕食を用意しています」
「そうだね。メイ、心配かけてごめん」
メイナードが軽く首を振る。
「いいえ。素敵な歌声でした」
「───ちょっと、自分を励ましてた」
「明日の入学式で、良い出会いがあるといいですね」
その言葉に、なんて返していいのかジェラルドには、もうわからなくなっていた。
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