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1.嫌われ悪役令息でした
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入学式は、クリス殿下の兄であるアレクシス・スペードニア第一王子殿下が、生徒会会長として挨拶をした。
それに応えるべく、新入生代表として堂々とクリス殿下が挨拶を返した。
スペードニア王家の血筋は、金髪碧眼で目立つ美形なため、生徒たちの熱い視線が送られている。学園は三年間通うので、三年の兄殿下と一年の弟殿下が、揃って学園生活を送るのはこの一年だけだ。
有力貴族だけではなく、王家に取り入るために生徒数が多い。この学園生の間に交流することが、社交をしていくためにも、とても大切な期間になるのだ。
「散々な扱いされてきたんだから、今更関係改善ってないよね。ほんと、呪われているとしか思えない」
ジェラルドは嫌われているのだから、物理的な距離をとることも考えた。
隣国への留学を選択すれば、三年は離れることができると思ったのに、留学申請は却下された。
「問題なく途中まで進んでたのに」
突然駄目になることが、よくあった。誰かに邪魔をされているような、裏で糸を引かれているような気さえする。
「逃げられないなら、どうにかして婚約解消を認めさせるだけだ。こんなに嫌われている僕を、選ぶわけないんだから」
現在アレクシス第一王子殿下には、婚約者がいない。
アレクシス殿下は、数年前に病気で婚約者を亡くしていた。それ以降、しばらく婚約者はいらないと、陛下に伝えていると聞いている。
婚約者がいなくても、順番として婚姻はアレクシス殿下の方が先になる。王太子にほぼ確定しているので、クリス殿下が先に婚姻することは有り得ない。婚約はともかく、婚姻は当分進まず保留になるはずだ。
今でも亡き婚約者を、偲んでいることを思えば、さらに時間を稼くことが可能だろう。
クリス殿下だってジェラルドとの婚約に抵抗しているんだ、きっと解消できる大丈夫だ。
「他に何人も相手がいて、僕のこと嫌ってるくせに。一体どこから圧力がかかっているんだ?」
ジェラルドからすれば、アレクシス殿下の方が好ましかった。ずっと一人だけを思い続けているなんて。亡くなった彼が羨ましい。アレクシス殿下に選んでもらえたら……。
この顔じゃ無理か、気に入られることなんてないな。
大切に思われたかった。それだけなのに。
「いいな……」
「ジェラルド様」
「ん? 何かあった?」
気まずそうなメイナードに、早く続きを話して、と催促する。
「ピンクブロンドの」
「ピンクブロンドの? ああ、新入生の中にいたね。たしか……ライラック・ハートレン男爵令息かな?」
「入学式に行く前のことです」
「何か、悪いことしてた?」
ジェラルドがわざと、軽く言っても、メイナードの表情は変わらない。きっと……そういうことだ。
不思議とクリス殿下は、人目のあるところで恋人との逢瀬を楽しんでいるように思う。
態々、ジェラルドに見せつけようとしている気がする。
「──浮気相手とイチャイチャしてた?」
これはもう想定内なので、ジェラルドは動揺さえしなくなっている。
「はい」
「まだ、浮気相手が増えるんだ。クリス殿下も陛下たちに、婚約者を見直せって訴えているのかもね」
「違うかと」
「そう? 婚約解消させたくないのは、陛下なのかもね。そんなに侯爵家と関係を結びたいのかな? 有力貴族なら他にもいるのに」
「陛下とは思えません」
「なら、王太子候補のことで誰かが動いてるせい?」
「ジェラルド様」
王太子候補なんて、簡単に口にしたらだめだよね。ほんとに窮屈過ぎる。
「ああ、聞かなかったことにして。僕なんかを妃にするより、身分の高くて、お金持ちの後ろ盾を作ったらいいのにね。その上で殿下好みの可愛らしい従順な令息を、探せばいいのに。よりによって男爵家……って王家との婚姻は難しいよね? なにか強みがあったかな?」
「精霊を召還できるという噂です」
その一言で男爵家の彼が、クリス殿下の傍にいられる理由に納得した。
それに応えるべく、新入生代表として堂々とクリス殿下が挨拶を返した。
スペードニア王家の血筋は、金髪碧眼で目立つ美形なため、生徒たちの熱い視線が送られている。学園は三年間通うので、三年の兄殿下と一年の弟殿下が、揃って学園生活を送るのはこの一年だけだ。
有力貴族だけではなく、王家に取り入るために生徒数が多い。この学園生の間に交流することが、社交をしていくためにも、とても大切な期間になるのだ。
「散々な扱いされてきたんだから、今更関係改善ってないよね。ほんと、呪われているとしか思えない」
ジェラルドは嫌われているのだから、物理的な距離をとることも考えた。
隣国への留学を選択すれば、三年は離れることができると思ったのに、留学申請は却下された。
「問題なく途中まで進んでたのに」
突然駄目になることが、よくあった。誰かに邪魔をされているような、裏で糸を引かれているような気さえする。
「逃げられないなら、どうにかして婚約解消を認めさせるだけだ。こんなに嫌われている僕を、選ぶわけないんだから」
現在アレクシス第一王子殿下には、婚約者がいない。
アレクシス殿下は、数年前に病気で婚約者を亡くしていた。それ以降、しばらく婚約者はいらないと、陛下に伝えていると聞いている。
婚約者がいなくても、順番として婚姻はアレクシス殿下の方が先になる。王太子にほぼ確定しているので、クリス殿下が先に婚姻することは有り得ない。婚約はともかく、婚姻は当分進まず保留になるはずだ。
今でも亡き婚約者を、偲んでいることを思えば、さらに時間を稼くことが可能だろう。
クリス殿下だってジェラルドとの婚約に抵抗しているんだ、きっと解消できる大丈夫だ。
「他に何人も相手がいて、僕のこと嫌ってるくせに。一体どこから圧力がかかっているんだ?」
ジェラルドからすれば、アレクシス殿下の方が好ましかった。ずっと一人だけを思い続けているなんて。亡くなった彼が羨ましい。アレクシス殿下に選んでもらえたら……。
この顔じゃ無理か、気に入られることなんてないな。
大切に思われたかった。それだけなのに。
「いいな……」
「ジェラルド様」
「ん? 何かあった?」
気まずそうなメイナードに、早く続きを話して、と催促する。
「ピンクブロンドの」
「ピンクブロンドの? ああ、新入生の中にいたね。たしか……ライラック・ハートレン男爵令息かな?」
「入学式に行く前のことです」
「何か、悪いことしてた?」
ジェラルドがわざと、軽く言っても、メイナードの表情は変わらない。きっと……そういうことだ。
不思議とクリス殿下は、人目のあるところで恋人との逢瀬を楽しんでいるように思う。
態々、ジェラルドに見せつけようとしている気がする。
「──浮気相手とイチャイチャしてた?」
これはもう想定内なので、ジェラルドは動揺さえしなくなっている。
「はい」
「まだ、浮気相手が増えるんだ。クリス殿下も陛下たちに、婚約者を見直せって訴えているのかもね」
「違うかと」
「そう? 婚約解消させたくないのは、陛下なのかもね。そんなに侯爵家と関係を結びたいのかな? 有力貴族なら他にもいるのに」
「陛下とは思えません」
「なら、王太子候補のことで誰かが動いてるせい?」
「ジェラルド様」
王太子候補なんて、簡単に口にしたらだめだよね。ほんとに窮屈過ぎる。
「ああ、聞かなかったことにして。僕なんかを妃にするより、身分の高くて、お金持ちの後ろ盾を作ったらいいのにね。その上で殿下好みの可愛らしい従順な令息を、探せばいいのに。よりによって男爵家……って王家との婚姻は難しいよね? なにか強みがあったかな?」
「精霊を召還できるという噂です」
その一言で男爵家の彼が、クリス殿下の傍にいられる理由に納得した。
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