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4.学園生活・春
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名前を呼んだのはそっちなのに、不機嫌な顔を見せられて胸が痛い。
「お、おはよう……ございます」
殿下のうしろには、こちらを睨んでいるサイラスと、上から下まで確認するように視線を動かしたレナードがいた。
(だから、離れたいのは僕の方なのに)
「さっきの、いいのか?」
「さっきの?」
「従者に、頭をなでられてただろ?」
「メイは特別です。だから、問題ありません」
「まだ、決まってないだろ」
「あの。殿下……僕が邪魔なら、席を替えます。ひと言、殿下が誰かを指名して、僕と席を替わるように言ってくれたら解決します。サイラス・ダイヤリス様。そんなに睨むのなら、殿下を説得してください。僕が望んだ席ではありません」
クリス殿下が、後ろを向いた。
「サイラス……、ジェラルドがお前に何かしたのか?」
「いえ。その、睨んだりはしていません」
「殿下、ジェラルド様も、邪魔になるので先に席についてください」
レナードの、ひと言で結局、奥の席に座ってしまった。
前の席に二人が座ると、タタタッとライラックが向かってくるのが見えた。髪の毛が寝癖なのか跳ねていて、見ようによっては可愛らしい。彼は微笑んだまま、殿下に挨拶をした。
「クリス殿下。おはようございます」
「ああ」
「ジェラルド様。おはようございます。やっぱり、奥の席に座るのですか?」
内心、怖くて仕方がない。
でも貴族として、動揺する素振りを見せないように心を奮い立たせる。
殿下はともかく、ライラックの前では、堂々とした態度を保ちたい。
(舐められないようにしないと)
この際ジェラルドが邪魔だと言ってくれたらいいのに。さっさと他の席に移るように、と主人公が言って欲しい。
「ハートレン様。おはようございます。もし良かったら、席を替わりましょうか? 実は、僕はもっと前の席に移りたいのです。先生の授業を、もっと近くで受けたいので」
怖いと言われた笑顔を披露する。
(どう? 悪役令息の顔。怖いよね!)
ふと、前の席にいるサイラスと目が合った。頬が赤い気がするけど、怒らせてしまったみたいだ。視線を戻すと、ライラック・ハートレンも、驚いた顔をして頬も赤くなっている。
怖い顔をしすぎたのかと、一度頬をさする。
さっさと行動すべきと思い、中身をまだ出していなかった鞄をかかえる。
キョロキョロと教室内を見てみると、ひとつ席が空いてる所があった。
やっぱり、昨日からあの席は空いてる。
そもそも、殿下は一人席のはずだ。
ここにジェラルドがいるから、空き席があるんだ。
「殿下、あの席に行きます」
昨日と同じように、下に降りようとしたら、今回は鞄の紐のところを掴まれてしまった。
「うわ」
グラッとしたところを、支えられる。
「──大丈夫か? 驚かせてすまない」
「あの、大丈夫です……けど。離してください」
壁ドンの次は、バックハグ……って。殿下のことは好きじゃないけど、攻略対象者らしく美形なので、近すぎてドキドキしてしまう。
「昨日ここの席に決まったのはジェラルドだ」
「ですが」
「ハートレン、特待生なら中央の席が都合が良くないか? ジョーカーズ先生にも質問しやすい。昨日、君は先生を呼び止めて質問もしていた。なら、席を前にしたらどうだろうか?」
(ハートレン……呼び? 浮気相手をこれ見よがしに、名前で呼んでたのに?)
「クリス殿下。僕は、勉強だけではなく友人も作りに学園に来たのです。ジェラルド様と仲良くなりたいんです。だから、近くの席になりたいのですが、だめですか?」
殿下の隣ではなく、ジェラルドの隣を希望するなんて。
──まだ、クリス殿下の方がマシなんだろうか? とため息をついた。
「お、おはよう……ございます」
殿下のうしろには、こちらを睨んでいるサイラスと、上から下まで確認するように視線を動かしたレナードがいた。
(だから、離れたいのは僕の方なのに)
「さっきの、いいのか?」
「さっきの?」
「従者に、頭をなでられてただろ?」
「メイは特別です。だから、問題ありません」
「まだ、決まってないだろ」
「あの。殿下……僕が邪魔なら、席を替えます。ひと言、殿下が誰かを指名して、僕と席を替わるように言ってくれたら解決します。サイラス・ダイヤリス様。そんなに睨むのなら、殿下を説得してください。僕が望んだ席ではありません」
クリス殿下が、後ろを向いた。
「サイラス……、ジェラルドがお前に何かしたのか?」
「いえ。その、睨んだりはしていません」
「殿下、ジェラルド様も、邪魔になるので先に席についてください」
レナードの、ひと言で結局、奥の席に座ってしまった。
前の席に二人が座ると、タタタッとライラックが向かってくるのが見えた。髪の毛が寝癖なのか跳ねていて、見ようによっては可愛らしい。彼は微笑んだまま、殿下に挨拶をした。
「クリス殿下。おはようございます」
「ああ」
「ジェラルド様。おはようございます。やっぱり、奥の席に座るのですか?」
内心、怖くて仕方がない。
でも貴族として、動揺する素振りを見せないように心を奮い立たせる。
殿下はともかく、ライラックの前では、堂々とした態度を保ちたい。
(舐められないようにしないと)
この際ジェラルドが邪魔だと言ってくれたらいいのに。さっさと他の席に移るように、と主人公が言って欲しい。
「ハートレン様。おはようございます。もし良かったら、席を替わりましょうか? 実は、僕はもっと前の席に移りたいのです。先生の授業を、もっと近くで受けたいので」
怖いと言われた笑顔を披露する。
(どう? 悪役令息の顔。怖いよね!)
ふと、前の席にいるサイラスと目が合った。頬が赤い気がするけど、怒らせてしまったみたいだ。視線を戻すと、ライラック・ハートレンも、驚いた顔をして頬も赤くなっている。
怖い顔をしすぎたのかと、一度頬をさする。
さっさと行動すべきと思い、中身をまだ出していなかった鞄をかかえる。
キョロキョロと教室内を見てみると、ひとつ席が空いてる所があった。
やっぱり、昨日からあの席は空いてる。
そもそも、殿下は一人席のはずだ。
ここにジェラルドがいるから、空き席があるんだ。
「殿下、あの席に行きます」
昨日と同じように、下に降りようとしたら、今回は鞄の紐のところを掴まれてしまった。
「うわ」
グラッとしたところを、支えられる。
「──大丈夫か? 驚かせてすまない」
「あの、大丈夫です……けど。離してください」
壁ドンの次は、バックハグ……って。殿下のことは好きじゃないけど、攻略対象者らしく美形なので、近すぎてドキドキしてしまう。
「昨日ここの席に決まったのはジェラルドだ」
「ですが」
「ハートレン、特待生なら中央の席が都合が良くないか? ジョーカーズ先生にも質問しやすい。昨日、君は先生を呼び止めて質問もしていた。なら、席を前にしたらどうだろうか?」
(ハートレン……呼び? 浮気相手をこれ見よがしに、名前で呼んでたのに?)
「クリス殿下。僕は、勉強だけではなく友人も作りに学園に来たのです。ジェラルド様と仲良くなりたいんです。だから、近くの席になりたいのですが、だめですか?」
殿下の隣ではなく、ジェラルドの隣を希望するなんて。
──まだ、クリス殿下の方がマシなんだろうか? とため息をついた。
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