【完結】黒猫は、魔術師のキスに翻弄される。

Shizukuru

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第3章 フラン辺境伯領

ご令嬢 ②

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店内に、ガイア様がいない。


「ねぇ。オーナーは何処にいるのかしら?」
案内係っぽい受付の女と黒のスーツを着た40歳くらいの執事のような男が並んでいる。
オーナーのテリーもいない。
もしかして……個室対応中なのかしら?

「失礼ですが、ご令嬢はオーナーと約束をされていますか?」

こちらに近づいて来た男が、質問してきた。

「私は、ガイア様と(将来の)約束しているのよ!ガイア様が来ているでしょう?案内しなさい!」



「​───ご令嬢。勘違いされているようですが、オーナーはご予約されているの接客中です。オーナーには、ご令嬢が来た事はお伝えします。
ですが約束もしていない貴方にお会いするかは、私には分かりかねます。
店内で待たれても構いませんので、ご自由にどうぞ」

はぁ?
何言ってんの?私は客よ?これから超お得意様になるのよ?将来の伯爵夫人になるんだから!


「ちょっと、生意気ね!私を誰だと思っているの!私はボンビーヌ子爵家の」

カタンと、後方から音が聞こえた。思わず振り返える。

「​───外にまで声が聞こえますね。何か問題でもありましたか?」

落ち着いた良く通る声が店内に響く。
長身で気品のある男が、開いたドア傍に立っていた。
騎士兼従者まで隣に立っているため、迫力が違う。


「これは、これはリオ・フラン様。お約束の時間より少し早い到着ですね。申し訳ありません。オーナーはまだ接客中です。確認致しますのでお待ち下さい」


「いいよ。急がせなくて。大切な恋人と2人で証を選んでいるんだ。邪魔はしたくないよ。それに私も彼女のためにプレゼントを選びに来たから、店内を見て候補を考えるからゆっくりでいいと伝えて欲しい」

「ご配慮ありがとうございます」

執事のような男が一礼して部屋を出ていく。
この人より、今はリオ様の方が大切よ。

「あ、リオ様お久しぶりです。私はガイア様と約束をしているのです」


少し眉間に皺がよったわ。
なぜかしら?やはり待たされたくないのよね?
なら​……

「ガイア様が奥にいるはずなんです。ご一緒に行きませんか?」

リオ様と一緒に行けば喜んでくれるわね。

ふふふ。

「君は、本当に愚かだね」

「え?」

「大切な恋人と証を選んでいると…言ったよね?
今奥にいるのは、テリーとガイアと彼の恋人。私はガイアの恋人を見に来たんだ。アイツのことだ。勿体つけて隠すだろう?

本当にすぐに都合の良い解釈をするのは、父親譲りかな?

ガイアの恋人は、もちろん君じゃない。魔術師御用達の店も出禁になったと聞いたよ。爵位をチラつかせて店に優遇させようとか、犯罪者と変わらないね」


「犯罪だなんて。大袈裟です!」
恋人に会いに来ているだけよ。

「既に、しつこく後を追ったり観察しているのは……変質者と変わらない」

「そんな!だって姫抱っこしてくださったのですよ!責任を取るべきです!」


「​───足を怪我したの令嬢が邪魔だから運んでって頼んだの俺だよ。品位の欠片もない君が床に転がってるなんて…他の招待した方々に迷惑になるからね」

「品位の欠片もない?」
何を言ってるのかしら?

「自覚がないのか。
恋人と一緒にいるところをさんざん邪魔をしているなんて、ゲスのすることだよ。
それと、君の父親…ボンビーヌ子爵家に不正の密告があったんだ。今、不正の確認にフラン辺境伯家と王家が動いているから、帰ってみたらどうかな?」


「不正なんて!でっち上げだわ」


「そう。信じなくてもいいけどね。今日にでも子爵位は剥奪されるよ」

何を言ってるの?お父様が不正とか、子爵位が剥奪って…嘘でしょう?

「それと、ガイアは私の親友でもあるから、変な気を起こさないでくれ。やっと大切な人を見つけたんだから。今更だけど、君は貴族のマナーも知らないね。君から私に許可なく話かけるなんて許してないんだ」

ゾッとする程冷たい声で最後の一言が耳に届いた。

だって、だって…私はガイア様の…

「リオ様。お待たせしました」

あ、テリーが来たわ。


「それで?」
リオ様が面白がるような、悪戯そうな顔をしている。

「恋人を抱きしめて帰りましたよ。あんなガイア様を見た事ないですね。本当に綺麗な子…中々いませんね」

「そうか、逃げられたか。次は屋敷に来るように言わないとな」

私なんていないかのように話をしている。

テリーが私を見た。

「あれ?まだ帰ってなかったんですか?ガイア様は、君の被害に合わないようにに恋人を抱きしめて帰られました。お揃いのアクセサリーは、とても似合っていて素敵だったので、見せたいくらいですね」

「​ねぇ──隠してるんでしょう?」

イライラする。

「部屋中探してもらってもいいですよ?でもいなかったら、覚悟して貰えます?」

ガイア様は、魔術師だから本当にいないかも知れない。お父様に相談しなければ……

「1度帰るわ。リオ様。不正なんてしていません。失礼します」



朝から散々だわ。
お父様に魔術師を雇って貰おう。

なにこれ?
家中、空っぽじゃない!

「お父様……差し押さえ?嘘でしょう?」

「あの、若造にしてやられた。リオ・フランにな!」

皆、馬鹿にして……許さない。覚えてなさい。











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