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番外編
★ 2.目が覚めたら猫耳がありました 《お礼SS》
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エルドレッド様は仮面をつけていても、横顔さえもかっこいいので、直視しにくい。
移動中は、抱きかかえられてて良かった。赤くなっている顔を見られたくない。さらに猫耳がついているのだ。
(なんで、こんなことに)
エルドレッド様の首元に、もう一度すり付けるようにして顔を隠した。体温が気持ちがいい。このまま眠りに落ちてしまいそうになる。
「ラシェル?」
顔を隠したまま、大丈夫ですと呟く。
「顔をあげて、広場の飾りつけもきれいだよ」
そっと顔をあげて、周りを見るとランプが木々や建物近くにセットされている。優しい炎の灯りが、あちらこちらに見える。きれいなリボンを巻きつけたり、星形の飾りもつるされていて、子供たちの嬉しそうな声がする。
「きれいですね」
ずっと、行くことができなかった祝祭日だ。仕事もあったし、恋人として隣に立つこともなかったから。
「恋人って、言えなかったから……一緒に来れて嬉しいです」
空気に溶けて消えてしまいそうな、小さく呟いた言葉を、ちゃんとエルドレッド様は聞いていた。
「ジーンに言わなかったこと、何度も後悔した。でも今は、唯一の番になれて嬉しい。もうレティを失ったり、誰にも取られたくないんだ」
抱えてくれている腕に少し力が入ったように思う。それがわかるから、嬉しくてたまらなくなる。
「どんな姿でもいいって、言ってくれて嬉しかったです」
そっと、降ろされて手を繋いで歩く。
ランプの光が続く幻想的な空間を過ぎると、少し周りが暗くなった。
「エル様?」
「星を見ないと……少し暗い方がいいから」
昨日の夜も流星雨がすごかったらしい。見る時間がなかったけど、今夜も同じくらい降ってくれるだろうか?
エルドレッド様に、伝える愛の言葉が出てこない。
手を繋いでいるだけで幸せなのだ。
ラシェルからもらった、大切な体もある。番にしてもらったことだって、幸せすぎなのだ。
「エル様」
「あの辺りに行こうか?」
手を繋いだまま、木の根元まで来た。魔導具からブランケットを取り出し、エルドレッド様を背もたれがわりに、体重を預けて座った。背中からハグされてエルドレッド様の腕の中に閉じ込められる。一緒にブランケットに包まれて暖かい。
時折、猫耳に触れてくるのがくすぐったい。しっぽは自然とエルドレッド様の腕に巻きついた。
「あたたかいです。眠くなりそう」
「レティ……寝すぎだ」
猫の姿のせいか、あたたかいと心地よくて眠くなってしまう。
「猫になってるからかな? それか単にエルドレッド様の傍が、気持ちがいいせいかもしれません」
「そうか」
そんな会話をしていると、大きな歓声が上がった。
満天の星空を、周りの人たちも見上げ始める。
星が雨のように降り始める。
好きな人の腕の中にいて、流星雨が光の糸を引くように流れていく。
「エル様と、ずっと一緒にいたい」
「ああ。俺もレティの傍にずっといる」
「エル様──愛してます」
流れる星を見て涙が落ちた。
優しいキスを受け入れる。
そんな、優しい時間がすぎて家に戻ってきたのに、耳もしっぽもそのままだった。
「猫耳としっぽ、どうしよう……」
「抱き合えば朝には消えるよ」
消えなかったら困る。こんなんじゃ、魔塔での仕事も任せてもらえないかもしれない。
それなら……勇気をだして言葉にする。
(恥ずかしいけど)
「それなら、今日は、たくさん抱いてください」
エルドレッド様が、かたまってしまった。
「エル様? あ、お疲れでしたね……ごめんなさい」
「そんなわけない。たくさんしよう」
抱きかかえられていく先は、もちろん寝室の大きなベッドの上だ。
耳を触られただけで、おかしくなるのに、しっぽは敏感すぎた。
腰が揺れて、しっぽはなぜか、エルドレッド様の体に巻きつこうとしてしまう。
耳を触れられて食まれる。自然と胸の突起は芯を持って、こっちも食べてと主張する。
体に沿って撫でられ舐められ、吸われていくのも気持ちがいい。
エルドレッド様が与えてくれるものすべてが、心地よくて熱を帯びていくみたいだ。
我慢できなくて足を広げ、ここに入れてと指先を使って見せると程よく解かされた後孔に、欲しものがあてがわれた。
もどかしいほどゆっくりと、体を侵食されていくみたいだ。
「気持ちぃ……あ、あぁッ。んーーー」
気持ちよくて、抱きついた。しっぽは、エルドレッド様に巻きついたまま。
「大丈夫……明日には消えてるよ」
「ほんとう?」
猫のままだと、眠すぎて妙に擦り寄りたくなるのだ。
「こんなに甘えたら、迷惑になる……のに」
「もっと甘えて欲しい」
深くなるキスを受け入れ、その後はたぶん寝落ちをしてしまったんだ。
翌日、目が覚めたら猫耳もしっぽも消えていた。
猫の姿だと、素直になりやすかったかも……そんな風に考えていたら、どうやら変身魔法薬は星夜祭で、発売されている人気商品だと聞かされた。
「恋人のかわいい姿が見れるって、王都で人気らしいよ」
ユージーン殿下の眩しい笑顔をみて、なんとなく察してしまった。
「もしかして、二日たてば何もしなくても元に戻れたとか?」
素直になれたから、よかったのかな。
そう思ったことは、エルドレッド様には内緒にしておこう。
今度こっそり……使ってみようかな。
終
★★★
はじめて奨励賞をいただきました。
皆様の応援のおかげです。
これで完結になります。
本当にありがとうございました。
感謝をこめて。
Shizukuru
移動中は、抱きかかえられてて良かった。赤くなっている顔を見られたくない。さらに猫耳がついているのだ。
(なんで、こんなことに)
エルドレッド様の首元に、もう一度すり付けるようにして顔を隠した。体温が気持ちがいい。このまま眠りに落ちてしまいそうになる。
「ラシェル?」
顔を隠したまま、大丈夫ですと呟く。
「顔をあげて、広場の飾りつけもきれいだよ」
そっと顔をあげて、周りを見るとランプが木々や建物近くにセットされている。優しい炎の灯りが、あちらこちらに見える。きれいなリボンを巻きつけたり、星形の飾りもつるされていて、子供たちの嬉しそうな声がする。
「きれいですね」
ずっと、行くことができなかった祝祭日だ。仕事もあったし、恋人として隣に立つこともなかったから。
「恋人って、言えなかったから……一緒に来れて嬉しいです」
空気に溶けて消えてしまいそうな、小さく呟いた言葉を、ちゃんとエルドレッド様は聞いていた。
「ジーンに言わなかったこと、何度も後悔した。でも今は、唯一の番になれて嬉しい。もうレティを失ったり、誰にも取られたくないんだ」
抱えてくれている腕に少し力が入ったように思う。それがわかるから、嬉しくてたまらなくなる。
「どんな姿でもいいって、言ってくれて嬉しかったです」
そっと、降ろされて手を繋いで歩く。
ランプの光が続く幻想的な空間を過ぎると、少し周りが暗くなった。
「エル様?」
「星を見ないと……少し暗い方がいいから」
昨日の夜も流星雨がすごかったらしい。見る時間がなかったけど、今夜も同じくらい降ってくれるだろうか?
エルドレッド様に、伝える愛の言葉が出てこない。
手を繋いでいるだけで幸せなのだ。
ラシェルからもらった、大切な体もある。番にしてもらったことだって、幸せすぎなのだ。
「エル様」
「あの辺りに行こうか?」
手を繋いだまま、木の根元まで来た。魔導具からブランケットを取り出し、エルドレッド様を背もたれがわりに、体重を預けて座った。背中からハグされてエルドレッド様の腕の中に閉じ込められる。一緒にブランケットに包まれて暖かい。
時折、猫耳に触れてくるのがくすぐったい。しっぽは自然とエルドレッド様の腕に巻きついた。
「あたたかいです。眠くなりそう」
「レティ……寝すぎだ」
猫の姿のせいか、あたたかいと心地よくて眠くなってしまう。
「猫になってるからかな? それか単にエルドレッド様の傍が、気持ちがいいせいかもしれません」
「そうか」
そんな会話をしていると、大きな歓声が上がった。
満天の星空を、周りの人たちも見上げ始める。
星が雨のように降り始める。
好きな人の腕の中にいて、流星雨が光の糸を引くように流れていく。
「エル様と、ずっと一緒にいたい」
「ああ。俺もレティの傍にずっといる」
「エル様──愛してます」
流れる星を見て涙が落ちた。
優しいキスを受け入れる。
そんな、優しい時間がすぎて家に戻ってきたのに、耳もしっぽもそのままだった。
「猫耳としっぽ、どうしよう……」
「抱き合えば朝には消えるよ」
消えなかったら困る。こんなんじゃ、魔塔での仕事も任せてもらえないかもしれない。
それなら……勇気をだして言葉にする。
(恥ずかしいけど)
「それなら、今日は、たくさん抱いてください」
エルドレッド様が、かたまってしまった。
「エル様? あ、お疲れでしたね……ごめんなさい」
「そんなわけない。たくさんしよう」
抱きかかえられていく先は、もちろん寝室の大きなベッドの上だ。
耳を触られただけで、おかしくなるのに、しっぽは敏感すぎた。
腰が揺れて、しっぽはなぜか、エルドレッド様の体に巻きつこうとしてしまう。
耳を触れられて食まれる。自然と胸の突起は芯を持って、こっちも食べてと主張する。
体に沿って撫でられ舐められ、吸われていくのも気持ちがいい。
エルドレッド様が与えてくれるものすべてが、心地よくて熱を帯びていくみたいだ。
我慢できなくて足を広げ、ここに入れてと指先を使って見せると程よく解かされた後孔に、欲しものがあてがわれた。
もどかしいほどゆっくりと、体を侵食されていくみたいだ。
「気持ちぃ……あ、あぁッ。んーーー」
気持ちよくて、抱きついた。しっぽは、エルドレッド様に巻きついたまま。
「大丈夫……明日には消えてるよ」
「ほんとう?」
猫のままだと、眠すぎて妙に擦り寄りたくなるのだ。
「こんなに甘えたら、迷惑になる……のに」
「もっと甘えて欲しい」
深くなるキスを受け入れ、その後はたぶん寝落ちをしてしまったんだ。
翌日、目が覚めたら猫耳もしっぽも消えていた。
猫の姿だと、素直になりやすかったかも……そんな風に考えていたら、どうやら変身魔法薬は星夜祭で、発売されている人気商品だと聞かされた。
「恋人のかわいい姿が見れるって、王都で人気らしいよ」
ユージーン殿下の眩しい笑顔をみて、なんとなく察してしまった。
「もしかして、二日たてば何もしなくても元に戻れたとか?」
素直になれたから、よかったのかな。
そう思ったことは、エルドレッド様には内緒にしておこう。
今度こっそり……使ってみようかな。
終
★★★
はじめて奨励賞をいただきました。
皆様の応援のおかげです。
これで完結になります。
本当にありがとうございました。
感謝をこめて。
Shizukuru
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感想ありがとうございました💕
太陽のようなユージーン殿下は、お気に入りのキャラです。
それぞれの一途な思いを書きたいと思ってできた作品でした。
キャラの幸せを願ってもらえたり、素敵なお話と思ってもらえたり、本当に嬉しいです。
iku様
感想ありがとうございました🙏💦
お返事を書いていたと思ってました😅
遅くなってすみません。
たくさんの作品を読まれているikuさんに、褒められて感無量です。
奨励賞を初めていただき、続けてきて本当に良かったと思っています。
本当に応援ありがとうございました💕