世界樹の詩

茶々

文字の大きさ
6 / 12

5

しおりを挟む



「ほう!!これが噂の木か!」


 ある春の終わり、立派な馬車が私の居る所に来た。
 その男は、馬車を降りる時に、足元に敷物をして踏み台を置いて、馬車から降りて言った。

 「立派な花を咲かすそうだが、花が無いぞ!?」
 「はっ、住民によりますと、既に咲き終わったとの事です。」
 「なんだつまらん。」
 「なんでも、花の咲く間は短く1週間位だとか。」
 「なんだと!そんなに短いのか!」
 「お父様、お花が無いわ。」

 男の後から、可愛らし女の子が出てきた。
 しかし、とても不機嫌な様子で、私を見ている。いや、睨み付けている・・・かな?


 ドリュアス様、あいつら、やっつけてもいい?


  うーん・・・どうだろう?


 「ねぇ、こんな木、切っちゃって!」


 ザワザワザワザワ


 女の子の言葉に、私の周りの精霊達がざわめき立つ。


 「おぉ!そうだな!こんな役立たずの大きいだけの木は、屋敷の扉位しか役に立たないだろう!早速、木こりを呼んで、伐採しよう!」

 それを聞いていた、この町の住民達は、顔色を変えて、嘆願しだした。

 「お願いします。この木を伐るのだけはお止め下さい。御貴族様!!この木はこの町が出来る前からここにあって、この町の象徴なのです。お願いします!!」
 「ほう!この町の象徴だと?只の象徴で、役立たずでは無いか!尚更こんな木は要らぬ!直ぐにでも、切ってしまえ!」

 そう言うと、腰に差していた、剣をさらりと抜き、私に突き立てた。
 が・・・その剣は私に刺さる前に・・・


 ザザザザザザァ─────!!


 いきなり、強風が吹き男と女の子を取り囲んだと、男と女の子の体がふわりと浮いたと思ったら、あっという間に私よりも高く吹き上げられた。

 
 この人達、捨てて良い?


 元の家に帰して。


 わかった──


 そのまま空高く吹き上げられたまま西の方へ消えていった。


 あぁ、死なないようにして。


 ──────わかった─────


 私の下には、馬車と、貴族の連れと、住民が残った。
 皆は呆然と貴族親子を見ていたが、連れの連中は、あたふたと、飛んで行った方へ追いかけて行き、残された住民も、何が起こったのかわからない様子で、暫くは私の側にいたが、町長と、名乗る者が私に膝間付いた。

 「どうか、御許しください。精霊様。」

 町長がそう言うと、見物していた住民達も膝間付いて、私に許しを乞う。


 私は別に怒って無いのだけれど、このままでは埒が空かないので、葉を揺らした。

 「おぉ・・・ありがとうございます。」

 何がありがたいのかさっぱりわからないが、怒っていない事はわかったみたいで良かった。


 それから、何故か貴族の男が度々来るようになったが、その度に精霊達に追い返されていた。
 空を飛ぶのが、気に入ったらしい。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

卒業パーティーのその後は

あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。  だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。   そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...