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しおりを挟む───サワサワ────
やぁ───久しぶり────
やぁ、良く来たね。風の王ウィンディー
息災で何より───
今日はどうしたの?
────南で、争いが始まった───
争い?
そうだ──人と人が殺し合うんだ。
どうして?
───理由は様々。他の者が裕福だから──自分が不幸だから──云うことを聞かないから──自分の思う通りにならないから───
戦うのが楽しいから───
────命を奪うのが楽しいから────
命を奪って良い事があるの?
─────私には解らない──けれど、楽しそうに、命を奪う者もいる───
そう・・・私にも解らない。私は只あるだけの存在だから・・・
でも、なんだか、悲しくて、空しい。
─────そうだな─────
─────お前は、お前の出来る事をしてれば良い────
そうだね、私は私の出来る事をするだけ。
────・・・ドリュアス、お前は人に狙われている────
どうして?
─────お前は、人にとって奇跡だ。目に見える長寿の樹。そして、お前の側にいる人達は皆、穏やかで長生き。それだけで、お前は人に狙われる。────
・・・・・・
そうだ、私が生まれ、小さな子葉だった私は、いつの間にか立派な樹木になった。今では、大人の男が10人手を繋ぎ、私を取り囲んでも繋ぎきれない。いつの間にか時が過ぎ、人が入れ替わり、私がいる丘の裾には、集落から村へ、町へ、さらに大きな街になった。“貴族”という者が、住むようになり街に法律と作り、住民達は貴族の庇護の元で暮らすようになった。
ここの住民達は、貴族を含め私を大事にしてくれる。その、お返しに私はこの街の五穀豊穣をもたらしている。
勿論、人は私が恩恵を授けている事は知らないが、私に何らかの危害が加えられると、その人は必ず酷い事になるので、大事にしてくれているのだろう。
─────だが、人の思いは様々、お前の存在が、貴いと思う者がいれば、邪魔だと思う者もいる。そして利用したいと思う者もいる───
────私の友よ・・・精霊の王で唯一象があるお前が心配だ───人には気をつけろ───
わかった。ありがとう・・・
私よりも遥かに長生きのウィンディーに心配されてしまった。
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