あなたは微笑む

茶々

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狂愛

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私の妻が私の為にワインを注ぐ。
その瞳に狂気を滲ませ、ワイングラスを私に渡した。

「愛しているよ。」
「私も愛しております。」

妻の手が微かに震えている。
紅いワインが入ったグラスを手渡した。

「・・・あ・・・」
「どうしたんだ?」
「いいえ・・・何でもありませんわ。」

妻の目が狂気に満ち、私の一挙一動を見つめている。
私は何とも居心地が悪くそれを誤魔化す様にワインを一気に飲んだ。

「・・・あ・・・の・・・」
「どうしたんだ?」

妻の様子を見ていると妻・・・キャサリンもワインを一気に飲んだ。

「ふ・・・ふふ・・・」
「・・・!!ぐふっ 」

急に胃の辺りがムカついて来たと思ったら血を吹き出した。これは毒だ?とキャサリンを見ると、彼女は笑っている様な泣いている様な何とも言えない顔をしている。

「貴女が ・・・?」

妻は微かに頷く。
仕事柄、毒には耐性があるが・・・これは不味い・・・
足掻きそうになる体を無理やり押さえ微笑む。

「私の愛しい人。私の全て。貴方の望みなら全てを受け入れる。」

そして・・・私の意識は暗転した。







「うっ・・・」

あれからどれくらいの時が過ぎたのだろう。
気が付くと私はベットに寝かされていた。

「旦那様、気が付かれましたか?」

執事に声を掛けられた。

「・・・どれくらい倒れていたのか?」
「はい・・・発見した時から、半日程でございます。」
「・・・妻は、どうしている?」
「っ!・・・奥様は、只今意識不明です。医者によると、今日明日が峠だと・・・」
「!」

身を起こそうとしたが、執事に止められた。

「旦那様も危険でしたので、まだベットから出てはいけません!」
「何故だ!?何故・・・!!」

執事は悲壮な表情をし、私を必死に押し留めた。

「奥様は旦那様に毒を盛り、自身には致死量以上の毒を口にされました。そして旦那様には解毒薬を飲まし、奥様はそのまま意識を失いました。」
「何故そのような事が解る!?」
「奥様は私と旦那様に手紙を残されていました。」

そう言うと、執事は私に手紙を差し出した。

「すまないが封を開けてくれないか?」
「畏まりました。」

執事は封を開け私に手渡した。

『旦那様へ

これを読んでいるという事は、わたくしは既にこの世にはいないという事ですね?

愛する旦那様、わたくしをどうか赦さないでくださいませね?わたくしはもう駄目でございます。旦那様のお役目を理解しているつもりでしたのよ?でも、やはり、わたくしは心の狭い愚かな人間でしたわ。貴方が、他の方に微笑むだけで、わたくしの心は醜い嫉妬に身を焦がし、貴方が他の方とダンスをするだけでうちひしがれ、貴方が夜遅く帰宅された時に香る香水に悪寒を感じる。
こんな醜いわたくしに、貴方はいつも優しい。
愛しているわ。愛している。
でも、もうわたくしには貴方に愛されているのかわからない。

貴方とずっと居たかったですわ。本当は一緒に逝きたかった。
でも、出来ませんでしたわ。
お許しくださいませね?わたくしは先に逝きますわ。貴方はわたくしを忘れてくださいませね?愚かな女と蔑まれるよりも忘れてくださいませ。
では、さようなら。

                       貴方を愛する愚かな女   』

私は手紙を読むと、体が震え目眩がした。

「お前の手紙を見せろ。」

執事は一瞬顔を歪ませ、胸ポケットから手紙を出し、私に手渡した。

『ヨハン
わたくしは罪を犯します。旦那様へ速効性の毒を飲まします。大丈夫よ?致死量には届きませんよ?解毒薬もちゃんと飲ませるわ。でも、わたくしは罪を犯します。だからわたくしは逝きますわね。

ヨハン、そしてメイドの皆さん、今までありがとうね?でもわたくしはもう無理なの。旦那を愛している.
けれど、わたくしの心が辛いと泣いているの。

旦那様を宜しくお願いしますね。

                キャサリン・リード』

    
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