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第1章
罠
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アデラインは鏡に映る自分を見て満足げに頷いた。
白いドレスに赤い薔薇を散らしたような飾りが自慢の赤髪を引き立たせている。耳元にはさり気なくカイルの瞳と同じ色の宝石が揺れて、ふっと笑みがこぼれた。
(これならきっとカイル様も褒めてくださるわ。ふふ、死にかけの番なんかよりも魅力的だし、献身的にお世話をすれば誰もが私をカイル様の婚約者と認めるはずよ)
「お嬢様、本当に行かれますか?」
慇懃な態度であるものの、不満そうな眼差しに折角の良い気分が台無しだ。
「当然でしょう!何のためにわざわざルストールまで来たと思ってるの?」
番が見つかりカイルに保護されたという知らせが入った時には、苛立ちのあまり倒れてしまいそうだったが、今は違う。
あの愚かで身の程知らずな平民は毒を盛られ危篤状態に陥っている。手を尽くして医者や薬を搔き集めているそうだが、複数の毒物を合わせているため解毒が難しいのだそうだ。
(あの暗殺者を雇って良かったわ。大金を払っただけのことはあるというものね)
普段はイライジャに一任しているが、その女が持ち込んだ別の薬に興味があったためアデラインも同席していた。
陰気で無口な女だったが腕は抜群だったらしい。実際に厳重な警備を潜り抜けて平民に毒を盛り、ホテルの従業員の仕業だと見せかけて自分はまんまと抜け出したようだ。
万が一繋がりがバレてはいけないからと成功報酬は三日後に渡す予定になっているが、口封じのためにイライジャに始末させる予定だ。
カイルの婚約者ということは、ゆくゆくはロドリニア国王妃になるということを意味しているのだから、そんな自分に瑕疵などあってはならない。
「この状況で動かれると要らぬ疑いを掛けられますが」
「こんな状況だからこそ、カイル様のお側にいなければ余計な虫が付きかねないでしょう!今だって番なんていう訳の分からないものに惑わされているのだから、私が救って差し上げなければいけないのよ」
アデライン自身もその可能性を考えていないわけではない。だからこそ訪問の理由として怪しまれない程度の効果がある解毒薬を用意していた。さらに保険として暗殺者から即効性の媚薬を購入したのだ。
婚姻前に身体を重ねるのははしたないが、カイルがまともな思考状態でないのであればこれの好機を逃すわけにはいかない。
カイルは令嬢たちと距離を取っていたものの、冷淡ということはなく、貴族令嬢の純潔を散らしておいて何もなかったことにするような性格ではないし、何より他国の貴族と揉め事を起こすのは外交問題にも発展しかねない。
多少の危険を冒しても実行する価値はある。
「イライジャ、どうかしら?」
「大変お美しいです」
淡々とした言葉だが、その視線はアデラインの全身を隈なく見つめている。アデラインは高揚する気持ちを胸に、部屋を後にしたのだった。
「申し訳ございません。誰も通すなとカイル殿下からの御命令です」
「……カイル様が大変だと聞いてフィスロ伯爵家より薬を取り寄せましたの。少しでもお役に立てればと思って……」
騎士風情に門前払いをされかけた苛立ちをぐっと堪えて悲しげに告げれば、若い騎士は確認のためにと奥へと下がった。きっと役職もない末端なのだろう。
(私がカイル様の婚約者になった暁には首にしてあげるわ)
なかなか戻ってこない騎士に苛々していると、年配の騎士が現れてカイルの元へと案内された。
「カイル様、この度は何と申し上げたらよいか……心中お察しいたしますわ」
ベッドの側に座るカイルは憔悴したように肩を落としていたが、アデラインの言葉に小さく頷いた。
「いや、フィスロ伯爵令嬢はわざわざ薬を手配してくれたと聞いた。私の番のために礼を言わせてくれ。もし良ければ見舞ってやってくれないか?」
「ええ、もちろんですわ」
図々しい平民の顔を最期に一目見てやろうとほくそ笑むアデラインの前で天蓋が引かれた。
「――――っ!」
「どうしてそんなに驚いているんだ、フィスロ伯爵令嬢?」
辛うじて声は出さなかったものの、咄嗟に取り繕うことが出来なかった。ベッドの上に横になっているのは、あの陰気な暗殺者の女だったのだ。
「以前――スラム街で見かけた少女に似ておりましたの。でも、きっと私の勘違いですわね」
「そう、あくまで君は何も知らないというのだな。レンリ、起きていい」
その言葉にアデラインは自分が嵌められたのだと悟った。番が保護されたという情報もアデラインを動かすための罠だったのだろう。
だが、ここで認めてしまうわけにはいかない。証拠がなくたった一人の証言だけではアデラインを糾弾するには弱いはずだ。
「カイル様、これは一体どういうことですの?」
「君が持ってきた薬は極めて致死率の高い毒だと判明した。私の大切な番を害そうとしておいて白々しい。」
冷ややかな眼差しにアデラインは狼狽した。あれは効果の弱いただの解毒薬だったはずだ。証拠がないならとでっちあげたのか、それともどこかですり替えられたのか。
いずれにせよそれはアデラインが関与したものではない。
「そんな、冤罪ですわ!私とその女は何の関係もありませんわ」
「私と会っていないというなら、ご令嬢がお持ちの媚薬の入手先を教えていただいても?」
淡々とした口調の暗殺者――レンリの言葉に羞恥と屈辱でかっと全身が熱くなった。何のために手に入れたのか見透かされている。
「カイル様、こんな薄汚いならず者の言うことを信じるのですか?!きっと番様に毒を盛ったのもこの女ですわ!私はただ解毒薬を買い求めただけですもの。そうやって私を陥れようとしているのでしょう」
「君はどうして彼女が私の番でないと言い切ることが出来るんだろうね?」
思いがけない言葉にアデラインは頭が真っ白になった。番と呼ばれる女の身体的特徴を聞いていたからだが、本来アデラインがそれを知ることはないのだ。
「それは……その女が暗殺者と名乗ったからで――」
「はは、君は暗殺者に解毒薬を求めたと言うのか?暗殺者に依頼するなら毒薬を入手するためと考えるのが自然だろう」
失言を挽回すべく告げた言葉はすぐに反論され、アデラインは言葉に詰まった。黙り込むのはそれが事実だと認める行為だ。
「……私は従者に必要な物を伝えただけですわ。暗殺者と事前に知っていれば恐ろしくて会うことなど出来ませんでしたもの。長年仕えてくれたイライジャが手配してくれたからと信じておりましたが、私が間違っていたようですわ」
使用人に騙されたという不愉快な汚名は被ることになるが、最早イライジャに全てを押し付けるしかない。
「私を簡単に切り捨てるなんて酷いですね、アデラインお嬢様」
とっくに拘束されているとばかり思っていた従者の声に振り向くと、イライジャは冷ややかな笑みを浮かべていた。いつもの飄々とした態度ではなく、まるで獲物を狙う狩人のような目つきだ。
本能的な恐怖に目を逸らせずにいたアデラインの目に、恍惚としたイライジャの笑みが飛び込んできたかと思うと、顔から首にかけて灼熱感が走る。
「っああああああ!」
「やはりお嬢様には紅がよく似合いますね。最期に見れて良かった」
満足そうな笑みを浮かべるイライジャは血に染まったナイフで自らの首を掻き切った。
どうせ自害するのなら余計なことをせず潔く果てれば良かったのだ。
最期に裏切ったイライジャに怒りを感じながらも、堪えがたい痛みの中でアデラインは助けを求めるため、カイルに手を伸ばす
「痛いわ、カイル様。助け……」
懇願の言葉が途切れた。軽蔑と嫌悪が入り混じった瞳が冷酷にアデラインを見下ろしていたのだ。
「愛しい番を害そうとした者をどうして私が助けなければならないんだ?」
いつの間にかカイルの周りには騎士が集まっていたが、誰もアデラインに手を差し伸べる様子はない。
視線を彷徨わせたその先に、血塗れの女と目があった。
頬と首から胸元にかけて深く切り裂かれ、白いドレスをじわじわと真っ赤に染め上げていく。
たとえ命が助かっても、傷跡が残ることは免れないだろう。
顔と身体に醜い傷を負った令嬢など誰が相手にするものか。
「いや……嫌ぁああああああ!」
「ヴィオラの恐怖と痛みには足りないが、自分のしたことを思い知るがいい」
静かに告げられたカイルの言葉も耳に入らず、アデラインは絶望と恐怖に打ちのめされていたのだった。
白いドレスに赤い薔薇を散らしたような飾りが自慢の赤髪を引き立たせている。耳元にはさり気なくカイルの瞳と同じ色の宝石が揺れて、ふっと笑みがこぼれた。
(これならきっとカイル様も褒めてくださるわ。ふふ、死にかけの番なんかよりも魅力的だし、献身的にお世話をすれば誰もが私をカイル様の婚約者と認めるはずよ)
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慇懃な態度であるものの、不満そうな眼差しに折角の良い気分が台無しだ。
「当然でしょう!何のためにわざわざルストールまで来たと思ってるの?」
番が見つかりカイルに保護されたという知らせが入った時には、苛立ちのあまり倒れてしまいそうだったが、今は違う。
あの愚かで身の程知らずな平民は毒を盛られ危篤状態に陥っている。手を尽くして医者や薬を搔き集めているそうだが、複数の毒物を合わせているため解毒が難しいのだそうだ。
(あの暗殺者を雇って良かったわ。大金を払っただけのことはあるというものね)
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陰気で無口な女だったが腕は抜群だったらしい。実際に厳重な警備を潜り抜けて平民に毒を盛り、ホテルの従業員の仕業だと見せかけて自分はまんまと抜け出したようだ。
万が一繋がりがバレてはいけないからと成功報酬は三日後に渡す予定になっているが、口封じのためにイライジャに始末させる予定だ。
カイルの婚約者ということは、ゆくゆくはロドリニア国王妃になるということを意味しているのだから、そんな自分に瑕疵などあってはならない。
「この状況で動かれると要らぬ疑いを掛けられますが」
「こんな状況だからこそ、カイル様のお側にいなければ余計な虫が付きかねないでしょう!今だって番なんていう訳の分からないものに惑わされているのだから、私が救って差し上げなければいけないのよ」
アデライン自身もその可能性を考えていないわけではない。だからこそ訪問の理由として怪しまれない程度の効果がある解毒薬を用意していた。さらに保険として暗殺者から即効性の媚薬を購入したのだ。
婚姻前に身体を重ねるのははしたないが、カイルがまともな思考状態でないのであればこれの好機を逃すわけにはいかない。
カイルは令嬢たちと距離を取っていたものの、冷淡ということはなく、貴族令嬢の純潔を散らしておいて何もなかったことにするような性格ではないし、何より他国の貴族と揉め事を起こすのは外交問題にも発展しかねない。
多少の危険を冒しても実行する価値はある。
「イライジャ、どうかしら?」
「大変お美しいです」
淡々とした言葉だが、その視線はアデラインの全身を隈なく見つめている。アデラインは高揚する気持ちを胸に、部屋を後にしたのだった。
「申し訳ございません。誰も通すなとカイル殿下からの御命令です」
「……カイル様が大変だと聞いてフィスロ伯爵家より薬を取り寄せましたの。少しでもお役に立てればと思って……」
騎士風情に門前払いをされかけた苛立ちをぐっと堪えて悲しげに告げれば、若い騎士は確認のためにと奥へと下がった。きっと役職もない末端なのだろう。
(私がカイル様の婚約者になった暁には首にしてあげるわ)
なかなか戻ってこない騎士に苛々していると、年配の騎士が現れてカイルの元へと案内された。
「カイル様、この度は何と申し上げたらよいか……心中お察しいたしますわ」
ベッドの側に座るカイルは憔悴したように肩を落としていたが、アデラインの言葉に小さく頷いた。
「いや、フィスロ伯爵令嬢はわざわざ薬を手配してくれたと聞いた。私の番のために礼を言わせてくれ。もし良ければ見舞ってやってくれないか?」
「ええ、もちろんですわ」
図々しい平民の顔を最期に一目見てやろうとほくそ笑むアデラインの前で天蓋が引かれた。
「――――っ!」
「どうしてそんなに驚いているんだ、フィスロ伯爵令嬢?」
辛うじて声は出さなかったものの、咄嗟に取り繕うことが出来なかった。ベッドの上に横になっているのは、あの陰気な暗殺者の女だったのだ。
「以前――スラム街で見かけた少女に似ておりましたの。でも、きっと私の勘違いですわね」
「そう、あくまで君は何も知らないというのだな。レンリ、起きていい」
その言葉にアデラインは自分が嵌められたのだと悟った。番が保護されたという情報もアデラインを動かすための罠だったのだろう。
だが、ここで認めてしまうわけにはいかない。証拠がなくたった一人の証言だけではアデラインを糾弾するには弱いはずだ。
「カイル様、これは一体どういうことですの?」
「君が持ってきた薬は極めて致死率の高い毒だと判明した。私の大切な番を害そうとしておいて白々しい。」
冷ややかな眼差しにアデラインは狼狽した。あれは効果の弱いただの解毒薬だったはずだ。証拠がないならとでっちあげたのか、それともどこかですり替えられたのか。
いずれにせよそれはアデラインが関与したものではない。
「そんな、冤罪ですわ!私とその女は何の関係もありませんわ」
「私と会っていないというなら、ご令嬢がお持ちの媚薬の入手先を教えていただいても?」
淡々とした口調の暗殺者――レンリの言葉に羞恥と屈辱でかっと全身が熱くなった。何のために手に入れたのか見透かされている。
「カイル様、こんな薄汚いならず者の言うことを信じるのですか?!きっと番様に毒を盛ったのもこの女ですわ!私はただ解毒薬を買い求めただけですもの。そうやって私を陥れようとしているのでしょう」
「君はどうして彼女が私の番でないと言い切ることが出来るんだろうね?」
思いがけない言葉にアデラインは頭が真っ白になった。番と呼ばれる女の身体的特徴を聞いていたからだが、本来アデラインがそれを知ることはないのだ。
「それは……その女が暗殺者と名乗ったからで――」
「はは、君は暗殺者に解毒薬を求めたと言うのか?暗殺者に依頼するなら毒薬を入手するためと考えるのが自然だろう」
失言を挽回すべく告げた言葉はすぐに反論され、アデラインは言葉に詰まった。黙り込むのはそれが事実だと認める行為だ。
「……私は従者に必要な物を伝えただけですわ。暗殺者と事前に知っていれば恐ろしくて会うことなど出来ませんでしたもの。長年仕えてくれたイライジャが手配してくれたからと信じておりましたが、私が間違っていたようですわ」
使用人に騙されたという不愉快な汚名は被ることになるが、最早イライジャに全てを押し付けるしかない。
「私を簡単に切り捨てるなんて酷いですね、アデラインお嬢様」
とっくに拘束されているとばかり思っていた従者の声に振り向くと、イライジャは冷ややかな笑みを浮かべていた。いつもの飄々とした態度ではなく、まるで獲物を狙う狩人のような目つきだ。
本能的な恐怖に目を逸らせずにいたアデラインの目に、恍惚としたイライジャの笑みが飛び込んできたかと思うと、顔から首にかけて灼熱感が走る。
「っああああああ!」
「やはりお嬢様には紅がよく似合いますね。最期に見れて良かった」
満足そうな笑みを浮かべるイライジャは血に染まったナイフで自らの首を掻き切った。
どうせ自害するのなら余計なことをせず潔く果てれば良かったのだ。
最期に裏切ったイライジャに怒りを感じながらも、堪えがたい痛みの中でアデラインは助けを求めるため、カイルに手を伸ばす
「痛いわ、カイル様。助け……」
懇願の言葉が途切れた。軽蔑と嫌悪が入り混じった瞳が冷酷にアデラインを見下ろしていたのだ。
「愛しい番を害そうとした者をどうして私が助けなければならないんだ?」
いつの間にかカイルの周りには騎士が集まっていたが、誰もアデラインに手を差し伸べる様子はない。
視線を彷徨わせたその先に、血塗れの女と目があった。
頬と首から胸元にかけて深く切り裂かれ、白いドレスをじわじわと真っ赤に染め上げていく。
たとえ命が助かっても、傷跡が残ることは免れないだろう。
顔と身体に醜い傷を負った令嬢など誰が相手にするものか。
「いや……嫌ぁああああああ!」
「ヴィオラの恐怖と痛みには足りないが、自分のしたことを思い知るがいい」
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