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第二章
第二十一話 新世界
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「時は戦国時代。ここには八人の将軍たちに集まってもらっている。その名前は北から【伊達家】【上杉家】【北条家】【徳川家】【織田家】【毛利家】【長宗我部家】【島津家】だ。そして、これから始まるのは、日本の天下統一合戦。ここにいる、約千人のプレイヤーは皆、いずれかの家臣のもとで働いてもらう。そして、天下を統一した国に所属していた者の中から一番優秀だったプレイヤーには褒美が待っている。今、そこにはその国のNPCも存在しており、皆をスカウトしに行くだろう。ほかにも、行きたい国があるのならば、そこに行くといいだろう。最後に、この国でHPがなくなった場合だ。その場合は強制退場となり、この国からは立ち去ってもらう。これはまだテストの段階だが、プレイは本気でしてもらう。以上」
眼鏡をかけ、マイクを持った男が世界の案内をし、それが終わると、法螺貝の音が鳴り響いた。
その音と同時に、真っ白な空間の中から、広い草原の中に千人のプレイヤーはループさせられた。
すると、そこにはいつもは姿を見せない忍者の姿があった。
忍者は近くにいる自分の近くにいるプレイヤーに声をかけまくっている。
人間たるもの自分を、持ち上げられながら話をされると断れなくなるものだ。
スカウトされたプレイヤーは忍者とともに、その国に連れていかれていた。
「セノンさん。ありがとうございます。わたし、とても歴史が好きで、特に、戦国時代が好きで……」
瑠美はいつもと違い、うれしさを前面に出していた。
そして、そのまま、いつもはない勢いで話を続ける。
「一番好きな人物は伊達政宗! 彼は元服してから伊達藤次郎政宗と名乗り始めます。幼少期の名前は梵天丸。そして、彼の魅力は何といっても片目に刀の鍔があること。政宗様は江戸時代後期には独眼竜のあだ名も付けられるのです。彼の戦績はもちろんのこと、頭もよく、もう素晴らしいのです!」
瑠美はこのまま話続けている。
「す、すごいですね……」
セノンはいろんな意味を込めて思った。
「瑠美は本当に戦国時代が好きで、こうなたら止まらないのです」
一香もため息をつき、あきれ顔で言う。
「すごいと思いましたか? なら、この、世界での戦いだって伊達家にいくのが名案だと思います」
「そ、そうですね……」
セノンはここまで来て断ることもできなかった。
それは。ここにいるメンバー皆そうだった。
「では、伊達家のある所まで行きましょう!」
「そうですね……」
セノンは瑠美に同情しながらも現在地を調べる。
すると、そこは関ヶ原だった。
セノンは最悪の気分だった。この時代、本気で作りこまれているのならば、移動手段が何もない。そう、強いて言えば馬しかなかった。
しかし、この時代の馬は、足が短く、今でいうロバのようなもの。昔は荷物の馬に乗せることが多かったと聞く。
「では、出発しますか!」
「それは、私の役目ですー!」
ユリカは先に行く瑠美に向かっていった。
「瑠美―! ここから仙台まではどうやって行くのー?」
一香も後ろからついていきながら言う。
これにはセノンも激しく同意した。
「ちなみにここは関ヶ原ですよ」
セノンは付け加えていった。
「安心してください。このまま、忍者にスカウトされるつもりですから」
「どうやって?」
一香はセノンの思っていた通りのことを聞く。
そう、今周りにいる忍者はみんな同じ格好をしていた。そのため、誰にも見分けることはできないようになっていた。
「女の勘です。これなら、間違いないでしょう」
「いや、問題しかないから……」
これにはさすがの政次も突っ込みを入れる。
セノンも思わず首を縦に振ってしまう。
「あのすみません、あなた、伊達家の忍者ですか?」
瑠美は政次の声など耳には入っていなかった。
そして、これには率先して動く瑠美。
「はっ! 拙者はいかにも伊達家にお使いする忍者である」
これには四人から「おぉー」という声が漏れる。
忍者は相手から主人の名前が出ると、自動でその家の忍者となり、そこまで運んでくれるようになっている。
しかし、相手から名前が出ないと「私たちの主人はあなたが来ることを待っています。もし、来てくれるのならば……」といったようにあえて名前を出さず、人数が均等になるように調整されていた。
「さすが瑠美ちゃんだね!」
ユリカは、瑠美の自分の好きなことに対する執着心がすごいと思った。
ユリカから褒められた瑠美は思わず顔を赤くする。
「ここにいるメンバーで伊達家に仕えたいと思うのですが……」
「はっ! わかりました! それでは、皆さん拙者におつかまりください」
忍者が言うと、五人は忍者に捕まる。
こうすると、忍者は両手を合わせ、「ドロン!」と唱える。
すると、忍者を合わせた六人は白色の煙に包まれた。
六人を纏っていた煙が消えるとそこは仙台城の前だった。
「皆様、こちらにお進みください」
五人は忍者に城の中へと案内され、客室に入る。そこにはもうすでに五十人ぐらいがいた。
そこにいた人も皆プレイヤーであり、忍者に連れてこられたようだった。
「皆様、今日はこの遠い地まで足を運んでいただきありがとうございます」
そこに出てきたのは着物を着て、長い髪を自分の腰の方で縛ったような髪型をしていた。
その女性は丁寧な形であいさつをし、いかにも個人の風情というものを身にまとっていた。
「私は、伊達家に仕える、通称、田村という者です。政宗様はもう少ししたらお見えになりますので、もう少々お待ちおください」
そう告げると、彼女はふすまの向こう側に姿を消した。
眼鏡をかけ、マイクを持った男が世界の案内をし、それが終わると、法螺貝の音が鳴り響いた。
その音と同時に、真っ白な空間の中から、広い草原の中に千人のプレイヤーはループさせられた。
すると、そこにはいつもは姿を見せない忍者の姿があった。
忍者は近くにいる自分の近くにいるプレイヤーに声をかけまくっている。
人間たるもの自分を、持ち上げられながら話をされると断れなくなるものだ。
スカウトされたプレイヤーは忍者とともに、その国に連れていかれていた。
「セノンさん。ありがとうございます。わたし、とても歴史が好きで、特に、戦国時代が好きで……」
瑠美はいつもと違い、うれしさを前面に出していた。
そして、そのまま、いつもはない勢いで話を続ける。
「一番好きな人物は伊達政宗! 彼は元服してから伊達藤次郎政宗と名乗り始めます。幼少期の名前は梵天丸。そして、彼の魅力は何といっても片目に刀の鍔があること。政宗様は江戸時代後期には独眼竜のあだ名も付けられるのです。彼の戦績はもちろんのこと、頭もよく、もう素晴らしいのです!」
瑠美はこのまま話続けている。
「す、すごいですね……」
セノンはいろんな意味を込めて思った。
「瑠美は本当に戦国時代が好きで、こうなたら止まらないのです」
一香もため息をつき、あきれ顔で言う。
「すごいと思いましたか? なら、この、世界での戦いだって伊達家にいくのが名案だと思います」
「そ、そうですね……」
セノンはここまで来て断ることもできなかった。
それは。ここにいるメンバー皆そうだった。
「では、伊達家のある所まで行きましょう!」
「そうですね……」
セノンは瑠美に同情しながらも現在地を調べる。
すると、そこは関ヶ原だった。
セノンは最悪の気分だった。この時代、本気で作りこまれているのならば、移動手段が何もない。そう、強いて言えば馬しかなかった。
しかし、この時代の馬は、足が短く、今でいうロバのようなもの。昔は荷物の馬に乗せることが多かったと聞く。
「では、出発しますか!」
「それは、私の役目ですー!」
ユリカは先に行く瑠美に向かっていった。
「瑠美―! ここから仙台まではどうやって行くのー?」
一香も後ろからついていきながら言う。
これにはセノンも激しく同意した。
「ちなみにここは関ヶ原ですよ」
セノンは付け加えていった。
「安心してください。このまま、忍者にスカウトされるつもりですから」
「どうやって?」
一香はセノンの思っていた通りのことを聞く。
そう、今周りにいる忍者はみんな同じ格好をしていた。そのため、誰にも見分けることはできないようになっていた。
「女の勘です。これなら、間違いないでしょう」
「いや、問題しかないから……」
これにはさすがの政次も突っ込みを入れる。
セノンも思わず首を縦に振ってしまう。
「あのすみません、あなた、伊達家の忍者ですか?」
瑠美は政次の声など耳には入っていなかった。
そして、これには率先して動く瑠美。
「はっ! 拙者はいかにも伊達家にお使いする忍者である」
これには四人から「おぉー」という声が漏れる。
忍者は相手から主人の名前が出ると、自動でその家の忍者となり、そこまで運んでくれるようになっている。
しかし、相手から名前が出ないと「私たちの主人はあなたが来ることを待っています。もし、来てくれるのならば……」といったようにあえて名前を出さず、人数が均等になるように調整されていた。
「さすが瑠美ちゃんだね!」
ユリカは、瑠美の自分の好きなことに対する執着心がすごいと思った。
ユリカから褒められた瑠美は思わず顔を赤くする。
「ここにいるメンバーで伊達家に仕えたいと思うのですが……」
「はっ! わかりました! それでは、皆さん拙者におつかまりください」
忍者が言うと、五人は忍者に捕まる。
こうすると、忍者は両手を合わせ、「ドロン!」と唱える。
すると、忍者を合わせた六人は白色の煙に包まれた。
六人を纏っていた煙が消えるとそこは仙台城の前だった。
「皆様、こちらにお進みください」
五人は忍者に城の中へと案内され、客室に入る。そこにはもうすでに五十人ぐらいがいた。
そこにいた人も皆プレイヤーであり、忍者に連れてこられたようだった。
「皆様、今日はこの遠い地まで足を運んでいただきありがとうございます」
そこに出てきたのは着物を着て、長い髪を自分の腰の方で縛ったような髪型をしていた。
その女性は丁寧な形であいさつをし、いかにも個人の風情というものを身にまとっていた。
「私は、伊達家に仕える、通称、田村という者です。政宗様はもう少ししたらお見えになりますので、もう少々お待ちおください」
そう告げると、彼女はふすまの向こう側に姿を消した。
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