魔物の森のソフィア ~ある引きこもり少女の物語 - 彼女が世界を救うまで~

広野香盃

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24. 山賊に再会するソフィア達

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(ソフィア視点)

 どういう訳なのか良く分からないが、私達が開拓村から持って来た薬草は買ってもらえないらしい。相変わらず知らない人の前だと緊張して、買取カウンターにいた人の話は頭に入ってこなかった。でも、カラシンさんとケイトさんの話から想像して薬草がだめなら薬を作って売れば良いのではと提案したら承諾が得られた。だけどあまり効果の高い薬はダメだとカラシンさんが言う。目立つと良くないそうだ。何故なんだろう。人間同士なのに所属している国が違うからだろうか、そういえば昔トムスが、人間は集団同士でしょっちゅう殺し合いをしていると言っていた。

 開拓村からこの町に持って来た薬草は6種類。アマツル草の葉、マイシ茸、トリクル草の実、コトロギ草の根、コプラル茸、キュウサン草の茎だ。これだけで作れる薬となると限られる。アマツル草とマイシ茸で咳止め、アマツル草とマイシ茸に更にキュウサン草を加えて風邪薬、コトロギ草の根から傷薬、トリクル草、コトロギ草とコプラル茸から食当たりの薬だけだ。

 翌日は朝から宿屋の部屋で薬作りに取り掛かる。作成の方法は回復薬とよく似たものだが、今から作る薬は水の温度が100度で十分なので、魔法を使わないで作ることもできる。もっともここには道具が無いので魔法を使わざるを得ない。今度はケイトさんだけでなく、カラシンさんとマイケルさんも見学しているので緊張するが、工程が簡単なので失敗の心配はない。ひとつの薬に30分、2時間で4種類の薬を前もって作って置いた小瓶に20本ずつ作ることが出来た。

 これでも、持って来た薬草は半分しか消費していないので、まだ作ることはできるが、とりあえずこれだけをギルドに売りに行くことになっている。

 昼食を食べに宿の食堂に出向く。食堂は相変わらず人気がなく、ガランとしている。なんでも、この町は人間と魔族の戦争に巻き込まれると恐れられていて旅人が来なくなってしまったそうだ。まるで貸し切りの様な状態なので、一番大きなテーブルを使わせてもらう。

料理の注文も終わり周りには誰もいないと安心していると、突然第三者に話しかけられた。

「よう、同席しても良いかな?」

驚いて声をした方を見ると、魔族の国に残っていると思っていた隊長さんだった。この人にも何度か会っているからか、話していることは何とか聞き取れる。

「隊長さん! もちろんです。いつこちらに?」

とケイトさんが返す。空いている椅子に座ると、隊長さんは小声で答えた。

「実はオーガキングの独立宣言に同行する親父と一緒にドラゴンに乗ってこっちに来たんだ。もっとも俺だけこの町の近くで降りたんだがな。」

ドラゴンと聞いて皆の声が小さくなる。

隊長さんは自分の料理を注文し、給仕さんが遠ざかって行くのを確認してから口を開いた。話を聞くと、隊長さんは魔族の国の国民としてオーガキングの直属の部下となることにしたらしい。

「親父に頼まれてオーガキングの招集に同行したんだがな、話をしてみると言っていることは人間の貴族共よりよっぽどまともだし、魔族の国の独立を目指してはいるが戦争は極力避けようとしていることも分かった。それで親父の村を守るためにも協力することにしたわけだ。俺の役目は人間の国の情報収集だ、魔族が人間の国に入ったら殺されるのが目に見えるからな、俺みたいな人間の協力者は役に立つはずだ。」

 それで魔族の国に一番近いこの町に潜伏して、魔族の国の独立宣言に対する人間達の反応を通信の魔道具でオーガキングに報告しているらしい。

その後、給仕が料理を運んで来るのを挟んで話は続く。

「それでな、お前達に頼みがあるんだ。ギルドに来ている軍からの依頼を受けてくれないか。内容は簡単だ、開拓村に行って農産物をいくつか購入して来るだけでいい。報酬は金貨100枚だ。軍としては魔族の国の状況を探るための生贄と言うところだろう。普通の者にとっては命懸けの仕事だが、魔族の国の状況を知っているお前達なら安全だと分かるだろう。俺が行きたいところだが、今はこの町を離れられないんでな。」

「金貨100枚! もちろん受けるわよ! 開拓村に行くだけで金貨100枚なんて美味しすぎるわよ。」

とケイトさんが即答したが、カラシンさんが口を挟んだ。

「その依頼を受けるのはオーガキングの指示なんですか?」

 確かに依頼の内容は簡単なものだ。私達は薬を売りに開拓村とこの町を行ったり来たりするつもりだから、そのついでに出来る仕事だ。でも、その依頼を隊長さんがやらせたがっているのには、それなりの理由があるはずだ。何か裏があのではとカラシンさんは疑っているのかな。

「そうだ、良く分かったな。オーガキングは人間の国と戦争をしたくないんだ。そのためには魔族が人間の敵でないと示す必要がある。国内に人間の村を残したのにはその目的もあるらしい。だけど、そのことを人間の国側が知らなければ意味が無いわけだ。人間達に魔族の国に来訪して欲しいが怖がってだれもやってこない。誰かが魔族の国から無事に帰って来て、危険な所ではなかったと報告すれば、それが突破口になるかもしれないと考えているわけだ。」

「なるほどね、金貨100枚もらえて戦争回避に協力できるなら言うことないわ。カラシンも異存ないわよね?」

とケイトさんがカラシンさんに確認する。

「了解だ。ただひとつ提案があるのだが...」

とカラシンさんは自分の提案を隊長さんに話した。隊長さんはそれを聞いて、

「分かった。提案の件はオーガキングに伝えておくよ。」

と言ってくれた。 食事が終わると、私達は隊長さんと別れてギルドに向かった。




(ケイト視点)

 金貨100枚! チームの1年分の収入に匹敵するお金がたった一回の仕事で手に入る。それも簡単な仕事でだ。私は有頂天になってギルドへの道を足取り軽く歩いていた。スキップでもしたい気分だ。

 だけど、天にも昇る様な気分は長く続かなかった。ギルドに到着して依頼の張られている掲示板を隈なく探したのだが、隊長さんの言っていた軍からの依頼がない。まさか...と思いながら、受注カウンターの前にいる5人組に視線を向ける。5人は冒険者に見えない。武器らしい武器も持っていないし、5人揃ってひどく痩せている。服装も粗末であちこち破れていて酷いものだ。あの5人は私達の探している依頼を受注しようとしているのだろう。先を越されたと言う事だ。                 

「分かっているんですか? 死にに行く様なものですよ。考え直した方がいいです。」

「そんなこと百も承知の上だ。だからさっきの条件を上に伝えてくれ。」

 男達は受付嬢のマリアと言い争っている。その内に男達のひとりに見覚えがあるのに気付いた。その男もこちらに気付いた様で、こちらに走ってくると、私達に深々と頭を下げた。

「お願いだ、あのことは黙っていてくれ。この依頼が終わるまででいい。その後ならどんな罰でも喜んで受ける。村の生き死にが掛かっているんだ。頼む!」

 その男は私達を襲った山賊だった。死にかけていたところを私が回復薬を飲ませた男だ。私達がこいつらは山賊だとギルドに報告すれば依頼の受注は出来なくなる。この男はそれを恐れているのだろう。マイケルが男に何か言いかけたが手で合図して止めた。マイケルにも言いたいことはあるだろうが、村の生き死にが掛かっていると言われては否とは言えない。恐らくこの依頼の報酬で村人が食べる食糧を購入するつもりなのだろう。

「分かった。二度とあんなことはしないと約束できるなら黙っていてあげる。」

「ありがとう。感謝する。二度としないと約束する。」

「ところで確認なんだけど、あなた達の受けようとしている依頼って、開拓村に行って農産物を購入して来るってやつよね。」

「そうだ。向こうに行ったら殺されるに決まっているが、俺達の命で村の奴等の命が助かるならやってやるさ。もっともギルドが報酬の前払いに応じてくれたらだけどな。死んだら報酬を貰うことも出来ないからな。」

なるほど、それで条件がどうのこうのと言っていたのか。カウンターに目を戻すと、マリアに代わって男性の職員が男達の相手をしている。恐らくマリアの上司かなんかだろう。職員は農民の男達の主張を聞いていたが、しばらく待つ様に言って奥に引っ込んだ。たぶん更に上の者に確認しに行ったのかもしれない。農民の男達は不安そうな顔で待っていたが、戻ってきた職員は男達に言った。

「前払いに応じることになった。ただし、交換条件として軍の兵士が魔族の国の入り口までお前達に同行する。それで良いな?」

 なるほど、金だけ取って逃げ出さない様に、兵士に魔族の国まで監視させると言う事だ。普通なら報酬の前払いなんて条件は却下するのだろうが、それだけ軍も焦っていると言う事だろう。農民の男達は軍の兵士と聞いて嫌な顔をしていたが最終的に同意した。気持ちは分かる、役人や軍の兵士なんて信用できない。特に大金を持っている時には傍にいて欲しくない相手だ。

 私は、カラシン、マイケル、ソフィアに合図してギルドの外に出る。マイケルがすぐに口を開いた。

「ケイトさんは甘すぎるッス。金貨100枚の仕事を俺達を殺そうとした山賊に譲るなんて、普通あり得ないスよ...。まあケイトさんらしいスけどね。」

「それで納得してくれるから、私はマイケルが好きよ。だって村の人達の生き死にが掛かっていると言われたら引くしかないじゃない。」

「まあ、そうだな。だが、俺の提案の話も無くなってしまったな。それともオーガキングが提案を了承してくれたら、開拓村に先回りするか?」

 そうだ、その手がある。実はカラシンは隊長を通じてオーガキングにある提案をしているのだ。それは、私達が開拓村から戻った時に、手持ちの薬草を、「開拓村では薬草の販売を希望しておりサンプルとして提供された」と言ってギルドに提出したいという内容だ。私達が持って行ったときは話すら聞いてもらえなかった薬草だが、開拓村から命懸けで帰還した者達が持って帰ったとなると話は別だ。薬師ギルドでは供給が途絶えた魔物の森の薬草を欲しているはずだ。開拓村に行けば魔物の森の薬草を購入できるとなれば、命を懸けて開拓村まで出向こうという者も出て来るのではないかと言うのがカラシンの考えだ。

 軍の兵士が監視に付くとなると、兵士の到着を待つことになるだろうから出発は早くても明日以降だろう。私達が今日中にこの町を出れば先に開拓村に到着することは可能だ。先に開拓村に着けば、村長に薬草を託してあの農民達に渡してもらうことも出来るだろう。でも、まずは隊長に会って、開拓村に向かうのが私達じゃなくなったと伝えないと。

 隊長とはカラシンの提案に対するオーガキングの回答を聞くために後で落ち合うことになっているが、まだ結構時間がある。私達は一旦ギルドに戻ることにした。ソフィアがせっかく作ってくれた薬を買い取りカウンターにもっていくのだ。

 ギルドに戻ると山賊達は引き上げた後だった。なんとなくホッとして、買取カウンターに向かう。そこでは昨日と同じ職員が出迎えてくれた。

「今日は。昨日話した様に薬を買い取ってもらいたいんだけど。」

と言うと。快く「もちろん」と返事してくれた。ソフィアの作った薬をカウンターに並べる。4種類で各20本だ。職員は、

「それでは魔道具に掛けて品質を調べて来るから少し待っていてくれ。」

と言って、薬を持ってカウンターの奥に下がって行った。半時間ほど待たされたが、戻ってきた職員は満足そうな顔をしていた。

「いや~、これだけ品質の高い薬は初めてだよ。どれもそれぞれの薬としてはA級品と言っていい。これなら、咳止めの薬が1本銀貨5枚。風邪薬が1本銀貨10枚、傷薬が1本銀貨15枚、食当たりの薬が1本銀貨10枚で、合計で金貨8枚で買い取るがどうかな。」

 さすがはソフィアの作った薬、魔物の森の薬草を使ったからと言うのもあるのだろうけど、すべてA級品だというのは恐れ入った。薬にはA級品、B級品、C級品の3ランクの区別がある。A級品は効果が高い代わりに値段も高い。冒険者ではよほど懐に余裕のある連中しか購入できない。何せ宿屋の宿泊料金が銀貨10枚なのだ。傷薬など銀貨15枚だから宿泊費より高いわけだ。しかもこれは買取価格、冒険者に売られるときはこれにギルドの利益が上乗せされる。私が山賊に使ったソフィアの回復薬も間違いなくA級になるだろう。なにしろほとんど死にかけていた山賊がほんの数分で全快したのだ。あれの価格なんて考えるだけで恐ろしい。

「分ったわ、その金額で結構よ。」

と言って金貨8枚を受け取る。これでも1日で採取した薬草の半分しか使っていないのだ。次回は村で薬を作って持ってくるとすれば、もっと沢山運ぶことができるから、販売価格もこれの何倍にもなるだろう。すごい! 薬は儲かると確信した瞬間だった。

 その後、隊長と約束していた場所で再会し、軍からの依頼は農村から来た人たちに受注されてしまったことを伝えると結構驚いた様だ。

「あの依頼を受注したのか! そいつらはよっぽど金に困っていたんだな...。普通に考えれば敵国に乗り込む命懸けの仕事だからな。」

「ええ、今年は不作なのに役人が村にあるだけの作物を税として持って行ってしまったんですって。報酬で村で食べる食糧を購入するつもりなんだと思う。」

「そうか...アルトン山脈側の農村は酷い不作だと聞いたが想像以上だな。まあ、こちらとすれば、人間の国からだれかが開拓村にやってくれば問題はない。そうそう、オーガキングは薬草を開拓村からの試供品として渡す提案をひどく気に入ってな。是非行って欲しいそうなんだが、村に行くのがケイト達じゃないとなると難しいか...。」

「大丈夫よ。私達の商売のためでもあるからね。今から開拓村に先回りして、やって来た村人達に薬草を渡すつもりよ。」

「それは助かる。よろしく頼む。」

「了解。このケイト様に任せなさい。」

と言って隊長と別れる。その後は、道中や開拓村で食べる食糧や薬草を保存するのに使う油等を購入したら、直ちに開拓村へ向かって出発することにする。本当は明日の朝に出発としたいところだが、軍からの依頼を受注した村人達より早く到着しなければいけないからぐずぐずは出来ない。すぐに市場に行って必要な物を揃えないと。
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