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44. カルチャーショックを受けるケイト
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(ケイト視点)
一旦ジョン隊長の居る領都の城に集合した私達、通訳担当者は、ラミア3人のチームにひとりの割合で割り振られ、スケジュールに従って一緒に村や町を回ることになる。だからマイケルとは別行動だ。もちろん私達だけでなく、護衛として元冒険者の兵士5名に、オーガの兵士1名が同行する。
「ケイトさん、お久しぶりです。」
と声を掛けられて振り返るとマルクだった。
「マルクさん! 本当に久しぶりね。元気だった?」
「お陰様で。ケイトさんも元気そうですね。会えてよかったです。ケイトさん達がいつまで経っても報酬を取りに来られないから、どうしようかと悩んでいたところだったんですよ。」
そうだった! 薬草の商売が儲かっていたので有頂天になっていたのと、忙しさにかまけてすっかり忘れていた。マルクに頼まれてカイルの村まで馬車で麦を届けた報酬の金貨10枚は、私達がマルクの村を訪れた時に払ってもらったら良いと言って、そのままになっていた。
「御免なさい! すっかり忘れていたわ!」
「忘れていたんですか!? 金貨10枚って大金ですよ、随分太っ腹ですね。」
「ま、まあね。薬草の商売が忙しくてね。もっとも、それも昔の話だけどね...。」
「でも困りました。まさかここでケイトさんにお会いできるとは思っていなかったので金貨10枚なんて大金は持参していないんですよ。」
「大丈夫よ、今度こそマルクさんの村に寄ることにするから、その時でいいわよ。」
「ケイトさんは相変わらずですね。普通はそんな悠長なことは言いませんよ。でも確かにありがたいです。私もここには兵士の仕事で来ましたので、すぐには村に戻れないんですよ。」
「と言う事はマルクさんは兵士になったのね。」
「そうなんですよ。少しでも魔族の国の役に立ちたいと思いましてね。頼りないですが、ケイトさん達一行の護衛を務めさせていただきます。」
「あらそうなの、よろしく。」
「こちらこそです。」
なんとマルクが護衛として私が通訳を担当するラミアのチームに付いてくれる様だ。護衛としての腕はともかく、信用できる人間が傍にいるのはありがたい。
マルクに案内されて、私が通訳を務めるラミアのチームが待機している部屋に挨拶に向かう。部屋に入って驚いた。私の担当は若い女性のラミア3人のチームだ。ラミアの年齢を見掛けで判断出来るほど詳しくはないが、女性と言うより女の子と言った方が良いのではと思うくらい若く見える。例によってとぐろを巻いてその上に座っている。
「はじめまして、このチームのつうやくをたんとうする、ケイトです。これからよろしく。」
と魔族語で挨拶すると、彼女達の緊張した顔が一気に解れる。
「わー、よかった。女の人だ! 」
「そうね、私達をいやらしい目で見ていた人間の男が多かったからね。通訳の人がそんな奴だったら嫌だなと思っていたのよ。」
そうなのか? 確かに可愛い子達だけど、人間の男にとってラミアの女性をそんな風に見るには、その独特な下半身に慣れるまでもう少し時間が掛かるのではないだろうか。初めて見るラミアに驚いていただけなのではないかと思うが、彼女達の名誉のために口には出さないでおく。
「私はアイ、こっちはサラ、それであっちがカンナよ。よろしく。」
とアイが紹介してくれた。この子が一番活発そうだ。髪の色は私と同じ赤毛で、胸は...私が劣等感を持つ必要のない大きさとだけ言っておこう。サラは黒髪のしっかりした感じの子で、カンナは金髪の少し気弱そうな女の子だ。
「このたびは、わたしたち、にんげんぞくのために、ごそくろういただき、かんしゃします。」
と私が言うと、サラが応えた。
「人間の為じゃないわ。愛しのマルシ様の依頼ですもの、命を懸けてご期待に応えるだけよ。マルシ様は未だに独身よ、ひょっとしたらお目に留まってお声を掛けていただくということもあり得るもの。」
「マルシさまって、オーガキングのことですよね。」
「あなた! 何言ってるの!」
といままで黙っていたカンナが大きな声で言う。
「マルシ様はオーガだけの王じゃない、魔族の王よ! 国民なら間違えちゃダメじゃない! あの非の打ちどころのない身体、美味しそうな筋肉。魔族の女性なら、誰だってマルシ様の卵を産みたいと思うはずよ!」
いやいや私は卵を産めません、と心の中で呟く。それにしても流石はオーガキング、ラミアの女性にも大人気の様だ。でもオーガキングがラミアの女性にも人気だと言う事は、種族が違っても子供を作れると言う事かもしれない。それにしても「美味しそうな筋肉」ってなんだ?
ラミア達の次には護衛の人達に挨拶をする。人間の兵士がマルクを含めて5人、それにオーガの兵士がひとりだ。人間の兵士はドワーフの作った立派な鎧を身に着けているが、残念ながらそれほど強そうには見えない。まあ、私も人のことは言えないが。そうなると、いざという時に一番頼りになるのはオーガの兵士だろう。名前はドスモと言うらしい。魔族語で挨拶すると愛想よく返してくれた。気の良さそうなオーガだ。兵士達も嫌な感じのする奴はいない。それに私達が相手にするのは町や村に住む一般人だ。それならこのメンバーでもなんとかなる。
挨拶が終わると、早速明日からの行動の打ち合わせに入る。アイがこのチームのリーダーらしい。地図を指さしながら明日から巡ることになるルートを説明し、それを私が兵士達に通訳する。私達が担当する予定なのは村が100で、町はないそうだ。勿論100の村を一回の旅で回るわけでは無く、いくつかの村を回ったらこの城に帰って来て、進捗の報告と次の旅に備えての物資の補給。それに何日かの休養を取ってから次の旅に出る。予定では1年かけて100の村を回ることになるそうだ。
手始めに明日から10日ほどかけて3つの村を回るらしい。旅の途中は持参のテントで寝ることになる。テントは3つ、人間の兵士達のテント、オーガの兵士のテント、そして私とラミアの少女達のテントだ。私はラミアと同じテントで寝ることになるわけだ。まあ、女同士だからと言う点では納得だが、ラミアがどんな風に横になるのか、興味半分、心配半分と言うところだ。願わくば、寝ている間に巻き付かれませんように。
そして翌日になり、いよいよ出発となった。私達女性陣は身分証発行用の魔道具が積まれた馬車に乗り込み、兵士のひとりが御者台に座る。それ以外の兵士やオーガのドスモさんは歩きとなる。申し訳ないが、か弱い(?)女性だからということで勘弁してもらおう。
馬車の中でアイが話しかけて来た。
「ねえ、ケイトさん。あなたはマルシ様とお話したことがある?」
彼女達の関心はやはりオーガキングの様だ。私が肯定の返事を返すと、アイだけでなくサラとカンナまで嬌声を上げる。
「わぁ~、すごい。ねえねえ、マルシ様って素敵よねえ。あなたもそう思うでしょう?」
とカンナが言う。そういわれても、オーガキングのことは尊敬しているが、異性としてどうかと言われても答えに窮してしまう。なにせ体格が違い過ぎる。相手は身長3メートルの巨人だ。そういえばラミアは蛇の下半身だけで5メートルくらいの長さがあるから体格的にも釣り合うのかな? でも横幅が段違いだよ。
「そうかもしれませんね。」
と私が答えを濁すと。すぐにサラが噛み付いて来た。
「なぁ~に。私達のマルシ様に対して気の無い返事じゃない。人間の女にはマルシ様は魅力的じゃないのかしら?」
「マルシさまは、おおきすぎます。」
と私が正直に言うと。
「あら、そんなの愛があれば問題にならないわ。わたしはいつだってマルシ様を受け入れる準備が出来ているわよ。」
とアイが自慢そうに言う。そうなのか? いやまずい、話題を変えなければ...。
「ラミアの男性には素敵な方はいらっしゃらないんですか?」
と赤面しながら私が言うと、
「もちろん、ラミアの男は魔族の中で一番よ。でもその上を行くのかマルシ様ってわけ。あの美味しそうな筋肉には逆らえないわ。」
いやいや、筋肉から離れようよ。ラミアって筋肉フェチなのか?
「ま、マルシさまは、こいびとはいらっしゃらないんですか?」
と苦し紛れに口にしたが、これは禁句だった様だ。彼女達の顔が殺気立つ。
「ふん! そんな女がいたら私が呪い殺してやる。」
とカンナが口にする。怖い...。
「でも、そういえば噂があるわね。」
「ああ、あれね。あんなの唯の噂よ。マルシ様がソフィア様に懸想されているなんて。」
ソフィア? まさか私達のソフィアのこと?
「王都に連れて来て、家をお与えになったのは事実らしいわよ。」
「でも、ソフィア様にはすでに番の相手がいらっしゃるらしいじゃない。」
「それでも燃えるのが恋の炎ってやつじゃない。身分違いの恋に身を焦がすマルシ様...。ああ...すてき!」
いや、ありえないって。だいたいソフィアを王都に呼んだのだって誘拐事件があったからだし。それにしても身分違いって...。まさかと思いながら疑問を口にしてみる。
「ソフィアさまって、せいれいおうさまの、ようじょですね? でもソフィアさまは、にんげんです。えらいのですか?」
と口にすると3人から呆れたように見つめられた。
「そ、そうか...人間のケイトさんが知らないのは無理ないわね。でもそんなこと他で言っちゃだめよ。過激に反応する魔族もいるからね。」
「そ、そうなんですね。」
「そうよ、ソフィア様は確かに人間だけど、精霊王様が自分の娘だと宣言されているの、もしソフィア様に危害を加える様なことがあったら自分が許さないとね。精霊王様は私達魔族の神なの、だからソフィア様は神の御子よ。いくらマルシ様が魔族の王でも、魔族と神の御子なら神の御子の方が上に決まっているわ。だからソフィア様に番の相手が居るって噂が伝わった時には国中が大騒ぎだったわ。ソフィア様と番になりたいと言う魔族の男は沢山いたけれど、皆精霊王様を恐れてソフィア様に声を掛けられなかったの。どうやって精霊王様に気に入られたのかって悔しがっていたわ。」
いやー、驚いた。ソフィアに対して魔族の誰もが緊張して話をしているなとは思っていたが、オーガキングより上の存在だったとは! 思わず、自分のソフィアに対する態度を顧みる。人間の国なら不敬罪で投獄されても文句は言えないかもしれない。そうか! 今まで問題にならなかったのは、人間の言葉で話していたからほとんどの魔族には私がソフィアにどの様な態度で接しているか分からなかったのだ。今後は気を付けないと。でもソフィアは私が丁寧に接したら嫌がるだろうな...。それにしてもカラシンの奴、とんでもない相手を妻にしたな。呪い殺されることがない様に祈るしかない。
カルチャーショックに打ちのめされながら馬車に乗っていると、しばらくして最初の村に着いた。この村で身分証を発行して今日の仕事は終わりとなる。アイの話では、まずは予行演習替わりに小さな村を選んだのだそうだ。住民は50人程度しかいない。だから少々トラブルがあっても今日中に作業を終わらせることが出来るだろう。
村に入ると村人達の注目が集まっているのが分かる。なにせオーガのドスモさんの巨体は目立つのだ。まずは村長への挨拶だ。村の中央にある広場に馬車を留め。ドスモさんに馬車の見張りをお願いして、残りの者で村長宅に向かう。近日中に私達が訪れる旨の連絡は行っているはずなので驚かれることは無いだろう。
村人に村長の家を訪ねるまでもなく、向こうから出向いてくれた。村人の身分証を発行しに来た旨を伝え、村人全員に広場に集まってもらう。緊張しながら集まった村人にアイがこれから行う身分証発行の手順を説明し、それを私が通訳する。
「皆さん、私はこのチームのリーダーをしているラミヤ族のアイです。今日は新たに魔族になった皆さんの身分証を発行しにきました。身分証は皆さんが魔族の国の国民であることを証明する大切なものです。常に携帯していただく必要があります。もし紛失された場合は町の役所まで行って再発行の手続きをして頂くことになりますのでご注意ください。」
とアイの話した内容を通訳して村人達の様子を見る。私達のリーダーが怖そうに見えるオーガのドスモさんではなく、少女の様な外見のアイだと知って村人達の緊張が幾分和らいだ様だ。その後は、この後行う身分証発行の手順を説明してから、
「今までのところで質問はありませんか?」
と、問いかける。アイはリーダーだけあって思ったよりしっかりしている様だ。村人達からの質問を待つが、だれも口を開かない。仕方がないので、身分証の発行作業を始める。
身分証発行用の魔道具3種を、馬車で運んできた組み立て式の台に乗せ並べる。最初の魔道具には私とアイが、2番目の魔道具にはサラが、最後の魔道具にはカンナが付く。私が村人の名前を聞いて性別と名前をアイに伝え、アイがそれを魔道具に登録する。同時に種族と居住地を登録するのだが、これは全員共通なのであらかじめ魔道具にセット済みだそうだ。それが終わると、2番目の魔道具を用いてサラがひとりひとりの魔力パターンを測定し、カンナが最後の魔道具で身分証を発行して本人に渡すことになっている。
身分証の発行は順調に進み、人数が少ないこともあり1時間もしない内に作業は終了した。その後道具類を片付けていると、村人のひとりが恐々と言う感じで私に声を掛けて来た。
「なあ、あんた。あんたは人間だよな。」
「ええ、そうですけど。」
「そうか、安心した。ラミアと親しそうだから魔族なのかと思ったよ。なあ、教えてくれ、俺達は大丈夫なんだよな。」
「えっと、何か問題があるんですか?」
「いや問題はない。と言うか問題が無さすぎるんだ。魔族の領地に成ったら、魔族達が大挙して俺達の土地を奪いに来るんじゃないかとか、魔族の奴隷にされて女たちは慰み者になるんじゃないかとか、色々と噂があったんだ。でも、いざ魔族領になったら魔族達は村にちっともやって来ないし、新しい領主は腹を減らしていた俺達に食糧を配ってくれるし、不作の年で決められた税が払えない年でも収穫量の4割は手元に残してくれると言う。話が旨すぎて逆に不安なんだよ。」
「そうなんですね。安心してください。ほとんどの魔族は気の良い人たちですよ。むしろ彼らの方が人間を恐れているみたいですね。あのラミアの女の子たちも、人間の住むところへ向かうと決まった時には、串差しにされて食べられてしまうんじゃないかと不安だったらしいですよ。お互いに怖がっているだけなんです。それにオーガキングが人間を魔族の一員として受け入れ平等に扱うと宣言していますから、理不尽な扱いを受けることはありませんよ。」
「俺達はここが魔力領になって運が良かったと言う事か?」
「そう言う事です。ここに残ると決めたあなた方の判断は正しかったのですよ。」
「そうか...。開拓村の奴等には感謝せんといかんな。『魔族の国になっても大丈夫だから出ていくな』と言いに来てくれたんだ。魔族の手先かもしれないと疑っていたんだが悪いことをした。」
「機会があったら開拓村の皆さんにお伝えします。きっと喜ぶと思いますよ。」
私がそう返したとき、突然すぐ近くで子供の泣き声が響き渡った。慌てて声のする方を見ると5歳くらいの男の子が膝を抱えて泣いている。どうやら遊んでいる内に躓いて転倒し膝を擦り剥いた様だ。「母ちゃーん」と叫ぶが、母親は近くに居ないらしく、それらしき人はやって来ない。
回復薬を使うほどの傷ではなさそうだし、どうしようかなと考えていると、男の子に近づく者がいた。アイだ。ラミアが覗き込んでいるのに気付いた男の子の顔が引き攣り、泣き声が一瞬にして止まる。アイは男の子の傷を観察しながら、
「男の子がこのくらいの怪我でないちゃダメよ。お姉さんが治してあげる。」
と魔族語で言って傷に手を翳す。回復魔法を掛けているのだろう。男の子は恐怖に固まったのか、蛇に睨まれた蛙の様に身動きしない。魔族語の通じない村人達はアイが何をする気なのか分からず緊迫した雰囲気が辺りを満たす。私はハラハラしながら成り行きを見守っていたが、しばらくして、
「はい、治ったわよ。」
とアイが言って男の子から離れて行くと、途端に村人達を包んでいた緊張感が解けた。男の子はきょとんとして座っていたが、やがて膝の傷の痛みが無くなっているのに気付いたのだろう。アイに向かって、
「おねえちゃん、ありがとう。」
と礼を言った。アイが男の子に振り返り笑顔で手を振る。良かった、トラブルが発生しそうになったら私の出番だと身構えていたのだ。村人達もアイが男の子の怪我を治してくれたのだと気付き、表情が穏やかなものになる。もう大丈夫だろう。
一旦ジョン隊長の居る領都の城に集合した私達、通訳担当者は、ラミア3人のチームにひとりの割合で割り振られ、スケジュールに従って一緒に村や町を回ることになる。だからマイケルとは別行動だ。もちろん私達だけでなく、護衛として元冒険者の兵士5名に、オーガの兵士1名が同行する。
「ケイトさん、お久しぶりです。」
と声を掛けられて振り返るとマルクだった。
「マルクさん! 本当に久しぶりね。元気だった?」
「お陰様で。ケイトさんも元気そうですね。会えてよかったです。ケイトさん達がいつまで経っても報酬を取りに来られないから、どうしようかと悩んでいたところだったんですよ。」
そうだった! 薬草の商売が儲かっていたので有頂天になっていたのと、忙しさにかまけてすっかり忘れていた。マルクに頼まれてカイルの村まで馬車で麦を届けた報酬の金貨10枚は、私達がマルクの村を訪れた時に払ってもらったら良いと言って、そのままになっていた。
「御免なさい! すっかり忘れていたわ!」
「忘れていたんですか!? 金貨10枚って大金ですよ、随分太っ腹ですね。」
「ま、まあね。薬草の商売が忙しくてね。もっとも、それも昔の話だけどね...。」
「でも困りました。まさかここでケイトさんにお会いできるとは思っていなかったので金貨10枚なんて大金は持参していないんですよ。」
「大丈夫よ、今度こそマルクさんの村に寄ることにするから、その時でいいわよ。」
「ケイトさんは相変わらずですね。普通はそんな悠長なことは言いませんよ。でも確かにありがたいです。私もここには兵士の仕事で来ましたので、すぐには村に戻れないんですよ。」
「と言う事はマルクさんは兵士になったのね。」
「そうなんですよ。少しでも魔族の国の役に立ちたいと思いましてね。頼りないですが、ケイトさん達一行の護衛を務めさせていただきます。」
「あらそうなの、よろしく。」
「こちらこそです。」
なんとマルクが護衛として私が通訳を担当するラミアのチームに付いてくれる様だ。護衛としての腕はともかく、信用できる人間が傍にいるのはありがたい。
マルクに案内されて、私が通訳を務めるラミアのチームが待機している部屋に挨拶に向かう。部屋に入って驚いた。私の担当は若い女性のラミア3人のチームだ。ラミアの年齢を見掛けで判断出来るほど詳しくはないが、女性と言うより女の子と言った方が良いのではと思うくらい若く見える。例によってとぐろを巻いてその上に座っている。
「はじめまして、このチームのつうやくをたんとうする、ケイトです。これからよろしく。」
と魔族語で挨拶すると、彼女達の緊張した顔が一気に解れる。
「わー、よかった。女の人だ! 」
「そうね、私達をいやらしい目で見ていた人間の男が多かったからね。通訳の人がそんな奴だったら嫌だなと思っていたのよ。」
そうなのか? 確かに可愛い子達だけど、人間の男にとってラミアの女性をそんな風に見るには、その独特な下半身に慣れるまでもう少し時間が掛かるのではないだろうか。初めて見るラミアに驚いていただけなのではないかと思うが、彼女達の名誉のために口には出さないでおく。
「私はアイ、こっちはサラ、それであっちがカンナよ。よろしく。」
とアイが紹介してくれた。この子が一番活発そうだ。髪の色は私と同じ赤毛で、胸は...私が劣等感を持つ必要のない大きさとだけ言っておこう。サラは黒髪のしっかりした感じの子で、カンナは金髪の少し気弱そうな女の子だ。
「このたびは、わたしたち、にんげんぞくのために、ごそくろういただき、かんしゃします。」
と私が言うと、サラが応えた。
「人間の為じゃないわ。愛しのマルシ様の依頼ですもの、命を懸けてご期待に応えるだけよ。マルシ様は未だに独身よ、ひょっとしたらお目に留まってお声を掛けていただくということもあり得るもの。」
「マルシさまって、オーガキングのことですよね。」
「あなた! 何言ってるの!」
といままで黙っていたカンナが大きな声で言う。
「マルシ様はオーガだけの王じゃない、魔族の王よ! 国民なら間違えちゃダメじゃない! あの非の打ちどころのない身体、美味しそうな筋肉。魔族の女性なら、誰だってマルシ様の卵を産みたいと思うはずよ!」
いやいや私は卵を産めません、と心の中で呟く。それにしても流石はオーガキング、ラミアの女性にも大人気の様だ。でもオーガキングがラミアの女性にも人気だと言う事は、種族が違っても子供を作れると言う事かもしれない。それにしても「美味しそうな筋肉」ってなんだ?
ラミア達の次には護衛の人達に挨拶をする。人間の兵士がマルクを含めて5人、それにオーガの兵士がひとりだ。人間の兵士はドワーフの作った立派な鎧を身に着けているが、残念ながらそれほど強そうには見えない。まあ、私も人のことは言えないが。そうなると、いざという時に一番頼りになるのはオーガの兵士だろう。名前はドスモと言うらしい。魔族語で挨拶すると愛想よく返してくれた。気の良さそうなオーガだ。兵士達も嫌な感じのする奴はいない。それに私達が相手にするのは町や村に住む一般人だ。それならこのメンバーでもなんとかなる。
挨拶が終わると、早速明日からの行動の打ち合わせに入る。アイがこのチームのリーダーらしい。地図を指さしながら明日から巡ることになるルートを説明し、それを私が兵士達に通訳する。私達が担当する予定なのは村が100で、町はないそうだ。勿論100の村を一回の旅で回るわけでは無く、いくつかの村を回ったらこの城に帰って来て、進捗の報告と次の旅に備えての物資の補給。それに何日かの休養を取ってから次の旅に出る。予定では1年かけて100の村を回ることになるそうだ。
手始めに明日から10日ほどかけて3つの村を回るらしい。旅の途中は持参のテントで寝ることになる。テントは3つ、人間の兵士達のテント、オーガの兵士のテント、そして私とラミアの少女達のテントだ。私はラミアと同じテントで寝ることになるわけだ。まあ、女同士だからと言う点では納得だが、ラミアがどんな風に横になるのか、興味半分、心配半分と言うところだ。願わくば、寝ている間に巻き付かれませんように。
そして翌日になり、いよいよ出発となった。私達女性陣は身分証発行用の魔道具が積まれた馬車に乗り込み、兵士のひとりが御者台に座る。それ以外の兵士やオーガのドスモさんは歩きとなる。申し訳ないが、か弱い(?)女性だからということで勘弁してもらおう。
馬車の中でアイが話しかけて来た。
「ねえ、ケイトさん。あなたはマルシ様とお話したことがある?」
彼女達の関心はやはりオーガキングの様だ。私が肯定の返事を返すと、アイだけでなくサラとカンナまで嬌声を上げる。
「わぁ~、すごい。ねえねえ、マルシ様って素敵よねえ。あなたもそう思うでしょう?」
とカンナが言う。そういわれても、オーガキングのことは尊敬しているが、異性としてどうかと言われても答えに窮してしまう。なにせ体格が違い過ぎる。相手は身長3メートルの巨人だ。そういえばラミアは蛇の下半身だけで5メートルくらいの長さがあるから体格的にも釣り合うのかな? でも横幅が段違いだよ。
「そうかもしれませんね。」
と私が答えを濁すと。すぐにサラが噛み付いて来た。
「なぁ~に。私達のマルシ様に対して気の無い返事じゃない。人間の女にはマルシ様は魅力的じゃないのかしら?」
「マルシさまは、おおきすぎます。」
と私が正直に言うと。
「あら、そんなの愛があれば問題にならないわ。わたしはいつだってマルシ様を受け入れる準備が出来ているわよ。」
とアイが自慢そうに言う。そうなのか? いやまずい、話題を変えなければ...。
「ラミアの男性には素敵な方はいらっしゃらないんですか?」
と赤面しながら私が言うと、
「もちろん、ラミアの男は魔族の中で一番よ。でもその上を行くのかマルシ様ってわけ。あの美味しそうな筋肉には逆らえないわ。」
いやいや、筋肉から離れようよ。ラミアって筋肉フェチなのか?
「ま、マルシさまは、こいびとはいらっしゃらないんですか?」
と苦し紛れに口にしたが、これは禁句だった様だ。彼女達の顔が殺気立つ。
「ふん! そんな女がいたら私が呪い殺してやる。」
とカンナが口にする。怖い...。
「でも、そういえば噂があるわね。」
「ああ、あれね。あんなの唯の噂よ。マルシ様がソフィア様に懸想されているなんて。」
ソフィア? まさか私達のソフィアのこと?
「王都に連れて来て、家をお与えになったのは事実らしいわよ。」
「でも、ソフィア様にはすでに番の相手がいらっしゃるらしいじゃない。」
「それでも燃えるのが恋の炎ってやつじゃない。身分違いの恋に身を焦がすマルシ様...。ああ...すてき!」
いや、ありえないって。だいたいソフィアを王都に呼んだのだって誘拐事件があったからだし。それにしても身分違いって...。まさかと思いながら疑問を口にしてみる。
「ソフィアさまって、せいれいおうさまの、ようじょですね? でもソフィアさまは、にんげんです。えらいのですか?」
と口にすると3人から呆れたように見つめられた。
「そ、そうか...人間のケイトさんが知らないのは無理ないわね。でもそんなこと他で言っちゃだめよ。過激に反応する魔族もいるからね。」
「そ、そうなんですね。」
「そうよ、ソフィア様は確かに人間だけど、精霊王様が自分の娘だと宣言されているの、もしソフィア様に危害を加える様なことがあったら自分が許さないとね。精霊王様は私達魔族の神なの、だからソフィア様は神の御子よ。いくらマルシ様が魔族の王でも、魔族と神の御子なら神の御子の方が上に決まっているわ。だからソフィア様に番の相手が居るって噂が伝わった時には国中が大騒ぎだったわ。ソフィア様と番になりたいと言う魔族の男は沢山いたけれど、皆精霊王様を恐れてソフィア様に声を掛けられなかったの。どうやって精霊王様に気に入られたのかって悔しがっていたわ。」
いやー、驚いた。ソフィアに対して魔族の誰もが緊張して話をしているなとは思っていたが、オーガキングより上の存在だったとは! 思わず、自分のソフィアに対する態度を顧みる。人間の国なら不敬罪で投獄されても文句は言えないかもしれない。そうか! 今まで問題にならなかったのは、人間の言葉で話していたからほとんどの魔族には私がソフィアにどの様な態度で接しているか分からなかったのだ。今後は気を付けないと。でもソフィアは私が丁寧に接したら嫌がるだろうな...。それにしてもカラシンの奴、とんでもない相手を妻にしたな。呪い殺されることがない様に祈るしかない。
カルチャーショックに打ちのめされながら馬車に乗っていると、しばらくして最初の村に着いた。この村で身分証を発行して今日の仕事は終わりとなる。アイの話では、まずは予行演習替わりに小さな村を選んだのだそうだ。住民は50人程度しかいない。だから少々トラブルがあっても今日中に作業を終わらせることが出来るだろう。
村に入ると村人達の注目が集まっているのが分かる。なにせオーガのドスモさんの巨体は目立つのだ。まずは村長への挨拶だ。村の中央にある広場に馬車を留め。ドスモさんに馬車の見張りをお願いして、残りの者で村長宅に向かう。近日中に私達が訪れる旨の連絡は行っているはずなので驚かれることは無いだろう。
村人に村長の家を訪ねるまでもなく、向こうから出向いてくれた。村人の身分証を発行しに来た旨を伝え、村人全員に広場に集まってもらう。緊張しながら集まった村人にアイがこれから行う身分証発行の手順を説明し、それを私が通訳する。
「皆さん、私はこのチームのリーダーをしているラミヤ族のアイです。今日は新たに魔族になった皆さんの身分証を発行しにきました。身分証は皆さんが魔族の国の国民であることを証明する大切なものです。常に携帯していただく必要があります。もし紛失された場合は町の役所まで行って再発行の手続きをして頂くことになりますのでご注意ください。」
とアイの話した内容を通訳して村人達の様子を見る。私達のリーダーが怖そうに見えるオーガのドスモさんではなく、少女の様な外見のアイだと知って村人達の緊張が幾分和らいだ様だ。その後は、この後行う身分証発行の手順を説明してから、
「今までのところで質問はありませんか?」
と、問いかける。アイはリーダーだけあって思ったよりしっかりしている様だ。村人達からの質問を待つが、だれも口を開かない。仕方がないので、身分証の発行作業を始める。
身分証発行用の魔道具3種を、馬車で運んできた組み立て式の台に乗せ並べる。最初の魔道具には私とアイが、2番目の魔道具にはサラが、最後の魔道具にはカンナが付く。私が村人の名前を聞いて性別と名前をアイに伝え、アイがそれを魔道具に登録する。同時に種族と居住地を登録するのだが、これは全員共通なのであらかじめ魔道具にセット済みだそうだ。それが終わると、2番目の魔道具を用いてサラがひとりひとりの魔力パターンを測定し、カンナが最後の魔道具で身分証を発行して本人に渡すことになっている。
身分証の発行は順調に進み、人数が少ないこともあり1時間もしない内に作業は終了した。その後道具類を片付けていると、村人のひとりが恐々と言う感じで私に声を掛けて来た。
「なあ、あんた。あんたは人間だよな。」
「ええ、そうですけど。」
「そうか、安心した。ラミアと親しそうだから魔族なのかと思ったよ。なあ、教えてくれ、俺達は大丈夫なんだよな。」
「えっと、何か問題があるんですか?」
「いや問題はない。と言うか問題が無さすぎるんだ。魔族の領地に成ったら、魔族達が大挙して俺達の土地を奪いに来るんじゃないかとか、魔族の奴隷にされて女たちは慰み者になるんじゃないかとか、色々と噂があったんだ。でも、いざ魔族領になったら魔族達は村にちっともやって来ないし、新しい領主は腹を減らしていた俺達に食糧を配ってくれるし、不作の年で決められた税が払えない年でも収穫量の4割は手元に残してくれると言う。話が旨すぎて逆に不安なんだよ。」
「そうなんですね。安心してください。ほとんどの魔族は気の良い人たちですよ。むしろ彼らの方が人間を恐れているみたいですね。あのラミアの女の子たちも、人間の住むところへ向かうと決まった時には、串差しにされて食べられてしまうんじゃないかと不安だったらしいですよ。お互いに怖がっているだけなんです。それにオーガキングが人間を魔族の一員として受け入れ平等に扱うと宣言していますから、理不尽な扱いを受けることはありませんよ。」
「俺達はここが魔力領になって運が良かったと言う事か?」
「そう言う事です。ここに残ると決めたあなた方の判断は正しかったのですよ。」
「そうか...。開拓村の奴等には感謝せんといかんな。『魔族の国になっても大丈夫だから出ていくな』と言いに来てくれたんだ。魔族の手先かもしれないと疑っていたんだが悪いことをした。」
「機会があったら開拓村の皆さんにお伝えします。きっと喜ぶと思いますよ。」
私がそう返したとき、突然すぐ近くで子供の泣き声が響き渡った。慌てて声のする方を見ると5歳くらいの男の子が膝を抱えて泣いている。どうやら遊んでいる内に躓いて転倒し膝を擦り剥いた様だ。「母ちゃーん」と叫ぶが、母親は近くに居ないらしく、それらしき人はやって来ない。
回復薬を使うほどの傷ではなさそうだし、どうしようかなと考えていると、男の子に近づく者がいた。アイだ。ラミアが覗き込んでいるのに気付いた男の子の顔が引き攣り、泣き声が一瞬にして止まる。アイは男の子の傷を観察しながら、
「男の子がこのくらいの怪我でないちゃダメよ。お姉さんが治してあげる。」
と魔族語で言って傷に手を翳す。回復魔法を掛けているのだろう。男の子は恐怖に固まったのか、蛇に睨まれた蛙の様に身動きしない。魔族語の通じない村人達はアイが何をする気なのか分からず緊迫した雰囲気が辺りを満たす。私はハラハラしながら成り行きを見守っていたが、しばらくして、
「はい、治ったわよ。」
とアイが言って男の子から離れて行くと、途端に村人達を包んでいた緊張感が解けた。男の子はきょとんとして座っていたが、やがて膝の傷の痛みが無くなっているのに気付いたのだろう。アイに向かって、
「おねえちゃん、ありがとう。」
と礼を言った。アイが男の子に振り返り笑顔で手を振る。良かった、トラブルが発生しそうになったら私の出番だと身構えていたのだ。村人達もアイが男の子の怪我を治してくれたのだと気付き、表情が穏やかなものになる。もう大丈夫だろう。
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