60 / 71
60. 復活する精霊王
しおりを挟む
(精霊王視点)
私は夜を待ってフクロウの姿を取ってから地表に出た。せっかく核から復活したのに、状況も確認しないまま敵に遭遇はしたくない。この姿なら怪しまれることは無いだろう。ここは私が巨大なアーススピアで身体を引き裂かれて核に戻った場所に違いないが、なんだか雰囲気が違う。探査魔法で探ると極端に人間の数が少ないからだと分かった。以前は城に溢れる程いた兵士達が、10分の1くらいに減っている。まあこちらとしては好都合だ。私は魔物の森を目指し飛び立った。私が核に戻ってから魔族の国がどうなったのか気になる。精霊王ともあろう者がとんでもない失態を演じたものだ。移動するにはドラゴンの姿で飛行するのが一番早いのだが、ここはフクロウの姿で我慢する。ドラゴンの姿は目立つ、今は敵と戦うより魔族の国に戻るのが先だ。
何日か飛び続けアルトン山脈の姿が遠くに見える所まで来た時、前方に膨大な数の人間の兵士の姿が見えた。前方にある城を攻めている様だ。あれはボルダール伯爵の城だ。人間同士で戦っているのかと考えたが間違いだった。城壁の上に居るのは魔族だ。魔族と人間が戦っている! 私が留守していた間に戦争が勃発したのだ! しかも魔族側が劣勢の様だ。正面に架かった橋を通り、人間の兵士達が次々に城内になだれ込んで行く。城内にどれだけの魔族がいるのか分からないが、城を取り囲む人間の兵士の膨大な数を見れば兵力に差があるのは間違いない。私が付いていればこんな状況にはさせなかったものをと後悔の念が湧く。マルシはどこだ? あいつのことだから戦争になれば最前線で戦おうとするに違いない。
その時、城壁の上から橋を目掛けて沢山のファイヤーボールが飛んでいくのが見えた。橋を落としてこれ以上の侵入を防ぐつもりなのだ。だが、橋は壊れない。強力な防御結界で守られている。ファイヤーボールは何度も発射されるが結果は同じだ。ファイヤーボールを放っている一団の中に見知った顔があるのに気付く。カラシンだ! なぜカラシンがこんなところに! ソフィアはどうした? 聞きたいことは沢山あるが、落ち着いて話をする状況ではなさそうだ。私はカラシンの肩に降りると、全力の雷魔法を橋に向けて放った。私の全力の魔法は橋を守る結界を貫き橋が破壊される。
橋が落ちれば人間の兵士達は城に侵入出来ない。余裕が出来たカラシンから今までの経緯を聞き出す。ソフィアとカラシンの結婚と出産、ボルダール伯爵領の魔族の国への移譲、マルシの殺害と戦争の勃発。宰相ギランの常軌を逸した強力な魔法とそれを可能にしていると思われる魔道具。戦争が起こってからの経緯。宰相ギランの使った魔道具とやらが、私への攻撃にも使われたのは間違いないだろう。人間共はとんでもない武器を手にしたようだ。
さて、これからどうするか。普段なら戦争には関与しないと宣言している私だが、このような状況になったことにかなりの責任がある。それにソフィアが魔族の王になっているのであれば放って置くわけにも行くまい。毒を食らわば皿まで。今回は特別だ。私は魔族の国に味方すると決めた。
(カラシン視点)
城に籠城してから半年が経過した。この間に城を包囲している人間の国の軍隊の3分の1くらいが減った。敵兵の一部が谷底の道の封鎖に回ったらしい。やはり援軍を送られるのが嫌なのだろう。谷底の道の出口では大きな戦いになった様だ。現在は残念ながら再び道は閉ざされている。敵の大群が谷底の道の出口に陣取っており、道の修復作業が進むと再び崖を崩落させているらしい。
だが城の周りでは谷底の道に向かった兵力だけでは説明できない数が減少している。おそらく義勇軍の農民達が各地で反乱を起こしてくれているのだろう。そのため貴族達の一部が領地に引き返したのだ。農民達に感謝だ。
それに、最近は農村への略奪部隊が来なくなったと報告が上がっている。いくら略奪の為に兵士を派遣しても全滅させられてばかりだからあきらめたのか、それとも領地で反乱が起きているからそれどころで無くなったのかは分からないが、農民達にとっては朗報だ。だが、この件はトーマスに警戒心を持たせたようだ。
「略奪部隊が出なくなったと言う事は、その必要がなくなったと言う事かもしれません。ひょっとしたら兵糧攻めの方針を変えて、この城を一気に落とすつもりかも。」
と言う。トーマスの言う事だ、考慮する価値がある。俺は念のために領内の各地に散っていたエルフを中心とする増援部隊を城の近くに集めた。流石に全軍で攻め込まれたら城内の6,000の兵士だけでは持たない。いざという時には増援部隊に城外から敵を攻撃してもらって敵の兵力を分散させるのだ。
だが、味方の兵力は城内の6,000と城外の10,000を合わせて16,000。魔族は人間より強いから、魔族ひとりで人間の兵士10人を相手にできるとしても、対応できる敵は16万までだ。籠城開始時より減ったとはいえ、敵は現在でも20万以上。勝てないとまでは言わないが、分が悪いのは確かだ。
その時伝令が部屋に飛び込んできた。かなり慌てている。
「お伝えします。エルフの増援部隊が正体不明の敵と交戦中です。敵の数は約5万、ファイヤーボールを防ぐ盾を所持しているらしく、苦戦している様です。」
「しまった!」
と呟いたトーマスが駆け出す。行先は敵の監視に使っている塔の上だ。俺とジョンも後に続く。塔に登り、城を囲んでいる敵を観察するが数に変化はない。すなわち増援部隊と交戦中の敵はここから派遣されたのではないと言う事だ。谷底の道の前に陣を構えている敵なら、いなくなった時点で報告が来るだろうからそれでもない。人間の国から新たに送られた増援部隊だ。しかも対ファイヤーボール用の盾を持っているらしい。魔力の強いエルフのファイヤーボールは人間の魔法使いの物より遥かに強力らしいが、それを防ぐとなると何らかの魔道具かもしれない。明らかにファイヤーボールを主力武器とする増援部隊と戦うことを前提に準備してきたと言う事だ。
3人で顔を見合わせる。エルフの増援部隊はここに居るのとは別の部隊と戦っている、しかも苦戦中となると援助は当てに出来ない。今攻めて来られたら20万の敵に6,000の兵だけで戦うことになる。その時、ドーーーーーーーン!!! と大きな音が響いた。驚いて音のする方向を見ると、引き上げてあったはずの跳ね橋が堀の上に落下している。しかも驚いている間に巨大なファイヤーボールが橋のすぐそばにある城門に向かって飛んで来るのが見えた。
ドガーーーーーーン!!!! と耳をつんざく轟音が響き渡る。ここからは見えないが城門が破壊されたのだろう。敵の軍隊が橋に向け駆け足で進軍して来た。橋が降り城門が破壊されているのであれば、そのまま城内に侵入されてしまう。おれは直ちに各部隊の隊長に伝令を送る。状況を伝えるとともに、敵の侵入を防げと言う内容だ。
塔から降りると、遠くで金属と金属がぶつかる音と兵達の叫び声が聞こえて来る。破壊された城門の方向だ。俺はファイヤーボールを撃てるラミアの兵士10人を連れて橋を見下ろす城壁の上に急ぐ。幸い橋は木製だ。ファイヤーボールで燃やせば敵は通れなくなる。
城壁の上から見下ろすと、次から次へと敵が橋を渡って城内に侵入して来るのが見える。橋を釣り上げていた太い鎖が左右とも途中で切れている。橋が落ちたのは何らかの方法で鎖を切られたのだと気付くが、どうやって鎖を切ったのかを考えるのはやめた。今は橋を破壊することだ。俺も含め全員で橋を狙ってファイヤーボールを放つ。11個のファイヤーボールが橋に命中し爆音が轟くが、次の瞬間自分の目を疑った。橋どころか橋の上にいる敵兵すら無傷だ。再度攻撃を試みるが、結果は同じだ。何らかの結界で橋を防御しているとしか思えない。
その後も俺達は何度も橋の破壊を試みたが結果は変わらず、そうこうしている間にも敵の侵入は止まらない。味方の兵士達は勇敢に戦ってくれているが、こうなっては戦況は覆せないだろう。俺達の負けだ...。
その時、項垂れた俺の肩の上に何かが降り立ち、「クェ~~~ッ」と大きな声で鳴いた。途端に橋に巨大な雷が落ち見事に橋を破壊した。驚いて肩を見ると見たことのあるフクロウが留まっていた。
私は夜を待ってフクロウの姿を取ってから地表に出た。せっかく核から復活したのに、状況も確認しないまま敵に遭遇はしたくない。この姿なら怪しまれることは無いだろう。ここは私が巨大なアーススピアで身体を引き裂かれて核に戻った場所に違いないが、なんだか雰囲気が違う。探査魔法で探ると極端に人間の数が少ないからだと分かった。以前は城に溢れる程いた兵士達が、10分の1くらいに減っている。まあこちらとしては好都合だ。私は魔物の森を目指し飛び立った。私が核に戻ってから魔族の国がどうなったのか気になる。精霊王ともあろう者がとんでもない失態を演じたものだ。移動するにはドラゴンの姿で飛行するのが一番早いのだが、ここはフクロウの姿で我慢する。ドラゴンの姿は目立つ、今は敵と戦うより魔族の国に戻るのが先だ。
何日か飛び続けアルトン山脈の姿が遠くに見える所まで来た時、前方に膨大な数の人間の兵士の姿が見えた。前方にある城を攻めている様だ。あれはボルダール伯爵の城だ。人間同士で戦っているのかと考えたが間違いだった。城壁の上に居るのは魔族だ。魔族と人間が戦っている! 私が留守していた間に戦争が勃発したのだ! しかも魔族側が劣勢の様だ。正面に架かった橋を通り、人間の兵士達が次々に城内になだれ込んで行く。城内にどれだけの魔族がいるのか分からないが、城を取り囲む人間の兵士の膨大な数を見れば兵力に差があるのは間違いない。私が付いていればこんな状況にはさせなかったものをと後悔の念が湧く。マルシはどこだ? あいつのことだから戦争になれば最前線で戦おうとするに違いない。
その時、城壁の上から橋を目掛けて沢山のファイヤーボールが飛んでいくのが見えた。橋を落としてこれ以上の侵入を防ぐつもりなのだ。だが、橋は壊れない。強力な防御結界で守られている。ファイヤーボールは何度も発射されるが結果は同じだ。ファイヤーボールを放っている一団の中に見知った顔があるのに気付く。カラシンだ! なぜカラシンがこんなところに! ソフィアはどうした? 聞きたいことは沢山あるが、落ち着いて話をする状況ではなさそうだ。私はカラシンの肩に降りると、全力の雷魔法を橋に向けて放った。私の全力の魔法は橋を守る結界を貫き橋が破壊される。
橋が落ちれば人間の兵士達は城に侵入出来ない。余裕が出来たカラシンから今までの経緯を聞き出す。ソフィアとカラシンの結婚と出産、ボルダール伯爵領の魔族の国への移譲、マルシの殺害と戦争の勃発。宰相ギランの常軌を逸した強力な魔法とそれを可能にしていると思われる魔道具。戦争が起こってからの経緯。宰相ギランの使った魔道具とやらが、私への攻撃にも使われたのは間違いないだろう。人間共はとんでもない武器を手にしたようだ。
さて、これからどうするか。普段なら戦争には関与しないと宣言している私だが、このような状況になったことにかなりの責任がある。それにソフィアが魔族の王になっているのであれば放って置くわけにも行くまい。毒を食らわば皿まで。今回は特別だ。私は魔族の国に味方すると決めた。
(カラシン視点)
城に籠城してから半年が経過した。この間に城を包囲している人間の国の軍隊の3分の1くらいが減った。敵兵の一部が谷底の道の封鎖に回ったらしい。やはり援軍を送られるのが嫌なのだろう。谷底の道の出口では大きな戦いになった様だ。現在は残念ながら再び道は閉ざされている。敵の大群が谷底の道の出口に陣取っており、道の修復作業が進むと再び崖を崩落させているらしい。
だが城の周りでは谷底の道に向かった兵力だけでは説明できない数が減少している。おそらく義勇軍の農民達が各地で反乱を起こしてくれているのだろう。そのため貴族達の一部が領地に引き返したのだ。農民達に感謝だ。
それに、最近は農村への略奪部隊が来なくなったと報告が上がっている。いくら略奪の為に兵士を派遣しても全滅させられてばかりだからあきらめたのか、それとも領地で反乱が起きているからそれどころで無くなったのかは分からないが、農民達にとっては朗報だ。だが、この件はトーマスに警戒心を持たせたようだ。
「略奪部隊が出なくなったと言う事は、その必要がなくなったと言う事かもしれません。ひょっとしたら兵糧攻めの方針を変えて、この城を一気に落とすつもりかも。」
と言う。トーマスの言う事だ、考慮する価値がある。俺は念のために領内の各地に散っていたエルフを中心とする増援部隊を城の近くに集めた。流石に全軍で攻め込まれたら城内の6,000の兵士だけでは持たない。いざという時には増援部隊に城外から敵を攻撃してもらって敵の兵力を分散させるのだ。
だが、味方の兵力は城内の6,000と城外の10,000を合わせて16,000。魔族は人間より強いから、魔族ひとりで人間の兵士10人を相手にできるとしても、対応できる敵は16万までだ。籠城開始時より減ったとはいえ、敵は現在でも20万以上。勝てないとまでは言わないが、分が悪いのは確かだ。
その時伝令が部屋に飛び込んできた。かなり慌てている。
「お伝えします。エルフの増援部隊が正体不明の敵と交戦中です。敵の数は約5万、ファイヤーボールを防ぐ盾を所持しているらしく、苦戦している様です。」
「しまった!」
と呟いたトーマスが駆け出す。行先は敵の監視に使っている塔の上だ。俺とジョンも後に続く。塔に登り、城を囲んでいる敵を観察するが数に変化はない。すなわち増援部隊と交戦中の敵はここから派遣されたのではないと言う事だ。谷底の道の前に陣を構えている敵なら、いなくなった時点で報告が来るだろうからそれでもない。人間の国から新たに送られた増援部隊だ。しかも対ファイヤーボール用の盾を持っているらしい。魔力の強いエルフのファイヤーボールは人間の魔法使いの物より遥かに強力らしいが、それを防ぐとなると何らかの魔道具かもしれない。明らかにファイヤーボールを主力武器とする増援部隊と戦うことを前提に準備してきたと言う事だ。
3人で顔を見合わせる。エルフの増援部隊はここに居るのとは別の部隊と戦っている、しかも苦戦中となると援助は当てに出来ない。今攻めて来られたら20万の敵に6,000の兵だけで戦うことになる。その時、ドーーーーーーーン!!! と大きな音が響いた。驚いて音のする方向を見ると、引き上げてあったはずの跳ね橋が堀の上に落下している。しかも驚いている間に巨大なファイヤーボールが橋のすぐそばにある城門に向かって飛んで来るのが見えた。
ドガーーーーーーン!!!! と耳をつんざく轟音が響き渡る。ここからは見えないが城門が破壊されたのだろう。敵の軍隊が橋に向け駆け足で進軍して来た。橋が降り城門が破壊されているのであれば、そのまま城内に侵入されてしまう。おれは直ちに各部隊の隊長に伝令を送る。状況を伝えるとともに、敵の侵入を防げと言う内容だ。
塔から降りると、遠くで金属と金属がぶつかる音と兵達の叫び声が聞こえて来る。破壊された城門の方向だ。俺はファイヤーボールを撃てるラミアの兵士10人を連れて橋を見下ろす城壁の上に急ぐ。幸い橋は木製だ。ファイヤーボールで燃やせば敵は通れなくなる。
城壁の上から見下ろすと、次から次へと敵が橋を渡って城内に侵入して来るのが見える。橋を釣り上げていた太い鎖が左右とも途中で切れている。橋が落ちたのは何らかの方法で鎖を切られたのだと気付くが、どうやって鎖を切ったのかを考えるのはやめた。今は橋を破壊することだ。俺も含め全員で橋を狙ってファイヤーボールを放つ。11個のファイヤーボールが橋に命中し爆音が轟くが、次の瞬間自分の目を疑った。橋どころか橋の上にいる敵兵すら無傷だ。再度攻撃を試みるが、結果は同じだ。何らかの結界で橋を防御しているとしか思えない。
その後も俺達は何度も橋の破壊を試みたが結果は変わらず、そうこうしている間にも敵の侵入は止まらない。味方の兵士達は勇敢に戦ってくれているが、こうなっては戦況は覆せないだろう。俺達の負けだ...。
その時、項垂れた俺の肩の上に何かが降り立ち、「クェ~~~ッ」と大きな声で鳴いた。途端に橋に巨大な雷が落ち見事に橋を破壊した。驚いて肩を見ると見たことのあるフクロウが留まっていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
没落港の整備士男爵 ~「構造解析」スキルで古代設備を修理(レストア)したら、大陸一の物流拠点になり、王家も公爵家も頭が上がらなくなった件~
namisan
ファンタジー
大陸の南西端に位置するベルナ子爵領。
かつては貿易で栄えたこの港町も、今は見る影もない。
海底には土砂が堆積して大型船は入港できず、倉庫街は老朽化し、特産品もない。借金まみれの父と、諦めきった家臣たち。そこにあるのは、緩やかな「死」だけだった。
そんな没落寸前の領地の嫡男、アレン(16歳)に転生した主人公には、前世の記憶があった。
それは、日本で港湾管理者兼エンジニアとして働き、現場で散った「整備士」としての知識。
そして、彼にはもう一つ、この世界で目覚めた特異な能力があった。
対象の構造や欠陥、魔力の流れが設計図のように視えるスキル――【構造解析】。
「壊れているなら、直せばいい。詰まっているなら、通せばいい」
アレンは錆びついた古代の「浚渫(しゅんせつ)ゴーレム」を修理して港を深く掘り直し、魔導冷却庫を「熱交換の最適化」で復活させて、腐るだけだった魚を「最高級の輸出品」へと変えていく。
ドケチな家令ガルシアと予算を巡って戦い、荒くれ者の港湾長ゲンと共に泥にまみれ、没落商会の女主人メリッサと手を組んで販路を開拓する。
やがてその港には、陸・海・空の物流革命が巻き起こる。
揺れない「サスペンション馬車」が貴族の移動を変え、「鮮度抜群の魚介グルメ」が王族の胃袋を掴み、気性の荒いワイバーンを手懐けた「空輸便」が世界を結ぶ。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる