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29. アルムさんが付いて来た
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トン、トン
扉がノックされて目が覚めた。窓からは明るい朝の光が差し込んでいる。「はい」と返事を返すと。
「シロム様、朝食の用意が出来ました。」
と扉の向こうから声が掛った。飛び起きて慌てて身支度をする。
「すみません。少し待ってください。」
「大丈夫です。ごゆっくりご準備してください。」
そう言われても人を待たせていると思うとゆっくりなんてしていられない。慌てて服を着替える。短剣は....いらないな。髪の毛は....寝ぐせが付いてるかもだけど良い事にしよう。
最速で身支度をして扉を開けると、声から予想したとおりアルムさんがそこに立っていた。
「シロム様、お早うございます。お眠りのところを起こしてしまった様で申し訳ありません。」
「と、とんでもないです。僕の方こそお待たせして済みませんでした。」
そう返すと、アルムさんがクスッと笑う。
「シロム様はあれほどのお力をお持ちなのに、少しも威張られないのですね。」
「と、当然です。あれは神が与えて下さったもので僕の力ではありません。僕は只の食堂の息子ですから。」
「まあ、ご両親は食堂を経営されておられるのですか?」
「祖父の代からです。近所では安くて美味しいと結構評判なんですよ。」
「素敵です。私も食べてみたいです。」
「是非どうぞと言いたいですが.....ここからは少し遠いですね。」
「カルロ教国から来られたのですよね。私も巡礼者になったら入れてもらえるのかしら。」
「もちろんです。聖なる山の神への巡礼者はいつでも歓迎されています。」
「いつか是非。聖なる山の神様にもお礼を言わなければなりませんもの。シロム様をここに遣わせて下さったのですから。」
「僕の家は二葉亭と言います。その時は是非お寄り下さい、歓迎させていただきます。」
「ありがとうございます。いつかきっと.....」
アルムさんは夢見る様な表情でそう言ったが、すぐに真顔になった。
「まあ、私ったら。食事が冷めてしまいますわね。どうぞこちらです。」
そう言って先に立って歩き始めた。後を付いて行くと昨日の夕食とは別の部屋に通された。部屋にはシンシアさん、マリアさん、そしてマークが待っていた。アルムさんは一礼して部屋から出て行く。
「お早うございます。遅くなって申し訳ありません。」
「とんでもありません。さあどうぞお座りください。」
シンシアさんが優しく言ってくれる。恐る恐る隣のマリアさんの方を見ると、相変わらず鋭い目つきだが、
「シロム....様。お早うございます。」
と返してくれた。少なくとも拒絶はされていない様だ。席に着くと隣に座っているマークが耳元で囁いて来た。
「昨日と態度が違うな、何かあったのか?」
「ちょっとね。」
ナイフを突きつけられたとは言えないよな。言ったら怒るに決まっている。とりあえずこの場は誤魔化すしかない。
「それではいただきましょうか。」
とシンシアさんが口にし食事が始まる。スープが少し冷えている。かなり待たせてしまったのかもしれない。
「マーク様とシロム様は神の御子を探しておられるのですね。」
とマリアさんが話しかけて来た。マークが片眉を上げる、昨日だったらマークと僕の名前を並列にしなかったはずだ。
「そうです。何か思い出しましたか?」
「お役に立つかどうか分かりませんが、祭壇の近くで縛られていた時ガイラス皇子が部下と話しているのが聞こえたのです。部隊に紛れ込んでいる妹皇女の間者を探し出す様に命じておりました。どうやら兄妹でだれが最初に聖なる山の神を味方に付けるか競争しているらしくて、妹が御子に的に絞った様だと口にしておりました。ガイラス皇子が聖なる山の神にいくら捧げものをしても効果が無いことを知った上での対応らしくて、自分の部隊に妹の間者がいて情報を流していると確信していました。」
「マーク、それって.....」
「ああ、間違いないな。カルロ教国に近い方の祭壇だろう。あそこでガイラスの妹というのが御子様を狙って何かしていたわけだ。」
「マリアさん、貴重な手掛りだ。ありがとう。」
「でもあの祭壇はずいぶん前に撤収されていたはずだよ。」
「そうなんだが.....。シロム、念のためにもう一度行ってみないか? どうせ他に手掛かりは無い。」
同感だ。あそこにあった祭壇が撤収されたのは轍の跡が消えるくらい前だと思うけど、妹皇女が御子様を狙っていたとなると気になって仕方がない。僕も同意し、この村を出発後は一旦あの祭壇があった場所に戻ることになった。
食事が終わり僕達は出発の準備をし、玄関でシンシアさん、マリアさんにお別れの挨拶をしていた。ジーラさん達この家の人達も総出で見送ってくれる。
「皆さんお世話になりました。お元気で!」
マークが皆に向かって挨拶をする。僕もその横で頭を下げた。
アルムさんが僕の手を握り、
「シロム様、私いつかカルロ教国に巡礼に参ります。きっとです。」
と言って来る。
「は、はい、お待ちしています。」
そう返事すると、アルムさんは恥ずかしそうに顔を両手で押さえ、家の中に駆け込んで行った。
「おい、あの返事は不味いぞ」
マークが耳元で囁く。え? 僕は何か失礼なことを言っただろうか?
その時、外から男性が駆け込んできた。名前は聞かなかったが、昨日の夕食の時に一緒に居た人だ。
「大変だ! 隣の村に反乱軍の残党狩りの部隊がやって来たらしい。次はこの村に来るぞ!」
それを聞いて全員に緊張が走る。
「シンシア様、マリア様。一旦森にお隠れ下さい。こちらは何とでも誤魔化します。」
ジーラさんがそう提案する。シンシアさんやマリアさんが見つかれば匿っていたこの家の人達も処罰されるだろう。幸い知らせが早かったから隠れる時間はある。
「分かりました。マリア急ぎましょう。」
「シンシアさん、マリアさん、僕達と一緒に来ませんか。僕達がこれから向かうのはカルロ教国のすぐ傍です。そこからならカルロの町まで徒歩でも数日で到着します。カルロの町に移民すればガニマール帝国から完全に逃れることが出来ますよ。」
僕の提案を聞いて、シンシアさんとマリアさんが目を見合わせる。
「シロムさん、分かりましたお願いします。マリアもそれで良いわね。」
シンシアさんがそう発言し、マリアさんも頷いた。
「ジーラ、今まで本当にありがとう。この家の人達には感謝しかありません。何もお返しできないのが辛いけど、ここでお別れします。お元気で.....。」
「姫様....。分かりました、ここでガニマール軍に怯えて暮らすよりカルロ教国に行かれる方が良いかもしれません。でも何かありましたらいつでもお戻りください。ここは姫様達の家だと言う事をお忘れなく。」
「ありがとう、ジーラ」
涙を流しながらシンシアさんとジーラさんが抱き合う。マリアさんは周りをキョロキョロと見回している。乳姉妹のアルムさんを探しているのかな? でもアルムさんはさっき僕と話をしてから家の中に駆け込んだまま出て来ていない。
とにかく時間が無い。僕とマーク、シンシアさんとマリアさんの4人はジーラさん達に分かれを告げて森に向かった。ドラゴニウスさんは森で僕達を待ってくれているはずだ。
急ぎ足で村をでて森へ急ぐ。森に近づくとドラゴニウスさんから念話が送られてきた。
<< もう良いのか? もっとゆっくりしても良いのだぞ。>>
<< お早うございます、ドラゴニウスさん。いいえ、アーシャ様を見つけるまでゆっくりなんてしておれません。>>
<< ふふっ、中々良い心がけだ。それにしても人が増えたな、それも女ばかり3人か。そいつらも連れて行くつもりなのか? >>
<< この人達はカルロ教国に行きます。お願いです。途中まで乗せてあげて頂けないでしょうか? >>
そう言ってから漸く気付く。んっ? 3人??? 思わず後を振り返って気付いた。僕達の後から誰かが駆けて来る。
「シロム様~~~」
微かに声が聞こえる。
「アルム!? どうして?」
マリアさんが声を上げる。
僕達は立ち止まり、アルムさんがやって来るのを待った。既に森の入り口まで来ている、ここまで来れば大丈夫だろう。アルムさんは僕達のところまで駆けて来たものの、息が切れてまともに話すことが出来ない。全力で走って来た様だ。
「シロム.........様........ハァハァッ.........私.........................」
「アルム、どうしたの? ジーラ達に何かあった?」
溜まりかねたマリアさんが強い口調でアルムさんに問いかける。僕も同じことを考えた。だけどアルムさんは、マリアさんに向かって必死に首を振る。どうやらジーラさん達は無事らしい。
「シロム様........ ハァハァッ.........お願いです.........私も連れて行ってください........ハァハァッ....... どうか..........私をシロム様の従者にして下さい.........シロム様のためならどんなことでも致します。」
扉がノックされて目が覚めた。窓からは明るい朝の光が差し込んでいる。「はい」と返事を返すと。
「シロム様、朝食の用意が出来ました。」
と扉の向こうから声が掛った。飛び起きて慌てて身支度をする。
「すみません。少し待ってください。」
「大丈夫です。ごゆっくりご準備してください。」
そう言われても人を待たせていると思うとゆっくりなんてしていられない。慌てて服を着替える。短剣は....いらないな。髪の毛は....寝ぐせが付いてるかもだけど良い事にしよう。
最速で身支度をして扉を開けると、声から予想したとおりアルムさんがそこに立っていた。
「シロム様、お早うございます。お眠りのところを起こしてしまった様で申し訳ありません。」
「と、とんでもないです。僕の方こそお待たせして済みませんでした。」
そう返すと、アルムさんがクスッと笑う。
「シロム様はあれほどのお力をお持ちなのに、少しも威張られないのですね。」
「と、当然です。あれは神が与えて下さったもので僕の力ではありません。僕は只の食堂の息子ですから。」
「まあ、ご両親は食堂を経営されておられるのですか?」
「祖父の代からです。近所では安くて美味しいと結構評判なんですよ。」
「素敵です。私も食べてみたいです。」
「是非どうぞと言いたいですが.....ここからは少し遠いですね。」
「カルロ教国から来られたのですよね。私も巡礼者になったら入れてもらえるのかしら。」
「もちろんです。聖なる山の神への巡礼者はいつでも歓迎されています。」
「いつか是非。聖なる山の神様にもお礼を言わなければなりませんもの。シロム様をここに遣わせて下さったのですから。」
「僕の家は二葉亭と言います。その時は是非お寄り下さい、歓迎させていただきます。」
「ありがとうございます。いつかきっと.....」
アルムさんは夢見る様な表情でそう言ったが、すぐに真顔になった。
「まあ、私ったら。食事が冷めてしまいますわね。どうぞこちらです。」
そう言って先に立って歩き始めた。後を付いて行くと昨日の夕食とは別の部屋に通された。部屋にはシンシアさん、マリアさん、そしてマークが待っていた。アルムさんは一礼して部屋から出て行く。
「お早うございます。遅くなって申し訳ありません。」
「とんでもありません。さあどうぞお座りください。」
シンシアさんが優しく言ってくれる。恐る恐る隣のマリアさんの方を見ると、相変わらず鋭い目つきだが、
「シロム....様。お早うございます。」
と返してくれた。少なくとも拒絶はされていない様だ。席に着くと隣に座っているマークが耳元で囁いて来た。
「昨日と態度が違うな、何かあったのか?」
「ちょっとね。」
ナイフを突きつけられたとは言えないよな。言ったら怒るに決まっている。とりあえずこの場は誤魔化すしかない。
「それではいただきましょうか。」
とシンシアさんが口にし食事が始まる。スープが少し冷えている。かなり待たせてしまったのかもしれない。
「マーク様とシロム様は神の御子を探しておられるのですね。」
とマリアさんが話しかけて来た。マークが片眉を上げる、昨日だったらマークと僕の名前を並列にしなかったはずだ。
「そうです。何か思い出しましたか?」
「お役に立つかどうか分かりませんが、祭壇の近くで縛られていた時ガイラス皇子が部下と話しているのが聞こえたのです。部隊に紛れ込んでいる妹皇女の間者を探し出す様に命じておりました。どうやら兄妹でだれが最初に聖なる山の神を味方に付けるか競争しているらしくて、妹が御子に的に絞った様だと口にしておりました。ガイラス皇子が聖なる山の神にいくら捧げものをしても効果が無いことを知った上での対応らしくて、自分の部隊に妹の間者がいて情報を流していると確信していました。」
「マーク、それって.....」
「ああ、間違いないな。カルロ教国に近い方の祭壇だろう。あそこでガイラスの妹というのが御子様を狙って何かしていたわけだ。」
「マリアさん、貴重な手掛りだ。ありがとう。」
「でもあの祭壇はずいぶん前に撤収されていたはずだよ。」
「そうなんだが.....。シロム、念のためにもう一度行ってみないか? どうせ他に手掛かりは無い。」
同感だ。あそこにあった祭壇が撤収されたのは轍の跡が消えるくらい前だと思うけど、妹皇女が御子様を狙っていたとなると気になって仕方がない。僕も同意し、この村を出発後は一旦あの祭壇があった場所に戻ることになった。
食事が終わり僕達は出発の準備をし、玄関でシンシアさん、マリアさんにお別れの挨拶をしていた。ジーラさん達この家の人達も総出で見送ってくれる。
「皆さんお世話になりました。お元気で!」
マークが皆に向かって挨拶をする。僕もその横で頭を下げた。
アルムさんが僕の手を握り、
「シロム様、私いつかカルロ教国に巡礼に参ります。きっとです。」
と言って来る。
「は、はい、お待ちしています。」
そう返事すると、アルムさんは恥ずかしそうに顔を両手で押さえ、家の中に駆け込んで行った。
「おい、あの返事は不味いぞ」
マークが耳元で囁く。え? 僕は何か失礼なことを言っただろうか?
その時、外から男性が駆け込んできた。名前は聞かなかったが、昨日の夕食の時に一緒に居た人だ。
「大変だ! 隣の村に反乱軍の残党狩りの部隊がやって来たらしい。次はこの村に来るぞ!」
それを聞いて全員に緊張が走る。
「シンシア様、マリア様。一旦森にお隠れ下さい。こちらは何とでも誤魔化します。」
ジーラさんがそう提案する。シンシアさんやマリアさんが見つかれば匿っていたこの家の人達も処罰されるだろう。幸い知らせが早かったから隠れる時間はある。
「分かりました。マリア急ぎましょう。」
「シンシアさん、マリアさん、僕達と一緒に来ませんか。僕達がこれから向かうのはカルロ教国のすぐ傍です。そこからならカルロの町まで徒歩でも数日で到着します。カルロの町に移民すればガニマール帝国から完全に逃れることが出来ますよ。」
僕の提案を聞いて、シンシアさんとマリアさんが目を見合わせる。
「シロムさん、分かりましたお願いします。マリアもそれで良いわね。」
シンシアさんがそう発言し、マリアさんも頷いた。
「ジーラ、今まで本当にありがとう。この家の人達には感謝しかありません。何もお返しできないのが辛いけど、ここでお別れします。お元気で.....。」
「姫様....。分かりました、ここでガニマール軍に怯えて暮らすよりカルロ教国に行かれる方が良いかもしれません。でも何かありましたらいつでもお戻りください。ここは姫様達の家だと言う事をお忘れなく。」
「ありがとう、ジーラ」
涙を流しながらシンシアさんとジーラさんが抱き合う。マリアさんは周りをキョロキョロと見回している。乳姉妹のアルムさんを探しているのかな? でもアルムさんはさっき僕と話をしてから家の中に駆け込んだまま出て来ていない。
とにかく時間が無い。僕とマーク、シンシアさんとマリアさんの4人はジーラさん達に分かれを告げて森に向かった。ドラゴニウスさんは森で僕達を待ってくれているはずだ。
急ぎ足で村をでて森へ急ぐ。森に近づくとドラゴニウスさんから念話が送られてきた。
<< もう良いのか? もっとゆっくりしても良いのだぞ。>>
<< お早うございます、ドラゴニウスさん。いいえ、アーシャ様を見つけるまでゆっくりなんてしておれません。>>
<< ふふっ、中々良い心がけだ。それにしても人が増えたな、それも女ばかり3人か。そいつらも連れて行くつもりなのか? >>
<< この人達はカルロ教国に行きます。お願いです。途中まで乗せてあげて頂けないでしょうか? >>
そう言ってから漸く気付く。んっ? 3人??? 思わず後を振り返って気付いた。僕達の後から誰かが駆けて来る。
「シロム様~~~」
微かに声が聞こえる。
「アルム!? どうして?」
マリアさんが声を上げる。
僕達は立ち止まり、アルムさんがやって来るのを待った。既に森の入り口まで来ている、ここまで来れば大丈夫だろう。アルムさんは僕達のところまで駆けて来たものの、息が切れてまともに話すことが出来ない。全力で走って来た様だ。
「シロム.........様........ハァハァッ.........私.........................」
「アルム、どうしたの? ジーラ達に何かあった?」
溜まりかねたマリアさんが強い口調でアルムさんに問いかける。僕も同じことを考えた。だけどアルムさんは、マリアさんに向かって必死に首を振る。どうやらジーラさん達は無事らしい。
「シロム様........ ハァハァッ.........お願いです.........私も連れて行ってください........ハァハァッ....... どうか..........私をシロム様の従者にして下さい.........シロム様のためならどんなことでも致します。」
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